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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W12
管理番号 1394252 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-12-17 
確定日 2023-01-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第6452071号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6452071号商標の指定商品及び指定役務中、第12類「陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器」についての商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6452071号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「NINJA」の欧文字と「忍者」の漢字を二段に表してなり、平成30年6月4日に登録出願、第12類「陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器」を含む第9類、第12類、第25類、第29類、第30類、第32類、第35類、第36類、第38類、第39類及び第41類ないし第45類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、令和3年8月26日に登録審決され、同年10月6日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、川崎重工業株式会社(以下「川崎重工業」という。)及び申立人が「二輪自動車」について使用し、需要者の間に広く認識されている著名な商標とするものであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第5575468号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 別掲2のとおり
指定商品 「二輪自動車」を含む第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成24年3月16日
設定登録日 平成25年4月19日
なお、第14類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載の商品について防護標章登録されている。
2 登録第5575469号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 NINJA (標準文字)
指定商品 「二輪自動車」を含む第12類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成24年3月16日
設定登録日 平成25年4月19日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品・指定役務中、第12類「陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器」(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。なお、枝番号の全てを示すときは、枝番号を省略する。)を提出した。
1 申立人等について
(1)川崎重工業
川崎重工業は、創業者の川崎正蔵が1878年(明治11年)に東京の築地で開設した川崎築地造船所を起源とする重工業メーカーであり、法人としては1896年(明治29年)10月に株式会社川崎造船所(神戸)を設立して事業を開始した。
1939年(昭和14年)に社名を「川崎重工業株式会社」に変更し、戦前戦後を経てから現在に至るまで、船舶、鉄道、航空機の開発と製造をはじめ、明石海峡大橋の建設やトンネル掘削事業など、我が国の近代化と国際化に不可欠な様々な工業製品を世に送り出し、また、経済活動と生活に不可欠なインフラ事業を広く展開してきた(甲4)。
二輪自動車事業については、まず1953年(昭和28年)に二輪車用エンジンの第1号機「KE−1」を発売し、1960年(昭和35年)に二輪自動車の一貫生産を開始して、翌1961年(昭和36年)に「カワサキ」としての最初の二輪自動車「B7」を発売した。
引用商標を最初に使用した二輪自動車は1984年(昭和59年)に発売した「GPz900R」であり、この商品を皮切りに様々な排気量のモデルを全世界で販売し現在に至る(甲5)。
川崎重工業は、同社の唯―のBtoC事業であった同社モーターサイクル&エンジンカンパニーの二輪車及びオフロード四輪車をはじめとするパワースポーツ事業及び汎用エンジン事業(以下「モーターサイクル&エンジン事業」)について、会社分割を通じて自律的な事業運営体制を確立することによりスピード感のある経営を遂行して顧客に密着した製品・サービスの提供を通じて、さらに強固なブランドの構築と事業の持続的成長を図ることを決定し、当該事業に係る権利義務を100%出資子会社のカワサキモータース株式会社(申立人)に承継させた(甲6の1)。
(2)カワサキモータース株式会社(申立人)
上述したとおり、申立人は、2021年(令和3年)2月12日に川崎重工業の100%出資子会社として設立され、同年10月1日に川崎重工業からモーターサイクル&エンジン事業に係る権利義務を吸収分割により承継した(甲6)。
申立人が承継したモーターサイクル&エンジン事業とはすなわち、二輪車・オフロード四輪車・多用途四輪車・パーソナルウォータークラフト・汎用ガソリンエンジン・ニッケル水素電池等及びそれらの部品の設計・開発・製造・修理・解体並びに販売及び賃貸借に関する事業等であり(甲6の1)、これらの事業には引用商標を使用した二輪自動車に係る事業も含まれている。
