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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W45
管理番号 1393393 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-25 
確定日 2023-01-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6516748号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6516748号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6516748号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、令和3年7月26日に登録出願、「ペットの世話,乳幼児の保育(施設において提供されるものを除く。)」を含む第45類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同年11月17日に登録査定され、同4年2月21日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第6254758号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「ソライエキッズ」と「solaie kids」の文字を2段に横書きしてなるもの
指定役務 第43類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 令和元年7月17日
設定登録日 令和2年5月27日
(2)登録第6366745号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定役務 第36類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 令和2年4月28日
設定登録日 令和3年3月22日
(3)登録第5553282号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 「ソライエ」と「SOLAIE」の文字を2段に横書きしてなるもの
指定商品及び指定役務 第9類及び第36類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成24年4月16日
設定登録日 平成25年2月1日
(4)登録第5553284号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品及び指定役務 第9類及び第36類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
登録出願日 平成24年4月26日
設定登録日 平成25年2月1日
(5)登録第6100219号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 別掲4のとおり
指定役務 第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 平成30年3月8日
設定登録日 平成30年11月22日
(6)登録第6281044号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様 「SOLAIECITY THE PARK」と「ソライエシティ ザ・パーク」の文字を2段に横書きしてなるもの
指定役務 第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 令和元年7月29日
設定登録日 令和2年8月17日
(7)登録第6281045号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の態様 「SOLAIECITY THE GARDEN」と「ソライエシティ ザ・ガーデン」の文字を2段に横書きしてなるもの
指定役務 第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
登録出願日 令和元年7月29日
設定登録日 令和2年8月17日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標及び本件商標権者について
ア 本件商標の構成の詳細
本件商標は、図形と文字「SORAIE」との結合商標である。文字「SORAIE」とその上に位置する図形部分とはまとまりよく配置されるものではなく、外観上明瞭に分離しうるものである。
図形部分は全体として正方形とされ、白いS字図形が中央に配置され、S字図形の左側が水色、右側が(グラデーションの入った)青色にそれぞれ配色されている。白いS字図形の左下部(水色部分内)には、白色の円形形状が配置されている。
本件商標の下部に位置する文字部分「SORAIE」は指定役務の普通名称などではなく、商標全体として4音(ソライエ)で一連称呼可能な造語からなるものである。
