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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1393389 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-04-08 
確定日 2022-12-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第6506685号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6506685号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6506685号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lisse」の文字を標準文字で表してなり、令和3年5月31日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,シャンプー,歯磨き,香料,香水類,アフターシェーブローション,精油,化粧用クリーム,クレンジングクリーム,コールドクリーム,ハンドクリーム,ひげそり用クリーム,日焼け止めクリーム,漂白クリーム,ファウンデーションクリーム,リップクリーム,頭髪用化粧品,ヘアートリートメント,ヘアーリンス,ヘアーコンディショナー,ヘアーローション」及び第5類「消毒剤,外皮用薬剤,皮膚用殺菌消毒剤,衛生用殺菌消毒剤,医療用せっけん,消毒用せっけん,抗菌せっけん,手洗い用抗菌せっけん,医療用化粧品、せっけん類及び歯磨き,サプリメント,栄養補助食品,毛髪用剤,殺菌剤,除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。)」を指定商品として、同4年1月24日に登録査定、同月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は、以下の2件(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)であり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4811708号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LIESE」の文字を標準文字で表してなり、平成16年3月4日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同年10月22日に設定登録されたものである。
(2)登録第5212745号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおり「Liese」の欧文字と「リーゼ」の片仮名を二段に書してなり、平成20年6月5日に登録出願、第3類「せっけん類,薫料,化粧品,歯磨き,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同21年3月13日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品中、第3類「化粧品,香水類,アフターシェーブローション,化粧用クリーム,クレンジングクリーム,コールドクリーム,ハンドクリーム,ひげそり用クリーム,日焼け止めクリーム,漂白クリーム,ファウンデーションクリーム,リップクリーム,頭髪用化粧品,ヘアートリートメント,ヘアーリンス,ヘアーコンディショナー,ヘアーローション」(以下「申立てに係る指定商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、申立てに係る指定商品についての登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、商品「薬用消毒ハンドミルク」に、書体を変更した態様で使用されている(甲1の1)。
(2)引用商標について
引用商標は、スタイリング剤やヘアカラー剤について、「Liese」として申立人が1980年から現在に至るまで約40年にわたり実際に使用し続けているヘアスタイリングブランドである(甲4の1、甲4の1の1)。そして、申立人の宣伝広告・商品開発等の努力の結果、女性スタイリング剤市場では24年連続シリーズ売上げ首位(1995年1月〜2018年12月金額シェア)となる等(甲4の2〜5)し、2021年1月ないし12月における「ヘアライトナーシェアトレンド」において1位となり、同時期の「スタイリング剤シェアトレンド」についても上位に位置している(甲4の6、7)。
また、化粧品情報サイトにおけるランキングにおいて、ヘアカラー部門で第1位になる等、申立人のヘアスタイリングブランド「Liese」のヘアスタイリング剤やヘアカラー剤は注目を集め(甲4の8〜10)、ヘアスタイリングブランドとして需要者・取引者間において知られているものである。
2019年にはパッケージが現在のものに刷新され、特に2022年2月には人気商品である染髪剤「リーゼ 泡カラー」について、1990年代半ば以降に生まれたZ世代を意識してリニューアルを行ったことが話題となり、「日経MJ(流通新聞)」に大きく取り上げられた(甲4の11)。
また、引用商標に関するヘアスタイリングブランド「Liese」の商品は雑誌に掲載され(甲4の12〜16)、2020年からの雑誌掲載の事例は90件を超える(甲4の17)。
(3)件外商願2007−49603号「Lisse」について
申立人は、本件商標「Lisse」と同一のスペルで構成される上記件外商標について、引用商標1を含む先行商標と類似するものとして、拒絶査定(商標法第4条第1項第11号)となった事例を確認した。すなわち、本件商標と引用商標は欧文字の5文字中の4文字が共通するため、視覚からの印象が近似し、本件商標と引用商標とは外観上、相紛らわしいものとして判断され得る。特に、商標類否判断における商標の観察方法について、「商標の類否は、時と場所を異にする離隔的観察により判断される」ことよりすれば、本件商標と引用商標は相紛らわしいものとして判断される。したがって、本件商標と引用商標とは外親上類似する商標である。
また、過去の審決例において、欧文字で構成される商標について外観類似が判断された事例(甲6の1、2)が示すとおり、欧文字で構成された商標について、スペルが近似する場合に外観類似と判断されており、上記審決例の判断からすれば、本件商標と引用商標についても外観上類似するものとして判断されるのが相当である。
申立人は、本件商標を本件指定商品の「頭髪用化粧品」及びこれに類似する商品について使用された場合、申立人のヘアスタイリングブランド「Liese」との間で需要者・取引者間において混同が生ずるおそれがあるとの懸念から、今般、異議申立を行った。
なお、商標法第38条第5項かっこ書きによれば、登録商標の書体の変更や欧文字の大文字・小文字の変更は、当該登録商標の使用として認められるところ、本件商標を申立人のヘアスタイリングブランド「Liese」と同一書体で表示する(甲7)と、本件商標と引用商標は、欧文字5文字中の4文字が共通し語順も同一であるため、この場合、視覚からの印象は酷似し、需要者・取引者間において互いに紛らわしいものとして判断され得る。実際の商取引においては、時と場所を異にする離隔的観察により判断されることを考慮すれば、尚更、本件商標と引用商標との間で出所の混同が生ずるおそれがあることは明らかである。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは5文字中4文字が共通し、差異は中間における1文字にすぎないため、視覚からの印象が近似し、外観上相紛らわしいものとして判断されるものである。
