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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1395493 
総通号数 15 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-03-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-11 
確定日 2023-02-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第6484908号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6484908号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6484908号商標(以下「本件商標」という。)は、「FindU」の文字を標準文字で表してなり、令和3年2月1日に登録出願、第9類「電子出版物,電子応用機械器具及びその部品,電子計算機用プログラム,電気通信機械器具,家庭用テレビゲーム機用プログラム,業務用テレビゲーム機用プログラム,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの),インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル」並びに第35類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同年12月7日に登録査定、同月13日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する国際登録第1483491号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示したとおりの構成からなり、2018年(平成30年)8月2日にChinaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2019年(平成31年)1月15日に国際商標登録出願、第9類及び第35類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和4年3月18日に日本国において設定登録されたものであり、現在、有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第9類「全指定商品」について、商標法第8条第1項又は同法第4条第1項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第54号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第8条第1項
(1)本件商標について
本件商標は、その構成から、「見つける、発見する」等の語義を有する英語「Find」と、アルファベットの「U」の文字を組み合わせてなるものと容易に理解することができる。
そして、本件商標で使用されている「U」というアルファベットは、「あなた」という二人称を表す英語「you」という意味で使用されることがあり、「ビオレU」、「Uniqulo U」のように商品のサブランド名を表す文字として使用されている実情がある(甲第3号証及び甲第4号証)。また、アルファベットの「U」の文字は、商品の形状を表す文字として商品名の一部に使用されること(甲第5号証)や、「Unit」という単位を表す文字として商品の一般名の一部に使用されること(甲第6号証)があり、すなわち、「U」の文字は識別力が弱い文字として使用されることが多い。
これに加え、申立人は2011年(平成23年)以降、スマートフォンの事業の分野において、中国において「Find3」、「Find5」、「Find7」、「Find X」、「FindN」といった「Find」シリーズ商品を販売してきた実績があり、かかる実績が我が国においても報じられている。
これらの事情を考慮すれば、本件商標は、識別力の弱い「U」の文字を捨象し、語頭に表わされた「Find」の文字部分が強く印象づけられるといえる。そうとすると、本件商標が称呼される場合には、構成全体より「ファインドユー」という称呼が生ずる他、「Find」の文字部分より「ファインド」の称呼が生じ、また該文字部分より「見つける、発見する」という観念が生ずるといえる。
(2)引用商標について
引用商標は、その文字に相応して「ファインド」の称呼及び「見つける、発見する」という観念が生ずる。
(3)本件商標と引用商標の類否について
外観についてみると、本件商標は、その構成中の「U」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能が極めて弱い語であるといえ、語頭の「Find」の文字部分が独立して出所識別標識として機能するといえる。してみれば、本件商標と引用商標とは、欧文字「Find」を共通にし、当該語が単独で商標として機能し得るから、両商標は外観上相紛れるおそれのある類似の商標と考えるのが相当である。
次に、両商標から生ずる称呼を比較すると、本件商標の構成全体から生ずる「ファインドユー」のうち「ファインド」が占める割合は大きく、また、「U」の文字部分は自他商品識別力が弱く、語頭に配された「Find」の部分が強く印象づけられることからすれば、構成全体から「ファインドユー」の称呼が生ずる他、「ファインド」の称呼も生ずるといえる。
そうとすると、本件商標と引用商標は、「ファインド」の称呼を共通にし、称呼上も相紛れるおそれのある類似の商標と考えるのが相当である。
観念についてみても、本件商標は「Find」の文字部分が強く印象づけられることからすれば、該文字部分より「見つける、発見する」という観念が生ずるといえ、よって、本件商標と引用商標は「見つける、発見する」という観念を共通にし、観念上も相紛れるおそれのある類似の商標と考えるのが相当である。
(4)指定商品の類否について
