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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
管理番号 1394071 
総通号数 14 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-17 
確定日 2023-01-10 
事件の表示 商願2021− 13831拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和3年2月5日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年7月12日付け :拒絶理由通知書
令和3年8月18日 :意見書の提出
令和3年10月18日付け:拒絶査定
令和3年12月17日 :審判請求書の提出

第2 本願商標
本願商標は,「バラの歯磨き粉」の文字を標準文字で表してなり,第3類「歯磨き」を指定商品として,登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は「バラの歯磨き粉」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「バラ」の文字は「バラ科バラ属の低木の総称」の意味を有する語であり,「の」の文字は「材料」等の関係を表す格助詞であり,「歯磨き粉」の文字は「歯を磨くときに,歯ブラシにつけて用いる粉。練り歯磨きについてもいう。」の意味を有する語であるから,本願商標全体からは「バラを使用した歯磨き粉」程の意味合いが容易に認識されるものである。
そして,本願の指定商品を取り扱う業界においては,バラを使用した歯磨き粉が実際に製造・販売されている実情がある。
そうすると,本願商標をその指定商品に使用したときには,これに接する需要者は,「バラを使用した歯磨き粉」であるという商品の原材料,品質を理解するにすぎず,単に商品の原材料,品質を普通に用いられる方法で表示するものと判断するのが相当である。
また,本願商標は,その指定商品中,「バラを使用した歯磨き粉」以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が,「その商品の産地,販売地,品質,原材料,効能,用途,形状(包装の形状を含む。),生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴,数量若しくは価格」を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録を受けることができない旨規定しているのは,このような商標は,指定商品との関係で,「その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性」を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品の識別力を欠くものであることによるものと解される。
そうすると,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,審決の時点において,本願商標が,その指定商品との関係で,「その商品の産地,販売地,品質,形状その他の特性」を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標の指定商品の取引者及び需要者によって本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(知財高裁平成27年(行ケ)第10107号 同年10月21日判決,知財高裁平成27年(行ケ)第10061号 同年9月16日判決)。
2 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は,前記第2のとおり,「バラの歯磨き粉」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「バラ」の文字は「バラ属の観賞用植物の総称。」等の意味を有する語,「の」の文字は「前の語句の内容を後の体言に付け加え,その体言の内容を限定する。」連体格を示す助詞であって「原料・材料を示す」際にも用いられるもの,「歯磨き粉」の文字は「歯をみがくとき歯ブラシなどにつける粉状・練状・液状のもの。」(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の意味を有する語である。
そして,本願の指定商品を取り扱う業界においては,「バラを含む植物あるいはその抽出物を原材料とする歯磨き粉」が一般に販売されている(別掲1)。
また,原審で示した例のほか,当審において職権で調査したところ,本願の指定商品を取り扱う業界においては,原材料の名称と「歯磨き(粉)」の文字(ほかの文字種で表したものを含む。以下同じ。)を組み合わせて,「○○の歯磨き(粉)」の形で「○○を原材料とする歯磨き」であることを示す語として一般に使用されている(別掲2)。
以上からすれば,本願商標は,構成全体として「バラあるいはその抽出物を原材料とする歯磨き粉」の意味合いを容易に認識させるものであって,これをその指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,商品の品質,原材料を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり,自他商品の識別標識としては認識し得ないというのが相当であるから,本願商標は,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
また,本願商標を,その指定商品中,「バラあるいはその抽出物を原材料とする歯磨き粉」以外の商品に使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,「本願商標を構成する「バラ」の文字は多様な意味合いを有する語であるから,本願商標は「バラを使用した歯磨き粉」との意味合いに限定されるものではなく,多様な意味合いを想起させる暗示的な語である。また,「○○の歯磨き粉」又は「○○の歯磨き」(○○には,原材料の表示が入る。)と表現することが一般的に行われているからといって,本願商標における「バラの」の文字を一義的に「バラを使用した」と解した判断は誤りである」旨を主張している。
