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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W03
管理番号 1393219 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2021-09-01 
確定日 2022-11-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第5878006号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5878006号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5878006号商標(以下「本件商標」という。)は、「SISLOY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年3月11日に登録出願、第3類「化粧品,ヘアーリンス,ヘアートリートメント,おしろい,化粧水,クリーム,紅,頭髪用化粧品,香水類,アイシャドウ,あぶらとり紙,身体用防臭剤,脱毛剤,タルカムパウダー,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去液,バスオイル,バスソルト,パック用化粧料,ベビーオイル,ベビーパウダー,マスカラ,まゆ墨,毛髪脱色剤,せっけん類,シャンプー,香料,歯磨き,口臭用消臭剤,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年8月3日に登録査定、同年9月2日に設定登録されたものである。

第2 引用各商標
1 請求人が、本件商標の登録の無効の理由(商標法第4条第1項第10号及び同項第15号)において、引用する商標は、別掲1のとおりの構成からなり、請求人が「化粧品、シャンプー」について使用し、我が国の需要者に広く認識されていると主張するものである(以下「引用商標1」という。)。
2 請求人が、本件商標の登録の無効の理由(商標法第4条第1項第11号)において引用する登録商標は、以下のとおりであり、現に有効に存続しているものである。
登録第1873095号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:「シスレー」の片仮名と「SISLEY」の欧文字を2段に書してなる別掲2のとおりの構成
登録出願日:昭和58年9月21日
設定登録日:昭和61年6月27日
書換登録日:平成18年11月1日
指定商品 :第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を、審判請求書において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標の著名性
(1)請求人は、1976年にウベール・ドルナノが設立したフランスの化粧品会社であり、世界80か国以上で、「sisley」の文字を使用した化粧品を販売している。各国市場において、「sisley」は、しばしば最もよく売れるブランドであり、常にトップブランドとして名乗りを上げている。請求人は、「sisley」に係る化粧品、香水、せっけん等(以下「請求人商品」という。)を、各国の大手百貨店、化粧品専門店等で販売し、請求人商品は、引用商標1と同一態様の商標が表示された販売カウンターに陳列されている(甲3)。
(2)請求人は、平成5年(1993年)に、我が国で、sisleyブランドの化粧品の輸入・販売を行うシスレージャパン有限会社を子会社として設立し、同社は、平成12年に株式会社に組織変更された。
請求人は、平成8年(1996年)に日本橋高島屋に第1号店を出店した(甲6)。本件商標が登録出願されるより前の平成27年(2015年)8月27日には、北海道から九州に至るまで約40の店舗を展開しており(甲7)、売り場では、引用商標1を使用している(甲3)。また、平成27年(2015年)には、伊勢丹及び阪急百貨店のウェブサイトにおいて、引用商標1が付された請求人商品を販売している(甲8、甲9)。
令和2年(2020年)には、全国49の店舗を展開し、また、百貨店等のウェブサイトで、通信販売を行っている(甲10)。
以上のとおり、請求人は、そのハウスマークとして、引用商標1を本件商標の登録出願より前から現在に至るまで、継続的、集中的に使用してきた。
(3)日本の百貨店において、平成23年(2011年)から平成26年(2014年)にかけて、請求人商品の売上げは、香水及び化粧品のカテゴリーで17位、スキンケアのカテゴリーで15位、市場占有率は1%前後である(甲17)。我が国の化粧品市場では、多くの会社が乱立しており、市場の寡占化が進んでいないので、上記の数字は、引用商標1を使用した商品が需要者に浸透していることを示すのに十分である。