本件商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具及びその部品」は、引用商標の指定商品中、少なくとも、第9類「computers;notebook computers」と同一又は類似する。本件商標の指定商品中、第9類「電子計算機用プログラム」及び「コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」は、引用商標の指定商品中、少なくとも、第9類「computer programs[downloadable software];smartphone software applications,downloadable」と同一又は類似する。本件商標の指定商品中、第9類「電気通信機械器具」は、引用商標の指定商品中、少なくとも、第9類「video telephones;cell phones;smartphones;mobile telephones」と同一又は類似する。また、本件商標の指定商品中、第9類「家庭用テレビゲーム機用プログラム,業務用テレビゲーム機用プログラム」は、引用商標の指定商品中、少なくとも、第9類「virtual reality game software;headsets for virtual reality games」と類似する。
(5)小括
以上より、本件商標は、外観、称呼、観念のいずれにおいても、引用商標と相紛れるおそれのある類似の商標であることは明らかであり、また、本件商標は、上述のとおり、引用商標の指定商品中の第9類の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものである。
そして、引用商標の先願権発生日は、その国際登録の基礎となる中国商標の登録出願日である平成30年8月2日であるところ、本件商標の登録出願日は令和3年2月1日であり、引用商標の後願にあたる。
したがって、本件商標は商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第19号
(1)申立人について
申立人は、中華人民共和国に所在する、「OPPO」の名称で知られているスマートフォン市場における大企業であり、2003年(平成15年)に設立され、2008年(平成20年)に携帯電話事業、2011年(平成23年)にスマートフォンの事業に参入し、今日に至るまでスマートフォンの製造・販売を行っており、40以上の国や地域の市場をカバーする世界的な企業である(甲第7号証ないし甲第10号証)。
申立人が提供するスマートフォン(以下「申立人商品」という。)は、2016年(平成28年)には世界シェア4位の地位を占め、米国の調査会社「IDC」の調査によると、申立人商品の出荷台数は、約3,000万台、市場シェアは約8%である(甲第11号証ないし甲第14号証)。
また、中国における申立人商品の国内市場シェアについてみると、2020年(令和2年)第4四半期で17%、国内第2位の地位を占め、2021年(令和3年)の1月には国内市場でシェア首位に立った(甲第15号証及び甲第16号証)。
(2)「Find」が少なくとも中国における需要者の間に広く認識されている商標であること
申立人は、スマートフォンの出荷に係る世界シェアで第4位を占め、特に中国国内においては昨年シェア1位を獲得した。
そして、申立人は、2011年(平成23年)にスマートフォン事業に参入して以来、中国において、「Find」をブランド(商標)とするシリーズの商品を継続して販売している(甲第8号証、甲第20号証、甲第22号証、甲第23号証、甲第25号証ないし甲第27号証、甲第30号証、甲第31号証、甲第53号証及び甲第54号証)。宣伝にはサッカーのスター選手であるネイマール氏等を起用し、広く広告を行った(甲第17号証ないし甲第19号証、甲第21号証、甲第28号証及び甲第29号証)。また、「Find5」シリーズは「iFデザインアワード」を受賞(甲第24号証)、中国のマイクロブログ「微博」における「FIND X2」及び「FIND X3」に関する掲載記事の閲覧回数は、それぞれ18億9千万回、18億7千万回にも上っている(甲第30号証及び甲第31号証)。
以上のとおり、「Find」シリーズは、スマートフォンの分野において全世界、特に中国において大きなシェアを占める申立人が継続して提供してきたスマートフォンのフラッグシップ・ブランドであり、こと中国においては、著名人を起用して広く宣伝広告がなされてきたものであって、極めて話題性があるものであった。
以上の事実及び経緯に鑑みれば、申立人のブランド(商標)である「Find」が、スマートフォンの分野において、本件商標が令和3年2月1日に出願された以前から、少なくとも中国における需要者・取引者に、申立人商品の出所表示として広く知られていたことは明白である。
なお、「Find」シリーズは、我が国においても、申立人の日本法人オウガ・ジャパン株式会社(以下「オウガ・ジャパン社」という。)により販売されており(甲第37号証)、本件商標が出願された令和3年2月1日及び登録査定がなされた令和3年12月13日(決定注:「令和3年12月7日」の誤記と認める。)の時点では、我が国における取引者、需要者の間でも相当程度広く認識されていた。
我が国においては、申立人商品のフラッグシップモデルとして、「Find X」を名称とするスマートフォンが2018年(平成30年)11月より販売され(甲第38号証及び甲第39号証)、大手の携帯キャリア事業者のみならず、大手電機店、ECサイト等において広く販売されてきた(甲第40号証ないし甲第45号証)。その後、「Find X2 Pro」が販売され、さらに、2021年(令和3年)6月には「Find X3 Pro」が販売された(甲第46号証)。
申立人の商品「Find X」は、申立人商品のハイエンドモデルであり、カメラや高速充電、操作性等の機能のみならず、そのデザイン性も高く評価され、2020年(令和2年)11月には「GOOD DESIGN AWARD2020」にて、「グッドデザイン賞」を受賞し(甲第47号証)、注目度の高いものであった(甲第38号証、甲第48号証ないし甲第50号証)。また、申立人の「Find X」商品をレビューした動画も多数アップロードされており、その再生回数は20万回を下らない(甲第51号証及び甲第52号証)。申立人の「Find」シリーズが我が国でも話題になるものであることは、例えば著名な新聞媒体に報じられていたことからも明らかである(甲第16号証及び甲第53号証)。
