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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
管理番号 1393193 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-26 
確定日 2022-11-29 
事件の表示 商願2020−38939拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「密着もこもこ泡」の文字を標準文字で表してなり、第3類「せっけん類,家庭用油脂除去剤」を指定商品として、令和2年4月7日に登録出願されたものである。
本願は、令和3年3月18日付けで拒絶理由の通知がされ、同年6月1日受付の意見書が提出されたが、同年8月30日付けで拒絶査定がされた。
これに対して令和3年11月26日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「密着もこもこ泡」の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中、「密着」の文字は「ぴったりつくこと。」の意味を、「もこもこ」の文字は「柔らかな弾力があってふくらんでいるさま。」の意味を、「泡」の文字は「液体が空気を含んで、まるくふくれたもの。気泡。」の意味を有する語(いずれも「広辞苑 第七版」(株式会社岩波書店))として、それぞれ広く一般に認識されていることからすれば、これらの文字を組み合わせた本願商標の構成全体からは「ぴったりと付く、膨らんでいる泡」ほどの意味合いを容易に認識させるものといえる。そして、本願指定商品を取り扱う業界においては、膨らんでいる泡のことを「もこもこ泡」(又は「モコモコ泡」)などと指称している事実、また、そのような泡が密着して汚れを落とすことを特徴とする洗浄剤が一般に販売されている事実が認められる。そうとすれば、本願商標を、その指定商品中、前記文字に照応する商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、単にそれが「密着して汚れを落とす、膨らんだ泡を生じる商品」であるという、商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、令和4年4月21日付け証拠調べ通知書によって通知し、期間を指定してこれに対する意見を求めた。