S字図形から「エス」との称呼が生じるとも考えられるが、当該図形は「Sというローマ字1文字を模した図形」というよりも、「左下から右上に欠けて流れるように配置された曲線からなる単なる図形」と見るのが相当であるから、本件商標から「エスソライエ」という一連の称呼は生じず、生じうる称呼は「ソライエ」である。
そして、造語であって明瞭に視認される文字部分「SORAIE」を勘案すると、本件商標の要部は文字部分「SORAIE」というべきである。
イ 本件商標権者
本件商標権者は「冠婚葬祭互助会を柱とした総合結婚式場・葬斎センター・多目的ホールの運営、各種イベントの企画及び実施等」を事業内容とし、事業のひとつとして葬祭式場(葬儀場)「さがみ典礼」を埼玉県に東武線沿線の32か所を含む93施設、栃木県に東武線沿線の22か所を含む42施設などその近隣県を中心に運営しており、東武線沿線における施設は、いずれの県においてもJR東日本以外の私鉄では、最も多く存在している(甲の6−1〜3)。
また、本件商標権者や本件商標権者の関連会社(甲6−4)は、申立人とはなんら経済的・組織的な関係にない。
(2)申立人の登録商標などについて
ア 申立人の登録商標(ブランド)
申立人は「東武グループ」の中核企業(親会社)であり、主要な業務である鉄道事業(運輸事業)のほか、東武線沿線を中心として多角経営を行っている(甲7−1〜3)。
そして、申立人は、「ソライエ」「Solaie」を含む登録商標を所有している(甲2−1〜7。引用商標1〜7)。引用商標3、4に係る「ソライエ」「Solaie」は申立人の「総合ブランド名」であり、そのほかの引用商標1、2、5〜7は「派生ブランド名」という位置付けである(甲3−1)。
申立人の「ソライエ」「Solaie」に係る不動産事業は、大別して、分譲マンション事業、土地分譲事業、賃貸事業、土地賃貸事業、生活サービス支援事業、分譲戸建事業の6つがある(甲3−1、2)。
(ア)分譲マンション事業
最も大きな事業である分譲マンション事業は、東武鉄道の沿線である埼玉県草加市にて平成24年の「ソライエ谷塚」(62戸)から開始され、「ソライエ」「Solaie」の名を冠するいわゆる「ブランドマンション」が現在までに15物件(合計3427戸)存在し(甲3−1、7)、申立人の幅広い事業の一つとして大きく成長している。分譲マンションだけでも現在3,313戸存在し、1戸あたり少なくとも3人入居していると仮定すると、合計で10,000人を超える入居者が東武線沿線の「ソライエ」「Solaie」の分譲マンションで生活している。
(イ)賃貸事業
賃貸事業では、東武線沿線での賃貸マンション、独身寮、学生寮の誘致に加え、申立人独自による賃貸マンション事業を平成30年3月から展開している。賃貸マンション事業の商標(名称)は、「ソライエアイル」「Solaie I’ll」である(甲3−1)。
また、申立人は東武線沿線でサテライトオフィスを運営し、この商標(名称)を「Solaie+Work」「ソライエプラスワーク」としている(甲3−1)。
そして、申立人は自社の保有地に保育施設・学童保育室を誘致し、この商標(名称)を「Solaie kids」「ソライエキッズ」としている(甲3−2)。
(ウ)分譲戸建事業
分譲戸建事業では、申立人が分譲マンション事業で培った事業やブランド力をもとに、東武線沿線で戸建を含む500区画を越える大規模な街並みを形成し、販売している。「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」のように、この商標(名称)には分譲マンション事業と同様の、総合ブランド名である「Solaie」「ソライエ」が使用されている。
(エ)そのほか
そのほか「Solaie」「ソライエ」に係る商標として、「Solaie 倶楽部」「ソライエナビ/Solaie Navi」「Solaie R」がある(甲3−1、2)。
「Solaie 倶楽部」は、東武沿線における「住まいと暮らし」のサービスを提供するために設立した会員組織であり、現在、会員向けに東武グループの施設やサービスに利用できるクーポンの配布等を行っている。
「ソライエナビ/Solaie Navi」は、「東武沿線ライフを応援する情報サイト」であり、東武沿線の住まいと暮らしの情報を発信することで東武沿線への定住化を促進している。
「Solaie R」は、築年数の経ったマンションに対してリフォーム・リノベーションを行い、再販するプロジェクトである。既存資源の有効活用による環境への配慮、入居世代が高齢世帯になりがちな既存物件にリフォーム等を施すことにより若手世代を呼び込み、空き家問題を解決、時代に応じた住み心地の良い住宅提供など、沿線物件の資産価値向上を目指している。
(オ)まとめ
引用商標3、4に係る「ソライエ」「Solaie」は「東武鉄道のくらしのブランド」を示す申立人の「総合ブランド名」である。そのほかの引用商標1、2、5〜7や商標「Solaie 倶楽部」「ソライエナビ/Solaie Navi」「Solaie R」は、「総合ブランド名」+「事業に関連する用語」との構成からなる商標であり、「ソライエ」「Solaie」の「派生ブランド名」といえる。
イ 申立人による使用について
「ソライエ」「Solaie」ブランド(商標)は、申立人自身が行っている広告的使用とともに、新聞記事、雑誌の記事、テレビ放映など申立人以外の者が行った使用も多数行われている(甲3−3〜11)。
(ア)全国紙での新聞広告(甲3−3)
2012年9月28日から2014年7月22日までの全国紙を中心とした新聞広告である。
