• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W20
管理番号 1393359 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2023-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-25 
確定日 2022-12-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6336390号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6336390号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6336390号商標(以下「本件商標」という。)は、「ThinkErgo」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年3月2日に登録出願、同年11月30日に登録査定され、第20類「家具,机,勉強机,保管用棚,架台(家具),ショーケース(家具),家具用脚,いす,ベッド,家具用の付属品及び金具(金属製のものを除く。)」及び第27類「じゅうたん,マット,敷物,フロアマット,体操用マット,自動車用カーペット,滑止めマット,壁紙,壁掛け(織物製でないもの),人工芝」を指定商品として、同3年1月4日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第4834985号商標(以下、「引用商標」という。)は、「Think」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年5月21日に登録出願、第20類「いす類」を指定商品として、同17年1月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
(1)申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その指定商品中、第20類「全指定商品」についての登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第4号証を提出した。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標について
(ア)本件商標は、「ThinkErgo」の文字を標準文字で表してなり、構成上は、前半部の「Think」と後半部の「Ergo」の二語からなるが、全体として既成の単語にはない。
また、本件商標の構成中「Think」の文字は、「考える」の意味を有する、中学生でも理解できる英単語であるが、家具の取引者、需要者には、申立人が販売している椅子の著名なブランドを想起させる。
そして、本件商標の構成中「Ergo」の文字は、「人間工学」の意味を有する「エルゴノミクス(ergonomics)」の略称として認識される。
(イ)「エルゴノミクス」という言葉は、あえてその意味を説明するには及ばないほど既に定着している。実に100年以上の歴史があり、1857年にポーランドで定義され、19世紀末には広くヨーロッパ中で研究されるようになった。「エルゴノミクス」というと、「椅子」、「机」等が思い浮かび、「エルゴノミクス」の成果がオフィスのここかしこに生かされている。1980年代は、情報化が進む中で、より快適で機能的なオフィスを実現するため、5本脚の「エルゴノミクスチェア」など、様々な取り組みが行われた(甲3)。「エルゴノミクスチェア」も、「人間工学に基づいた椅子」を意味する語として定着している(甲4)。
そして、「エルゴノミクス(ergonomics)」は、やや冗長な単語であり、「エコロジー(ecology)」を「エコ(Eco)」と略称するように、「Ergo」と略称することも、不自然とはいえない。
(ウ)したがって、本件商標の指定商品である、第20類「家具,机,勉強机,保管用棚,架台(家具),ショーケース(家具),家具用脚,いす,ベッド,家具用の付属品及び金具(金属製のものを除く。)」を取り扱う業界においては、上記の取引の実情を考慮すると、「Ergo」の文字は、「エルゴノミクス(ergonomics)」、すなわち人間工学に基づいて設計された商品と容易に理解されるものであるから、自他商品の識別力がないか極めて弱い。
そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、これを「Think」と「Ergo」の二語を結合したものと容易に理解、認識するものであって、本件商標において自他商品の識別標識として機能を果たす部分は、前半部の「Think」の文字部分にある。
したがって、本件商標は、その構成全体から「シンクエルゴ」の称呼を生ずるほか、「Think」の文字部分に相応して、「シンク」の称呼を生じ、「考える」という観念及び申立人が使用する著名な「Thinkブランド」の観念を生ずる。
イ 引用商標について
引用商標は、その構成文字に相応して、「シンク」の称呼を生じ、「考える」という観念を生ずる。
また、引用商標の指定商品は、「いす類」に限定され、実際には、エルゴノミクスチェア(人間工学に基づいた椅子)について、引用商標と同一の商標、すなわち、語頭の「T」のみが大文字で、他の文字は小文字とした商標が使用されている。当該商品は、「おすすめの人間工学に基づいた椅子(エルゴノミクスチェア)18選」に入っており、「米国のオフィス家具メーカーとして105年以上に渡り世界をリードする、米スチールケース社から発売されているThink」(甲4)という記述からも、引用商標が、同社の著名な「Thinkブランド」の観念をも生ずることは明らかである。
ウ 商標の類否
本件商標と引用商標とは、「シンク」の称呼を同一とするものである。また、両商標は、「考える」という観念及び「Thinkブランド」の観念を同一にする。さらに、外観については、両商標は「Think」の文字部分において、そのつづり、大文字・小文字の別まで共通にする。
