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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W182528
管理番号 1394075 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-03-20 
確定日 2023-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第6021152号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第6021152号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6021152号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成29年5月19日に登録出願、別掲2のとおりの第18類、第25類及び第28類に属する商品を指定商品として、同30年2月23日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、令和3年4月13日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年4月13日から令和3年4月12日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和3年9月9日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という、)に対する同年11月13日付け(同月14日差出)の審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)登録された商標と明らかに異なる商標を使用していること
ア 本件商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、一方で、乙第4号証の2に示された標章(以下「使用標章1」という。別掲2。)は、本件商標に含まれる特徴的な図形要素を有しないものであり、色彩においても相違する。
本件商標の権利者(以下「本件商標権者」という。)は、本件商標について、文字と図形からなる結合商標として登録を受けているにもかかわらず、使用標章1は、本件商標の構成中の図形部分の表示がない。
本件商標の構成中の図形は、文字列の左側に幅の異なる矩形を3つ有し、左端の矩形は、残り2つの矩形の3倍以上の幅を有するものであり、それぞれ小豆色、明るい緑、やや淡い青の色彩を配するもので、相当な特徴を有する。
本件商標権者が、本件商標の構成中の文字のみを使用するのであれば、文字と図形からなる結合商標ではなく、文字のみの商標登録を試みたはずであるが、同者は、あえて、結合商標を選択し、権利化を図っている。
また、本件商標と使用標章1とは、文字部分の色彩が相違する。
さらに、本件商標は、図形の左端の矩形と文字とに同じ小豆色が用いられていて、全体として一体性を有する。
よって、本件商標権者による使用標章1の使用は、本件商標の使用とは認められない。
イ 乙第5号証の2に示された標章(以下「使用標章2」という。別掲3。)は、使用標章1と比べてもさらに、本件商標とは明確な相違点を有している。
本件商標権者は、本件商標について、文字と図形からなる結合商標として登録を受けているにもかかわらず、使用標章2は、本件商標の構成中の図形部分の表示がない。
本件商標の文字部分に特化してみても、その相違は顕著であり、本件商標は、1文字目のUから順に中央に向かうにつれ文字サイズが小さく、中央から右端に向かって文字サイズが大きいという構成上の目立った特徴を有するのに対し、使用標章2は、同大等間隔に示されており、本件商標と使用標章2の文字部分は、書体も異なる。
乙第5号証に掲載された写真は、必ずしも鮮明ではないため断定はできないが、使用標章2は、後半の3文字の色彩の明度が、最初の3文字に比べ高くみえ、後半の3文字は、前半の3文字より、細めの線が用いられているように見える。
使用標章2は、本件商標と異なり、「A」と「P」の間のスペースが存在せず、色彩も相違する。
よって、本件商標権者による使用標章2の使用は、本件商標の使用とは認められない。
ウ 上記のとおり、被請求人が提出した証拠からすると、本件商標と使用標章1及び使用標章2は、社会通念上同一の商標にあたらない。
(2)3年以内の日本国内での使用を示す具体的な証拠がないこと
ア 乙第3号証は、グループ会社内でのやりとりと示唆される単なるメールの写しであり、関連グループ内のメール中で数字を記載する程度であれば、自由に行うことが可能であるため客親性に乏しく、かつ、本件審判請求の日以降の2021年7月15日に送信したものである。
また、被請求人は、乙第4号証の使用日は、2020年12月29日であると述べる一方で、乙第3号証の使用日は、同年8月26日と記載されており、被請求人の主張内容と提出された証拠中の日付は矛盾する。
イ 乙第4号証は、英国の代理人と思われる者の名と署名があるが、誰にあてた、いつの、何の書類なのか不明であり、また、編集線があるジャケットを着た女性の写真が掲載されているが、本件商標を使用している証拠が示されておらず、商品の写真を撮影しただけでは、商標法上の使用か否かは不明であり、同書類には、いつ使用されたのかを示す情報も存在しない。
