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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W35
管理番号 1394087 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-11-17 
確定日 2023-01-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5851745号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5851745号商標(以下「本件商標」という。)は、「ぴゅあ」の文字を標準文字で表してなり、平成27年9月25日に登録出願、第35類「飲食料品(「人工甘味料・角砂糖・果糖・氷砂糖・砂糖・麦芽糖・はちみつ・ぶどう糖・粉末あめ・水あめ・乳幼児用粉乳・乳製品・アイスクリームのもと・シャーベットのもと・乳清飲料・サプリメント・食餌療法用飲料・食餌療法用食品・乳幼児用飲料・乳幼児用食品」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同28年5月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年12月1日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30(2018)年12月1日から令和3(2021)年11月30日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、下記の被請求人の答弁に対し、弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第26号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実
(1)本件商標権者(被請求人)は、国産食肉の卸売を主たる事業とし、本件商標「ぴゅあ」という名称の食肉・肉製品の直売所や焼肉を主とする飲食店を直営店として運営している(乙1〜乙4)。食肉・肉製品の直売所については、現時点でも運営中の「ぴゅあ河内長野店」と、2021年8月30日に閉店となった「ぴゅあ日野店」がある。食肉・肉製品の直売所であるから、本件商標の指定役務(以下「本件指定役務」という場合がある。)を提供するものである。
また、焼肉レストラン「ぴゅあ」の神田店、大手町店、品川店は、焼肉を主とする飲食物の提供が主な役務であるが、テイクアウトで焼肉弁当等の小売もしており、本件指定役務も提供している。
(2)「ぴゅあ河内長野店」について
ア ぴゅあ河内長野店は、大阪府河内長野市高向1218−11の「あすかてくるで河内長野店」内の直営店であり、店舗外観やショップカードは乙第5号証に示すとおりである。
本件商標「ぴゅあ」は標準文字であるが、店舗看板やショップカードに使用されるロゴ「ぴゅあ」とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、社会通念上同一と認められる商標である。
イ ぴゅあ河内長野店は、「あすかてくるで河内長野店」がオープンした2014年11月から営業しており(乙6)、要証期間中の食品営業許可証が乙第7号証である。これらにより、本件商標権者が「ぴゅあ」を食肉販売業に使用していることが立証できる。
ウ また、要証期間中である2020年9月15日付けの「食肉通信」(乙8)に、食肉や惣菜の小売店としての店舗外観(乙5)が掲載されていた。
エ また、「ぴゅあ河内長野店」で使用する包装紙の発注を要証期間中に行った(乙9)。
(3)「ぴゅあ日野店」について
ア ぴゅあ日野店は、東京都日野市万願寺6丁目31番地のファーマーズマーケット東京「みなみの恵み」内で、2021年8月30日まで運営していた直売所であり、外観は乙第10号証に示すとおりである。
イ 要証期間中の食品営業許可証は乙第11号証のとおりである。
ウ さらに、2019年3月18日付け発行の学研まんがでよくわかるシリーズ152「お肉のひみつ」(乙12)には、食肉の小売店としての店舗外観(乙10)が掲載された。
エ 「みなみの恵み」3周年記念感謝フェアのチラシの写し(乙13)では、「ぴゅあ」の商標を用いて、北海道産牛、燻しベーコン、岩手県産豚のセール情報を宣伝広告している。乙第13号証では「10月30日(金)〜11月1日(日)」の月日しか記載されていないが、「みなみの恵み」は2017年10月30日にオープンしており(乙14)、チラシの日付は「2020年10月30日(金)〜11月1日(日)」を指している。また、乙15号証の「みなみの恵み」の2020年10月27日付けのTwitterの投稿から、チラシ(乙13)が配布されたことは明らかである。
オ 2021年5月2日付のTwitterの投稿においても、「ぴゅあ」の商標を用いて特売の宣伝広告をしている(乙16)。
(4)焼肉「ぴゅあ」各店舗について
ア 神田店について
(ア)東京都千代田区内神田1−7−8の焼肉店では、ランチタイムには、テイクアウトによる焼肉弁当の小売もしている(乙17)。当該ホームページのお知らせ一覧で、2021年5月7日、2021年2月4日には弁当の小売がなされていたことが把握できる(乙18)。
(イ)ぴゅあ神田店の「食べログ」の2021年8月に訪問された口コミページには、店頭外観の立て看板において、「ぴゅあの焼肉弁当」とポップが貼られ、弁当の小売がなされていたことが把握される(乙19)。
(ウ)要証期間中のものではないが、会計時のレシートには、商標「ぴゅあ」が印字されている(乙20)。要証期間中のものについては、会計データ出力の写し(乙21)及び会計集計報告書写し(乙22)があるが、消費税率8%であることから、飲食物の提供ではなく、飲食料品の小売等役務に係るものであることがわかる。
(エ)これらの証拠資料から、商標「ぴゅあ」について、飲食料品の小売等役務に使用している。
イ 大手町店について
東京都千代田区大手町1−9−7の焼肉店では、ランチタイムにテイクアウトによる焼肉弁当の小売もしている(乙23)。当該ホームページのお知らせ一覧(乙24)では、2020年8月25日には弁当の小売がなされていた。
これらの証拠資料から、商標「ぴゅあ」について、飲食料品の小売等役務に使用している。
ウ 品川店について
東京都港区港南2−3−13の焼肉店では、同じくランチタイムに弁当の小売をしている。会議費・交際費の連絡票に添付された領収証(乙25)には、「ぴゅあ」の商標が記載されている。
これらの証拠資料から、商標「ぴゅあ」について、飲食料品の小売等役務に使用していることが分かる。
(5)上述した証拠(乙1〜乙26)に係る使用は、商標法第2条第3項第3号及び同項第8号に規定する行為に該当する。
また、使用されている商標も「ぴゅあ」と同一か、社会通念上同一というベきロゴ態での使用である。
