• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1393365 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-11-18 
確定日 2022-12-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第6438146号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6438146号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6438146号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和2年9月4日に登録出願、第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),ケーキ」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同3年8月4日に登録査定され、同年9月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第324654号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 「マリン」(縦書き)
指定商品 第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成12年5月10日書換登録)
登録出願日 昭和13年11月26日
設定登録日 昭和14年11月28日
2 登録第1344216号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 「マリン」(横書き)
指定商品 第29類ないし第31類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成21年1月21日書換登録)
登録出願日 昭和45年7月21日
設定登録日 昭和53年9月19日
3 登録第2446372号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成 「マリーン」(横書き)
指定商品 第29類ないし第31類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成14年5月8日書換登録)
登録出願日 昭和53年6月26日
設定登録日 平成4年8月31日
4 登録第2585641号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成 「marine」(横書き)
指定商品 第29類ないし第31類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成15年7月2日書換登録)
登録出願日 昭和53年12月1日
設定登録日 平成5年10月29日
5 登録第2704160号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成 「マリン」(縦書き)
指定商品 第29類ないし第32類に属する商標登録原簿に記載の商品(平成16年11月10日書換登録)
登録出願日 昭和57年11月18日
設定登録日 平成7年2月28日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第30類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 本件商標について
(1)本件商標から二段目(「MARINE」の文字部分)が分離観察できること
本件商標の構成において「MARINE」の文字部分は、中央に位置し、他の構成部分がモノトーンで配色される中、濃いピンク色の極端な太線の中に白色のインラインが施された華やかな飾り文字で大書されており、他の文字部分よりも大きさ、配色及び字体が顕著に区別されて表されている。
そうすると、「MARINE」の文字部分は、看者の注意を引きやすいものであり、商品・役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということができ、当該「MARINE」の文字部分だけを分離して抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することも許されるものである。
なお、「MARINE」の文字部分と、その下の「HOUSE」の文字部分とは、彩色の有無・装飾の有無・文字の大きさ・線の太さなど、「HOUSE」の文字部分に比べ、「MARINE」の文字部分の方が看者に強烈な印象を与える構成であるから、両者は一体不可分なものとして抽出されるべきではない。
(2)「MARINE」の文字部分から生ずる外観・称呼・観念
「MARINE」の文字部分の外観は、前述のとおり、華やかな装飾文字である。そして、「MARINE」は平易な英語であるところ、「マリン」又は「マリーン」の称呼が生じ、「海洋の・海産の・海運の・海軍の」等の観念が生じる。
2 引用商標の外観・称呼・観念
引用商標4「marine」は、平易な英語であり、「マリン」又は「マリーン」の称呼が生じ、引用商標1ないし3及び5は、片仮名から構成されたものであるから、その表記のとおりの称呼が生じる。
また、よく知られた外来語として、引用商標はいずれも「海洋の・海産の・海運の・海軍の」等の観念が生じる。
3 本件商標の「MARINE」の文字部分と引用商標との対比
(1)外観
本件商標の「MARINE」の文字部分と、引用商標4の「marine」とは、外観が相違するが大文字・小文字が相違するにすぎないから、需要者において出所を区別する印象を与えるものではない。
本件商標の「MARINE」の文字部分と、引用商標1ないし3及び5の「マリン」又は「マリーン」とは、外観が相違するが英単語とその片仮名表記という点で相違するにすぎないから、需要者において出所を区別する印象を与えるものではない。
(2)称呼
本件商標の「MARINE」の文字部分と、引用商標とは、「マリン」又は「マリーン」の称呼が生じることから同一又は類似である。
(3)観念
本件商標の「MARINE」の文字部分、引用商標4、英語「marine」に由来する外来語である引用商標1ないし3及び5のいずれからも、「海洋の・海産の・海運の・海軍の」の観念が生ずるので、観念において同一である。
4 指定商品の対比
本件商標の指定商品は、「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),ケーキ」であり、本件商標の最下部には「・・・CAKE」の文字があることから、本件商標を主として洋菓子、特にケーキに使用する意図があると推測される。
そして、洋菓子、特にケーキの多くは、小麦粉が主体の練り粉を成形し焼成した生地に、具材を挟んで、あるいは乗せて製造され、主に間食又は軽食として一般消費者により購入される。
これに対し、引用商標は、いずれも旧日本分類に従い出願され、その後、書換登録申請により書き換えられて、現に有効に存続している指定商品中には「サンドイッチ,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ」が含まれている。
これら商品は、その多くが、小麦粉が主体の練り粉を成形して焼成した生地に、具材を挟んで、あるいは乗せて製造され、一般に飲食物の小売店において主に間食又は軽食として、一般消費者により購入される。
このように、本件商標の指定商品と、引用商標の指定商品は、主たる原材料・製造方法、販売方法、用途及び需要者が一致し、また、これらが同一の業者で販売されていることも多いため、同一又は類似の商標が使用された場合に需要者において出所の誤認混同が生じるものであるから、類似するものである。