ウ 乙第5号証は、日本の顧客へ販売した本件商標が付された被服の写真とされるが、当該被服が我が国に向けて販売されていたのか否かは、この証拠からは不明であって、また、同書類は、全てを日本語で記載されているものではない上に、我が国へ当該商品が発送されていることもこの証拠からは明らかではなく、さらに、同書類が、いつ使用されたのかも明らかではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び令和4年3月18日付け審尋(以下「審尋」という。)に対する同年5月16日付け審判事件回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、以下、証拠の表示については、「乙第○号証」を「乙○」のように、簡略して表記する場合があり、枝番号をすべて示すときは枝番号を省略する。
1 答弁の理由
(1)本件商標の構成態様について
本件商標は、商標公報(乙1)のとおり、三本の縦線よりなる図形(以下「三本縦線図形」という。)を左側に配置し、欧文字「USA PRO」を右側に配置した構成態様からなる商標である。
(2)「被服」への使用について
本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、本件商標を「被服」に使用しており(乙3〜乙5)、本件商標が付された「被服」は、英国から我が国へ輸入され、国内において引き渡しがされている。
ア 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者による使用
「Frasers Group Plc」(以下「Frasers Group社」という。)は、本件商標権者の親会社「Brands Holdings Limited」(以下「Brands Holdings社」という。)の親会社であり、本件商標権者とともに本件商標の通常使用権者として商標を使用している。
通常使用権者「Frasers Group社」が、本件商標権者の親会社「Brands Holdings社」の親会社であることを示すため、英国政府による企業の公式登録機関UK Companies Houseのウェブサイトに登録された会社登録情報を提出する(乙2)。
イ 本件商標の使用であること
本件商標は、三本縦線図形を左側に配置し、欧文字「USA PRO」を右側に配置した構成態様からなる商標であり、本件商標権者及び通常使用権者が、「被服」に使用している商標は、左側に配置した三本縦線図形が付されていないものの、本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
ウ 審判の請求に係る指定商品のいずれかについて使用していること
「被服」は、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品である。
エ 商標としての使用であること
「被服」に本件商標を付す行為は、商品に標章を付するものであり、商標法上の使用に該当し(商標法第2条第3項第1号)、本件商標が付された「被服」を、英国から我が国へ輸入し、国内において引き渡す行為は、商品に標章を付したものを引き渡すものであり、商標法上の使用に該当する(商標法第2条第3項第2号)。
オ 審判の請求の登録前3年以内の使用であること
本件商標権者及び通常使用権者は、本件商標を付した「被服」を、英国から我が国へ輸入し、国内において引き渡している(乙3〜乙5)。
乙第3号証に示すとおり、本件商標権者及び通常使用権者は、2020年12月29日に乙第4号証(審決注:「乙第5号証」の誤記と認められる。)の「被服」を、同年8月26日に乙第5号証(審決注:「乙第4号証」の誤記と認められる。)の「被服」を、英国から我が国へ輸入し、国内において引き渡している。
乙第4号証に示す「666022」は製品番号、「90」は色番号、「350」は製品サイズを示すものであり、乙第5号証に示す「341770」は製品番号、「11」は色番号、「430」は製品サイズを示すものである。
カ 小括
以上より、本件商標は、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により、本件審判請求に係る指定商品中の「被服」について、日本国内において、要証期間に使用されていた。
2 回答書における主張
当審において、審尋により、被請求人に対し「被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、本件商標権者が、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していたことを、被請求人が証明したとはいえない。」旨の暫定的見解を示し、この暫定的見解及び弁駁書による請求人の主張に対する意見を求めたところ、被請求人は、回答書において、要旨以下のとおりの意見を述べた。
(1)本件商標の構成態様について
本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標のうち、本件商標権者のブランド名である「USA PRO」の文字部分に着目し、取引を行うものであり、左側に配置した三本縦線図形の有無に左右されるものではないことから、本件商標の要部は、「USA PRO」部分である。