4 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)本願商標を「密着」「もこもこ」「泡」に3分割したとしても、これらすべての要素がこの順番で並ぶことにより成立した語であり、いずれのウェブサイトにおいても「密着もこもこ泡」の文字は使用されていない。
(2)「密着泡」のみから「密着して汚れを落とす泡」の意味合いを直接的かつ具体的に表すとはいえず、また、「もこもこ泡」の文字が「もこもこと膨らんだ泡」を意味すると理解されるとしても、本願商標の構成文字全体としては「何かと何かがぴたりとつくもこもこと膨らんだ泡」のような漠然とした概念を暗示する場合はあっても、本願指定商品との関係においては、直ちに商品の品質を具体的、直接的に表示したものとして理解されるとまではいえない。また、本願商標は商品の品質を表示するものではないため、本願指定商品に使用しても、商品の品質の誤認を生ずるおそれはない。
(3)証拠調べ通知において示されたウェブサイトによる「密着泡」の記載は、登録商標の使用であったり、説明が添えられているなどの事情から、本願商標の出所識別力の有無及び品質誤認のおそれを判断する材料とはなり得ない。
(4)その個々の構成要素については商品の内容を表す語として使用されている例があるにも拘わらず、そのような要素を組み合わせることにより自他商品識別力を発揮すると判断された登録例がある。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「密着もこもこ泡」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「密着」の文字は、「ぴったりつくこと。」を、「もこもこ」の文字は、「柔らかな弾力があってふくらんでいるさま。」を、「泡」の文字は「液体が空気を含んで、まるくふくれたもの。気泡。」を意味する語であり(出典:「広辞苑 第七版」)、いずれも一般的にその意味が認識されている語である。
そうすると、これらを結合させた本願商標の文字からは、「ぴったりつく、柔らかな弾力があってふくらんでいる泡」の意味を容易に理解させるものである。
また、当審における証拠調べ通知において示したとおり、本願指定商品の分野において、密着して(ぴったりついて)汚れを落とす泡のことを表して「密着泡」の文字が用いられている事実、もこもこと膨らんだ(柔らかな弾力があってふくらんでいる)泡のことを表して「もこもこ泡」の文字が用いられている事実が認められる。
これらを参照すると、「密着泡」については、「密着泡で一度にすっきり!/じゅわ〜っと浮かせる!」(別掲1.(1))、「密着泡がフチ裏に勢いよく届いて、留まるので、しっかり汚れに働く。」(別掲1.(7))のように、泡が密着することによって、汚れを浮かせたり、届きにくい場所に留まったりする効果があることが認められる。また、「もこもこ泡」については、「最大の特徴はとにかく“泡”。もこもこの泡が排水パイプの奥まで広がり、しっかり洗浄。」(別掲2.(1))、「ハンドソープや洗顔料も泡タイプのものが色々出ていて我が家も使っていますが、より泡立てた方がお肌に優しいのはわかっていても、上手にきめ細かい泡を作るのって難しいし時間もかかるんですよねーー。」(別掲2.(6))のように、もこもことした泡は、洗浄したい場所に行き届いたり、肌に対しては優しい効果があることが認められる。
上記のとおり、本願商標を構成する各文字の意味合いに加えて、「密着泡」及び「もこもこ泡」の文字が、汚れを浮かせる、届きにくい場所に留まる、洗浄したい場所に行き届く、肌に対して優しい効果等のある「泡」を表すものとして、一般に用いられているものであるから、これら各語を「密着もこもこ泡」と表した場合には、「ぴったりつく、柔らかな弾力があってふくらんでいる泡」ほどの意味合いを理解させるものというのが相当である。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、当該文字から「ぴったりつく、柔らかな弾力があってふくらんでいる泡」の商品であることを理解するにとどまるというべきであって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本願商標をその指定商品中、「ぴったりつく、柔らかな弾力があってふくらんでいる泡」の商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標を「密着」「もこもこ」「泡」に3分割したとしても、これらすべての要素がこの順番で並ぶことにより成立した語であり、いずれのウェブサイトにおいても「密着もこもこ泡」の文字は使用されていない旨主張する。
しかしながら、「密着もこもこ泡」と表した場合には、「ぴったりつく、柔らかな弾力があってふくらんでいる泡」の商品であることを理解させるものというのが相当であることは、前記(1)のとおりであり、かつ、「密着」「もこもこ」「泡」の各語を当該順番で並べたとしても、そのことによりこれとは異なる新たな意味を生じさせることもないのだから、格別、新規なものとは認識し得ないといえ、その構成に意外性もない。
さらに、商標法3条1項3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質等を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解される(東京高等裁判所 平成12年9月4日言渡 平成12年(行ケ)第76号等)。
イ 請求人は、本願商標の構成文字全体としては「何かと何かがぴたりとつくもこもこと膨らんだ泡」のような漠然とした概念を暗示する場合はあっても、本願指定商品との関係においては、直ちに商品の品質を具体的、直接的に表示したものとして理解されるとまではいえない旨主張する。
しかしながら、前記(1)のとおり、本願商標を構成する各語の意味、本願指定商品の分野における「密着泡」や「もこもこ泡」の用いられ方を考慮すれば、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、当該文字から、「ぴったりつく、柔らかな弾力があってふくらんでいる泡」の商品であることを理解するにとどまるというべきであり、商品の品質を具体的に表示したものとして理解されるといえるものである。
ウ 証拠調べ通知において示されたウェブサイトによる「密着泡」の記載は、登録商標の使用であったり、説明が添えられていることから、本願商標の出所識別力の有無及び品質誤認のおそれを判断する材料とはなり得ない旨主張する。
しかしながら、例えば、別掲1.(1)の記載に関し、「Biore\密着泡」や「Biore\うるうる密着泡」が登録商標であったとしても、「密着泡」の文字自体の記述性が否定される理由とならないことは明らかであり、本願指定商品の分野において、密着して(ぴったりついて)汚れを落とす泡のことを表して「密着泡」の文字が用いられている事実であることに変わりはない。また、「密着泡」の文字は、そもそもの語義から「ぴったりつく泡」の意味合いを容易に認識させるのであるから、証拠調べ通知において示されたウェブサイトにおいてその一般的な効果などについて詳細な説明が添えられているからといって、「密着泡」の文字から「ぴったりつく泡」の意味合いを認識させないということはできず、本願指定商品の分野において、「密着泡」の文字がそこで説明されているような効果を持った「ぴったりつく泡」の意味合いを認識させることを推し量る材料になり得ないとはいえない。
エ 過去の審査において登録が認められた商標の構成要素について、商品の内容を表す語として使用されている例があるにも拘わらず、そのような要素を組み合わせることにより自他商品識別力を発揮すると判断された登録例がある旨主張する。
しかしながら、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に個別具体的に判断されるべきものであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当することは前記(1)のとおりであって、他の登録例の存在によって、その判断は左右されるものではない。
オ よって、請求人の主張はいずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。


別掲
別掲 証拠調べ通知において示した事実
1.本願指定商品の分野において、密着して汚れを落とす泡のことを表して「密着泡」の文字が用いられている事実。
(1)「花王」のウェブサイトにおいて、「メイクも落とせる洗顔料 うるうる密着泡」の商品名の下、「密着泡で一度にすっきり!/じゅわ〜っと浮かせる!」の記載がある。
https://www.kao.co.jp/biore/lineup/m_uruuru/

(2)「LEC」のウェブサイトにおいて、「GNセスキ密着泡スプレー400mL」の商品名の下、「アルカリパワーを持つ泡が、電子レンジの天面や側面についた油汚れに密着して、汚れを包み込んで、浮かせて落とします。」の記載がある。
https://www.gekiochikun.jp/product/sesuki_micchaku-form/

(3)「サンドラッググループ」のウェブサイトにおいて、「いいね。トイレの洗剤密着泡スプレーミント 400ML」の商品名の下、「いいね。泡密着トイレ洗剤スプレーは、便器に貼り付く密着泡が汚れをすっきり落とします。」の記載がある。
https://cs.sundrug.co.jp/cs/goods/4903367305480/