(4)請求人は、本件商標の登録出願前、平成24年(2012年)から平成26年(2014年)にかけて、「VoCE」、「Precious」、「美的」等の雑誌において、引用商標を使用した商品の広告を掲載した(甲18の1〜19)。引用商標1を使用した商品について、請求人が、大規模に広告宣伝を行った結果、引用商標1には、高品質、高級感等の信用が形成されている。
(5)主要美容雑誌の1つ(甲11〜甲13)である「VoCE」誌上のランキングで、引用商標1を使用した商品は、2013年下半期には、アイケア部門で3位、2014年上半期には、ボディオイル部門で2位、フレグランス部門で3位、2015年上半期には、化粧水部門で3位と、上位に入っている(甲14)。
また、雑誌で紹介されている化粧品をデータベース化した「COSME at MAG」において、本件商標の出願直前の、2014年5月1日から31日までに発売された美容雑誌に基づくランキングでは、引用商標1を使用した商品が3位に、また、2014年11月期(ベストコスメ・下半期&年間ランキング)では、引用商標1を使用した商品が7位に入っている(甲15)。
さらに、化粧品の通販サイトにおいては、「シスレー(SISLEY)は、ヨーロッパ発祥の高級化粧品ブランド。女性にとって一度は使ってみたい、憧れのブランドですよね。」との説明があり、引用商標1から生ずる信用及び高級感が我が国において定着していることがうかがえる(甲16)。
(6)「英和商品名辞典」において、「sisley」は、「フランスSisley製の基礎化粧品(クリーム・乳液など)。Phytocosmetology(植物美容学)の研究に基づき、朝鮮人参・西洋サンザシ・カミツレ・ハマメリスなど、肌に医学的効果のある54種の植物のエッセンシャルオイルを原料としており、アレルギー体質の人も使用可能という。フランス皮膚医学協会推薦。ロゴはすべて小文字。近年メーキャップ用品も手がけ始めた。」と説明されており(甲4)、フランスにおいて著名な商標であることがうかがえる。そして、財務省貿易統計によると、我が国の化粧品輸入先の中で、フランスは、遅くとも1998年以来、ずっと第1位である(甲5)から、我が国内の化粧品の需要者は、フランスの化粧品業界の動向には関心を持っており、「sisley」がフランスにおいて著名であることも認識しているといえる。
(7)小括
上記によれば、引用商標1は、本件商標の登録出願の時には既に、請求人の業務に係る商品である化粧品を表示するものとして、我が国においてはもちろんのこと、世界的に極めて高い信用が形成され著名に至っており、それは登録査定時においても継続していたということができる。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と引用商標1との類否
本件商標は、「SISLOY」の欧文字を標準文字で書してなるものである。
引用商標1は、「sisley」の文字と「PARIS」の文字とを二段に表してなるものである。そして、下段に小さく表された「PARIS」の文字部分は、指定商品の産地又は販売地と解される都市「パリ」を表すことから、自他商品の識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる一方、上段の「sisley」の文字は、一般の辞典類に載録されている既成の語ではないことに加え、下段の「PARIS」の文字に比して4倍ほどの大きさで、かつ、かなり太い線で表されていることから、引用商標1の要部といえるところ、該構成文字中に、大文字・小文字の差異はあるにしても、本件商標の文字部分とつづりを共通にする「sisl」と「y」の文字を含むものである。
上記によると、引用商標1は、その要部に本件商標の文字部分とつづりを共通にする文字を含むものであるから、両者は、ある程度の類似性を有するものである。
(2)引用商標1の独創性
引用商標1の構成中、「PARIS」の文字は、「パリ」を表す語であるが、「sisley」の文字は、一般の辞典類に載録されている既成の語ではないことから、引用商標1全体としては、独創性が高い。
(3)本件商標の指定商品と引用商標1の使用に係る商品の関連性
引用商標1は、スキンケア用・ボディケア用・ヘアケア用化粧品、シャンプー、香水等について使用されている。
他方、本件商標の指定商品には、引用商標1に係る商品が含まれているほか、これら以外の指定商品も、引用商標1が使用される商品とは、共に容貌、容姿を美しくすることを目的とする商品、身だしなみを整える商品、及びこれら商品に関連する商品であって、商品の生産、販売部門、用途、流通経路、販売場所を共通にする関連性の程度が高いものが含まれる。そして、両商品の需要者は一般消費者であるから、需要者を共通にすることが少なくない。
(4)出所の混同を生ずるおそれ
