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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y03
管理番号 1394082 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-08-27 
確定日 2023-01-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第5005007号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5005007号商標(以下「本件商標」という。)は、「セレピュア」の文字を標準文字で表してなり、平成18年4月27日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年10月24日に登録査定、同年11月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和3年9月16日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年9月16日から令和3年9月15日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項により、本件商標の指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品」(以下「請求に係る指定商品」という。)の登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した(合議体注:請求人は、令和3年12月24日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において甲第1号証ないし甲第3号証を提出しているが、審判請求書において提出された甲第1号証と区別するため、これを甲第2号証ないし甲第4号証と読み替える。)。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第3類「せっけん類,化粧品」について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第2号証、乙第4号証及び乙第6号証について
乙第6号証について、同号証に示される日付などの印字は、ファクシミリ送受信機の日付設定を変更することにより容易に変更可能なものであり、同日付において実際に送信されたものであることを証明するに足るものではない。
また、被請求人は「平成30年10月23日以降現在まで継続して「セレピュア」の商品名でせっけん類及び化粧品を製造販売している」旨主張する。
仮に、この主張が事実に基づくものであるならば、本件商標、取引数量、取引日時、取引先担当者の署名、受領印、発行会社名などが記載された取引書類が存在するのが通常であるところ、当該書類は提示されていない。
さらに、被請求人は、乙第6号証に、乙第2号証及び乙第4号証を併せてファクシミリ送信した旨主張するが、この主張を裏付ける証拠は提示されていない。
また、被請求人は、乙第6号証に、乙第2号証及び乙第4号証に示される資料を併せてファクシミリ送信したことをもって本件商標を付して「頒布」したものである旨についても主張し、これをもって商標法第2条第3項第8号の使用行為に該当する旨主張する。
しかしながら、標章を付した広告等が一般公衆による閲覧可能な状態に置かれていない場合には、同号所定の「頒布」に該当しない。
(2)乙第7号証ないし乙第9号証について
乙第7号証ないし乙第9号証については、乙第6号証と同様にファクシミリ送受信機によって印字された日付は容易に改変可能なものであり、また、記載された日付に送受信されたものであることを裏付けるに足る取引書類は提示されていない。
したがって、乙第7号証ないし乙第9号証が上記日付に送受信されたことは証明されていない。
また、特定の取引先に対してファクシミリ送信を行ったとしても、同行為は「頒布」の要件を満たさず、商標法第2条第3項第8号の商標の使用行為には該当しない。
(3)まとめ
被請求人から提出された乙第1号証ないし乙第10号証のいずれの証拠資料においてもファクシミリ送受信機などによって印字された日付あるいはスタンプなどで押印された製造年月日やPDFのプロパティに表示される日付情報に基づいて要証期間内における登録商標「セレピュア」の使用事実の立証を試みようとする点で共通している。
