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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W42
管理番号 1395372 
総通号数 15 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-04-26 
確定日 2023-02-22 
事件の表示 商願2020−119968拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年9月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 9月 9日付け:拒絶理由通知書
令和3年10月19日受付:意見書
令和4年 2月 9日付け:拒絶査定
令和4年 4月26日受付:審判請求書
令和4年 9月 6日付け:審尋
令和4年10月14日受付:回答書

第2 本願商標
本願商標は、「セキュア・ラップトップ」の文字を標準文字で表してなり、第42類「電子データセキュリティシステムの設計・開発,インターネットセキュリティ用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,コンピュータセキュリティシステムの遠隔監視,コンピュータセキュリティに関する指導及び助言,電子情報のデータ変換,電子計算機用ソフトウェアの設計・作成・保守に関するコンサルティング,コンピュータソフトウェアの設計・作成又は保守及びこれらに関するコンサルティング(ローカルネットワーク又はグローバルネットワークにより提供されるものを含む。),コンピュータハードウェア及びソフトウェアシステムの設計・選択・適合及び使用に関する助言,インターネットセキュリティ用プログラムの貸与,コンピュータソフトウエアの貸与,コンピュータの貸与,コンピュータソフトウェアの提供,電子計算機用プログラムの提供,インターネットサーバーの記憶領域の貸与,クラウドコンピューティング,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」を指定役務として、登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「セキュア・ラップトップ」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標全体として、「セキュリティ対策が施された安全なパーソナルコンピューター」程の意味合いを理解させるにすぎないから、本願商標を、その指定役務中、例えば、「電子データセキュリティシステムの設計・開発」等について使用しても、これに接する需要者、取引者は、「セキュリティ対策を施すためにパーソナルコンピューター用に提供する役務」又は「セキュリティ対策が施された安全なパーソナルコンピューターに関する役務」であることを認識するにすぎず、本願商標は、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当だから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記意味合いに照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審においてした審尋
当審において、本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について、職権に基づく証拠調べを実施し、請求人に対し、審尋で、別掲のとおり、その結果を通知するともに、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第5 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、上記第4の審尋に対して、回答書において、要旨、以下のように主張した。
1 審尋で示された「セキュアPC」の語は、他の詳細な説明の記載があるから、「セキュリティ対策を施したパーソナルコンピューター」であることを理解し得るものである。
2 「セキュアラップトップ」の実質的な使用例は、1件のみであり、本願商標から「セキュリティ対策を施した携帯型パーソナルコンピューター」の意味を導く根拠といえない。
3 本願商標は、「ラップトップパソコン」そのものを指定商品とした商標ではなく、役務についての商標であるから、その役務の内容を直接的・具体的に理解することは困難である。
4 「セキュアOS」の例が挙げられているが、「SECUREOS」の登録も認められているし、出願人は、本願商標と同一の商標を第9類の商品で登録を受けている。

第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「セキュア・ラップトップ」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「セキュア」の文字は、「安全が保証されていること。危害に対して危険のないこと。」の意味を、「ラップトップ」の文字は、「携帯型パソコン」、「ひざの上に乗せられるほどの、小さいパーソナルコンピューター」などの意味を、それぞれ有するものとして一般に知られているものである(別掲1、2)。
そして、本願の指定役務を提供するコンピューター関連業界においては、コンピューターウィルスや不正アクセス等からの防御のためにセキュリティ対策を行うことが一般的となっているところ、近年のコロナ禍においてテレワークが推進されていることから、よりセキュリティ対策の重要性が高まっているところである。
このような状況下、原審で挙げた使用事例以外にも、セキュリティ対策(安全対策)を施したり、セキュリティ機能を高めたりした、パソコン(PC)やコンピューターソフトウェア、コンピューターネットワーク等に「セキュア」の文字を冠して「セキュアPC」、「セキュアノートPC」、「セキュアOS」、「セキュアなコンピューターネットワーク」等のように使用されている事例が認められる(別掲1、3、4)。
そうすると、「セキュア・ラップトップ」の文字は、「セキュリティ対策を施した携帯型パーソナルコンピューター」ほどの意味合いを容易に理解させるものである。
