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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W030530
管理番号 1393201 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-10 
確定日 2022-12-08 
事件の表示 商願2020− 22951拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は,令和2年3月3日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年2月15日付け:拒絶理由通知書
令和3年4月12日 :意見書の提出
令和3年9月7日付け :拒絶査定
令和3年12月10日 :審判請求書の提出

第2 本願商標
本願商標は,「お口まるごと」の文字を標準文字で表してなり,第3類,第5類及び第30類に属する別掲1のとおりの商品を指定商品として,登録出願されたものである。

第3 原審における拒絶理由(要旨)
本願商標は,「お口まるごと」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中の「まるごと」の文字は,「そっくり全部。」等の意味を有する語であるから,本願商標は,全体として,「口の全部」程の意味合いを容易に理解させるというのが相当である。
そして,本願の指定商品を取り扱う分野においては,口の全体に作用する商品の宣伝広告として,「お口まるごと洗浄」,「お口まるごとすっきり清潔」,「お口まるごとケア」のように,「お口まるごと」の文字が多用されている実情が認められる。
また,当該文字の構成からも,当該文字の使用の実情からも,「お口まるごと」が「口の全部」程の意味合いとして使用されていることも明らかであり,口腔内に適用される商品の分野においては,「お口まるごと」の文字が,口腔内に適用される商品の効果等が「口の全部」に及ぶという,商品の優位性を示すために使用されているというのも明らかである。
そうすると,本願商標をその指定商品中,例えば,「口中清涼剤,口臭用消臭剤,歯磨き」に使用しても,これに接する需要者,取引者は,「口の全体にその効果等が作用する商品」であるという,商品の特性や優位性を表した宣伝文句の一種であると理解し,認識するにとどまるというのが相当であるから,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号について
(1)商標法第3条第1項第6号の趣旨について
商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法第1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法第3条第1項第6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項第1号ないし第5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10270号,平成22年1月27日判決)。
そうすると,商標法第3条第1項第1号から同項第5号までにおいて例示的に列挙されたものではなくても,本件審決時において,本願商標がその指定商品に使用された場合に,将来を含め,その需要者において,商品の宣伝活動を行う際に一般的に使用される標章と認識されるものである等,識別力を欠き,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないと判断されるときは,本願商標は同項第6号に該当するものと解するのが相当である。
(2)本願商標について
本願商標は,「お口まるごと」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成中「お口」の文字は,「動物が体内に食物を取り入れる場所。」等の意味を有する「口」(「広辞苑第七版」株式会社岩波書店)の丁寧語であり,また,「まるごと」の文字は「(果物・魚などを)切り分けたりせず,その形のまま。全部そっくり。」等の意味を有する語(前掲書)として,親しまれた語であるから,本願商標は「お口」の語と「まるごと」の語を結合してなるものであると容易に認識できるものである。
そして,別掲2のインターネット情報によれば,本願の指定商品中,第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤,歯磨き」及び第5類「薬剤」を取り扱う業界においては,口の中全体に効果を及ぼす商品であることを訴求する際,「お口まるごと」の文字が,当該商品の説明や宣伝広告の中で「口の中全体」を示す語として一般に使用されている事実がある。
そうすると,本願商標をその指定商品中,第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤,歯磨き」及び第5類「薬剤」に使用しても,これに接する取引者,需要者は,「口の中全体に効果を生じる商品」であるという商品の特性や優位性を表示したものと認識するにすぎず,商品の説明,又は宣伝広告に一般的に使用される語句を表したものと理解させるに止まり,何人かの業務に係る商品であることを表示したものと認識することはないというのが相当である。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は,「本願商標は,日本語文法で想定される一般的な構成とは異なり,「お口」及び「まるごと」の間の助詞が排されるとともに,直後に他の語を導く副詞「まるごと」で語尾を止める構成であることによって,「まるごと」の後続の語を,本願商標に接した取引者,需要者の想像に委ね,その想像力を掻き立て,様々な意味合いを想起させることを意図して策案された商標である。本願商標からは,原審で認定された意味合い以外にも,例えば,「口に全部入れることができる商品」,「口から全部消すことができる商品」,「口で全部味わうことができる商品」,「口から全部服用することができる商品」,「口を全部包むことができる商品」などの意味合いを想起させることもあり得る。」旨を主張している。
