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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W21
管理番号 1394265 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-06-30 
確定日 2023-02-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第6554925号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6554925号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6554925号商標(以下「本件商標」という。)は、「明るい未来」の文字を標準文字で表してなり、令和3年8月26日に登録出願、第21類「デンタルフロス,化粧用具,食器類,清掃用具及び洗濯用具,せっけん用ディスペンサー,蚊用忌避剤用プラグイン式散布器,電気誘引式殺虫装置,電気式薬剤燻蒸殺虫・防虫器,蚊取線香立て,虫よけ線香立て,はえたたき,ねずみ捕り器,害虫捕獲器,愛玩動物用食器,愛玩動物用ブラシ,愛玩動物用爪とぎ,愛玩動物用排泄物処理材,愛玩動物用手動マダニ除去具,猫用トイレ砂,香炉,蚊取線香皿,虫よけ線香皿,蚊取線香燃焼器並びにその部品及び附属品,虫よけ線香燃焼器並びにその部品及び附属品,電池式蚊取器並びにその部品及び附属品,電気式蚊取器並びにその部品及び附属品」を指定商品として、同4年4月13日に登録査定され、同年5月12日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条1項6号に該当するものであるから、本件商標は、商標法第43条の2第1号の規定により取消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
1 企業理念・経営方針等について
「商標審査基準」(特許庁偏)は、「八、第3条第1項第6号」において「2.(1)出願商標が、その商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合には、本号に該当すると判断する。」としており、具体的に「企業理念・経営方針等を表す際に一般的に使用される語句で記述していること」の文字は、「企業理念・経営方針等としてのみ認識させる事情」に当たるものとして掲示している(甲2)。「明るい未来」の文字を書してなる本件商標は、かかる基準に該当する。
2 「明るい未来」について
本件商標の構成中、前半部の「明るい」は「将来の見通しなどについて楽観できる。」ことを意味する語であり、「未来」は「過去・現在とともに時の流れを三区分した一つで、まだ来ていない部分。」をいう語である(広辞苑第七版:岩波書店刊)(甲3)。そして、「明るい」と「末来」の語を結合した「明るい未来」からは、「行く先に期待や希望が持てるさま、将来も展望が開けているさまなどを表す語。」と理解されるものであるが(Weblio電子辞書)(甲4)、「明るい未来」の語は、企業等が社会貢献のために、あるいは社会貢献と共に歩む姿勢を示す企業理念、経営方針等を端的に表す語句として、他の語と組み合わせる等し類型的に広く共通して使用されている実情にある(甲5〜甲23)。
そうすると、本件商標は、これをその指定商品ついて使用しても、これに接する需要者は、商品の出所識別標識として認識し得ないものというべきである。
3 小括
「明るい未来」の語は、例えば、「皆様の健康と明るい未来を心より祈り願っています。」「明るい未来への貢献を目指してまいります。」「光の技術で明るい未来を創造する」「明るい未来の空気を作る」「薬害のない明るい未来へ!」「明るい未来へTRY!」「明るい未来を創造します。」「明るい末来に貢献する。」「Mission−明るい未来へ」といったように、企業等がその取扱商品や役務を通し、将来に向けた明るい社会の構築、さらにはその発展に貢献する意思、すなわち企業理念、経営方針等を付託した語として、他の語と組み合わせる等し、類型的に広く使用されているものである。
また、付言するに、「明るい未来」の語は、政府機関や経済団体等においても将来に向けた政策、改革のための標語の類いの語として普通に使用されている実情にある(甲24、甲25)。
そうすると、「明るい未来」の語は、これをその指定商品について使用したとしても、これに接する需要者をして、かかる語はこれを使用する者における企業理念、経営方針等を表したものとのみ認識させるにとどまり、自他商品を識別するための出所識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ないものである。
4 まとめ
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるから、商標法第3条1項6号に該当すると言うべきところ、本件商標は、商標法第43条の2第1号の規定により取消されるべきである。

第3 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「明るい未来」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、「(1)光が十分にさして物がよく見える状態である。(2)色があざやかで美しい。(3)性格・表情・内実などに曇りがなく、晴れやかである。(4)将来の見通しなどについて楽観できる。」等の意味を有する「明るい」の文字と、「過去・現在とともに時の流れを三区分した一つで、まだ来ていない部分。」等の意味を有する「未来」の文字(いずれも甲3)を結合してなるものである。
2 申立人が提出した証拠について
申立人が提出した証拠によれば、ウェブサイトの記事において、「皆様の健康と明るい末来を心より祈り願っています。」(甲5)、「溢れる笑顔と明るい未来と農業のために私たちは提案し続けます。」(甲6)、「私たちの創意工夫の精神を、明るい未来の為に活かします。」(甲7)、「愛華商材を使って、日本農業に明るい未来を作って行こう!!!」(甲8)、「さらに医薬品・健康食品業界の、明るい未来への貢献を目指してまいります。」(甲9)、「光の技術で明るい未来を創造する」(甲10)、「明るい未来の空気を作る」(甲11)、「薬害のない明るい未来へ!」(甲12)、「患者さんの期待に応え、日本に明るい末来をもたらすための革新的な医薬品の研究開発に向けて」(甲13)、「明るい未来へTRY!〜リスクと備え〜」(甲14)、「次世代に明るい未来を残すため、わたしたちが今、何ができるか一緒に考えてみませんか?」(甲24)などの記載があることが認められる。
しかしながら、上記記載例は、いずれも、「明るい未来」の文字が単独で使用されている例ではなく、むしろ、「明るい未来」の文字(語)は、その前後や併記する語句などによってはじめて全体として具体的な意味を理解させるというべきものである。
そして、その他の証拠を勘案しても、本件商標の登録査定時において、「明るい未来」の文字が単独で「企業理念、経営方針」等を表すものとして、取引上、一般的に使用されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない。
3 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「明るい未来」の文字からなるところ、その文字全体からは、「希望や喜びがもてる将来」程の意味合いを理解させることがあるとしても、その意味合いは漠然としており、直ちに企業理念や経営方針等を表した語であるということはできない。
また、上記2のとおり、申立人の提出に係る証拠からは、「明るい未来」の文字が単独で、本件商標の登録査定時において、本件商標の指定商品に取引上一般的に使用されていたと認めることができない。
そして、職権をもって調査するも、本件商標の登録査定の日前において、「明るい未来」の文字が、本件商標の指定商品との関係において、自他商品の識別力がないといえる程に、取引上一般的に使用されている事実も発見できなかった。
そうすると、本件商標は、一連一体の構成からなる一種の造語を表したものとして理解、認識されるとみるのが相当であるから、これをその指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものといえ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとまではいうことができない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2023-01-24 
出願番号 2021111452 
審決分類 T 1 651・ 16- Y (W21)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 石塚 利恵
小俣 克巳
登録日 2022-05-12 
登録番号 6554925 
権利者 アース製薬株式会社
商標の称呼 アカルイミライ 

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