(イ)新聞記事(甲3−4)
2012年10月18日から2021年7月5日までの新聞記事である。これらは、読売新聞、産経新聞といった全国紙のみならず、交通新聞、住宅新聞などの業界紙や、埼玉新聞、千葉日報、日経新聞(埼玉版)などの地方紙を含むものである。特に地方紙は埼玉、千葉といった関東地方を対象としている。
(ウ)テレビ放映(甲3−5)
申立人の「ソライエ」については、千葉テレビ、BSジャパン、日本テレビ系(全国放送)でテレビ放送された。
(エ)ラジオ番組の提供
申立人は、2014年4月及び5月に、計5回、分譲戸建事業に係る「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」に関し、その名称を冠番組とするラジオ番組の提供を行っていた。
(オ)雑誌の広告及び記事(甲3−6)
2012年夏から2021年冬までの「ソライエ」、「Solaie」が記載されている雑誌の広告及び記事である。
(カ)チラシ及びパンフレットの印刷、配布(甲3−7〜9)
a 申立人は、2016年より現在までに、分譲マンション事業の「ソライエ」「Solaie」に係るチラシ、パンフレットを印刷、配布しており、それらの印刷部数等は、物件ごとに約84万部ないし約445万部である(甲3−7)。
また、申立人は、分譲マンションのシリーズとして「ソライエ若葉ステーションヴィラ」の開発を行っているが、2022年4月現在、チランは製作していないため、専用サイトのコピーを提出する。
これらのチラシは、申立人の東武線沿線の駅を中心に設置、配布された(現在もされている。)ものである。なお、これらのチラシ、パンフレットはごく一部であり、申立人はこれ以上の広告を積極的に行っており、必要があればさらに使用の証拠を提示する。
b 賃貸事業の「Solaie+Work」「ソライエプラスワーク」に係るパンフレット(甲3−8)は約16,000部印刷され、現在も申立人の東武線沿線の駅を中心に設置、配布されている。
c 分譲戸建事業の「ソライエ」「Solaie」に係るチラシ及びパンフレット(甲3−9)として「ソライエ清水公園アーバンパークタウン」のチラシ及びパンフレットが作成され、その合計は599万枚にのぼっている。
(キ)自社の鉄道車両や駅構内での広告(甲3−10、甲4)
鉄道車両や駅構内における「ソライエ」「Solaie」に係る申立人の広告の状況を示す写真(甲3−10)と、申立人の広告に係るパンフレット「TOBU AD MENU 2020」(甲4)である。これらの広告はごく一部であり、必要があればさらに使用の証拠を提示する。
申立人は自己の総合ブランド名「ソライエ」「Solaie」に係る引用商標3、4や、その派生ブランド名に係る引用商標1、2、5〜7を、自社の鉄道車両内の車内広告や駅構内の看板で長きにわたり広告的な使用をしている。上記パンフレットの「主要駅利用データ」によれば、たとえば1日の乗降人員は459,113人(北千住駅)、148,143人(柏駅)にも上り、申立人の車内広告や駅構内の看板が毎日数十万人もの人に視認されていることがわかる。
したがって、申立人の総合ブランド名「ソライエ」「Solaie」に係る引用商標3、4は東武線沿線において周知といえる。
(ク)鉄道車両の相互乗り入れ(甲4、甲3−10)
申立人の鉄道事業(運輸事業)は、関東地方における他社の鉄道との相互乗り入れを行っている。相互乗り入れには東武鉄道の車両がそのまま使用されることから、「ソライエ」「Solaie」に係る東武鉄道の車内広告は、関東一円にわたり、数百万人の利用者に広く視認される。
(ケ)他社の鉄道への車内広告について(甲3−10、甲4)
申立人は、東武鉄道と相互乗り入れをしていない東京メトロ千代田線内に「ソライエ 葛飾小菅」、つくばエクスプレス内に「ソライエグラン流山おおたかの森」の広告を他社の鉄道会社へ広告料を支払って、車内広告を依頼した。
(コ)ネットでの記事(甲3−11)
2012年6月8日から2021年3月10日までのネットでの記事である。ネット記事の対象は一般向けから(小売サービスや住宅など)特定の業種向けまで様々あり、ここではより多くの需要者を対象とした一般向けを中心に提示してる。必要があれば追って補充や説明が可能である。
(サ)まとめ
以上のように、申立人は自身の広告的使用により自社のブランド名「ソライエ」「Solaie」を著名にするための不断の努力を長年行っている。その結果、自社のブランド名「ソライエ」「Solaie」は申立人以外の者によっても多数取り上げられるまでになった。
申立人の商標「ソライエ」「Solaie」は全国的にくまなく知られた「著名」又は少なくとも東武線及び相互乗り入れを行っている地域や、ラジオ放送された地域など関東地方一帯においては「周知」なものと理解される。
(3)申立人と本件商標権者の関係について
本件商標権者は、申立人と「広告の受発注」の関係があるが、経済的又は組織的な関係などこれ以上の関係は一切ない。
ア 広告の受発注
本件商標権者は東武線沿線で事業を行っており、自己の事業に係る「さがみ典礼」の広告を申立人に依頼している。申立人は、本件商標権者の依頼を受けて「さがみ典礼」の広告を東武線沿線の各駅(越谷駅、北大宮駅、羽生駅、新田駅)において、平成10年から現在まで長きにわたり掲載している(甲5)。なお、この広告はごく一部であり、実際にはこれ以上に長きにわたり本件商標権者の広告が掲載されている。