してみれば、「セキュア・ラップトップ」の文字よりなる本願商標は、上記意味合いを容易に認識させるものであるから、これを、その指定役務中「電子データセキュリティシステムの設計・開発,インターネットセキュリティ用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,コンピュータセキュリティシステムの遠隔監視,コンピュータセキュリティに関する指導及び助言,電子情報のデータ変換,電子計算機用ソフトウェアの設計・作成・保守に関するコンサルティング,コンピュータソフトウェアの設計・作成又は保守及びこれらに関するコンサルティング(ローカルネットワーク又はグローバルネットワークにより提供されるものを含む。),コンピュータハードウェア及びソフトウェアシステムの設計・選択・適合及び使用に関する助言,インターネットセキュリティ用プログラムの貸与,コンピュータソフトウェアの貸与,コンピュータの貸与,コンピュータソフトウェアの提供,電子計算機用プログラムの提供,クラウドコンピューティング,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」に使用したときは、これに接する取引者、需要者は「セキュリティ対策を施した携帯型パーソナルコンピュターに関する役務」であること、すなわち、役務の用途、質(内容)、提供の方法を表したものとして、認識するにとどまるというべきである。
したがって、本願商標は上記指定役務に使用するときは、単に役務の用途、質(内容)、提供方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記指定役務以外の指定役務に使用するときは役務の質の誤認を生ずるおそれあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標が他人の使用例が1件であること、及び、本願商標の構成中、「セキュア」の使用例は、他の詳細な説明があるから理解されるもので特定の意味合いで使用されているとはいえない旨を主張する。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の「役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというためには、指定役務に係る取引者、需要者が本願商標に接した場合、これをどのように認識し理解するかが重要なのであるから、取引者、需要者が、役務の質(内容)を表示したものと一般に認識することをもって足りるものである。
そして、「セキュア」及び「ラップトップ」の各文字が、別掲1及び2のとおりの意味合いを容易に理解させるものとして広く親しまれている語であること、本願指定役務を提供するコンピューター関連業界において「セキュア」の文字が「安全性が確保された状態」ほどの意味で当該安全性を確保する対象の商品等の名称に冠して使用がなされている実情があることなどに照らせば、「セキュア・ラップトップ」の文字からなる本願商標は、上記1のとおり、取引者、需要者に役務の用途、質(内容)、提供の方法を表したものとして、認識されるものであるから、他人の使用例等に左右されることはないというべきである。
(2)請求人は、本願商標は、役務を指定するものであって、商品そのものではないから、役務の内容を直接的・具体的に理解することは困難である旨主張する。
しかしながら、上記1のとおり、本願商標からは「セキュリティ対策を施した携帯型パーソナルコンピューター」を容易に理解させるものであるから、これをその指定役務に使用したときは、例えば、「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」であれば、取引者、需要者に、「セキュリティ対策を施した携帯型パーソナルコンピューターのための電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」であること、「コンピュータの貸与」であれば、「セキュリティ対策を施した携帯型パーソナルコンピュータの貸与」であること、「コンピュータソフトウェアの提供」であれば、「セキュリティ対策を施した携帯型パーソナルコンピューターによるコンピュータソフトウェアの提供」であること等、役務の用途、質(内容)、提供の方法であることを直接的に表したものと認識されるというべきである。
(3)請求人は、自己の登録商標も含めた過去の登録例を挙げて、本願商標も登録すべき旨主張する。
しかしながら、請求人所有の登録商標と本願商標とは、同一の商標であ
るとしても、その指定商品及び指定役務を異にするものである上に、請求人所有の登録商標は、その登録査定時における判断であって、本審決時における本願商標については、別掲のとおり、「セキュア」「ラップトップ」の語の意義や、各語の使用例を踏まえれば、上記1のとおり判断するのが相当である。また、過去の登録例は、本願商標と文字構成が異なり、指定商品及び指定役務との関係において、その登録査定時あるいは審決時の取引の実情等から判断されたものであるから、請求人所有の登録商標や登録例の存在が上記1の判断に影響するものではない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲

別掲
1 セキュアの意味について
(1)デジタル大辞泉(小学館)
「セキュア(secure)」として、「安全が保証されていること。危害に対して危険のないこと。「セキュアなコンピューターネットワーク」」との記載がある。
(https://kotobank.jp/word/%E3%82%BB%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%82%A2-672013)
(2)パソコンで困ったときに開く本(朝日新聞出版)
「セキュア」として「安全性が確保された状態のことです。ウイルス対策だけでなく、機械やデータを第三者に不正利用されないための、DRMや暗号化機能なども含まれます。」との記載がある。
(3)スマートワーク総研の「1分でわかるスマートワーク用語集」のウェブサイト
「セキュア」として、「一般的には、「安心な」「安全な」「頑丈な」「堅牢な」といった意味を持つ英単語。IT分野では、ウイルス対策、情報やシステムを第三者に不正利用されないためのDRM(デジタル著作権管理)や暗号化機能など、安全性が確保された状態を指す。技術的な対策以外にも、人材の教育、組織体制、システム運用ルール、データの管理規定などが含まれる場合もある。」との記載がある。
(https://swri.jp/glossary/%E3%82%BB%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%82%A2)
2 ラップトップの意味について
(1)IT用語辞典 バイナリのウェブサイト
「ラップトップ【英】laptop」として、「ラップトップとは、ノートパソコンの呼び名が普及する以前の、携帯型パソコンの概念としての名称である。」との記載がある。
(https://www.weblio.jp/content/%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97)
(2)コンサイスカタカナ語辞典第4版(三省堂)