(4)「ツルハグループ」のウェブサイトにおいて、「くらしリズム ふわふわ密着泡の洗顔フォーム 150g」の商品名の下、「ふわふわ密着泡がお肌に負担をかけずに皮脂や毛穴奥の汚れまで優しく落とし、しっとりとした潤い素肌へ導きます。」の記載がある。
https://kurashi-rhythm.com/?p=3377

(5)「セシール」のウェブサイトにおいて、「泡パック洗剤水アカ用」の商品名の下、「クエン酸の密着泡パックで水垢をスルっと落とす!」や「密着泡で水アカを落とす洗剤です。」の記載がある。
https://www.cecile.co.jp/detail/WF-5158/

(6)「NETSEA」のウェブサイトにおいて、「レンジフード密着泡洗浄」の商品名の下、「泡が汚れに密着、浮かして落とす!!たれにくいもちもちの泡が汚れに密着、油汚れを浮かして落します。」の記載がある。
https://www.netsea.jp/shop/117376/121074

(7)「LION」のウェブサイトにおいて、「泡ピタ」の商品名の下、「密着泡がフチ裏汚れに60秒で効く!」や「密着泡がフチ裏に勢いよく届いて、留まるので、しっかり汚れに働く。」の記載がある。
https://look.lion.co.jp/lookplus/awapita/

2.本願指定商品の分野において、もこもこと膨らんだ泡のことを表して「もこもこ泡」の文字が用いられている事実。
(1)「日テレポシュレ本店」のウェブサイトにおいて、「カビナイトもこもこ泡クリーナー2袋」の商品名の下、「最大の特徴はとにかく“泡”。もこもこの泡が排水パイプの奥まで広がり、しっかり洗浄。」の記載がある。
https://www.ntvshop.jp/shop/g/g210-t220408-01/

(2)「LION」のウェブサイトにおいて、「hadakara」の商品名の下、「もこもこ泡成分を配合。タオルで洗っている間も泡がもこもこ増え続けます。」の記載がある。
https://hadakara.lion.co.jp/

(3)「フェリシモ」のウェブサイトにおいて、「週に1回寝る前のきれい習慣!泡もこもこ排水口クリーナーの会」の見出しの下、「泡がもこもこ!と出てきて、ネバネバヌメリを触らずに排水口全体をキレイに洗浄してくれます♪」や「泡がしっかりもこもこしたら、排水口のフタをかぶせると、フタの裏側に泡が密着するので、ぬめりもすっきり泡掃除できますよ。」の記載がある。
https://www.felissimo.co.jp/shopping/I180606/I280618/I380622/GCD447011/

(4)「byBirth」のウェブサイトにおいて、「もこもこ泡が気持ちいい!1プッシュで濃密泡!ハマる泡洗顔コスメ」の見出しの下、「もこもこの濃密泡洗顔が楽しめる洗顔アイテムをピックアップ!洗顔タイムがきっと楽しくなるはず!」の記載がある。
https://bybirth.jp/press/archives/265542

(5)「@Press」のウェブサイトにおいて、「もこもこ泡で衣服の汚れを絞り出す 除菌漂白剤「住まいの魔法のパウダー」が9月21日販売開始」の見出しの下、「【商品の特徴】<もこもこ泡が、見えない汚れを絞り出す>本品では、従来の酸素系漂白剤に配合される炭素数を5倍増量した強い泡立ちが特徴です。」の記載がある。
https://www.atpress.ne.jp/news/276546

(6)「LEE」のウェブサイトにおいて、「もこもこ泡でラク楽シャンプータイム♪」の見出しの下、「ハンドソープや洗顔料も泡タイプのものが色々出ていて我が家も使っていますが、より泡立てた方がお肌に優しいのはわかっていても、上手にきめ細かい泡を作るのって難しいし時間もかかるんですよねーー。」の記載がある。
https://lee.hpplus.jp/100nintai/2077590/

(7)「Makuake」のウェブサイトにおいて、「不思議!薄いフィルムからもこもこ泡が誕生!【くだものフィルム石けん】」の見出しの下、「泡立ち抜群!薄いフィルムからもこもこ泡に。」、「1枚の薄さ0.13ミリ!驚くほど薄いフィルム石けんに水を加えて溶かしながら泡立てると、両手にたっぷりの泡ができます。」、「少量ずつ水を加え泡立てるとソフトボール位のきめ細かなもこもこ泡が作れます。」の記載がある。
https://www.makuake.com/project/fruits-soap/

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 齋藤 貴博
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2022-06-30 
結審通知日 2022-07-01 
審決日 2022-07-20 
出願番号 2020038939 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W03)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 馬場 秀敏
綾 郁奈子
商標の称呼 ミッチャクモコモコアワ 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 石田 昌彦 

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