以上からすれば、「Find」シリーズは、オウガ・ジャパン社が提供する申立人の商品を表示するものとして、本願商標が出願された令和3年2月1日及び登録査定がなされた令和3年12月8日(決定注:「令和3年12月7日」の誤記と認める。)の時点では、我が国における取引者、需要者の間でも相当程度広く認識されていたことは明白である。
(3)本件商標が引用商標「Find」に類似すること
本件商標は、語頭に表わされた「Find」の文字部分が強く印象づけられるものであるから、本件商標が称呼される場合には、構成全体より「ファインドユー」という称呼が生ずる他、「Find」の文字部分より「ファインド」の称呼が生じ、また該文字部分より「見つける、発見する」という観念が生じ、さらには外観上の要部として「Find」という文字列を有する。
他方で、引用商標「Find」は、申立人商品の出所表示として様々なバリエーションの下に使用されており、申立人の商標として中国国内において広く認識されているものである。引用商標からは、構成文字に相応して「ファインド」の称呼及び「見つける、発見する」という観念が生ずる。
そうとすると、引用商標「Find」と本件商標は、「ファインド」という称呼が生じる点及び「見つける、発見する」という観念が生じる点において共通し、さらに、「Find」の文字構成が共通し外観上も近似した印象を与えるものであるから、本件商標は引用商標「Find」に類似する。
(4)不正の目的があること
ア 申立人は、スマートフォンの出荷に係る世界シェアで第4位を占めるほどの大手企業であること、イ 申立人商標である「Find」シリーズは本件商標の出願された時点において中国のみならず我が国の需要者の間に相当程度広く認知されていたこと、ウ ハリウッドスターや世界的なサッカーのスター選手を起用したコマーシャルフィルム等により「Find」シリーズが大々的に宣伝広告されていたこと(甲第17号証ないし甲第19号証、甲第21号証、甲第28号証及び甲第29号証)、エ 本件異議申立にかかる指定商品は申立人の業務に係る商品を含むこと等からすれば、商標権者は、申立人がスマートフォンを販売するための商標として「Find」を使用していたことを知っていたと考えることが自然である。
そして、申立人は、「Find X」、「Find N」、「Find 3」、「Find 5」及び「Find 7」といった「Find」に一文字を付した商標を使用した商品を幅広く展開し(甲第20号証、甲第22号証、甲第23号証、甲第25号証ないし甲第31号証、甲第53号証)、また「Find X」、「Find Y」及び「Find Z」という「Find」にアルファベット一文字を付した商標登録を広く取得しており(甲第33号証ないし甲第36号証)、かかる事実からすれば、本件商標は、申立人の使用商標と偶然にその構成が一致したとは考え難い。本件商標「FindU」は、あたかも申立人の「Find」シリーズのブランドの一つかのように理解し得るものであり、そのような本件商標を登録出願した行為には、「Find」に「U」を結合した商標が日本において登録出願されていないことを奇貨として商標登録し、申立人の日本における「Find」シリーズ商品の展開を阻止ないし困難にする目的、又は申立人の「Find」シリーズの名声に便乗し不正の利益を得る目的等の不正の目的があったことが容易に推認できる。
以上からすれば、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標に該当する。
(5)小括
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当することは明らかである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)申立人は、2003年(平成15年)に設立された法人であり、2008年(平成20年)に携帯電話事業、2011年(平成23年)にスマートフォンの事業に参入し、今日に至るまでスマートフォンの製造・販売を行っており、40以上の国や地域の市場をカバーしていると主張する(申立人の主張、甲第7号証ないし甲第10号証)。
(2)申立人商品は、2016年(平成28年)には世界シェア4位の地位を占め、米国の調査会社「IDC」の調査によると、2017年(平成29年)以降の出荷台数は、約3,000万台、市場シェアは約8%である(甲第11号証ないし甲第14号証)。
(3)また、中国における申立人商品の国内市場シェアについてみると、2020年(令和2年)第4四半期で17%、国内第2位となり(甲第15号証)、2021年(令和3年)の1月には国内市場でシェア首位に立った(甲第16号証)。
(4)申立人は、2011年(平成23年)にスマートフォン事業に参入して以来、中国において、「Find 3」、「Find 5」等「Find」の文字を有する標章を使用した申立人商品を継続して販売している(甲第8号証、甲第20号証、甲第22号証及び甲第23号証、甲第25号証ないし甲第27号証)。
(5)申立人商品の宣伝には、サッカーのスター選手等を起用し、広告を行っている(甲第17号証ないし甲第19号証及び甲第29号証)。
(6)我が国においては、申立人の商品の「Find X」を名称とするスマートフォンが2018年(平成30年)11月より販売され(甲第38号証及び甲第39号証)、大手の携帯キャリア事業者、大手電機店、ECサイト等において販売されてきた(甲第40号証ないし甲第45号証)。
(7)申立人の商品「Find X」は、2020年(令和2年)11月には「GOOD DESIGN AWARD 2020」にて、「グッドデザイン賞」を受賞した(甲第47号証)。
(8)判断
上記(1)ないし(7)によれば、申立人は、スマートフォンに「Find」の文字を有する標章を使用し、大手の携帯キャリア事業者、大手電機店、ECサイト等を通じて販売しており、「Find」の文字を有する標章が使用された申立人商品は、一定程度知られていることがうかがえる。