しかしながら、ファクシミリ送受信機によって印字される日付は同送受信機の日時設定などで変更可能であり、また製造年月日を押印するスタンプなども日付を変更することは極めて容易である。また、PDFのプロパティに表示される日付情報についても、使用するパソコンにインストールされているOSの日付設定を変更したり、あるいは、適当なアプリケーションによってPDFファイルの日付情報を編集することは可能である。また、答弁書において「平成30年10月23日以降現在まで継続して「セレピュア」の商品名でせっけん類及び化粧品を製造販売している」旨を主張しているにもかかわらず、注文書や注文請書や、売上伝票、請求書、領収書や商品カタログといった取引状況や取引のあった日付を容易に確認できる証明力の高い資料を一切証拠資料として提示していない。
したがって、被請求人の主張内容は、証明力が極めて薄弱な証拠資料のみ組み合わせることで商標登録の取消しを免れようとする試みともいえる。しかしながら、このような証明力が極めて薄弱な証拠資料のみを複数提示することによって不使用商標の取消しを免れ得るとすれば、不使用取消審判(商標法第50条第1項)制度の趣旨が没却されることとなり不合理といわざるを得ない。
以上の点を踏まえ、指定商品「せっけん類,化粧品」については、本件商標の登録が取り消される旨の審決がなされるものと確信する。
3 令和4年7月8日付け回答書に対する意見
(1)標章「セレピュア」の使用状況
被請求人から提出された回答書において、標章「セレピュア」が付された、乙第1号証の写真に示されている形態のセレピュアシリーズのスティック状の化粧品は、現在まで一度も、卸売契約や小売契約といった販売契約や売買契約にまで至ることはありませんでした。」と記載され、乙第24号証の陳述書においても同様に一度も販売されたことがない旨の陳述がされている。
したがって、第1号証に示される商品について一度も販売されたことがない点について疑義を挟む余地はない。
(2)PDF文書等の証明力について、
乙第11号証ないし乙第16号証としてワードプロセッサで作成された電子データが新たに提出され、被請求人は、これら電子データのプロパティ情報に記載の日付情報に基づいて要証期間内における当該標章「セレピュア」の広告的使用を主張している。
しかしながら、上記プロパティの情報そのものは、例えば、オペレーティングシステムの日付設定を変更するなど、アプリケーションを利用することにより容易に改変できるものであり、プロパティに記載されている日時が真正なものであることを裏付ける他の証拠資料は何ら提示されていない。
したがって、追加提出された各証拠資料をもってしても要証期間内における登録商標の使用は何ら証明されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、令和3年11月22日付け答弁書(以下「答弁書」という。)及び同4年7月8日付け回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第27号証を提出した。
1 被請求人は、遅くとも平成30年10月23日以降現在まで継続して、「セレピュア」の商品名で、せっけん類及び化粧品を製造販売している。
2 令和3年11月19日付けの写真(乙1)には、平成31年9月20日に被請求人によって製造された商品名「セレピュア スティック」の化粧品が示されている。右は商品の外袋の表面(ラベル面)、左は外袋の裏面を見せるように配置されている。
乙第1号証中、右に示されている商品のラベル中の「化粧品」の文字は、商品が化粧品であることを示している。「セレピュア スティック」は、スティック形状に個包装された「セレピュア」シリーズの商品であることを示している。「<製造発売元>清水化学株式会社 〒729−0321 広島県三原市木原4−5−1」は、被請求人の名称及び住所と一致している。「製造年月日 19.09.20」は、この商品が平成31年9月20日に製造されたことを示している。
したがって、被請求人は、平成31年9月20日に、化粧品の包装に「セレピュア」の標章を付したことが明らかである。
3 被請求人は、平成31年9月11日及び同月25日に商品名「セレピュア(R)」(「(R)」は、○内に「R」の文字が小さく付されていることを表し、登録商標であることを表示したものと認められる。以下同じ。)の化粧品の広告を頒布した(乙7〜乙10)。
