• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 W0103
管理番号 1394142 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-05-02 
確定日 2023-01-24 
事件の表示 商願2020−95569拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和2年8月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年6月15日付け:拒絶理由通知
令和3年8月20日 :意見書の提出
令和4年1月26日付け:拒絶査定
令和4年5月 2日 :審判請求書の提出
令和4年5月30日 :手続補足書の提出

2 本願商標
本願商標は、「アルジレリン」の文字を標準文字で表してなり、第1類「織物・クリーム・ローション及び化粧品の製造に用いられる化学品」及び第3類「スキンケア用化粧品,痩身用化粧品,化粧用クリーム,化粧用ローション,浴用化粧品,化粧用油,せっけん,肌用せっけん,浴用せっけん,手洗い用せっけん,精油,化粧品,ヘアーローション」を指定商品として登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、「アルジレリン」の文字を標準文字で表してなるところ、「アルジレリン(アルジルリン)」は、植物から抽出したオリゴペプチドの一種で、その成分にはシワをのばす効果等があるとされ、化粧品等の原材料として使用されている。
そうすると、本願商標をその指定商品中、「アルジレリン(アルジルリン)からなる化学品」や「アルジレリン(アルジルリン)を配合した化粧品」に使用しても、単に、その商品の原材料を表示するにとどまるものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品(「アルジレリン(アルジルリン)からなる化学品」や「アルジレリン(アルジルリン)を配合した化粧品」)以外の商品に使用するときには、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。

4 当審の判断
本願商標は、「アルジレリン」の文字を標準文字で表してなるところ、当審において請求人が提出する証拠(甲1)及び別掲によれば、当該文字は、請求人が開発及び製造する「アミノ酸が結合してできたペプチド成分」(以下「合成ペプチド」という。)について請求人が命名したものであり、化粧品表示名称を「アセチルヘキサペプチド‐8」(旧「アセチルヘキサペプチド‐3」)とするものである。当該合成ペプチドは、シワの改善成分として注目されており、化粧品の成分として用いられているが、その表示においては、「アルジレリン(アルジルリン)」の名称と共に、化粧品表示名称である「アセチルヘキサペプチド‐8」の表示が併記されている例や、請求人の商標であることを示す「TM」の表示等が併記されている例が見受けられる(別掲(7)、(8))。
また、請求人は、「アルジレリン(アルジルリン)」の欧文字表記に相当する「ARGIRELINE」の文字からなる商標登録第5004178号(指定商品 第1類「化粧品製造用化学品」等、甲2)及び商標登録第5055292号(指定商品 第3類「スキンクレンザー」等、甲3)の商標権者であり、これらの登録商標は、現に有効に存続しているものである。
そして、原審において示したように、上記合成ペプチドを説明ないし紹介する際に、「アルジレリン(アルジルリン)」の文字のみを表示し、請求人との関連を明記していないウェブサイトが散見されるとしても、その事実をもって、「アルジレリン(アルジルリン)」の文字が、商品の原材料、品質を表示したものとして、取引者、需要者間において、一般に認識されているとまではいい難い。
また、当審において職権をもって調査したところ、本願の指定商品を取り扱う業界において、「アルジレリン」の文字が、商品の品質を直接的、かつ、具体的に表示するものとして、取引上一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本願商標に接する取引者、需要者が、当該文字を商品の品質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものとはいえず、かつ、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものということもできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 「アルジレリン(アルジルリン)」に係る職権調査
(1)「化粧品成分用語事典2008」(中央書院、2008年)において、「アルジルリン(表示名:アセチルヘキサペプチド‐3」の項に、「アルギニン、メチオニン、グルタミン酸からなる6個のアミノ酸が連なったペプチドに酢酸が結びついた物質。・・・シワの改善成分として注目されている。・・・アルジリン、アルジレリンともいう。」の記載がある。
(2)「化粧品成分検定公式テキスト[改訂新版]」(実業之日本社、2019年)において、「アセチルヘキサペプチド‐8」の項に、「植物由来のアミノ酸が結合してできたペプチド成分です。「アセチルヘキサペプチド‐3」から「アセチルヘキサペプチド‐8」に改正されました。・・・スペインで開発されました。」の記載がある。
(3)「効果的な「組み合わせ」がわかる化粧品成分事典」(池田書店、2021年)において、「アルジルリン」の項に、「表示名|アセチルヘキサペプチド‐8 アミノ酸が結合してできた、ペプチド成分です。・・・シワを予防・改善する作用が期待されています。」の記載がある。
(4)「IWASE COSFA」のウェブサイトにおいて、「原料 ARGIRELINE(R)peptide」(審決注:(R)は、○の中にRの文字。以下同じ。)の見出しの下、「製造会社 Lipotec SAU」、「配合目的 抗シワ、アンチエイジング」、「化粧品表示名称(原料) アセチルヘキサペプチド‐8」、「原料商品名カナ アルジレリンペプチド」の記載がある。
https://www.iwasedatabase.jp/s/db-ingredients/a0N2u0000005kXSEAY/argireline-peptide?language=ja
(5)「一般社団法人 日本スキンケア協会」のウェブサイトにおいて、「美容&スキンケア情報 <<注目の美容成分「“表情ジワ”に効果的なアルジルリン」>> 2018年8月4日」の見出しの下、「アルジルリンは、美容医療のボトックス注射のメカニズムに着目して、スペインのLipotec社が開発した合成ペプチドで、化粧品の表示名称はアセチルヘキサペプチド‐3や、アセチルヘキサペプチド‐8です。」の記載がある。
https://www.skincare.or.jp/wp/cosmetic/argyllin/
(6)「セレクトクリニック」のウェブサイトにおいて、「「塗るボトックス」”アルジルリン” 2022‐04‐13」の見出しの下、「アルジルリンは、スペインのLipotec社が名付けた、合成ペプチド「アセチルヘキサペプチド‐3(またはアセチルヘキサペプチド‐8)」のブランド名です。」の記載がある。
https://ameblo.jp/selectclinic/entry-12736314800.html
(7)「PR TIMES」のウェブサイトにおいて、「クッキリした美しいふたえラインはハリのある目元が土台になる。ふたえブランドのメザイクから「インプルーセラム」「リフティアクリーム」が11月15日発売。株式会社アーツブレインズ 2021年10月1日」の見出しの下、「インプルーセラム」及び「リフティアクリーム」と称する商品の説明において、「美容医療で抗シワ注射剤として使用されるボトックスのメカニズム・構造に着目してスペインのLipotec社が開発した「アルジレリン」(アセチルヘキサペプチド‐8)を化粧品推奨濃度MAXの10%配合・・・」の記載がある。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000032429.html
(8)「Maison KOSE」のウェブサイトにおいて、「ドクターフィル コスメティクス 【定期便】IC.U アルジェックス EX」の見出しの下、「エイジングにより深く刻み込まる年齢サインを集中ケアする美容液。乾燥小ジワの目立たないワンランク上のハリ肌へ」、「【有用成分】●アルジルリンTM Argireline(R) is a trademark of Lipotec S.A.」の記載がある。
https://maison.kose.co.jp/site/drphil/g/gPHS0124/



(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審決日 2023-01-10 
出願番号 2020095569 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (W0103)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 小俣 克巳
石塚 利恵
商標の称呼 アルジレリン 
代理人 鹿角 剛二 
代理人 奥貫 佐知子 
代理人 小野 尚純 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