しかしながら、申立人の取扱いに係る「Find」の文字を有する標章が使用された商品「スマートフォン」について、我が国及び外国(中国)における販売数、売上高などの販売実績や広告宣伝費、広告宣伝期間、広告宣伝の回数など広告状況や市場シェアなどは不明であって、受賞歴については、これが需要者の認識にどの程度の影響を与えるものであるのか、明らかではない。また、申立人の主張する出荷台数及び市場シェアについては、世界又は中国における申立人商品全体の出荷台数、市場シェアと認められ、それらの数値の全てが引用商標を使用した商品についてのものであるかは不明である。
そうすると、申立人は、「Find」の文字を有する標章を自己の取扱いに係る商品「スマートフォン」に使用し、該商品が一定程度注目を集めているとはいえるものの、引用商標が、申立人商品を表すものとして、我が国又は外国(中国)において、需要者の間で広く知られた商標であるということはできない。
2 商標法第8条第1項について
(1)本件商標について
本件商標は、「FindU」の文字を標準文字で表してなるものであって、同書、同大、等間隔の文字列でまとまりよく表されており、外観上「Find」又は「U」の文字部分のみが独立して着目されるものではない。
そして、本件商標の構成文字全体から生じる「ファインドユー」の称呼も、格別冗長なものではなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標構成中の「Find」の文字部分が、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべき事情も見当たらない。
そうすると、本件商標は、構成中の「U」の文字部分を省略し、「Find」の文字部分のみをもって取引に資されるとはいい難く、一連一体の一種の造語として認識し把握されるものとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ファインドユー」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないというのが相当である。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲のとおり、「Find」の欧文字からなるものであるところ、該文字は「見つける」等の意味を有する親しまれた英語であるから、これよりは「ファインド」の称呼を生じ、「見つける」ほどの観念を生ずるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標について比較するに、外観においては、「Find」の文字列を共通にするものであるが、語尾の「U」の文字の有無において相違し、構成全体が5文字と4文字といった比較的短い構成中において、その差異が与える影響は決して小さいものとはいえず、外観上、判然と区別し得るものである。
そして、称呼においては、本件商標より生じる「ファインドユー」の称呼と引用商標より生じる「ファインド」の称呼とは、「ファインド」の音を共通にするものの、「ユー」の音の有無において相違するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、称呼上、明瞭に聴別し得るものである。
また、観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないから、「見つける」ほどの観念を生じる引用商標とは、互いに相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であるといわなければならない。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、本件商標権者と引用商標の商標権者のいずれが最先の商標登録出願人であるかを判断するまでもなく、商標法第8条第1項の規定に違反して登録されたものということはできない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1のとおり、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているとまではいえないものである。
また、上記2のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そして、申立人提出の甲各号証をみても、本件商標権者が、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的な事実を見いだすことはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項及び同法第4条第1項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品についての登録は、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲

別掲 引用商標(国際登録第1483491号)



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異議決定日 2023-02-08 
出願番号 2021011294 
審決分類 T 1 652・ 4- Y (W09)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 板谷 玲子
白鳥 幹周
登録日 2021-12-13 
登録番号 6484908 
権利者 株式会社プログラス
商標の称呼 ファインドユウ、ファインド 
代理人 城山 康文 
代理人 北口 貴大 
代理人 眞田 忠昌 
代理人 大島 良太 
代理人 辻本 依子 
代理人 宮崎 超史 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 土野 史隆 
代理人 横川 聡子 
代理人 弁理士法人Toreru 
代理人 小林 健一郎 

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