以上を総合して考察すると、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念において同一であり、外観においても相当程度近似する類似の商標である。
エ 商品の類否
本件商標の指定商品中、第20類「家具,机,勉強机,保管用棚,架台(家具),ショーケース(家具),家具用脚,いす,ベッド,家具用の付屈品及び金具(金屈製のものを除く。)」は、引用商標の指定商品である第20類「いす類」と同一又は類似である。
オ まとめ
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標と引用商標の比較
ア 本件商標について
本件商標は、「ThinkErgo」の欧文字を標準文字で表してなるところ、同種の文字(欧文字)を、同じ大きさ及び書体で、間隔なく、横一列にまとまりのよい構成からなるものである。
そして、本件商標の構成中「Think」の文字は「と思う」の意味を、「Ergo」の文字は「それゆえに」の意味を有する英語(「ジーニアス英和辞典 第5版」大修館書店)であるところ、両語を結合して特定の意味を有する成語となるものではなく、それぞれの語義を結合した意味合いも漠然としている。
なお、本件商標は、上記のようなまとまりのよい構成や各語の語義などを踏まえても、特定の文字部分が、自他商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではなく、また、出所識別標識としての称呼及び観念が生じないとはいえない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「シンクエルゴ」の称呼が生じるが、特定の観念は生じない。
イ 引用商標について
引用商標は、「Think」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は「と思う」の意味を有する英語(前掲書)である。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「シンク」の称呼が生じ、「思う」程度の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標を比較すると、外観については、語頭に「Think」の文字を含む点において共通するが、語尾の「Ergo」の文字の有無に差異があるから、全体としては異なる語を表してなると容易に理解できるもので、判別は容易である。また、称呼については、全6音中語頭の3音(シンク)を共通にするが、語尾の3音(エルゴ)の有無に差異があるから、全体として語調、語感が明らかに異なるものとなり、聴別は容易である。さらに、観念については、引用商標は「思う」程度の観念が生じるものの、本件商標は特定の観念が生じないから、比較できない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において判別は容易であるから、出所の混同を生じるおそれはなく、類似する商標ではない。
(2)申立人の主張について
申立人は、本件商標の構成中「Think」の文字は、申立人が販売している椅子の著名なブランドを想起させるもので、また、その構成中「Ergo」の文字は、「エルゴノミクス(ergonomics)」、すなわち人間工学に基づいて設計された商品と容易に理解され、自他商品の識別力がないか極めて弱いことから、本件商標は、その構成文字全体から、「シンクエルゴ」の称呼を生ずるほか、「Think」の文字部分に相応して「シンク」の称呼が生じ、「考える」の観念及び申立人の著名な「Thinkブランド」の観念が生じる旨を主張する。
しかしながら、申立人提出の証拠によっては、申立人の販売する「Think」と称する椅子が我が国においても商品紹介されている事実(甲4)は確認できるものの、その販売実績(販売数量、売上額、販売期間、市場シェア等)や広告実績(広告宣伝媒体、広告宣伝費等)も把握できないから、申立人の商品に係る引用商標が、我が国の需要者の間において周知、著名なものとなるに至っているとは認めることはできない。
また、本件商標の構成中「Ergo」の文字部分が、本件商標のようなまとまりのよい構成において、申立人主張のような語の略称として認識、把握されるとする具体的な根拠は明らかではない。
そうすると、本件商標は、その構成及び構成文字の語義などを踏まえても、特定の文字部分が、自他商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものではなく、また、出所識別標識としての称呼及び観念が生じないとはいえないから、商標の類否の判断にあたっては、特定の構成部分の一部のみを抽出して要部観察を行うことは適切ではない。
したがって、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「シンクエルゴ」の称呼を生じるが、特定の観念は生じない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、引用商標とは同一又は類似する商標ではないから、その指定商品を比較するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではないから、その第20類「全指定商品」についての登録は、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-01-18 
出願番号 2020022518 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W20)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 杉本 克治
阿曾 裕樹
登録日 2021-01-04 
登録番号 6336390 
権利者 ヤン ビンセント ファン
商標の称呼 シンクエルゴ、シンクアーゴ 
代理人 岡田 稔 
代理人 坂上 正明 
代理人 鈴木 昇 
代理人 曾我 道治 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