2 本件商標について
(1)本件商標から生じる称呼及び観念
本件商標は、明朝体のローマ文字「NINJA」と、同じく明朝体の漢字「忍者」を並記した構成からなり、これからは「ニンジャ」の称呼と「忍びの者」又は「忍術使い」の観念が生じる。
(2)申立商品
申立商品中「陸上の乗物用の機械要素」には二輪自動車用のシャフト(軸)、駆動チェーン、ケーブル類、ショックアブソーバー、ブレーキ類が含まれるが、これらの商品は、1987年(昭和62年)には二輪自動車関連雑誌に掲載されていた(甲7)。
そして「陸上の乗物用の機械要素」は、二輪自動車を含む「陸上の乗物」用の部品であるので、自動車メーカーや二輪自動車メーカーなどの陸上の乗物の製造者は当該商品を当然に製造し、販売する。すなわち、申立商品「陸上の乗物用の機械要素」と引用商標が使用される二輪自動車とは、部品と完成品の関係にあり、かつ、それぞれの製造と販売は同一の者(陸上の乗物のメーカー)により行われるという業界の実情がある。
また「乗物用盗難警報器」についても、二輪自動車用に特化した様々なタイプの商品が遅くとも2017年には販売されており(甲8)、それらは二輪自動車盗難を防止するための部品として二輪自動車に使用されるものであるから、両者の間には、部品と完成品の関係が成立し得る。
以上のとおり、申立商品は、引用商標が使用される「二輪自動車」との関係において、密接な関連が認められる。
3 引用商標について
(1)引用商標から生じる称呼及び観念
引用商標1は、やや図案化した書体で表されてなるものの、未だローマ文字の「Ninja」であることを認識することができる外観であり、これからは「ニンジャ」の称呼と「忍びの者」又は「忍術使い」の観念が生じる。
また、標準文字である引用商標2からも「ニンジャ」の称呼と「忍びの者」又は「忍術使い」の観念が生じる。
(2)長年にわたる引用商標の使用
川崎重工業は、「GPz900R」(甲5の1)を発売した1984年(昭和59年)から自己の業務に係る商品「二輪自動車」について引用商標を継続して使用している(甲5、甲9)。
そして、引用商標を使用した二輪自動車(以下「使用商品」という。)のラインナップは年を追うごとに増え、本件商標の出願前年の2017年(平成29年)には、使用商品のラインナップは10車種となり(甲9の7)、さらに2021年(令和3年)は15車種となった(甲9の8)。
このように、引用商標は、川崎重工業が1984年(昭和59年)から二輪自動車について使用し始め、現在は川崎重工業から二輪自動車等に係る事業を承継した申立人が使用しているものであり、その使用期間は37年以上にわたる。
(3)雑誌等での紹介
使用商品は、遅くとも1987年(昭和62年)には3車種が雑誌で紹介されており、その後も様々な二輪自動車関連雑誌で広く紹介されてきた(甲10の2〜19)。
また、1987年の日本での興行収入が1位で、世界的にも大ヒットしたハリウッド映画「トップガン」では主演俳優が引用商標を使用した車種と同タイプの二輪自動車「GPz900R」を運転するシーンが話題となった。なお、当該映画の続編でも主演俳優が引用商標を使用した二輪自動車「Ninja H2」を運転するシーンが盛り込まれる予定である(甲11)。
(4)使用商品の販売台数
我が国の二輪自動車の販売台数は関連法(道路交通法及び道路運送車両法)に定められる排気量の区分に応じた3つのカテゴリー(126cc〜250cc、251cc〜400cc、401cc以上)で統計がとられているが、本件商標の出願の前5年間(2013年〜2017年)における使用商品の販売実績(台数及び順位)は、2015年と2016年の401cc以上のカテゴリーを除き、上位10位内にランクインしている(甲12の1〜12)。
なお、本件商標の出願前年の2017年(平成29年)における使用商品の販売実績(台数及び順位)は、全ての排気量カテゴリーにおいて上位10位以内に入っている(甲12の10〜12)。
また、本件商標が出願された2018年(平成30年)における使用商品の販売実績は、甲第12号証の13ないし15のとおりであり、翌2019年(平成31年)以降は全ての排気量カテゴリーにおいて常に上位10位以内にランクインしている(甲12の16〜24)。
なお、以上の販売実績は、二輪車業界全般にわたり報道する業界唯一の専門紙である「二輪車新聞」を発行する株式会社二輪車新聞が収集、編纂したデータを基にしており、同社の許諾の下にインターネットで公表されているものである(甲12の25、26)。
(5)全国の販売店
本件商標の出願日前の2016年6月の時点において、使用商品は、日本全国の720の正規取扱店と33の認定協力店で販売されていた(甲13)。
(6)川崎重工業の多角的経営について
我が国を代表する重工業メーカーである川崎重工業は、戦前から現在に至るまで、船舶、鉄道、航空機の開発と製造をはじめ、明石海峡大橋の建設やトンネル掘削事業など、我が国の近代化と国際化に不可欠な様々な工業製品を世に送り出し、また、経済活動と生活に不可欠なインフラに関する事業を多角的に行ってきた(甲4)。
(7)防護標章登録
引用商標は、本件商標の出願日より前の2017年(平成29年)5月26日に、第14類、第25類及び第28類の商品について、引用商標1に係る防護標章登録が認められた(甲14)。
(8)まとめ
以上のとおり、引用商標は、川崎重工業が37年以上にわたり日本全国で販売する商品「二輪自動車」について使用されてきたものであり、当該二輪自動車は様々なメディアで紹介され、その販売台数は全ての排気量カテゴリーにおいて安定して10位以内に入っている。
かかる事実より、引用商標は、防護標章登録が認められる著名な商標となるに至った。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)商標の類似
