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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W2943 |
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管理番号 | 1397306 |
総通号数 | 17 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2023-05-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2022-06-29 |
確定日 | 2023-04-07 |
事件の表示 | 商願2020−155945拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、令和2年12月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年10月29日付け:拒絶理由通知書 令和3年12月 8日 :意見書の提出 令和4年 3月28日付け:拒絶査定 令和4年 6月29日 :審判請求書の提出 2 本願商標 本願商標は、「もつ嫌いも旨いと言った 大人のもつ煮」の文字を標準文字で表してなり、第29類「もつの煮込み」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品又は指定役務として登録出願されたものである。 3 原査定の拒絶の理由(要旨) 本願商標は、「もつ嫌いも旨いと言った 大人のもつ煮」の文字を標準文字で表してなるものである。 そして、その構成中「もつ嫌いも旨いと言った」の文字部分は、その構成文字より「もつ嫌い(の人)もおいしいと言った」ほどの意味合いが認識されるものであり、また、飲食物を取り扱う業界においては、その飲食物が苦手な人でも食べられる(飲める)ほどおいしいことをアピールすることが一般的に行われている。そうすると、本願商標構成中の「もつ嫌いも旨いと言った」の文字部分は、もつが苦手な人でも食べられるほどおいしいことをアピールする、宣伝文句の一種と認識されるにとどまると言わざるを得ない。 また、同業界において、大人の嗜好に合わせた、大人向けの商品(飲食物)が多数製造・提供され、そのような商品(飲食物)について「大人の〇〇」の文字が使用されている実情がある。そうすると、本願商標構成中の「大人のもつ煮」の文字部分は、大人向けのもつ煮であるという商品の品質や、大人向けのもつ煮の提供であるという役務の質を普通に用いられる方法で表示したものといわざるを得ない。 以上のことからすれば、本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する需要者は、結局、何人かの業務に係る商品・役務であることを認識することができないものと認められる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第6号該当性について 本願商標は、「もつ嫌いも旨いと言った 大人のもつ煮」の文字を標準文字で表してなるものである。 そして、その構成中「もつ嫌いも旨いと言った」の文字は、その構成各文字の意味内容からして、「もつが嫌いな人も「旨い」と言った」ほどの意味合いを理解させるものであるところ、原審で提示した情報が示すように、例えば「〇〇嫌いでも食べられる(飲める)」(○○には飲食料品の名称が入る。以下同じ。)などというように、本願商標の指定商品及び指定役務を含む、飲食料品を取り扱う分野において、「その飲食料品が嫌いな人でも、美味しく食べることのできる商品である」ことが、商品又は役務の広告宣伝において言及されることがあることが認められる。また、別掲のインターネット情報にあるように、その中には、「もつ」に関する事例も見受けられる。 そうすると、本願商標構成中の「もつ嫌いも旨いと言った」の文字は、これに接する需要者において、その指定商品又はその指定役務において提供されるものが、もつが嫌いな人でも美味しく食べることのできるものであることを記述的に表示した、広告宣伝のための語句であると理解、認識されるというのが相当である。 また、原審で提示した情報にあるように、飲食料品を取り扱う分野においては、その商品又は役務において提供される飲食料品が、「大人向け」のものであることを表現するため、「大人の○○」の文字が広く一般に使用されている状況が認められる。 そうすると、本願商標構成中の「大人のもつ煮」の文字は、これに接する需要者において、その指定商品又はその指定役務において提供される「もつ煮(もつの煮込み)」が大人向けのものであることを表示した、広告宣伝のための語句であると理解、認識されるというのが相当である。 以上のことからすると、「もつ嫌いも旨いと言った 大人のもつ煮」の文字からなる本願商標を、その指定商品又は指定役務に使用する場合、これに接する需要者は、それが「その指定商品又は指定役務において提供されるものが、もつが嫌いな人でも美味しく食べることのできるものであること」並びに「その指定商品又は指定役務において提供されるもつ煮が大人向けのものであること」を表した、その商品又は役務の宣伝広告用の語句の羅列であると認識するにすぎず、自他商品又は役務の識別標識としては認識しないものというのが相当である。 したがって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標というべきであるから、商標法第3条第1項第6号に該当する。