よって、使用標章1及び使用標章2は、本件商標と社会通念上同一である。
(2)要証期間内に本件商標を使用していたことを証明する新たな証拠について
本件商標権者は、被服やかばん等(以下「被服等」という。)を製造及び販売する、「USA PRO」の文字よりなるブランドを運営し、「USA PRO」の公式ウェブサイトをも運営しているところ、当該ウェブサイトでは、本件商標と社会通念上同一の商標である「USA PRO」の文字(以下「使用標章3」という。別掲5。)が使用され、我が国へ出荷する場合の費用が示されていることから、被服等の出荷対象エリアに我が国を含むものである(乙6)。
出荷対象エリアに我が国を含む当該ウェブサイトは、我が国の取引者、需要者が当該ウェブサイトを利用することを前提とした仕様であり、当該ウェブサイトにおいて、本件商標権者が、被服等に関する広告、価格表若しくは取引書類に、本件商標と社会通念上同一の商標である「USA PRO」の文字を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に本件商標と社会通念上同一の商標である「USA PRO」の文字を付して電磁的方法により提供する行為は、商品に関する取引書類等に標章を付して頒布等するものであり、日本国内における商標法上の使用に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
なお、乙第6号証は、2021年1月19日の「USA PRO」の公式ウェブサイトの写しであり、要証期間内のものである。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証の2は、被請求人が、「Brands Holdings社」が本件商標権者の親会社であることを示す「UK Companies House」のウェブサイトに登録された本件商標権者の会社情報と主張するものであり、また、乙第2号証の1は、被請求人が、通常使用権者である「Frasers Group社」が「Brands Holdings社」の親会社であることを示す「UK Companies House」のウェブサイトに登録された「Brands Holdings社」の会社登録情報と主張するものであり、乙第2号証の1によると、「Frasers Group社」は、「Brands Holdings社」の株式及び議決権を75%若しくはそれ以上所有していること、乙第2号証の2によると、「Brands Holdings社」は、本件商標権者の株式及び議決権を75%若しくはそれ以上所有している旨の記載があることから、本件商標権者は、同人の親会社の親会社である「Frasers Group社」に対し、本件商標の使用について黙示の許諾を与えているものと推認できる。
(2)乙第3号証は、被請求人が、本件商標を付した「被服」を、英国から我が国へ販売したことを示す、2016年以降の顧客への販売実績と主張するものであり、本号証には、「年月日 製品の種類 製品番号 販売ルート 看板 ブランドタイプ USA PRO 総額 顧客の国」の抄訳の記載、「2020/12/29 ロウインパクトスポーツブラ 34177011430 ウェブ フレイザーグループ USA PRO 13.0000 日本」の抄訳の記載及び「2020/08/26 パファジャケット 66602290350 ウェブ フレイザーグループ USA PRO 30.0000 日本」の抄訳の記載がある。
なお、当該メールの日付は要証期間外であり、要証期間に実際に商標権者及び通常使用権者の取扱いに係るブラジャー及びジャケットが我が国に輸入されたことを裏付ける証拠は提出されていないため、当該メールをもって、実際に上記商品が我が国に輸入された事実を確認することはできない。
(3)乙第4号証は、被請求人が、2020年8月26日に、商標権者及び通常使用権者が、英国から我が国へ輸入し、国内において我が国の顧客
へ販売した、本件商標が付された被服の写真と主張するものであり、乙第4号証の2のジャケットとおぼしき商品の拡大写真には、別掲3のとおりの「USA PRO」の文字よりなる商標(以下「使用商標1」という。)が記載された織ネームが、ジャケットとおぼしき商品に取り付けられていることが確認できる。
そして、乙第4号証の1には、製品に関するコード番号とおぼしき「666022」の記載があり、これは、乙第3号証の「2020/08/26 パファジャケット 66602290350 ウェブ フレイザーグループ USA PRO 30.0000 日本」の抄訳の記載における商品の品番とおぼしき「66602290350」の最初の6桁の数字が一致し、被請求人の主張によれば、「90」は、色番号を、「350」は製品サイズを示すものであるとすると、乙第4号証で提示されたジャケットとおぼしき商品は、通常使用権者の取扱いに係る商品であると推認できる。
なお、乙第4号証のジャケットとおぼしき商品の写真は、撮影日が確認できないため、要証期間に通常使用権者が、当該商品を我が国に輸入したことは確認することができない。