またこれらが類似することは、特許庁においても、商品の類否判断の便宜のため、同一の類似群コード「30A01」を付していることからも明らかである。
5 過去の特許庁の判断例
商標の一部が、「分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど強く結合しているものと認められない場合」は、「その一部だけから称呼・観念が生じ得る」ことは、特許庁の審査基準中、商標法第4条第1項第11号の「結合の強弱の程度において考慮される要素について」に明示されているだけでなく、過去の特許庁の審決においても、何度も言及されている(不服2016―5455、不服2017―17406、無効2017―890021)。
6 むすび
本件商標は、引用商標と類似のものであり、また、その指定商品も類似のものである。
したがって本件商標登録は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1(別掲)のとおり、上部に図形を表し、その下に「MARINE」(ピンク色で彩色し、各文字を構成する線の中央に細い白抜きの線を配してなるもの)、「HOUSE」及び「YOUR STORY CAKE」の欧文字を三段に表した構成からなる、図形と文字の結合商標である。
本件商標の構成からすれば、図形部分と文字部分とが、視覚上分離して看取され、それぞれ単独で出所識別標識として機能し得る要部といえるところ、まず、本件商標を構成する図形部分は、その上部に「M」と「H」を組み合わせて図案化したと理解されるものや花を想起させる図形などがあるものの、全体として特定の事物等を表すものとして認識されるというべき事情は認められないことから、これより特定の称呼及び観念は生じないものである。
次に、本件商標の文字部分についてみるに、当該文字部分は、「MARINE」、「HOUSE」及び「YOUR STORY CAKE」の各文字が三段に表されてなるところ、上記各文字部分は近接して配され、「HOUSE」の文字は「MARINE」の文字に比して格別小さいとはいえない一方で、「YOUR STORY CAKE」の文字は他の文字に比して極めて小さく表されているものである。
そして、本件商標の文字部分は、文字数が多く、その全体から生じ得る称呼も冗長となることから、その構成中、大きく表された「MARINE」及び「HOUSE」の文字部分に着目し、称呼される場合があり、当該文字部分全体に相応して生じる「マリンハウス」又は「マリーンハウス」の称呼は、格別冗長というべきものでなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
また、本件商標の構成文字中、「MARINE」の文字は「海の」を、「HOUSE」の文字は「家」を、それぞれ意味する平易な英語であるから、それら全体として「海の家」程の意味合いを理解させるものといえる。
さらに、本件商標の構成文字中、最下部の「YOUR STORY CAKE」の文字は、「あなたの」「物語」「ケーキ」の意味を有する語の組み合わせであることは把握できるとしても、全体として特定の意味合いを理解させるものとまではいえないから、一連一体の造語として認識されるものというのが相当であって、上述の「MARINE」及び「HOUSE」の文字との観念上の繋がりは見いだせない。
その他、申立てに係る指定商品との関係において、「HOUSE」の文字から出所識別標識としての称呼及び観念が生じないなどの事情は見いだせない。
以上からすると、本件商標は、たとえ「MARINE」の文字の色彩及び書体が他の文字と異なるとしても、構成中の「MARINE」の文字部分のみを分離、抽出し、引用商標と比較して商標の類否を判断することが許されるものということはできない。
したがって、本件商標からは、「MARINE」及び「HOUSE」の文字部分に相応して「マリンハウス」、「マリーンハウス」の称呼を生じ、「海の家」程の観念を生じる場合があるとしても、「マリン」、「マリーン」の称呼及び「海の」の観念を生じるものとはいうことができない。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、「マリン」、「マリーン」、「marine」の各文字を書した構成からなるところ、該文字は、いずれも「海の」を意味する平易な語である。
したがって、引用商標からは、上記各文字(語)に相応して、「マリン」又は「マリーン」の称呼を生じ、「海の」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観について
本件商標の構成中の「MARINE HOUSE」の文字部分と引用商標を比較すると、引用商標1ないし3及び5とは欧文字か片仮名かの相違、引用商標4とは大文字か小文字かの相違があることに加え、引用商標のいずれにおいても「HOUSE」の文字の有無という明確な差異を有するものであるから、両者は、外観上、判然と区別し得るものである。
イ 称呼について
本件商標より生ずる「マリンハウス」、「マリーンハウス」の称呼と引用商標より生ずる「マリン」又は「マリーン」の称呼とは、「ハウス」の音の有無という明らかな差異を有するものであるから、称呼上、容易に聴別し得るものである。
ウ 観念について
本件商標は「海の家」程の観念を生じるのに対し、引用商標からは「海の」の観念が生じるから、観念において互いに紛れるおそれはない。
エ 小括
以上からすると、本件商標の構成中の「MARINE HOUSE」の文字部分と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれがなく、両商標は非類似の商標というべきである。
また、本件商標の構成全体又は構成文字の全体若しくは「MARINE HOUSE」の文字以外と引用商標とを比較しても、両者は、図形の有無や構成文字の明らかな相違により、それらの外観、称呼及び観念において、互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、申立てに係る指定商品と引用商標の指定商品との類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものでなく、本件商標の登録異議の申立てに係る指定商品についての登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、他にその登録が同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲 本件商標(色彩は原本参照。)



(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-12-15 
出願番号 2020110300 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W30)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 佐藤 淳
板谷 玲子
登録日 2021-09-03 
登録番号 6438146 
権利者 株式会社Your Story
商標の称呼 マリンハウスユアストーリーケーキ、マリーンハウスユアストーリーケーキ、マリンハウス、マリーンハウス、ユアストーリーケーキ、ユアストーリー、エムエイチ、エムエッチ 
代理人 蔵田 昌俊 
代理人 幡 茂良 
代理人 飯田 昭夫 
代理人 飯田 明弘 
代理人 上田 千織 
代理人 安藤 敏之 
代理人 小出 俊實 
代理人 江間 路子 
代理人 橋本 良樹 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