しかしながら,本願商標を構成する「お口」の文字及び「まるごと」の文字のそれぞれの語意と,上記1のとおり,本願の指定商品中,第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤,歯磨き」及び第5類「薬剤」を取り扱う業界において,口の中全体に効果を及ぼす商品であることを訴求する際,「お口まるごと」の文字が,商品の説明や宣伝広告の中で,「口の中全体」を示す語として一般に使用されている事実があることからすれば,「お口まるごと」の文字は,本願の指定商品中,第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤,歯磨き」及び第5類「薬剤」との関係においては,「口の中全体に効果を生じる商品」を表していることを容易に理解,認識し得るものである。
そうすると,本願商標が,その指定商品中,第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤,歯磨き」及び第5類「薬剤」に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,「口の中全体に効果を生じる商品」を表示したものと認識するにすぎず,商品の説明,又は宣伝広告に一般的に使用される語句を表したものと理解させるに止まり,何人かの業務に係る商品であることを表示したものと認識することはないというのが相当である。
(2)請求人は,原審において示された6件のインターネット情報は,「お口まるごと」の語がそれ単独で使用されている例ではないから,これらをもって「お口まるごと」の語が口の全体に作用する商品の宣伝広告及び「口の全部」程の意味合いとして使用されているとの評価とはなり得ない旨を主張している。
しかしながら,上記1(2)のとおり,本願商標を構成する「お口」の文字が「動物が体内に食物を取り入れる場所。」等の,また「まるごと」の文字が「(果物・魚などを)切り分けたりせず,その形のまま。全部そっくり。」等の意味を有する語であり,また,別掲2のインターネット情報によれば,本願の指定商品中,第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤,歯磨き」及び第5類「薬剤」を取り扱う業界において,口の中全体に効果を及ぼす商品であることを訴求する際,「お口まるごと」の文字が商品の説明や宣伝広告の中で一般に使用されている。そして,これらの事例における「お口まるごと」の文字は,「口の中全体」を示す語として使用されていることが容易に認識できるものである。
そうすると,上記1(2)のとおり,「お口まるごと」の文字は,その語義はもとより,上記の使用状況を踏まえれば,なおさら,本願の指定商品中,第3類「口中清涼剤,口臭用消臭剤,歯磨き」及び第5類「薬剤」との関係においては,「口の中全体に効果を生じる商品」を表していることを容易に理解,認識し得るものであると判断するのが相当である。
(3)請求人は過去における登録例(第1号証及び登録第630446号商標)を挙げて,本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら,登録出願に係る商標がその指定商品との関係において,自他商品の識別標識として機能し得るか否かは,当該商標の構成態様と指定商品との関係や取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ,請求人の示す登録例(第1号証及び登録第630446号商標)と本願商標とは,構成文字が異なり,事案を異にするものであるし,本願商標が自他商品の識別力を欠くものであることは,前記1のとおりであるから,登録例があるからといってその判断が左右されることはない。
(4)したがって,請求人の主張はいずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 本願の指定商品
第3類「洗濯用除菌剤,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,つけまつ毛用接着剤,口中清涼剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,入れ歯洗浄剤,歯磨き,化粧品,薫料,香料,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つけづめ,つけまつ毛」
第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,医療用接着テープ,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」
第30類「食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,口中清涼効果を有する菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),口臭を消すための菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),その他の菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,香辛料,即席菓子のもと,調味料,食用プロポリス,食用ローヤルゼリー」