また、上記の証拠資料から、小売等役務に係る取扱商品は「食肉」「肉製品」「惣菜」「弁当」であって、これらは本件指定役務に含まれる。

第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)本件商標権者(被請求人)は、国産食肉の卸売を主たる事業とし、本件商標「ぴゅあ」という名称の食肉・肉製品の直売所や焼肉を主とする飲食店を直営店として運営している(乙1)。その直営店の一つに、「焼肉レストラン「ぴゅあ」」「住所 東京都千代田区内神田1−7−8 大手町佐野ビル1F」があり(乙3)、その住所は、「焼き肉レストラン ぴゅあ 神田店」の住所と同じである。
(2)焼肉レストラン「ぴゅあ」神田店のホームページ(以下「本件ホームページ」という。乙18)について
ア 2021年5月7日付けの「【期間限定】焼肉弁当販売実施!」の見出しの下、「いつも「焼肉レストランぴゅあ神田店」(以下「使用商標1」という。)をご愛願いただきありがとうございます。焼肉レストランぴゅあ神田店では期間限定で焼肉弁当を販売致します! 1)和牛カルビ弁当1,00円(税込) 2)牛タン牛カルビ弁当 800円(税込)」との記載及び弁当の画像が掲載されている(乙18)。
イ 2021年2月4日付けの「【リニューアルしました!】ぴゅあの和牛焼肉弁当ご注文承ります!」の見出しの下、「いつも焼肉レストランぴゅあ神田店をご愛顧いただき、・・これまでの3種類の「和牛焼肉弁当」に加えて、新たに2種のお弁当をご用意いたしました! ◆和牛カルビ弁当 1,000円(税込) ◆牛タン&牛カルビ弁当 800円(税込)との記載及び「焼肉ぴゅあのお得な和牛焼肉弁当」の見出しの下、当該弁当のイメージ画像及び「和牛カルビ弁当」、「牛タン&牛カルビ弁当」等の商品名と値段、「JA全農ミートフーズ直営」及び「焼肉レストランぴゅあ神田店」(以下「使用商標2」という。以下、使用商標1と使用商標2をまとめて「使用商標」という。)の文字と店舗の電話番号が記載されたチラシの画像が掲載されている(乙18)。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標
本件商標は、上記第1のとおり、「ぴゅあ」の文字を標準文字で表してなるものである。
これに対し、使用商標1は「焼肉レストランぴゅあ神田店」の文字をゴシック体様の文字で普通に表してなり、使用商標2は「焼肉レストランぴゅあ神田店」の文字を明朝体様の文字で普通に表してなるものである。
そして、使用商標の構成中の「焼肉レストラン」の文字は、業態を、「神田店」の文字は、当該レストランの住所が「東京都千代田区内神田」であることを考慮すると、店舗の所在地を示す文字と認められるから、これらの文字部分は、識別力が極めて弱いか又は有さない文字部分といえる。
そうとすれば、使用商標の構成中、自他役務の識別標識としての機能を発揮する文字部分は、「ぴゅあ」ということができる。
してみれば、使用商標の要部である「ぴゅあ」の文字は、本件商標と同一の文字構成よりなるものであるから、使用商標は、本件商標と書体にのみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって、社会通念上同一と認められる商標であるといえる。
(2)使用役務
本件ホームページには、上記1(2)のとおり、使用商標表示の下、本件商標権者が取り扱う和牛カルビ弁当及び牛タン牛カルビ弁当並びにそれらの価格、画像及び商品情報が掲載されている。
また、当該ホームページには、それら弁当の商品情報等が掲載されたチラシに使用商標2が表示されている。
そうすると、本件ホームページは「弁当の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「使用役務」という場合がある。)に係る記事が掲載され、使用されていると認められるものであり、使用役務は、本件商標の指定役務(請求に係る指定役務)に含まれる役務である。
(3)使用時期
上記1(2)のとおり、本件ホームページでは、2021年2月4日と同年5月7日に使用役務に係る記事を掲載している。
そして、当該日付は、要証期間内である。
(4)使用者
本件商標権者の直営店である「焼肉レストランぴゅあ」はその住所より「焼肉レストランぴゅあ神田店」と認められる。また、本件ホームページに掲載されている「JA全農ミートフーズ」の文字は本件商標権者の略称と認められる。
そうすると、本件ホームページの運営者は本件商標権者と認められることから、本件ホームページに掲載されている、使用商標の使用者は本件商標権者である。
(5)使用行為及び使用場所
本件商標権者は、本件ホームページにおいて、使用商標を掲げた使用役務に係る記事を掲載しているところ、当該行為は、使用役務に係る広告に使用商標を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)であると認められる。
また、本件ホームページは日本語で作成され当該役務の提供場所も東京都千代田区内神田であるから、当該広告の提供対象地域は、日本国内である。
(6)小括
上記(1)ないし(5)で判断したとおり、本件商標は、要証期間に日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる「弁当の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に係る広告に本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号該当)を行ったものと認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標の商標権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 岩崎 安子
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2022-08-03 
結審通知日 2022-08-05 
審決日 2022-09-01 
出願番号 2015092644 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W35)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
清川 恵子
登録日 2016-05-20 
登録番号 5851745 
商標の称呼 ピュア 
代理人 木戸 良彦 
代理人 前川 純一 
代理人 山崎 和香子 
代理人 木戸 一彦 
代理人 松永 章吾 
代理人 森田 拓 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 前川 砂織 

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