「ラップトップ」として、「ひざの上に乗せられるほどの、小さいパーソナルコンピューター」との記載がある。
3 セキュリティ(安全)対策がなされたPCやノートPCについて、「セキュアPC」、「セキュア」「ノートPC」の文字を用いて表している例(下線は、当合議体で付記した。)
(1)2009年4月30日付け日刊工業新聞 16頁に、「情報セキュリティー/クラウド時代のセキュリティー(9)日立製作所の取り組み」の見出しの下、「■指静脈認証 クラウド時代のセキュリティーを考えるにあたってはいくつか視点が存在するが、ここではシステムレベル(利用者視点)とその上位のデータセンタレベル(事業者視点)に分けて、日立の取り組みを紹介する。システムレベルでは例えばクライアント側での対応例としてセキュアクライアントソリューションによる情報漏洩(ろうえい)対策がある。ユーザはハードディスクレスのセキュアPCと仮想化されたセンターサーバにより、情報漏洩リスクを抑えた形で外出先からのアクセスが可能になる。」との記載がある。
(2)PRTIMESのウェブサイト
「ブロックチェーン活用の強固な情報セキュリティソリューション」“セキュア PC”のラインナップと価格が決定〜リモートワーク時代の新常識、PCにもドライブレコーダーの時代〜 ジャスミー株式会社 2021年11月5日 15時20分」の見出しの下、「ジャスミー株式会社(本社:東京都港区(略)以下ジャスミー)は10月25日よりサンプル出荷を開始したネットワーク環境に依存せずにどこでもお持ちのPCをフル機能で安全にリモートワークができる「Jasmy Secure PCベージック版(以下セキュアPC)」の商品ラインナップの概要および価格体系が決定いたしましたのでお知らせいたします。」との記載がある。
(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000025296.html)
(3)GlobalWebsiteのウェブサイト
「セキュアな環境構築を相談したい セキュアPC」の見出しの下、「Dynabookは、ハードウェアメーカーとしての知見を生かし、端末とMicrosoft365の機能を組あわせることでエンドポイント(従業員が使っているPCやスマートフォンの総称)に必要なセキュリティの強化をし、ゼロトラストセキュリティの実現をご支援してまいります。」との記載がある。
(https://dynabook.com/business/degitalexhibition-2022/solutionservice/019/index.html)
(4)PC−Webzineのウェブサイト
「テレワーク環境でもセキュアに利用できるモバイルノートPCを提案」「テレワーク用端末としてセキュアなノートPCを導入したい」の見出しの下、「端末を社外に持ち出せば紛失や盗難、サイバー攻撃に遭うリスクが高まる・・。テレワーク利用に最適なセキュアなノートPCを検討していこう。」との記載がある。
(https://www.pc-webzine.com/entry/2021/08/pc-29.html)
(5)ASUSのウェブサイト
「ASUS B9440UA−750016/B9440UA−72008製品カタログ(2017.9)」の見出しの下、「B9440UA この堅牢性がビジネスを支える。軽量薄型セキュアノートPC」の見出しの下、「ビジネスに必要不可欠なセキュリティ (略)指紋センサーを搭載しているので、セキュリティを確保しつつ、指一つで容易にログインが可能です。さらに起動時のBIOSパスワードの設定も可能でより強固なセキュリティ対策をすることができます。」との記載がある。
(http://www.asus-event.com/pdf/asusjp-brochure-B9440UA.pdf)
4 セキュリティ(安全)対策を施したものを、「セキュア○○」と称して使用されている例
(1)セキュア‐オーエス【セキュアOS】(デジタル大辞泉 小学館)
「《Secure OS》コンピューターセキュリティーの機能を高めたオペレーティングシステム。改竄や破壊を最小限に食い止めるため、ファイルなどへのアクセスを常に制限する「強制アクセス制御」と、管理権限を複数のユーザーに分散させる「最小特権」の二つの機能をもつ」
(2)2006年6月15日付け日経産業新聞 16頁に「日本高信頼システム、OSで情報漏洩防ぐ――サーバー置くだけ。」の見出しの下、「システム導入費5分の1 セキュリティーソフト販売の日本高信頼システム(略)は、特別な安全対策を施した「セキュアOS(基本ソフト)」を使って企業の情報漏洩(ろうえい)を防ぐサービスを七月から始める。小型の専用サーバーを設置するだけで利用でき、外部記憶装置などが不要になるため導入コストも抑えられるという。金融や情報通信、交通など社会インフラを担う企業を中心に需要を開拓する。」との記載がある。
5 セキュアラップトップの使用例
(1)日興アセットマネジメント株式会社のウェブサイト
「日光アセットマネジメント株式会社 サステナビリティレポート2022」のPDFの54頁に「これからの私たち 注力の継続」の見出しの下、「環境・気候の分野では(略)オフィス用デスクトップパソコンのセキュアラップトップへの置き換えなどが含まれています。」との記載がある。
(https://www.nikkoam.com/files/pages/about/pdf/esg/FINAL-NAM_SR_2022_digital_J.pdf)
(2)Alibaba.comのウェブサイト
「サイレントエディション調整可能dpiポータブルセキュアラップトップ素材ワイヤレスマウス用 $3.00‐$3.15」との記載がある。
(https://japanenese.alibaba.com/product-detail/Silent-Edishon-ajustable-dpi-Portable-Secure-1600456047604.html)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-12-22 
結審通知日 2022-12-23 
審決日 2023-01-11 
出願番号 2020119968 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W42)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
清川 恵子
商標の称呼 セキュアラップトップ、セキュア、ラップトップ 
代理人 中河 香一郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 石田 昌彦 

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