本件商標と引用商標からは、共に「ニンジャ」の称呼と「忍びの者」又は「忍術使い」という観念が生じる(甲1の2、甲2の2、甲3の2)。
したがって、本件商標と引用商標は称呼及び観念において紛らわしい類似の商標である。
(2)商品の関連性
申立商品の需要者層と、使用商品の需要者層は重複し(甲7、甲8)、また両商品は部品と完成品の関係にあり、さらにこれらの商品については、製造者と販売者が一致することから(一例として甲10の9、甲10の10)、両商品の間には密接な関連がある。
(3)引用商標の著名性
川崎重工業が37年以上の長きにわたり商品「二輪自動車」について使用してきた引用商標は、本件商標の出願日より前に引用商標1の防護標章登録が認められていることからも明らかなとおり、本件商標の出願の時点において商品「二輪自動車」に係る業界の需要者及び取引者間において広く認識されていた著名な商標である(甲4、甲5、甲9〜甲14)。
(4)混同のおそれ
以上のとおり、本件商標は、我が国を代表する重工業メーカーであって、多角的な経営を展開する川崎重工業が、自己の業務に係る商品「二輪自動車」について長年にわたり使用してきた著名な引用商標と類似の商標であり、二輪自動車と密接な関連のある申立商品について使用された場合には、その商品が、申立人等と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがあるものに他ならない。
(5)まとめ
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
5 商標法第4条第1項第19号について
上述したとおり、本件商標は、我が国を代表する重工業メーカーである川崎重工業が、自己の業務に係る商品「二輪自動車」について長年にわたり使用してきた著名な引用商標と類似の商標であるので、これがその指定商品のうち、少なくとも申立商品について使用された場合には、引用商標の出所表示機能を希釈化させたり、その名声等を毀損させるおそれがあることは明白である。
また、商標権者は、本件商標の拒絶査定不服審判において、商標法第4条第1項第11号の拒絶引用となった本件の引用商標(甲2、甲3)その他の登録商標に係る商品又は役務と同一又は類似の商品及び役務をその指定商品及び役務から削除して、本件商標の設定登録を得たところ(甲1、甲15)、一方で同社は本件商標と同一態様からなる商標を再び出願しており、その指定商品には引用商標に係る指定商品等と同一又は類似の商品が再び含まれている(甲16)。商標権者の意図は不明であるが、同社はこのように同一の商標を同様の指定商品等について複数回にわたり出願している他、他人の著名な商標との混同や公序良俗違反を特許庁から指摘された商標を複数出願している。
以上を勘案すると、本件商標は、著名な引用商標の出所表示機能を希釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願されたものと判断されて然るべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 取消理由の通知
当審において、令和4年8月22日付けで、商標権者に対し、「本件商標権者が、本件商標を申立商品に使用したときは、これに接する需要者は、周知・著名な引用商標を想起、連想し、当該商品を、他人(川崎重工業)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見を求めた。

第5 商標権者の意見
上記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知・著名性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(商標登録原簿情報)によれば、川崎重工業は、遅くとも1986年(昭和61年)から2021年(令和3年)9月まで継続して、引用商標を使用した商品「二輪自動車」(使用商品)を製造販売していること(甲5の2、甲9、甲10他)、使用商品の販売台数は、排気量により区分された3つのカテゴリー(126cc〜250cc、251cc〜400cc、401cc以上)において、本件商標の登録出願の日(平成30年(2018年)6月4日)前5年間の2013年度ないし2017年度は、2015年度及び2016年度の401cc以上のカテゴリーを除いていずれも上位10位以内、登録出願の日以後の2018年度ないし2021年度上半期は、全てのカテゴリーにおいて上位10位以内にランキングされ、中でも2013年度の126ccないし250cc、2017年度の401cc以上、2018年度ないし2020年度の251ccないし400ccの各カテゴリーにおいては1位にランキングされていること(甲12)、及び、引用商標1に係る防護標章登録は本件商標の登録出願日の前年である平成29年5月に登録査定され、同月に防護標章登録されていること(甲14、職権調査)が認められる。
イ 上記アのとおり、川崎重工業は、少なくとも1986年から2021年9月までの約35年間継続して使用商品を製造販売していたこと、使用商品の販売台数は排気量により区分された3つのカテゴリーにおいて、本件商標の登録出願の日前5年間は、2015年度及び2016年度の401cc以上のカテゴリーを除いて上位10位以内、登録出願の日以後の2018年度ないし2021年度上半期は全てのカテゴリーにおいて上位10位以内にランキングされ、中でも2013年度の126ccないし250cc、2017年度の401cc以上、2018年度ないし2020年度の251ccないし400ccの各カテゴリーにおいては1位にランキングされていること、及び、引用商標1に係る防護標章登録は本件商標の登録出願の日の前年である平成29年5月に登録査定されていることからすれば、使用商品及びそれに使用されている引用商標は、本件商標の登録出願の日前から、川崎重工業の業務に係る商品(二輪自動車)として及び当該商品を表示するものとして、いずれも二輪自動車の需要者の間に広く認識され、その状況は本件商標の登録審決の日(令和3年(2021年)8月26日)においても継続しているものであって、その周知性の程度は高いものと判断するのが相当である。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり「NINJA」の欧文字と「忍者」の漢字を二段に表してなり、該文字に相応し、「ニンジャ」の称呼及び「忍者」の観念を生じるものと判断するのが相当である。