しかしながら,本願商標の構成,本願商標を構成する「バラ」,「の」,「歯磨き粉」の各文字の語義,並びに別掲1及び2の事実からすれば,前記2のとおり,「バラの歯磨き粉」の文字は,本願の指定商品との関係においては,「バラあるいはその抽出物を原材料とする歯磨き粉」程の意味合いを容易に認識させるものであるから,本願商標は,これをその指定商品について使用するときは,取引者,需要者に対して,当該商品が「バラあるいはその抽出物を原材料とする歯磨き粉」であることを認識させるものであると判断するのが相当である。
(2)請求人は,「「バラの歯磨き粉」の文字は他人によって一般的に使用されていないものであって,本願商標は,多様な意味合いを有する出願人の造語に係る商標であるから,十分に自他商品の識別機能を発揮することができる商標であるし,本願商標について出願人に独占的な権利を認めても,他人は商品の特徴を表す別の具体的な語を用いることができるから何ら困ることはなく,本願商標の独占適応性は否定されない。」旨を主張している。
しかしながら,前記1のとおり,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,審決時点において,本願商標がその指定商品との関係で商品の品質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,その指定商品に使用された場合に,将来を含め,指定商品の取引者,需要者によって商品の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足り,それが取引上現実に使用されていた事実があったことまで必要とするものではないというべきである。
また,本願商標が,その指定商品との関係において,自他商品の識別標識として認識され得ないものであることは,前記2のとおりであって,仮に別の表現を用いることができるとしても,そのことをもって本願商標の独占適応性を肯定すべきでない。
(3)したがって,請求人の主張は採用できない。
4 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 「バラを含む植物あるいはその抽出物を原材料とする歯磨き粉」が一般に販売されている例(下線は合議体による。)
1 ‘マーガレット・ジョセフィン オンラインショップのウェブサイト
「ブレスパレット20 ラベンダー」という商品の紹介ページには,「商品特徴」の項に,「POINT 03 歯周トラブルを防ぐハーブのチカラ」の見出しの下,「5種のハーブエキスとキシリトール配合で,ムシ歯・歯石の沈着・口臭を防ぎます。」の記載がある。
(http://www.mj-shop.jp/fs/haircare/0410200)
2 LIONのウェブサイト
「NONIOハミガキ」という商品の紹介ページには,「特長」の項に「香味は天然ミントを配合した4種類」の記載がある。
(https://www.lion.co.jp/ja/products/433)
3 Green Beaverのウェブサイト
「バクチー&ミント歯磨き」という商品の紹介ページにおいて,「商品詳細」の見出しの下,「清涼感の高いハーブのパクチーは,3000年以上前から抗菌・抗炎症作用が高い薬草として知られています。製品にはパクチーから得られるオイルに加え,ペパーミント油・スペアミントエキスを配合し口内環境を整えながら,マスク生活でさらに気になる口臭予防にもおすすめです。」の記載がある。
(https://www.green-beaver.com/product/17)
4 PARCO ONLINE STOREのウェブサイト
「パルプドヴィ トゥースペーストWH 75mL」という商品の紹介ページには,「アイテムについて」の見出しの下,「本来は廃棄されていたフルーツから抽出した廃棄フルーツエキス配合の歯磨き粉。」の記載がある。
(https://kaeru.parco.jp/items/detail/shop000010417_dc90ec34ee4903c230badcb924913025/)
5 BIOLOUNGEのウェブサイト
「ロゴナ センシティブ カモミール歯磨き」という商品の紹介ページには,「オーガニックセージ,カモミールエキスなどが配合された天然成分由来で作られた,オーガニック歯磨きです。」の記載がある。
(https://biolounge-shop.jp/Logona-%E3%83%BB-%E3%83%AD%E3%82%B4%E3%83%8A-b-499/%E3%83%AD%E3%82%B4%E3%83%8A-%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96-%E3%82%AB%E3%83%A2%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%AD%AF%E7%A3%A8%E3%81%8D-p-28224.html)
6 小売・流通ビジネスのニュースサイト 流通ニュースのウェブサイト
2014年8月25日付けの「ライオン/アロマ用いた歯磨き粉」というタイトルの記事には,「オレンジの花から得られる精油「ネロリ」を基調とした香味を用いた商品を薬用ハミガキ「クリニカエナメルパール」から出す。」の記載がある。
(https://www.ryutsuu.biz/backnumber/commodity/mn3437.html)
7 エスケー石鹸株式会社のウェブサイト
「ロージーミントハミガキ」という商品の紹介ページには,「オーガニック ダマスクローズウォーター配合」の記載に加え,「美しい歯をつくるための6つの植物成分」の見出しの下,「ダマスクローズ」「ローズマリーの花と葉」「パームの実」「ソープナッツ」「カニナバラの果実(ローズヒップ)」「天然ハッカ油」の記載がある。
(https://www.sksoap.co.jp/rosymint/)