引用商標1は、請求人の業務に係る商品を表すものとして著名であり、本件商標と引用商標1とはある程度の類似性があり、引用商標1の独創性及び本件商標の指定商品と請求人商品の関連性の高さ、需要者の共通性の程度を考慮すると、被請求人が本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標1を使用している請求人を連想、想起し、該商品が請求人又は請求人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものというべきである。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、「SISLOY」の欧文字を標準文字で書してなるところ、構成文字に相応して、「シスロイ」の称呼を生ずる。また、該文字は、一般の辞書類に載録されておらず、特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、特定の観念を生じない。
(2)引用商標2
引用商標2は、「シスレー」及び「SISLEY」の各文字を二段書してなるものであり、その構成文字に相応して、「シスレー」の称呼を生ずるものである。しかしながら、「SISLEY」の欧文字は、日本人に親しまれている英語読みでは、[sislei]の発音記号により、「シスレイ」と発音される場合が決して少なくない。よって、引用商標2は、「シスレイ」の称呼をも生ずるものである。
また、「シスレー」、「SISLEY」のいずれの文字も、特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、引用商標2は、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標2の類否
本件商標と引用商標2の外観についてみると、両者は、いずれも、短いとはいえない欧文字6文字を書してなり、前半の「SISL」の4文字と、語尾の「Y」の文字を共通とし、比較的注意が逸れがちになる、語中間の5番目において、「O」と「E」の文字の差異を有するにすぎないから、需要者が両商標を見誤るおそれがある。
また、本件商標から生ずる「シスロイ」の称呼と引用商標2から生ずる「シスレイ」の称呼とを比較すると、両者は、同数の4音をもって構成されているうち、称呼における識別上重要な要素を占める語頭音を含む「シス」、さらに語尾音の「イ」を共通にし、異なるのは第3音の「口」と「レ」にすぎない。しかして、「口」、「レ」は同行に属し、有声の弾音である子音[r]を共通にする歯茎音であり、それぞれ調音を同じくし音感において近似するものであるから、その音の差が称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものではない。よって、両商標をそれぞれ一連に称呼するとき、全体の語調・語感は近似したものとなり、称呼上互いに相紛れるおそれがある。
さらに、両商標は、いずれも特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、観念において比較することはできない。
以上のとおり、本件商標と引用商標2とは、観念において比較することができないものの、外観及び称呼において類似するから、互いに類似する商標である。
また、本件商標の指定商品中、「化粧品,ヘアーリンス,ヘアートリートメント,おしろい,化粧水,クリーム,紅,頭髪用化粧品,香水類,アイシャドウ,あぶらとり紙,身体用防臭剤,脱毛剤,タルカムパウダー,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去液,バスオイル,バスソルト,パック用化粧料,ベビーオイル,ベビーパウダー,マスカラ,まゆ墨,毛髪脱色剤,せっけん類,シャンプー,香料,歯磨き」は、引用商標2の指定商品と同一又は類似である。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものというべきである。
4 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)引用商標1
上記2(1)のとおり、引用商標1は、上段の「sisley」の文字が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。
そして、簡易迅速を旨とする取引の実際にあっては、引用商標1の要部といえる「sisley」の文字部分に着目して、該文字から生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないから、引用商標1は、構成文字全体から「シスレイパリ」及び「シスレーパリ」の称呼を生じるほか、「sisley」の文字部分に相応して、「シスレイ」及び「シスレー」の称呼をも生ずるものである。
(2)本件商標と引用商標1の類否
