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審決分類 審判 査定不服 商標の周知 取り消して登録 W29
管理番号 1394122 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-03-18 
確定日 2023-01-30 
事件の表示 商願2021−17907拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年2月16日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年8月4日付け :拒絶理由通知書
令和3年9月3日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年1月19日付け:拒絶査定
令和4年3月18日 :審判請求書、手続補正書の提出

2 本願商標
本願商標は、「長島一貫牛」の文字を標準文字で表してなり、第29類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記1の原審及び当審における手続補正により、第29類「牛肉,牛肉製品,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。),食用油脂,乳製品,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」と補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下の(1)及び(2)のとおり、認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、「長島一貫牛」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成中の「長島」の文字は、地名及びありふれた姓を表すものでもあり、そして、構成中の「一貫牛」の文字は、徳島県徳島市在住の株式会社肉の藤原が商品「牛肉」等について使用し、本願商標の登録出願前から取引者、需要者間に広く認識されている商標「一貫牛」と同一又は類似であり、かつ、前記商品と同一又は類似の商品に使用するものである。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)本願商標は、登録第5036888号商標(以下「引用商標」という:別掲1)と同一又は類似の商標であって、その商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 「一貫牛」の文字の周知性
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した商標は、徳島県徳島市にある株式会社肉の藤原が商品「牛肉」について使用している「一貫牛」の文字(以下「引用標章」という。)からなるものであって、原審において示した別掲2の事例からは、これを使用した「牛肉」について、我が国において商品の販売や紹介が行われていることが認められる。
しかしながら、当審における職権調査によっても、引用標章の使用期間やそれを使用する商品の売上高やシェアなどの販売実績、広告宣伝の実績等について、客観的かつ具体的に示す証拠を確認することができず、我が国における事業規模や認知度の程度は明らかではない。
そうすると、引用標章は、本願商標の登録出願時、査定時及び審決時において、他人の業務に係る商品を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 小括
引用商標は、上記アのとおり、本願商標の登録出願時及び審決時において、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものではない。
そうすると、本願商標は、引用標章との類否について判断するまでもなく、本願商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は、その要件を欠くものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 商標の類否
(ア)本願商標
本願商標は、上記2のとおり、「長島一貫牛」の文字を標準文字で表してなるところ、漢字5文字が同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体として表されているものであるから、その構成文字に応じて「ナガシマイッカンギュー」の称呼を生じ、また、当該構成文字は辞書等に掲載されない語であることから、特定の観念が生じるものではない。
なお、本願商標は、その構成中「長島」の文字が我が国における姓氏の一つ又は「鹿児島県北西部,出水郡長島町の島。」を表す地名であるとしても、漢字5文字が同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体として表されているものであるから、「長島」の文字部分を捨象して「一貫牛」の文字部分のみが識別力を有するということはできない。
(イ)引用商標
引用商標は、別掲1のとおり、デザイン化された漢字「一」の図形の下段に「阿波一貫牛」の文字を縦書きした構成よりなるものであるところ、その構成中、図形部分と文字部分は、視覚上、分離して看取、把握され得るものであり、また、両部分は、観念的に密接な関連性を有しているとはいえず、一連一体となって何らかの称呼が生じるともいえないものであるから、それぞれが独立して自他商品の識別標識として機能し得るものである。よって、引用商標から、文字部分を要部として抽出し、当該文字部分のみを本願商標と比較して、商標そのものの類否を判断することが許されるものである。
そして、当該文字部分は、「阿波一貫牛」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して、「アワイッカンギュー」の称呼が生じ、辞書等に掲載されない語であることから、特定の観念が生じるものではない。
(ウ)本願商標と引用商標の類否
本願商標と引用商標とは、それぞれ、上記(ア)及び(イ)のとおりの構成からなるところ、まず、外観については、本願商標と引用商標は、その構成全体が相違することに加え、本願商標と引用商標の文字部分とを比較しても、その構成文字が相違することから、両商標は、外観上、相紛れるおそれはない。
次に、称呼については、本願商標から生じる「ナガシマイッカンギュー」の称呼と、引用商標から生じる「アワイッカンギュー」の称呼とは、それぞれの音構成や音数の明らかな差異により、称呼上、明瞭に聴別できるものである。
さらに、観念については、両商標とも特定の観念を生じないことから、観念上の比較はできないものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、観念において比較はできないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、これらを総合して判断すれば、両者は、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
イ 小括
以上のとおり、本願商標と引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)まとめ
上記のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1 登録第5036888号商標(色彩は、原本参照。)


別掲2 原審において示した、徳島県徳島市にある株式会社肉の藤原が商品「牛肉」について「一貫牛」の文字を使用している事例
(1)「【阿波牛のきわみ 一貫牛】肉の藤原」のウェブサイトにおいて、「阿波牛のきわみ 一貫牛」の見出しの下、「「一貫牛」の冠が与えられるのは最高を極めた一部の阿波牛にのみ。八十余年の伝統と技術に鍛えられた「肉の藤原」独自の研ぎ澄まされた目で阿波牛のきわみと称される「一貫牛」が生まれるのです。(中略)株式会社 肉の藤原 徳島県徳島市仲之町3丁目10番地」との記載がある。
http://www.niku-fujiwara.com/
(2)「公益社団法人徳島県物産協会 公式ホームページ あるでよ徳島」のウェブサイトにおいて、「一貫牛(阿波牛)」の見出しの下、「2016年『とくしま特選ブランド』認定商品 阿波牛のきわみ(生産情報公表JAS認定)」との記載がある。
https://tokushima-bussan.com/ipp ins/%E4%B8%80%E8%B2%AB%E7%89%9B%EF%BC%88%E9%98%BF%E6%B3%A2%E7%89%9B%EF%BC%89/
(3)「ふるさとチョイス」のウェブサイトにおいて、「E001a 阿波牛のきわみ「一貫牛」ロースステーキ・すき焼きセット 計1.35kg」の見出しの下、「肉の藤原の一貫牛は、「とくしま特選ブランド阿波牛」として登録され、「JAS規格認定牛」として承認されています。一貫牛のとろけるようなステーキとすき焼きを両方ご堪能いただける、贅沢なセットです。」との記載がある。
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/36201/159147


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審決日 2023-01-16 
出願番号 2021017907 
審決分類 T 1 8・ 255- WY (W29)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 藤村 浩二
鈴木 雅也
商標の称呼 ナガシマイッカンギュー、ナガシマイッカンウシ、ナガシマ、イッカンギュー、イッカンウシ、イッカン 
代理人 弁理士法人飯島国際商標特許事務所 

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