イ 申立人の東武グループ
申立人は「東武グループ」の中核企業(親会社)であり、東武グループには、住宅産業15社、流通産業15社、レジャー産業21社、交通産業(旅客)19社、交通産業(貨物)7社が属している(甲7−1〜3)。各産業の詳細が必要であれば追って説明する。
そして、本件商標権者や本件商標権者の関連会社(甲6−4)は、申立人の東武グループ(甲7−3)に属する会社ではなく、申立人と経済的・組織的な関係にはない。
ウ まとめ
以上のとおり、本件商標権者は、申立人の沿線で営業活動をしているものの、申立人と「広告の受発注」との関係しかなく、申立人が中核となる東武グループの関連会社ではない。本件商標権者は、申立人による本件商標の出願を知ることはなく、また、申立人と経済的・組織的な関係は一切ない。
(4)商標法第4条第1項第15号違反について
ア 商標の類似性について
ここでは、本件商標と、引用商標3、4との類否について述べる。上記で述べたとおり、そのほかの引用商標1、2、5〜7は「ソライエ(Solaie)」+「事業に関連する用語」から構成される商標(派生ブランド名)にすぎないからである。
(ア)本件商標の外観、称呼、観念
本件商標は、上記(1)アのとおりの構成であり、その外観はS字図形と文字「SORAIE」とは分離して認識されるものであり、本件商標から生じる称呼は文字部分から生じる「ソライエ」である。また、S字図形や、造語である文字「SORAIE」から特定の観念は生じない。
(イ)引用商標3、4の外観、称呼、観念
引用商標3は「ソライエ/SOLAIE」からなり、「ソライエ」の称呼を生じる。外観上、上段はカタカナのみ、下段はローマ字(すべて大文字)から構成されている。
引用商標3は造語であって特段の観念を生じない。
引用商標4は青字のローマ字(語頭は大文字、それ以外は小文字)がロゴ化された「Solaie」からなり、「ソライエ」の称呼を生じる。引用商標3、4は、ローマ字の大文字小文字、標準文字商標などの違いはあるが、ローマ字のつづりはいずれも「SOLAIE」と一致している。引用商標4も、引用商標3と同様に造語であって特段の観念を生じない。
(ウ)比較
本件商標及び引用商標3、4は、いずれも同一の称呼「ソライエ」を生じ、特段の観念を生じない。外観上、本件商標のS字図形の有無、ローマ字の「L」「R」、ロゴなどの相違はあるが、称呼及び観念の同一性を覆すほどの相違点ではない。
外観、称呼、観念を勘案すると、本件商標と引用商標3、4は全体として類似している。
イ 申立人の商標の周知性について
上記(2)で述べたことに加え、審査例(甲8)からも、引用商標3、4は(著名又は少なくとも)関東地方において周知といえる。
ウ 本件商標権者と申立人の関係について
上記(3)のとおり、本件商標権者は申立人が中核となる東武グループの関連会社ではなく(甲7−1〜3)、申立人と経済的・組織的な関係は一切ない。
エ まとめ
上記(3)のとおり、本件商標権者は、申立人が中核となる東武グループの関連会社ではなく、申立人と経済的・組織的な関係は一切ない。
むしろ、本件商標権者が申立人の東武線沿線で営業活動を継続して行っていること、「広告の受発注」の関係があること、引用商標3、4の周知性や造語であることを鑑みれば、本件商標権者が申立人の周知商標「ソライエ」「Solaie」を知って「葬儀の執行」などを指定して出願した可能性は否定できないものと思慮する。
このような本件商標権者が申立人の許諾なく申立人の商標と同一又は類似する本件商標を使用すると、申立人と経済的または組織的になんらかの関係がある者の業務に係る役務であると、特に東武線沿線を中心とした関東地方の需要者が役務の出所を混同するおそれがある。
特に、「ソライエ」「Solaie」の分譲マンションは現在3,313戸存在し、合計で10,000人を超える入居者が生活している。もし「ソライエ」「Solaie」の分譲マンションと無関係の本件商標権者が、本件商標を役務「葬儀の執行」と関連する葬儀場に使用した場合、10,000人を超える入居者は「自身の分譲マンションと何らかの関係がある葬儀場である」と容易に認識しうるものである。
もし本件商標権者により「ソライエ」十「地名」からなる名称の葬儀場が近隣に建設された場合、分譲マンションの入居者や近隣住民などが、当該葬儀場を「分譲マンションの「ソライエ」の出所である申立人が行う葬儀場である」と誤認する可能性は十分にある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(5)商標法第4条第1項第11号違反について
以下、本件商標と引用商標1及び2との商標及び指定役務の比較を述べる。
ア 商標の比較
(ア)称呼
本体商標から生じる称呼は、上述のとおり文字部分「SORAIE」から生じる「ソライエ」である。
引用商標1は、上段がカタカナ「ソライエキッズ」、下段がローマ字「Solaie Kids」からなる二段併記の商標である。上段や下段から「ソライエキッズ」「ソライエ」「キッズ」の称呼を生じる。なお、「Kids」「キッズ」部分は英語で「こども」の意味を有し、指定役務「保育所における乳幼児の保育」との関係ではその役務の特徴(対象)を表す部分であって識別力がないものである。また、空白の位置を勘案すると、「Solaie」部分と「Kids」部分とを明確に分離することができる。要部は「ソライエ」「Solaie」となる。