平成31年9月11日付けの「件名:「セレピュア」「マンナール」シリーズ 化粧品用途素材・商品資料について」と題するファクリミリ送信書(乙7)は、商品名「セレピュア(R)」の化粧品の取引に関する書類と広告を、同日付けで被請求人が株式会社アゴラインターナショナル(以下「アゴラ社」という。)にファクシミリ送信し、受信者であるアゴラ社が受領の確認のため受領印を捺印して被請求人に送信したものを被請求人が受信した受領確認の写しである。乙第8号証は、乙第7号証の受領確認に係る、被請求人からアゴラ社ヘファクシミリ送信された広告である。
乙第7号証も乙第8号証も、ファクリミリ受信機によって「2019/09/11 16:39 SHIMIZU 0848−68−0374」と印字されており、それに続けて乙第7号証には「P.001」、乙第8号証には「P.002」と印字されており、乙第7号証の受領印が捺印される前の文書と乙第8号証が被請求人からアゴラ社に同時に送信されたものであることが示されている。
乙第7号証には、「件名:「セレピュア」「マンナール」シリーズ化粧品用途素材・商品資料について」「・・・化粧品用途素材及び最終商品資料について、別商標「セレピュア」「マンナール」ブランドでの展開資料をお送り致します。」と記載されている。乙第7号証に記載されている「セレピュア」は、乙第8号証の広告で具体的に説明されている。乙第8号証には、「セレピュア(R)」「セレピュア(R)ホワイト」「セレピュア(R)ファイン」の3種類の商品名が記載され、「既存の化粧品処方(クレンジング・マッサージ剤)、せっけんに直接加えるだけでご使用頂けるとともに、そのままでも化粧品としての販売が可能です(化粧品製造販売許可あり)。」との説明がある。また、最下部に被請求人の名称、住所、連絡先が記載されている。したがって、この商品は、実際に市場で販売される化粧品であることが理解される。
乙第9号証は、乙第7号証及び乙第8号証の送信(平成31年9月11日)の約2週間後の平成31年9月25日に被請求人からアゴラ社にファクシミリ送信された文書の写しである。乙第9号証の第1頁(P.001)には、「「セレピュア」「マンナール」ブランドの化粧品用途素材及び最終商品ご案内資料をお送りします。ご希望のとおり、参考価格及び商品写真入りとなっております。」との記載があり、第2頁(P.002)には、乙第8号証と同様の記載に加えて、「<最終商品のご案内>セレピュア(R)スティック 0.5g 5本入り 参考小売価格3000円(税別)」との記載と、商品の写真が掲載されている。乙第9号証の第3頁(P.003)には、乙第1号証の写真に示されている商品と同じものが掲載されている。
アゴラ社のウェブサイ卜には会社概要が記載されている(乙10)。会社概要に記載されたファクシミリ番号は乙第8号証の第1頁の下部に印字されたファクシミリ番号と一致している。乙第8号証及び乙第9号証のファクシミリが送受信されたアゴラ社は、神奈川県藤沢市に実在する会社である。
したがって、被請求人は、少なくとも平成31年9月11日及び同月25日に、化粧品に関する広告と、広告とともにファクシミリ送受信された取引に関する書類に「セレピュア」の標章を付して頒布したことが明らかである。
4 乙第11号証は、乙第8号証の鮮明なものである。乙第12号証は、乙第11号証の文書のファイル名を含めた全体を示す画面のスクリーンショットである。
5 乙第13号証は、乙第11号証の文書のプロパティを示す画面のスクリーンショットである。更新日時の記載から、乙第11号証の文書が2019年(令和元年)9月11日13時16分に最終的に更新されたことがわかる。この日時は乙第8号証の広告文書が添付されたファクシミリの送信票(乙7)に印字されている日時の2019年(令和元年)9月11日16時33分の前である。
6 乙第14号証は、乙第9号証の鮮明なものであることが明らかである。乙第15号証は、乙第14号証の文書のファイル名を含めた全体を示す画面のスクリーンショットである。
7 乙第16号証は、乙第14号証の文書のプロパティを示す画面のスクリーンショットである。更新日時の記載から、乙第14号証の文書が2019年(令和元年)9月25日9時15分に最終的に更新されたことがわかる。この日時は乙第9号証のファクシミリの送信票に印字されている日時の2019年(令和元年)9月25日9時40分の前である。