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、原審の拒絶理由通知書で提示された事例における「〇〇嫌いでも食べられる」という文言と、本願商標構成中の「もつ嫌いも旨いと言った」の文言とは、観念が明確に異なるものであって、本願商標に係る識別力を否定する判断材料として当該事例を活用すべきでない旨主張する。 しかしながら、それらの文言が厳密には異なる意味合いであるとしても、上記(1)のとおり、本願商標の指定商品及び指定役務を含む、飲食料品を取り扱う分野において、「その飲食料品が嫌いな人でも、美味しく食べることのできる商品である」ことが、商品又は役務の広告宣伝において言及されることがあることが認められることからすれば、「〇〇嫌いでも食べられる」という文言も、「○○嫌いも旨いと言った」の文言も、これに接する需要者において、いずれもその商品又は役務において提供される飲食料品が美味しいものであることを表現するための宣伝広告用の語句の一種であると理解、認識されるというのが相当である。 イ 請求人は、本願商標は、通常の商品の品質表示としては用いられることのない形容詞が種々に詰め込まれた極めて創造性の高い造語であって、形容される「もつ」の品質の良さを相当積極的な表現としている点において、極めて創造性が高いものである旨主張する。 しかしながら、本願商標は、通常では考え難い文字や語の配列であるとか、一見して意味内容が理解、認識できないといった事情は見当たらないことからすれば、創造性が格別高いものということはできず、また、上記(1)の実情を踏まえれば、本願商標全体として「もつが嫌いな人も「旨い」と言った、大人向けのもつ煮」ほどの意味合いが容易に看取できるものであって、これをその指定商品又は指定役務に使用する場合、それに接する需要者は、それがその商品又は役務の宣伝広告用の語句の羅列であると認識するにすぎず、自他商品又は役務の識別標識としては認識しないものというのが相当である。 ウ 請求人は、本願商標構成中の「大人のもつ煮」の文字よりは、「子供では食べにくいピリ辛味にしたもつ煮」「お酒に合うようにより濃い味に仕上げたもつ煮」「値段的に子供学生では手が届かないような高級な食材を使ったもつ煮」など、多数の派生の意味合いが生じるものであり、商品の表示として確定的な意味合いを生じさせるとはいえない旨主張する。 しかしながら、「大人の○○」の文字が使用されている事例によって、表現する商品等の具体的内容が異なる点があるとしても、いずれも「大人向けのものであること」を表現するために採択、使用されている点では一致していることから、上記(1)のとおり、本願商標構成中の「大人のもつ煮」の文字は、これに接する需要者において、その指定商品又はその指定役務において提供される「もつ煮(もつの煮込み)」が大人向けのものであることを表示した、広告宣伝のための語句であると理解、認識されるというのが相当である。 エ 請求人は、飲食料品を取り扱う分野の商品を指定商品とする「大人の〇〇」の文字からなる登録商標が多数存在することから、本願商標も登録されるべきである旨主張する。 しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品・指定役務との関係や、その商品又は役務の分野における取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本件判断が左右されるものではない。 オ したがって、請求人の上記アないしエの主張は、いずれも採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 その指定商品又はその指定役務において提供されるものが、もつ嫌い(もつが嫌いな人)でも美味しく食べることのできるものであることを記述的に表示した、広告宣伝の事例 1 「ぐるなび」のウェブサイトにおける「博多もつ鍋×海鮮居酒屋 武勇‐buyuu‐ 池袋店」のページにおいて、「メニュー」の「武勇看板!もつ鍋」の項目において、「もつ嫌いの方はこのにおいが苦手という方も多いと思いますが、武勇では新鮮な「丸腸(まるちょう)」のみを使用。徹底した洗浄と品質管理によってくさみがありません。」の記載がある。 https://r.gnavi.co.jp/e342200/menu10/ 2 「春夏秋凍 食材マーケット」のウェブサイトにおいて、商品「特選松阪牛専門店やまと 黒毛和牛コプチャン【もつ鍋用】」が掲載されており、商品紹介として「もつ嫌いな方でも食べられるほどの臭みのなさに、女性やお子様にもオススメです。」の記載がある。 https://shunkashutou.com/market/4552/ 3 「宗家赤門屋」のウェブサイトにおいて、「赤門屋のもつが、もつ嫌いを克服しちゃうほど美味しい3つの理由!」「もつが苦手な方は、その臭みや触感が苦手という方が多いようです。しかし赤門屋のとろける触感のもつをひとくち食べれば今までの価値観がひっくり返ってしまうことでしょう!」の記載がある。 http://akamonya.com/ (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2023-02-08 |
結審通知日 | 2023-02-09 |
審決日 | 2023-02-24 |
出願番号 | 2020155945 |
審決分類 |
T
1
8・
16-
Z
(W2943)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
豊瀬 京太郎 |
特許庁審判官 |
板谷 玲子 白鳥 幹周 |
商標の称呼 | モツギライモウマイトイッタオトナノモツニ、モツギライモウマイトイッタ、オトナノモツニ、オトナノ、オトナ |
代理人 | 土野 史隆 |
代理人 | 弁理士法人Toreru |
代理人 | 眞田 忠昌 |
代理人 | 宮崎 超史 |
代理人 | 小林 健一郎 |
代理人 | 辻本 依子 |