引用商標2は、上段がローマ字「Solaie+Work」、下段がカタカナ「ソライエ プラスワーク」からなり、「ソライエプラスワーク」「ソライエワーク」「ソライエ」「プラスワーク」の称呼を生じる。なお、「Work」「ワーク」部分は、英語で「仕事」の意味を有し、指定役務「オフィススペースの貸与並びにこれらに関するコンサルティング及び情報の提供」との関係ではその役務の特徴(態様)を表す部分であって識別力がないものである。「+」「プラス」部分は、「〜を加えて」との意味にすぎず、指定役務との関係で特段識別力がないものである。また、「ソライエ プラスワーク」との空白の位置や色彩を勘案すると、「ソライエ」部分と「プラスワーク」部分とを明確に分離することができる。よって、要部は「ソライエ」「Solaie」である。
(イ)外観
本件商標はS字図形と文字部分「SORAIE」とから構成されており、その詳細は上述したとおりである。
引用商標1の外観は二段併記の文字のみからなる商標「ソライエキッズ/Solaie Kids」である。引用商標2の外観はその上段がロゴ化された「Solaie+Work」、下段が「ソライエ プラスフーク」からなる。
各要部に該当する部分、すなわち、本件商標の「SORAIE」部分と、引用商標1の「solaie」部分及び引用商標2の「Solaie」部分とは、ローマ字「R」「L」以外のスペル(文字並び)が共通している。
(ウ)観念
本件商標の要部「SORAIE」部分、引用商標1、2の要部「solaie」「Solaie」部分はすべて造語であり特定の意味を有しない。商標全体では、引用商標1の観念は「ソライエ(造語)のこども」、引用商標2の観念は「ソライエ(造語)足す仕事」である。
(エ)まとめ
本件商標、引用商標1、2の要部は、いずれも「ソライエ」との共通の称呼、外観、観念を生じる。引用商標1、2においては、識別力がない部分を勘案しても、造語であって語頭に位置する「ソライエ」「Solaie」の印象が需要者をして強く認識される。
よって、本件商標、引用商標1、2は、商標全体において類似する。
イ 指定役務の比較
本件商標の指定役務中、「ペットの世話,乳幼児の保育(施設において提供されるものを除く。)」は、引用商標1、2の指定役務中、「動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育」と同一である。
ウ 申立人と本件商標権者との関係
上記で述べたとおり、本件商標権者は、申立人の東武グループに所属していない。引用商標1、2の商標権者(申立人)は、本件商標権者と支配関係や協力関係、事業関係などになく、本件商標権者に対する他人にすぎない。
エ まとめ
以上より、本件商標は、他人である申立人が所有する引用商標1、2に類似し、指定役務が同一であるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(6)商標法第4条第1項第19号違反について
上記商標法第4条第1項第15号、同項第11号違反ではない場合、本件商標は同項第19号違反に該当する。
周知性、商標の類似性について
上記で述べたように、申立人の商標、特に引用商標3、4は、著名又は少なくとも関東地方において周知である。
引用商標と本件商標との類似性は上記に述べたとおりである。
不正の目的について
上記のとおり、申立人の引用商標3、4は関東地方において周知である。
また、引用商標3、4は「ソライエ」「Solaie」からなり、特段の観念を生じない造語である。
さらに、本件商標権者は、申立人が中核となる東武グループの関連会社ではない。
上記(4)で述べたとおり、本件商標権者が本件商標を申立人の業務と関連のない役務「葬儀の執行」などに使用した場合、申立人が引用商標3、4などを「分譲・賃貸マンション、保育施設、サテライトオフィスなど」に使用して商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれが否定できない。
また、申立人の分譲マンションを購入し居住する10,000人を超える入居者が、マンションと全く関係のない役務「葬儀の執行」との関係を誤認する可能性がある。この場合、本件商標に係る出願は、本号における「他人に損害を加える目的」、すなわち「その名声等を毀損させる目的をもって出願したもの」に該当する可能性は否定できない。
よって、本件商標は、不正の目的をもつて使用するものといえる。
ウ まとめ
本件商標は、他人である申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内(特に関東地方)における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標である。また、本件商標を指定役務「葬儀の執行」(葬儀場)などに使用することで、申立人の分譲マンションに居住する10,000人を超える入居者がその出所を混同するといった不正の目的がある。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に達反して登録されたものである。
(7)商標法第4条第1項第7号違反について
上記で述べたように、申立人の商標、特に引用商標3、4は、(著名又は少なくとも)関東地方において周知である。