第6 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第7号証は、商品広告をアゴラ社へ送付した際のファクシミリ送信票であり、最上部には、送信日時、「SHIMIZU」のローマ字表記、ファクシミリ番号及びページ数と思しき「2019/09/11 16:39 SHIMIZU 0848−68−0374 P.001」の記載がある。宛先欄には、「宛先」として「株式会社アゴラインターナショナル 代表取締役 S 様」(「様」には見え消し線が引かれている。)の記載、「送信日」として「2019年9月11日」の記載があり、宛先欄の右上には受領印及び「S」と思しき印が押されている。送信者欄には、本件の商標権者(以下「本件商標権者」という。)の名称及び住所と一致する「清水化学株式会社」及び「本社 〒729−0321 広島県三原市木原4丁目5番1号」の記載、「送信者」として「SR様」(「様」は手書きされている。)の記載、「件名:「セレピュア」「マンナール」シリーズ 化粧品用途素材・商品資料について」の記載、「・・・化粧品用途素材及び最終商品資料について、別商標「セレピュア」「マンナール」ブランドでの展開資料をお送り致します。」の記載があり、最下部には、上下反転した送信日時、ファクシミリ番号、送信元の名称及びページ数と思しき「2019/09/11 18:25 0466−54−4036 アゴラインターナショナル ページ01/01」の記載がある。
(2)乙第8号証は、被請求人からアゴラ社ヘファクシミリ送信された商品広告であり、最上部には、送信日時、「SHIMIZU」のローマ字表記、ファクシミリ番号及びページ数と思しき「2019/09/11 16:39 SHIMIZU 0848−68−0374 P.002」の記載、「化粧品用途 保水性スクラブ 植物由来グルコマンナン」の記載、「セレピュア」(以下「使用商標」という。)の記載及び「既存の化粧品処方(クレンジング・マッサージ剤)、せっけんに直接加えるだけでご使用頂けるとともに、そのままでも化粧品としての販売が可能です(化粧品製造販売許可あり)。」の記載がある。
(3)乙第9号証の第1葉は、商品広告をアゴラ社へ送付した際のファクシミリ送信票であり、最上部には、送信日時、「SHIMIZU」のローマ字表記、ファクシミリ番号及びページ数と思しき「2019/09/25 09:40 SHIMIZU 0848−68−0374 P.001」の記載がある。宛先欄には、「宛先」として「株式会社アゴラインターナショナル 代表取締役 S 様」の記載及び「送信日」として「2019年9月25日」の記載がある。送信者欄には、本件商標権者の名称及び住所と一致する「清水化学株式会社」及び「本社 〒729−0321 広島県三原市木原4丁目5番1号」の記載、「送信者」として「SR」の記載、「件名:「セレピュア」「マンナール」シリーズ 化粧品商品資料について」の記載及び「「セレピュア」「マンナール」ブランドの化粧品用途素材及び最終商品ご案内資料をお送りします。」の記載がある。また、第2葉以下の商品広告には、最上部に、送信日時、「SHIMIZU」のローマ字表記並びにファクシミリ番号及びページ数と思しき「2019/09/25 09:40 SHIMIZU 0848−68−0374 P.002」の記載がある。また、「化粧品用途 保水性スクラブ 植物由来グルコマンナン」の記載、「セレピュア」(使用商標)の記載、「既存の化粧品処方(クレンジング・マッサージ剤)、せっけんに直接加えるだけでご使用頂けるとともに、そのままでも化粧品としての販売が可能です(化粧品製造販売許可あり)。」の記載、「<最終商品のご案内>セレピュア(R)スティック 0.5g 5本入り 参考小売価格3000円(税別)」の記載及び商品と思しき写真が掲載されている。第3葉には、乙第1号証と同一の商品包装と思しき写真が掲載されている。
(4)乙第11号証は、商品広告であり、「化粧品用途 保水性スクラブ 植物由来グルコマンナン」の記載、「セレピュア」(使用商標)の記載及び「既存の化粧品処方(クレンジング・マッサージ剤)、せっけんに直接加えるだけでご使用頂けるとともに、そのままでも化粧品としての販売が可能です(化粧品製造販売許可あり)。」の記載がある。そして、同号証は、上記記載から、乙第8号証の商品広告における記載と同一のものと認められる。
(5)乙第12号証は、乙第11号証の文書ファイルのスクリーンショットであり、ファイル名として「190911 cell pure cosmeticsシリーズ」の記載があり、画面には乙第11号証と同一のものと認められる商品広告が表示されている。
(6)乙第13号証は、乙第11号証の商品広告をアゴラ社へ送付した際の商品「化粧品」の文書のPDFファイルのプロパティのスクリーンショットであり、「情報」の見出しの下、乙第12号証におけるファイル名と一致する「190911 cell pure cosmeticsシリーズ」の記載、「更新日時」として「2019/09/11 13:16」の記載がある。