(4)乙第5号証は、被請求人が、2020年12月28日に、商標権者及び通常使用権者が、英国から我が国へ輸入し、国内において我が国の顧客へ販売した、本件商標が付された被服の写真と主張するものであり、乙第5号証の2のスポーツブラ(ブラジャー)とおぼしき商品の写真には、別掲4のとおりの「USAPRO」の文字よりなる商標(以下「使用商標2」という。)が表示されていることが確認できる。
そして、乙第5号証の1には、製品に関するコード番号とおぼしき「products/34177011」の記載があり、これは、乙第3号証の「2020/12/29 ロウインパクトスポーツブラ 34177011430 ウェブ フレイザーグループ USA PRO 13.0000 日本」の抄訳の記載における商品の品番とおぼしき「34177011430」の最初の8桁の数字が一致することからすると乙第5号証で提示されたスポーツブラ(ブラジャー)とおぼしき商品は、通常使用権者の取扱いに係る商品であると推認できる。
なお、乙第5号証のスポーツブラ(ブラジャー)とおぼしき商品の写真は、撮影日が確認できないため、要証期間に通常使用権者が、当該商品を我が国に輸入したことは確認することができない。
(5)乙第6号証は、被請求人が、2021年1月19日の「USA PRO」の公式ウェブサイトの写しと主張するものであり、本号証の1葉目には、「JAN/19/2021」の表記があり、これは要証期間内の日付であることから、当該ウェブサイトは要証期間に存在していたことが認められるものの、当該ウェブサイトに表示された「USA PRO」の文字は、具体的な商品に使用されたことが確認できないため、当該ウェブサイトに示された別掲5のとおりの標章は、通常使用権が本件審判請求に係る指定商品に使用する商標と認めることができない。
3 前記2において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、三本縦線図形と「USA PRO」の文字を結合した構成よりなるものであるところ、本件商標の構成中の三本縦線図形は、色の異なる三本の縦線を横3列に配置しているという特徴を有し、ありふれた図形と判断しなければならない特別な事情はなく、かつ、本件商標の指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものと判断しなければならない特別な事情は存在しないと判断するのが相当である。
イ 使用商標
使用商標1及び使用商標2(以下、これらをまとめていう場合は「使用商標」という。)は、「USA PRO」の文字又は「USAPRO」の文字からなるものである。
ウ 本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標と使用商標とを比較すると、本件商標は、上記アのとおり、三本縦線図形と「USA PRO」の文字とを結合したものであるのに対し、使用商標は、上記イのとおり、「USA PRO」の文字又は「USAPRO」の文字からなるものであるから、両者は、三本縦線図形の有無において外観上顕著な差異を有するものである。
エ 小括
そうすると、本件商標と使用商標とは、その構成を異にすることが明らかであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められない。
(2)使用行為について
通常使用権者の取扱いに係る商品であると推認できる使用商標1を使用したジャケットとおぼしき商品及び使用商標2を使用したスポーツブラ(ブラジャー)とおぼしき商品は、要証期間に通常使用権者が、当該商品を我が国に輸入したことは確認することができない。
また、本件商標権者又は通常使用権者が、要証期間に、上記商品を、国内で、譲渡等をした事実、あるいは、これらの商品の広告を広く一般に行ったことは確認することができない。
(3)小括
よって、通常使用権者の取扱いに係るジャケットとおぼしき商品及びスポーツブラ(ブラジャー)とおぼしき商品は、いずれも、本件審判請求に係る指定商品中の「被服」の範ちゅうに含まれる商品であるとしても、当該商品に使用された使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められず、また、通常使用権者は、使用商標1が使用されたジャケットとおぼしき商品及び使用商標2が使用されたスポーツブラ(ブラジャー)とおぼしき商品を要証期間に我が国に輸入し、国内で販売したことを証明していない。
4 被請求人の主張について
被請求人は、使用商標は、本件商標の構成中左側に配置した三本縦線図形が付されていない「USA PRO」の欧文字のみよりなるが、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標の構成中、本件商標権者のブランド名である「USA PRO」の文字部分に着目し、取引を行うものであり、その取引は三本縦線図形の有無に左右されるものではないことから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標である旨を主張する。