本件商標権者は、埼玉県や栃木県などの東武線沿線に多数の葬儀場を所有している(甲6−1〜3)から、周知な引用商標3、4に係る事業を知っていたと考えるのが自然である。つまり、本件商標は、周知な引用商標3、4がなければ選択されなかったというべきである。
してみれば、本件商標は、周知な引用商標3、4が持つ周知性及び顧客吸引力に便乗する意図のもとで出願されたものと推認され、引用商標3、4に係る「ソライエ」「Solaie」の事業主体と何ら関係のない一私人に指定役務について独占使用を認めることは、一般的道徳観念に照らして穏当ではなく、公の秩序又は善良の風俗を害するものである。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標等の周知性について
申立人主張の全趣旨から、申立人は引用商標3及び4のほか、それらに係る標章「ソライエ」「Solaie」(以下、前者を「引用標章1」、後者を「引用標章2」ということがあり、両者をまとめて「引用標章」という。)も著名又は少なくとも関東地方において周知である旨主張していると認められるので、引用商標3、4及び引用標章(以下、これらをまとめて「引用標章等」という。)について周知著名性を検討することとする。
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報、新聞記事情報など)によれば、申立人は「東武グループ」の中核企業であり、鉄道事業、不動産事業のほか、東武線沿線を中心に多角経営を行っていること(甲7−1〜3)、申立人は引用標章(色彩、書体の異なるものを含む。)を平成24年頃から現在まで、分譲マンション事業、土地分譲事業、賃貸事業、土地賃貸事業、生活サービス支援事業、分譲戸建事業に使用しているほか、分譲マンション事業については地名などに「ソライエ」の文字を冠し「ソライエ○○」のように、賃貸マンション事業については「Solaie I’ll(ソライエアイル)」のように使用していること(甲3、職権調査)、「ソライエ」の文字を冠した分譲マンション(以下「申立人分譲マンション」という。)は、平成24年頃から現在までに、埼玉県の8物件、東京都の3物件、千葉県の4物件の合計15物件(3,427戸)が販売されていること(甲3−1、7)、申立人は申立人分譲マンションなどの広告を新聞、鉄道車両、駅などに掲載し、チラシ、パンフレットを相当数配布したこと(甲3−3、6〜10)、申立人分譲マンションは新聞、テレビ番組、雑誌、インターネットなどで相当数紹介等されていること(甲3−4〜6、11)、賃貸マンションは東京都及び埼玉県に計4物件(236戸)であること(甲3−1)、並びに、本件商標権者は事業の一つとして葬祭式場(葬儀場)「さがみ典礼」を運営し、当該式場を東武線沿線では埼玉県内に27、栃木県内に21有していること(甲5、甲6)、東武線沿線のいくつかの駅などに葬祭式場「さがみ典礼」の広告が掲載されていること(甲5)などが認められる。
イ 上記アのとおり、申立人は、鉄道事業、不動産事業のほか、東武線沿線を中心に多角経営を行っており、引用標章及びそれらを構成中に含む標章を、平成24年頃から現在まで、分譲マンション事業、賃貸マンション事業などについて使用し、「ソライエ」の文字を冠した分譲マンション(申立人分譲マンション)は平成24年頃から現在まで、埼玉県、東京都、千葉県の合計15物件(3,427戸)が販売され、それら申立人分譲マンションは新聞、テレビ番組、鉄道車両、雑誌、チラシ、パンフレットなどで相当程度広告、紹介等されていたことが認められることから、申立人分譲マンション及び引用標章は、申立人の業務に係る分譲マンションとして及び同分譲マンションを表示するものとして、いずれも需要者の間である程度知られているものということができる。
しかしながら、申立人が事業を展開している地域は東武線沿線を中心とする関東地方に限られており、何より販売された申立人分譲マンションは平成24年頃から現在までの約10年間で首都圏における15物件(3,427戸)にすぎないことからすれば、チラシなどの印刷部数、各駅の乗降者数、賃貸マンション等の賃貸事業に係る物件数などを考慮しても、申立人分譲マンション及び引用標章は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人の業務に係る分譲マンションとして及び同分譲マンションを表示するものとして、いずれも全国はもとより、関東地方など一定の地域の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、申立人はチラシ、パンフレットなど引用標章の使用の証拠を追加提出することが可能である旨述べているが、それらによって上記判断が覆るものとは認められないから、当該証拠は求めないこととした。
ウ そうすると、上記2(3)のとおり「ソライエ」と「SOLAIE」の文字からなる引用商標3及び別掲3のとおり「Solaie」の欧文字を水色で表してなる引用商標4も、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないというのが合理的である。
したがって、引用標章等は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