(7)乙第14号証は、商品広告であり、「化粧品用途 保水性スクラブ 植物由来グルコマンナン」の記載、「セレピュア」(使用商標)の記載、「既存の化粧品処方(クレンジング・マッサージ剤)、せっけんに直接加えるだけでご使用頂けるとともに、そのままでも化粧品としての販売が可能です(化粧品製造販売許可あり)。」の記載、「<最終商品のご案内>セレピュア(R)スティック 0.5g 5本入り 参考小売価格3000円(税別)」の記載及び商品と思しき写真が掲載されている。乙第14号証の第2葉には、商品の写真が掲載されている。そして、同号証は、上記記載及び写真から、乙第9号証の商品広告と同一のものと認められる。
(8)乙第15号証は、乙第14号証の文書ファイルのスクリーンショットであり、ファイル名として「190925 cell pure cosmeticsシリーズ価格入り」の記載があり、画面には乙第14号証と同一のものと認められる商品広告が表示されている。
(9)乙第16号証は、乙第14号証の文書ファイルのプロパティのスクリーンショットであり、「情報」の見出しの下、乙第15号証におけるファイル名と一致する「190925 cell pure cosmeticsシリーズ価格入り」の記載、「更新日時」として「2019/09/25 9:15」の記載がある。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標
乙第8号証、乙第9号証、乙第11号証及び乙第14号証の商品広告に表示された使用商標は、「セレピュア」の片仮名をやや丸みを帯びたゴシック体の書体で表してなる商標であるのに対し、本件商標は、「セレピュア」の片仮名を標準文字で表してなる商標であるから、本件商標と使用商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
(2)使用商品
被請求人は、本件商標を商品「化粧品」に使用していると主張しているところ、当該商品は、商品広告(乙8、乙9、乙11、乙14)によれば、「化粧品用途」、「そのままでも化粧品としての販売が可能です」の記載が、また、乙第9号証及び乙第14号証には、上記記載に加えて「<最終商品のご案内>セレピュア(R)スティック 0.5g 5本入り 参考小売価格3000円(税別)」の記載があることから、本件商標の使用に係る商品は、「化粧品」(以下「使用商品」という。)と認められる。そして、当該商品は、請求に係る指定商品中、第3類「化粧品」に該当するものである。また、乙第9号証の第3葉に表示された写真の包装袋には、「セレピュア スティック」、「0.5gスティック 5本入り」、「製造年月日」及び「19.09.20」の記載があり、令和元年(2019年)9月20日に使用商品が存在していたと推認できる。
(3)使用時期及び使用場所
ア 商品広告(乙8、乙11)の文書ファイルは、当該文書ファイルのスクリーンショット(乙12)及びプロパティのスクリーンショット(乙13)のファイル名「190911 cell pure cosmeticsシリーズ」が一致することから、乙第13号証における「更新日時」である、令和元年(2019年)9月11日の13時16分に更新され、当該商品広告は、ファクシミリ送信票(乙7)と共に、同日16時39分に被請求人からアゴラ社の代表取締役であるS氏宛にファクシミリにより送信されたものと認められる。
イ 商品広告(乙9、乙14)の文書ファイルは、当該文書ファイルのスクリーンショット(乙15)及び当該文書ファイルのプロパティのスクリーンショット(乙16)のファイル名「190925 cell pure cosmeticsシリーズ価格入り」が一致することから、当該文書ファイルのプロパティにおける「更新日時」である令和元年(2019年)9月25日9時15分に、当該商品広告の文書ファイルが更新され、当該商品広告は、ファクシミリ送信票(乙9)と共に、同日9時40分に被請求人からアゴラ社の代表取締役であるS氏宛にファクシミリにより送信されたものと認められる。
以上のとおり、使用時期は、本件商標権者がアゴラ社の代表取締役に使用商品の広告をファクシミリにより送信(頒布)した令和元年(2019年)9月11日及び同月25日であり、要証期間である。
また、使用場所については、ファクシミリの送信元は広島県、送信先は神奈川県である。
(4)使用者