しかしながら、本件商標は、その構成中の三本縦線図形が、本件商標の指定商品との関係において、商品の品質等を表示するものであるというべき特別な事情はなく、また、三本縦線図形が、本件商標において、自他商品の識別標識としての機能を有さない付記的な図形であると判断しなければならない事情はない上に、さらには、本件商標に接する取引者、需要者が、本件商標の構成中の「USA PRO」の文字部分のみに着目するというべき特段の事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成全体をもって自他商品の識別標識としての機能を果たすものというべきであって、その構成中、三本縦線図形と「USA PRO」の文字とを分離して、三本縦線図形のみ又は「USA PRO」の文字のみで使用することは、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているものとは認められない。
したがって、被請求人の上記主張は、採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり、被請求人が、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標又はこれと社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したとはいえず、本件商標を使用した商品について、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為について証明したとはいえないから、商標法第50条第2項に規定されているその他の使用の要件について論及するまでもなく、被請求人の提出に係る証拠によっては、要証期間に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲1(本件商標。色彩は原本参照。)




別掲2(本件商標の指定商品)
第18類「革及び擬革,獣皮,革ひも,動物用被服,動物用覆い,動物用首輪,動物用引きひも,トランク及び旅行かばん,旅行用バッグ,スーツケース,旅行かばん用タグ,かばん用のストラップ,雑のう,バックパック,リュックサック,ナップザック,ブリーフケース,アタッシェケース,キャリングケース,かばん類,書類入れ,財布,がま口,袋物,カード入れ,革製肩掛けベルト及び革製肩掛けひも,傘,傘カバー,日傘,ステッキ,つえ,むち,馬の引き革,乗馬用具,蹄鉄,ベビーキャリー,子供運搬用の背負子,かばん金具,スケート靴用革ひも,革製肩掛けベルト,革製及び人工皮革製の箱,家具用張り革,スーツケース用取っ手,つえの柄,皮革,愛玩動物用被服類」
第25類「運動用特殊衣服,被服,履物及び運動用特殊靴,帽子,ワイシャツ類及びシャツ,ズボン及びパンツ,ショートパンツ及びショーツ,スカート,ティーシャツ,ジレ,ヨガ用パンツ,下着,ブラジャー,スポーツブラジャー,レギンス,レッグウォーマー,タイツ及びタイツストッキング,ベスト,運動競技用シャツ及びズボン,ランニング用シャツ及びパンツ,ヨガ用シャツ及びパンツ,スポーツ用シャツ及びパンツ,スウェットシャツ,スウェットパンツ,フード付き上着,ジャケット,靴下,メリヤス下着,メリヤス靴下,汗止めバンド,手袋」
第28類「ゲーム用品及びおもちゃ,体操用具及び運動用具,運動用機械器具,サポーター,運動競技用プロテクター,スポーツ用保護用パッド,クリスマスツリー用装飾品,トランプ,スケート靴,スケートボード,運動用具専用バッグ,釣り具,ダンベル,ウエイトトレーニング用重り,運動用棒,運動用ウエイト,運動用手首用重り,運動用足首用重り,運動用脚用重り,メディシンボール,ヨガ用体操用ボール,運動用ボール,鉄棒(体操用),平行棒(体操用),腹筋用トレーニングベンチ,運動用固定式自転車,エリプティカル運動用機械器具,運動用トレッドミル,重量挙げ用ベンチ,ウェイトリフティング用機械器具,キャンバスシートをスプリングで固定した跳躍運動用器具,エクササイズ用バンド,エクササイズ用縄跳びの縄,ヨガ用補助ブロック,縄跳びの縄,筋力トレーニング用ゴムチューブ,エクササイズトレーニング用運動用具,腹筋強化用運動具,運動用のフープ,重量挙げ用グローブ,格闘技用グローブ,運動用グローブ」


別掲3(使用標章1。使用商標1。色彩は、乙第4号証の2(原本)参照。)



別掲4(使用標章2。使用商標2。色彩は、乙第5号証の2(原本)参照。)



別掲5(使用標章3。)




(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 豊田 純一
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2022-07-12 
結審通知日 2022-07-15 
審決日 2022-08-23 
出願番号 2017068447 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (W182528)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 豊田 純一
特許庁審判官 杉本 克治
小田 昌子
登録日 2018-02-23 
登録番号 6021152 
商標の称呼 ユウエスエイプロ、プロ、ピイアアルオオ 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 森 智香子 
代理人 朝倉 美知 
代理人 前田 大輔 

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