なお、引用標章等が申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして外国における需要者の間に広く認識されているものと認め得る証左、及び、引用商標1、2、5ないし7が同じく我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認め得る証左はいずれも見いだせない。
さらに、申立人は過去の審査例を挙げているが、商標の周知性の判断は過去の審査例に拘束されることなく、個別に判断されるべきものであるから、一つの審査例によって上記判断が左右されるものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、本件商標は引用商標3及び4との関係で本号に該当する旨主張しているので、以下、検討する。
ア 本件商標と引用商標3及び4の類否
(ア)本件商標
本件商標は別掲1のとおり、図形と「SORAIE」の欧文字からなるものであり、上部の図形は、全体が略正方形に描かれ、右上から左下にS字状に下方が広がるように白抜きし、その左側が水色で、右側が青色のグラデーションで表され、左側の水色部分の下部には円形が白抜きで表され、下部の「SORAIE」の文字は水色で表されている。
そして、本件商標は、その構成中の文字「SORAIE」に相応し「ソライエ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(イ)引用商標3及び4
引用商標3は、上記2(3)のとおり「ソライエ」及び「SOLAIE」の文字を2段に横書きしてなり、引用商標4は別掲3のとおり「Solaie」の文字を水色で表してなり、いずれもその構成文字に相応し「ソライエ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(ウ)本件商標と引用商標3及び4の類否
本件商標と引用商標3及び4の類否を検討すると、外観においては、本件商標が図形と文字から構成されているのに対し、引用商標は文字のみから構成されているから、両者は明瞭に区別し得るものである。そして、本件商標の文字部分と引用商標3の比較においても、片仮名表記の有無、欧文字表記の3文字目の「R」と「L」の差異により、また、引用商標4とは、大文字と小文字の差異、3文字目の「R」と「l」の差異により、いずれも区別し得るものとみるのが相当である。
次に、称呼についてみると、本件商標と引用商標3及び4は「ソライエ」の称呼を共通にするものである。
さらに、観念においては、両者は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標3及び4とは、称呼を共通にするものの、観念において比較することができないものであり、外観において図形の有無により明瞭に区別し得るものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
イ 混同のおそれ
上記(1)のとおり引用商標3及び4は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記アのとおり本件商標は、引用商標3及び4と相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標というべきものであるから、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用商標3及び4を連想又は想起させることはなく、その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、引用標章との関係を含め、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第11号について
申立人は、本件商標は引用商標1及び2との関係で本号に該当する旨主張しているので、以下、検討する。
ア 本件商標と引用商標1及び2の類否
(ア)本件商標
本件商標は、上記(2)ア(ア)のとおりの構成からなり、「ソライエ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(イ)引用商標1及び2
引用商標1は、上記2(1)のとおり「ソライエキッズ」と「solaie kids」の文字を2段に横書きしてなり、その構成文字に相応し「ソライエキッズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
引用商標2は、別掲2のとおり、上段に「Solaie」の文字を水色で、「+Work」の文字を紫色で表し、下段に小さく「ソライエ プラスワーク」の文字を水色で表してなり、該文字に相応し「ソライエプラスワーク」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
(ウ)本件商標と引用商標1及び2の類否
本件商標と引用商標1及び2の類否を検討すると、外観においては、両者の上記のとおりの外観は構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。なお、両商標の構成文字の比較においても、両者の上記のとおりの構成文字は文字数、構成態様が明らかに異なり、相紛れるおそれのないものである。
次に、本件商標から生じる「ソライエ」の称呼と引用商標1及び2から生じる「ソライエキッズ」及び「ソライエプラスワーク」の称呼を比較すると、両者は「キッズ」又は「プラスワーク」の音の有無の差を有し、構成音数、語調語感が明らかに異なるから、相紛れるおそれのないものである。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標1及び2は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