ファクシミリ送信票(乙7、乙9)には、送信者欄に、本件商標権者の名称及び住所と認められる「清水化学株式会社」及び「本社 〒729−0321 広島県三原市木原4丁目5番1号」の記載があることから、本件商標権者が本件商標の使用者である(乙24)。
(5)使用行為
ファクシミリ送信票(乙7、乙9)の送信日は、使用商品の広告の頒布日(乙8、乙9、乙11、乙14)であるといえるので、当該使用商品の広告における使用商標の使用は、「使用商品に関する広告に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)が行われたものと認められる。
(6)小括
上記(1)ないし(5)で判断したとおり、本件商標権者は、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中、第3類「化粧品」に関する広告に本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)をしていたものと認められる。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、電子データのプロパティ情報及びファクシミリによって印字された日付は容易に改変可能なものであり、また、記載された日付に送受信されたものであることを裏付けるに足る取引書類は提示されていないから、同号証に記載された日付に送受信されたことは証明されていない旨主張している。
しかしながら、アプリケーションソフトウェア等を用いて電子データを編集することや、ファクシミリによって印字された日付けを変更することが可能であるとしても、請求人からは、自らの主張を裏付ける証拠の提出はなく、上記のとおり、商品の包装を表示した商品広告が作成され、それがファクシミリにより送信され、また、相手方から返信されていることを確認することができ,これらのファクシミリが送受信されたことが認められることに照らすと,被請求人において文書ファイルのプロパティ情報及びファクシミリの送受信日時の変更を行ったものと認めることは困難である。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(2)また、請求人は、特定の取引先に対してファクシミリ送信を行ったとしても、同行為は「頒布」の要件を満たさず、商標法第2条第3項第8号の商標の使用行為には該当しない旨主張している。
ところで、「商標法第2条第3項第7号(審決注:平成14年改正前の条文であり、現行商標法の第2条第3項第8号。)にいう「取引書類に標章を付して頒布する」ことは、特定の役務に関する取引書類に標章を付して、当該役務の提供を求める特定の取引先に対して配布することによってされるのが通常であり、本件商標を付した取引書類が原告の内部資料にとどまっている段階であれば格別、これを取引先に現に送信した事実が認められる以上、指定役務についての登録商標の使用と認めるに妨げはなく、保護するに値しない、いわば権利の上に眠る商標として取り消されるべき理由はない。」(平成13年(行ケ)第530号判決(東京高裁))。
そして、アゴラ社は、本件商標権者にとって、取引先というべきであるから、本件商標権者が取引先というべき同社に対して、使用商品に関する広告に当たる乙第8号証(乙11)及び乙第9号証(乙14)をファクシミリにより送信した事実が認められる以上、たとえ特定の取引先以外に送信された事実がなかったとしても、乙第8号証(乙11)及び乙第9号証(乙14)は「頒布」されたというべきである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件商標権者が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品中、第3類「化粧品」について、本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-11-11 
結審通知日 2022-11-16 
審決日 2022-12-02 
出願番号 2006038951 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y03)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 小俣 克巳
豊瀬 京太郎
登録日 2006-11-24 
登録番号 5005007 
商標の称呼 セレピュア 
代理人 吉岡 亜紀子 
代理人 赤岡 迪夫 
代理人 赤岡 和夫 

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