イ 引用商標
引用商標1は、「Ninja」の欧文字を別掲2のとおりの態様で表してなり、引用商標2は、上記第2の2のとおり「NINJA」の欧文字を標準文字で表してなり、いずれも各文字に相応し「ニンジャ」の称呼を生じるものである。
そして、観念については、引用商標1及び2を構成する「Ninja」及び「NINJA」の文字は、広く一般に知られた既成語「忍者」を欧文字で表したものと容易に認識されるものであり、また、上記(1)のとおり、引用商標は川崎重工業の業務に係る商品(二輪自動車)を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであることからすれば、引用商標は、いずれも「忍者」及び「川崎重工業の業務に係る二輪自動車のブランド」の観念を生じるものと判断するのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者は、外観において、「忍者」の漢字の有無などの差異があるものの、本件商標の構成中「NINJA」の文字は、引用商標1の構成文字「Ninja」とつづりを共通にし、引用商標2「NINJA」とはつづりを共通にするばかりでなく、外観上同一視し得るものである。
次に、称呼においては、本件商標と引用商標は、いずれも「ニンジャ」の称呼を共通にするものである。
さらに、本件商標から生じる「忍者」の観念と引用商標から生じる「忍者」「川崎重工業の業務に係る二輪自動車のブランド」の観念を比較すると、両者は「忍者」の観念において共通にするものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、外観においては漢字の有無などの差異はあるものの、欧文字のつづりを共通にし、称呼において共通し、観念においても共通する場合があるから、両者の外観、称呼、観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標であって、その類似性の程度は高いものと判断するのが相当である。
(3)本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品と引用商標が使用される商品の関連性の程度
本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品(申立商品)は、第12類「陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器」である。
他方、使用商標が使用される商品(使用商品)は、上記(1)のとおり「二輪自動車」である。
そこで、申立商品と使用商品を比較すると、申立商品は、上記のとおり「陸上の乗物用の機械要素,乗物用盗難警報器」であり、「陸上の乗物用の機械要素」には「二輪自動車用の機械要素」が、「乗物用盗難警報器」には「二輪自動車用盗難警報器」がそれぞれ含まれることは明らかであるから、両商品は密接な関連性を有するものといえる。
(4)出所の混同のおそれについて
上記(1)ないし(3)のとおり、引用商標の周知性の程度は高く、本件商標と引用商標の類似性の程度も高く、申立商品と使用商品とは密接な関連性を有することなどをあわせ考慮すれば、本件商標は、その登録出願時及び決定時において、商標権者がこれを申立商品に使用した場合、これに接する需要者が引用商標を想起、連想し、当該商品を川崎重工業又は同社と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その出所について混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。
(5)小括
したがって、本件商標は、申立商品について、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、申立商品について、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は同条同項の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、その他の登録異議の申立ての理由について論及するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、結論掲記の指定商品について、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標1)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-11-30 
出願番号 2018079648 
審決分類 T 1 652・ 271- Z (W12)
最終処分 06   取消
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 鈴木 雅也
小林 裕子
登録日 2021-10-06 
登録番号 6452071 
権利者 知財防衛株式会社
商標の称呼 ニンジャ 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 
代理人 林 栄二 

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