(エ)申立人の主張について
申立人は、引用商標1の構成中「Kids」「キッズ」の部分は指定役務「保育所における乳幼児の保育」との関係で識別力がない、引用商標1の空白の位置を勘案すると「Solaie」と「Kids」とを明確に分離することができるとして、引用商標1の要部は「ソライエ」「Solaie」となる旨、及び引用商標2の「Work」「ワーク」部分は指定役務「オフィススペースの貸与並びにこれらに関するコンサルティング及び情報の提供」との関係で識別力がない、「+」「プラス」部分は「〜を加えて」との意味にすぎず指定役務との関係で識別力がない、「ソライエ プラスワーク」の空白の位置や色彩を勘案すると「ソライエ」部分と「プラスワーク」部分とを明確に分離することができるとして、引用商標2の要部は「ソライエ」「Solaie」である旨主張している。
しかしながら、引用商標1は、その構成中「ソライエキッズ」及び「solaie kids」の各文字はいずれも同書同大でまとまりよく一体的に表され、その称呼「ソライエキッズ」は無理なく一連に称呼し得るものである。
また、引用商標2は、その構成中「Solaie +Work」の文字は色彩が異なるものの同書同大でまとまりよく一体的に表され、「ソライエ プラスワーク」の文字は同じ色彩で同書同大でまとまりよく一体的に表され、その称呼「ソライエプラスワーク」は無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、引用商標1及び2は、それらの上記のとおりの構成及び称呼においては、「ソライエキッズ」「solaie kids」「Solaie +Work」「ソライエ プラスワーク」の各文字は一体不可分のものとして認識、把握されるものとみるのが相当である。
また、他に、引用商標1及び2の構成中「ソライエ」「Solaie」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討すべきとする事情は見いだせない。
したがって、申立人のかかる主張は採用できない。
その他、本件商標と引用商標1及び2が類似するというべき事情は見いだせない。
イ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標1及び2は非類似の商標であるから、両商標の指定役務の一部が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(4)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号について
申立人は、本件商標は引用商標3及び4との関係で本号に該当する旨主張していると認められるので、以下、検討する。
上記(1)のとおり引用商標3及び4は、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして我が国又は外国における需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)アのとおり本件商標と引用商標3及び4は、相紛れるおそれのない非類似の商標であって別異の商標であり、上記(2)イのとおり本件商標は、引用商標3及び4を連想又は想起させるものではない。
そうすると、本件商標は、引用商標3及び4の名声等を毀損させる、引用商標3及び4の周知性及び顧客吸引力に便乗するなど不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
なお、引用標章及び引用商標1、2、5ないし7との関係を含めても、本件商標が不正の目的をもって使用をするものと認めることはできない。
さらに、本件商標が、その出願及び登録の経緯に社会的相当性を欠くなど、公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号のいずれにも該当するものといえない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標 色彩は原本参照。)


別掲2(引用商標2 色彩は原本参照。)


別掲3(引用商標4 色彩は原本参照。)


別掲4(引用商標5 色彩は原本参照。)


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異議決定日 2022-12-22 
出願番号 2021092129 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W45)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 旦 克昌
特許庁審判官 清川 恵子
大森 友子
登録日 2022-02-21 
登録番号 6516748 
権利者 アルファクラブ武蔵野株式会社
商標の称呼 ソライエ、エス 
代理人 藁科 孝雄 
代理人 藁科 えりか 
代理人 齋藤 晴男 
代理人 齋藤 貴広 

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