本件商標から生ずる「シスロイ」の称呼と引用商標1から生ずる「シスレイ」の称呼とを比較すると、前記のとおり、互いに相紛れるおそれがある。
外観についてみると、本件商標と引用商標1の「sisley」の欧文字部分は、いずれも、短いとはいえない欧文字6文字を書してなり、前半の「SISL」の4文字と、語尾の「Y」の文字を共通とし、比較的注意が逸れがちになる、語中間の5番目において、「O」と「E」の文字の差異を有するにすぎないから、需要者が両商標を見誤るおそれがある。
さらに、両商標は、いずれも特定の意味合いを有しない造語よりなるものであるから、観念において比較することはできない。
以上のとおり、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないものの、称呼及び外観において類似するから、互いに類似する商標である。
また、本件商標の指定商品中、「化粧品,ヘアーリンス,ヘアートリートメント,おしろい,化粧水,クリーム,紅,頭髪用化粧品,香水類,アイシャドウ,あぶらとり紙,身体用防臭剤,脱毛剤,タルカムパウダー,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去液,バスオイル,バスソルト,パック用化粧料,ベビーオイル,ベビーパウダー,マスカラ,まゆ墨,毛髪脱色剤,せっけん類,シャンプー」は、引用商標1に係る商品と同一又は類似である。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品「化粧品,シャンプー」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標1と類似する商標であって、その商品と同一又は類似する商品について使用する商標であるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

第4 被請求人の主張
被請求人は、請求人の上記主張に対し、何ら答弁をしていない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについて、被請求人は争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。以下、本案に入って審理し、判断する。
1 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標1の周知性について
請求人の主張及び同人の提出した証拠によれば、以下のとおりである。
ア 請求人は、1976年にウベール・ドルナノ氏が設立したフランスの化粧品会社であり、世界80か国以上で、「sisley」の文字を使用した化粧品を製造販売している。請求人は、「sisley」に係る化粧品、香水、せっけん等(請求人商品)を、各国の大手百貨店、化粧品専門店等で取り扱っており、請求人商品は、引用商標1と同一態様の商標が表示された販売カウンターにおいて陳列、販売されている(甲3、甲8)。
イ 請求人は、1993年(平成5年)には、子会社であるシスレージャパン有限会社を設立(平成12年に株式会社に組織変更。)し、1996年(平成8年)に日本橋高島屋に第1号店を出店した(請求人の主張、甲6)。その後、日本における「sisley」の店舗は、2015年(平成27年)に40店舗となり(甲7)、2020年(令和2年)には、全国に49店舗が存在している(甲10)。また、請求人は、遅くとも2015年(平成27年)には、伊勢丹及び阪急百貨店のウェブサイトにおいて、引用商標1と同一態様の商標が付された請求人商品を販売しており(甲8、甲9)、2020年(令和2年)には、三越伊勢丹、大丸松坂屋、高島屋、京王百貨店のウェブサイトや、Amazon、楽天市場等のECサイトにおいても、請求人商品を販売している(甲10)。
ウ 2011年(平成23年)ないし2014年(平成26年)の我が国の百貨店における請求人商品の売上は、香水及び化粧品のカテゴリーにおいて17位、スキンケアのカテゴリーにおいて15位である(甲17)。
また、請求人は、2012年(平成24年)ないし2014年(平成26年)に、「VoCE」、「Precious」、「25ans」、「家庭画報」、「美的」等の雑誌において、引用商標1と同一態様の商標が付された請求人商品を大きく表示した1ページ又は複数ページによる広告を19回行った(甲18)。
エ 請求人商品は、美容雑誌「VoCE」の2013年下半期ベストコスメのアイケア部門で3位、2014年上半期ベストコスメのボディオイル部門で2位、フレグランス部門で3位、2015年上半期ベストコスメの化粧水部門で3位と、上位にランキングされている(甲14)。なお、「VoCE」の印刷部数は、1号あたり約7万部ないし10万部である(甲12、甲13)。
また、雑誌で紹介されている化粧品をデータベース化した「COSME at MAG」において、請求人商品は、2014年7月7日号で3位にランキングされている(甲15)。