別掲2 「お口まるごと」の文字が,「口の中全体」を示す語として,一般に使用されている例(下線は合議体による。)
1 クリエイトSD ネットショップのウェブサイトにおける「薬用ピュオーラ洗口液 ノンアルコール 420ml」という商品のページには,「隠れネバつきまでお口まるごと洗浄!」の見出しの下,「W洗浄剤(ショ糖脂肪酸エステル+グリセリン脂肪酸エステル)が口内全体の細菌やタンパク汚れを洗浄。」の記載がある。
(https://netshop.create-sd.co.jp/shop/g/g4901301282101/)
2 CAINZのウェブサイトにおける「アース製薬 モンダミン ナチュラルアップルミント 1080ml」という商品のページには,「スペック表」の見出しの下,「特徴」として「すすぐだけでお口まるごとすっきり清潔にし,お口の健康を守ります。」の記載がある。
(https://www.cainz.com/g/4901080518316.html)
3 くまポンbyGMOのウェブサイトにおける「薬用 アクアフレッシュ エクストリームクリーンホワイトニングプラス シトラスミントの香り140g×5本」という商品のページには,「すみずみまで泡が届き,白く健康的な歯へ!進化したマイクロホイップでお口まるごとスッキリ!シトラスの香りで爽やかな磨き上がり♪≫」の記載がある。
(https://kumapon.jp/99/20190602kpd069166)
4 Rakutenのオーラルケアのディー・オー・ディーのウェブサイトにおける「ウエルテック コンクール ConCool 薬用マウスウォッシュ デンタルリンス 洗口液 口臭予防 コンクールF 100ml 3本」という商品のページにおいて,「上手に使ってお口まるごとケア!」の記載がある。
(https://item.rakuten.co.jp/oralcare-dod/10001078/)
5 株式会社愛しとーとのウェブサイトにおける「マウスウォッシュ」という商品のページにおいて,「Features/商品の特長」の見出しの下,「ゆすぐだけで 汚れがごっそり! お口まるごと大洗浄!」及び「だから!マウスウォッシュで口内全体の口臭原因を大洗浄しましょう!」の記載がある。
(https://www.0120041010.com/Form/Product/ProductDetail.aspx?shop=0&pid=261&bid=aishitoto)
6 PayPayモールにおけるサンテラボのウェブサイトにおける「ボディクレイ ねんどのハミガキ 100g」という商品のページには,「ねんどの吸着力でお口まるごとスッキリ!」の記載がある。
(https://paypaymall.yahoo.co.jp/store/santelabo/item/b0410021/)
7 ライオン歯科材株式会社のウェブサイトにおける「システマSP−Tメディカルガーグル」という商品のページには,「うがい薬でお口まるごと清潔に」及び「殺菌力に優れた,希釈(水でうすめる)タイプのうがい薬。お口の中全体と,のどの殺菌・消毒・洗浄に。」の記載がある。
(https://www.lion-dent.com/dental/tools/download/pop/spt_m_gargle_4.pdf)
8 マピオンニュースのウェブサイトにおける2021年4月13日付けの「「リステリン(R)Coconut Splash(ココナッツスプラッシュ)」新発売2021年4月19日(月)より数量限定で販売開始」というタイトルの記事には,「マスクの中の蒸れや息のニオイが気になる人にぴったり。ココナッツ香る新しいリステリン(R)でお口まるごとケア」の記載がある。
(https://www.mapion.co.jp/news/release/000000024.000045302-all/)

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,特許庁長官を被告として,提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-10-06 
結審通知日 2022-10-11 
審決日 2022-10-25 
出願番号 2020022951 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W030530)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 豊瀬 京太郎
特許庁審判官 須田 亮一
板谷 玲子
商標の称呼 オクチマルゴト、クチマルゴト 
代理人 杉村 憲司 
代理人 杉村 光嗣 
代理人 藤本 一 

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