8 アットコスメのウェブサイト
「リフレ 薔薇の香りの歯磨きジェル」という商品の紹介ページには,「商品説明」として「口の中にふわっと広がるバラの香りで,歯磨きが上質なリラックスタイムに。キシリトール,ダマスクローズ配合。かわいいピンクのジェルです。」の記載がある。
(https://www.cosme.net/product/product_id/10091442/top)
9 Oral Studioのウェブサイト
「ローズミント」という商品の紹介ページには,「概要」として「ホワイトニング歯磨剤では初めてバラプラセンタ配合。安全性の高い植物性プラセンタ。」の記載がある。
(https://www.oralstudio.net/products/detail/13681)
10 amazonのウェブサイト
「フッ素 なし 歯磨き粉 ローズミント ハミガキ 不動化学 日本製 60g」という商品の紹介ページにおいて,「不動化学の人気バラの歯磨きです!ブルガリアオットーローズ配合」の記載がある。また,「商品の説明」欄に「「ブルガリアオットーローズオイル」は,バラの香りの中で最高級品質で,天然のオイルとして飲むこともできます。」の記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E5%8C%96%E5%AD%A6%E3%83%8F%E3%83%9F%E3%82%AC%E3%82%AD-%E3%80%90%E4%B8%8D%E5%8B%95%E5%8C%96%E5%AD%A6%E3%80%91%E9%A6%99%E3%82%8A%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%BF%E3%81%8C%E3%81%8D%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%83%88%EF%BC%96%EF%BC%90g/dp/B005GB4XMY)

別掲2 原材料の名称と「歯磨き(粉)」の文字を組み合わせて,「○○の歯磨き(粉)」の形で「○○を原材料とする歯磨き(粉)」であることを示す語として使用されている例
1 はちみつ専門店 Y−BEE FARMのウェブサイト
「【医薬部外品】プロポナールデンタル80g(プロポリスの歯磨き粉)」という商品の紹介ページには,「プロポリス抽出液配合 薬用歯みがき」の記載がある。
(https://ybf.jp/?pid=1226687)
2 Beauwellのウェブサイト
「ビューウェル デンタルペースト ハーブ&クレイ」という商品の紹介ページにおいて,「泥とハーブの歯磨き 」(審決注:「泥」の文字の上には「クレイ」の片仮名が小さく表示されている。)の見出しの下,「泥とハーブを配合した口腔エステ歯磨き」(審決注:「泥」の文字の上には「クレイ」の片仮名が,「エステ」の文字の上には「トリートメント」の片仮名が小さく表示されている。)の記載がある。
(https://www.beauwell.jp/dentalpaste)
3 Rakutenにおけるよかいち楽天市場店のウェブサイト
「無添加+天然ハーブの歯磨きジェル 【乳歯ケア】 アラウベビー はみがきジェル みかん味 35g [サラヤ]」という商品の紹介ページには,「■天然ハーブのチカラ:みかん味(天然精油100%)」の見出しの下,「ミカン風味の天然精油配合で楽しく歯磨き。合成香料ではなく,天然精油を採用しているので安心してお使いいただけるうえに,嫌がる歯みがきの習慣づけにお役立ていただけます。」の記載がある。
(https://item.rakuten.co.jp/yoka1/4973512257964/)
4 ボディクレイのウェブサイト
「ねんどのハミガキ」という商品の紹介ページにおいて,「粘土の優れた吸着力で汚れをとり,磨き上がりはツルツルでさっぱり。」という説明が記載されている。
(https://www.bodyclay.info/product10.html)
5 特定非営利法人日本メディカルハーブ協会のウェブサイト
「ハーブの歯磨き粉:抗炎症効果のカレンデュラブレンドや虫歯菌抑制効果のエキナセアブレンド」の見出しの下,「ハーブを使った手作り歯磨きには,余計な化学物質が含まれない安心感があります。また,使用するハーブを自分の口の中の状態に合わせて選ぶことができ,配分量を自由に調節できるのも魅力です。そのため一度手作り歯磨きに慣れると,もう市販品に戻れないという人もいるとか。ハーブの歯磨きにはクレイや重曹などを使った本格的なものもありますが,ここで紹介するのは,ごくシンプルなレシピです。ぜひ毎日の習慣に取り入れてください。」の記載がある。
(https://www.medicalherb.or.jp/archives/236813)
6 アットコスメのウェブサイト
「歯磨撫子 重曹と炭のハミガキ」という商品の紹介ページには,「商品説明」として「重曹と炭パワーで口臭OFF,汚れとニオイのもとをやっつけて爽やか息&健やかな歯に。弱アルカリ性の重曹が酸性に傾いたお口の中を中和してニオイをオフ。さらにお口の汚れを分解して歯もまっ白に。炭が細かい汚れやニオイをしっかり吸着して爽やかな息に。重曹50%以上高配合。重曹のゴロゴロ&ジャリジャリが歯ぐきに気持ちいい。歯間にも入り込むジェルタイプ。」の記載がある。
(https://www.cosme.net/product/product_id/10127609/top)


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審理終結日 2022-11-08 
結審通知日 2022-11-11 
審決日 2022-11-29 
出願番号 2021013831 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W03)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 須田 亮一
板谷 玲子
商標の称呼 バラノハミガキコ、バラ 
代理人 櫻木 信義 

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