オ 「英和商品名辞典」(株式会社研究社発行、1990年初版)には、「Sisley」の項目に「フランスSisley製の基礎化粧品(クリーム・乳液など)・・・フランス皮膚医学協会推薦。ロゴはすべて小文字。近年メーキャップ用品も手がけ始めた。」の記載がある(甲4)。
カ 上記アないしオによれば、請求人は、我が国において、1996年(平成8年)に請求人商品の販売を開始し、現在では全国の百貨店の店舗において一定程度の売上があること、遅くとも2012年(平成24年)には引用商標1と同一態様の商標を付した請求人商品を販売しており、雑誌において引用商標1と同一態様の商標を付した請求人商品の宣伝広告を行ってきたこと等が認められるから、引用商標1は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時(平成28年3月11日)には既に、我が国の化粧品を取り扱う分野の取引者、需要者の間に一定程度の周知性を有するものであったということができ、その周知性は、本件商標の登録査定時(平成28年8月3日)においても継続していたものといえる。
(2)本件商標と引用商標1との類似性の程度について
本件商標は、「SISLOY」の欧文字を標準文字で表してなるものである。
これに対して、引用商標1は、別掲1のとおり、「sisley」の文字と「PARIS」の文字とを二段に表してなるものである。そして、下段に小さく表された「PARIS」の文字部分は、指定商品の産地又は販売地と解される都市「パリ」を表すことから、自他商品の識別標識として機能しないもの又はその機能が極めて弱いものといえる一方、上段の「sisley」の文字は、一般の辞典類に載録されている既成の語ではないことに加え、下段の「PARIS」の文字に比して4倍ほどの大きさで、かつ、かなり太い線で表されていることから、引用商標1の要部といえるところ、本件商標の文字部分とは、大文字・小文字の差異はあるとしても、該構成文字6文字のうち5文字の「sisl」及び「y」のつづりを共通にするものである。
そうすると、引用商標1は、その要部に本件商標の文字部分とつづりを共通にする文字を含むものであるから、両者は、ある程度の類似性を有するものである。
(3)引用商標1の独創性の程度について
上記(2)のとおり、引用商標1の構成中、「PARIS」の文字は、「パリ」を表す語であるが、「sisley」の文字は、一般の辞典類に載録されている既成の語ではないことから、引用商標1全体としては、独創性が高いものといえる。
(4)商品の関連性及び、取引者、需要者の共通性について
本件商標の指定商品と、請求人商品とは、共に容貌、容姿を美しくすることを目的とする商品、身だしなみを整える商品、及びこれら商品に関連する商品であって、商品の生産、販売部門、用途、流通経路、販売場所を共通にする関連性の程度が高いものが含まれる。そして、両商品の需要者は一般消費者であるから、需要者を共通にすることが少なくないものといえる。
(5)出所の混同のおそれについて
上記(1)ないし(4)によれば、引用商標1は、請求人の業務に係る商品を表すものとして一定程度知られており、本件商標と引用商標1とはある程度の類似性があり、引用商標1の独創性及び本件商標の指定商品と請求人商品の関連性の高さ、需要者の共通性の程度を考慮すれば、被請求人が本件商標をその指定商品に使用した場合、その需要者において、これを請求人又は請求人と経済的若しくは組織的関係を有する者の業務に係る商品と混同するおそれがあるというべきである。
(6)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
付言するに、当審は、本件商標の登録は、請求人が主張する商標法第4条第1項第10号及び同項第11号には該当しないものと判断する。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
1 引用商標1


2 引用商標2(登録第1873095号商標)


別掲
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-09-27 
結審通知日 2022-09-30 
審決日 2022-10-18 
出願番号 2016026879 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (W03)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 佐藤 松江
板谷 玲子
登録日 2016-09-02 
登録番号 5878006 
商標の称呼 シスロイ 
代理人 岡田 稔 
代理人 曾我 道治 
代理人 鈴木 昇 
代理人 坂上 正明 

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