(4)本件商標と引用商標の称呼類似について
本件商標からは、欧文字の構成に応じて「リッセ」の称呼が生じ得る。他方、引用商標からは、「リーゼ」の称呼が生ずる。
本件商標「Lisse」から生ずる「リッセ」と引用商標から生ずる「リーゼ」は、語頭の「リ」が共通し、「リ」の後ろに「ッ(促音)」と「ー(長音)」という差異、語尾には「セ」と「ゼ」の差異はあるものの、中間における促音と長音の差異は、必ずしも正確に発音されるものではなく、いずれもアクセントのかかる「リ」の音に吸収されてしまうため聴取し難い。
さらに、語尾の「セ」と「ゼ」の差異は、ともに50音図の同行に属する音「セ」(se)の濁音と清音の差異にすぎず、ともに調音位置を同じくする極めて近似した音であって、いずれも末尾に位置し、明瞭には聴別し難い音であるから、両商標の称呼の全体をそれぞれ一連に称呼するときには、彼此相紛れるおそれがある。
したがって、本件商標と引用商標とは称呼においても相紛らわしいものとして判断され得るため、称呼上類似する商標である。
なお、本件商標と引用商標とは、共に特定の観念が生ずることのない造語として看取されるものであるから、比較すべき観念はないが、上述のとおり、本件商標と引用商標とは外観及び称呼において類似する商標であることは明らかである。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、類似する商標であって、その指定商品も同一・類似であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「Lisse」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、「滑らかな、すべすべした」(株式会社三省堂 クラウン仏和辞典第7版)の意味を有するフランス語であるものの、我が国において親しまれた語とはいえないから、一種の造語とみるのが相当であり、特定の観念を生じないものである。そして、欧文字からなる造語については、これを称呼する場合には、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「リッセ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1
引用商標1は、上記2のとおり「LIESE」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないことから、特定の観念を有しない一種の造語として認識、把握されるものである。そして、欧文字からなる造語については、これを称呼する場合には、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して、「リーゼ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標2
引用商標2は、別掲のとおり、「Liese」の欧文字と「リーゼ」の片仮名を上下二段に書してなるところ、上段の「Liese」の文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないことから、特定の観念を有しない一種の造語として認識、把握されるものである。また、下段の「リーゼ」の片仮名は、上段の「Liese」の欧文字の読みを特定したものと無理なく理解されるものである。
そうすると、引用商標2は、その構成文字に相応して「リーゼ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)外観
本件商標と引用商標との類否について検討するに、本件商標と引用商標1は、それぞれ上記ア及びイ(ア)のとおりの構成よりなるところ、両者は3文字目以降において、「s」と「E」という構成文字の差異を有することに加え、本件商標は、2文字目以降が小文字で表されているのに対し、引用商標1は、全て大文字で表され、その構成及び態様が相違するものであるから、外観上明確に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標2は、それぞれ上記ア及びイ(イ)のとおりの構成からなるところ、両者は片仮名の有無において差異を有することに加え、欧文字部分を比較しても、両者は3文字目において「s」と「e」の文字が相違するものであるから、外観上明確に区別し得るものである。
(イ)称呼
本件商標から生じる「リッセ」の称呼と、引用商標から生じる「リーゼ」の称呼とを比較すると、両者は中間において「ッ(促音)」と「ー(長音)」の差異を有し、かつ、語尾において、「セ」と「ゼ」の音を異にするものであって、かかる差異が、3音という短い音構成からなる両商標全体に及ぼす影響は大きいというべきであるから、両者は明瞭に聴別し得るものである。
(ウ)観念
本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができない。
(エ)まとめ
そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較できないものの、外観及び称呼において相紛れるおそれがないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標と引用商標を相互に同一の書体とした場合、視覚からの印象が酷似し、両商標の称呼全体をそれぞれ一連に称呼するときには、相紛れるおそれがある旨主張しているが、上記ウのとおり、本件商標と引用商標は、両商標の外観、観念、称呼等を総合して全体的に考察すれば、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
また、申立人は、過去の審査例(商願2007−49603号)を挙げて、これが引用商標1を含む先行商標と類似するとの理由をもって拒絶査定がなされているから、本件商標についても拒絶されるべきである旨主張しているが、職権をもって調査したところによれば、該商標登録出願は、意見書の提出もなく、拒絶をすべき旨の査定が確定しているものであり、このような審査における一例が、本件商標についての類否判断に直ちに影響を及ぼすものとはいい難い。
さらに、過去の審決例等は、商標の構成態様や指定商品等において本件とは事案を異にするものといえ、本件商標とこれらの事件を同一に論じ、該審決例等の存在をもって、本件商標の登録の適否の判断基準とするのは必ずしも適切とはいえない。
したがって、申立人のかかる主張は採用することができない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではなく、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲(引用商標2)


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-12-14 
出願番号 2021066429 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 鈴木 雅也
小林 裕子
登録日 2022-01-31 
登録番号 6506685 
権利者 スリーアール株式会社
商標の称呼 リッセ、リセ 
代理人 仲村 圭代 
代理人 遠藤 聡子 
代理人 大木下 香織 
代理人 小野 博喜 
代理人 筒井 宣圭 
代理人 羽切 正治 
代理人 有吉 修一朗 
代理人 森田 靖之 

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