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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W29303543
管理番号 1393190 
総通号数 13 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2023-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-11-11 
確定日 2022-12-02 
事件の表示 商願2020−4064拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年1月15日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年3月5日付け:拒絶理由通知書
令和3年4月21日付け:意見書、手続補正書
令和3年8月10日付け:拒絶査定
令和3年11月11日付け:審判請求書
令和4年5月31日付け:拒絶理由通知書
令和4年7月12日付け:意見書

第2 本願商標
本願商標は、「肉の村山」の文字を普通に用いられる方法で表してなり、第29類、第30類、第35類及び第43類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願されたものであり、その後、指定商品及び指定役務については、上記第1の手続補正により、第29類、第30類、第35類及び第43類に属する別掲2のとおりの商品及び役務に補正されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「肉の村山」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるところ、「村山」の文字は「ありふれた氏」であり、「肉の」の文字は、「肉の○○(○○には姓氏が入る。)」のように、「精肉店」を表すのに慣用的に使用されている実情が確認できる。そうすると、「肉の村山」の文字は、ありふれた氏である「村山」と「精肉店」を表すのに慣用的に付される文字を結合した「ありふれた名称」に当たる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第4 当審における拒絶理由通知(要点)
当審において、請求人に対し、令和4年5月31日付けで、別掲1の1及び2のとおりの事実を示した上で、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に該当する旨の拒絶理由を通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。

第5 当審における拒絶理由通知に対する請求人の意見の要点
請求人は、上記第4の拒絶理由通知に対して、意見書において、要旨、以下のように主張した。
1 拒絶理由通知の使用例として、商店街の一精肉店に過ぎない「肉のムラヤマ」のものが挙げられているが、これらは、わずか2件にすぎず、本願商標が、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認定される根拠とはならない。
2 請求人は、本願商標「肉の村山」を屋号とする飲食店(参考資料4〜8)を都内及びその周辺に計5店舗を展開し、各々の店舗の顧客から高い評判や名声を得ているものであるし、また、本願商標は、構成上一体不可分の商標として請求人が創出した造語と認識、把握されるのが自然であり、これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成全体より請求人の業務にかかる出所識別標識として強い印象を受けるものであるから、本願商標に接する取引者、需要者は、請求人の業務に係る商品又は役務であると即座に理解、把握できるものである。
3 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。

第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は、上記第2のとおり、「肉」及びありふれた氏の一つである「村山」の各文字を、助詞の「の」の文字を介し結合し、「肉の村山」と明朝体様の文字で横書きしてなるところ、その構成中の「肉」の文字は、本願の指定商品及び指定役務中、第29類「肉又は肉製品を主材とする惣菜,食肉,肉製品」との関係において、その普通名称又は原材料の名称を表示したものと認められる。
そして、本願商標の構成中、「肉の」の文字部分は、別掲1の事例があるように、例えば「肉のムラヤマ」、「肉の小林」、「肉の伊藤」又は「肉の村田」などのように「肉の○○(○○には氏が入る。)」の文字が、精肉店等、肉に関連する商品を取扱う商店の名称として広く使用されているものである。
以上を踏まえると、「肉の村山」の文字からなる本願商標は、これに接する需要者に、全体として「ありふれた氏の「村山」という者の生産又は販売に係る肉」ほどの意味合いを認識、理解されるものというのが相当である。
してみれば、本願商標を、その指定商品及び指定役務中、第29類「肉又は肉製品を主材とする惣菜,食肉,肉製品」に使用する場合、その需要者に、ありふれた氏の「村山」という者の生産又は販売に係る「肉又は肉製品を主材とする惣菜,食肉,肉製品」であることを理解させるにとどまるものであって、本願商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、これをその指定商品及び指定役務中、第29類「肉又は肉製品を主材とする惣菜,食肉,肉製品」に使用するときは、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標は、構成上一体不可分の商標として請求人が創出した造語と認識、把握されるのが自然であり、かつ、当審の拒絶理由通知の使用例の「肉のムラヤマ」はわずか2件にすぎず、本願商標が、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と認定される根拠とはならない旨を主張する。
しかしながら、「肉のムラヤマ」の使用例が2件であるとしても、「肉の小林」、「肉の伊藤」又は「肉の村田」など、「肉の○○(○○には氏が入る。)」と構成される文字が、精肉店等、肉に関連する商品を取扱う商店の名称として広く使用されていることを踏まえると、本願商標は、これに接する需要者に、請求人が創出した造語と認識、把握されるというよりも、「ありふれた氏の「村山」という者の生産又は販売に係る肉」であることを認識、理解されるにすぎないから、本願商標は自他商品の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものというべきである。
(2)請求人は、本願商標を冠する飲食店を都内及びその周辺に計5店舗を運営するものであり(参考資料4〜8)、各々の店舗の顧客から高い評判や名声を得ているから、本願商標に接する取引者、需要者は、請求人の業務に係る商品又は役務であると即座に理解、把握できるものというべきである旨主張する。
しかしながら、請求人が提出した証拠は、「飲食物の提供」に係るものであって、精肉店等、肉に関連する商品を取扱う商店に係るものはない。
そして、「肉の○○(○○には氏が入る。)」と構成される文字が精肉店等、肉に関連する商品を取扱う商店の名称として広く使用されていることから、本願商標は、その指定商品及び指定役務中、第29類「肉又は肉製品を主材とする惣菜,食肉,肉製品」に使用したときは、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というのが相当であること上記1のとおりである。
(3)請求人は、登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、それらの登録例は、商標の構成文字及び取引の実情において本願とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が自他商品の識別標識として機能しうるか否かは、当該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであって、本願商標についての判断は、上記1のとおりであるから、請求人が挙げる登録例をもって本件判断が左右されるものではない。
(4)請求人は、本願商標の認定について、標準文字で表したものではないにもかかわらず、原審において、「「肉の村山」の文字を普通に用いられる方法(標準文字)で表示してなるものと、その構成態様を誤って認定した点には一切触れず、あたかも本願商標は当初より他の拒絶理由に該当し得ると認定、判断した点には承服し難い旨主張する。
しかしながら、当審の拒絶理由通知においては、本願商標の構成を認定した上で、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当する旨の拒絶の理由を通知し相当の期間を指定して、これに対する意見を求めたものである。
また、原査定においては、上記第3のとおり、本願商標がありふれた氏である「村山」と「精肉店」を表すのに慣用的に付される文字を結合した「ありふれた名称」であるから、同法第3条第1項第4号に該当する旨認定、判断しているところ、当審においては上記1のとおり、ありふれた氏の「村山」という者の生産又は販売に係る商品であることを理解させるにとどまるものであるから、本願商標を「精肉店」における取り扱い商品である、第29類「肉又は肉製品を主材とする惣菜,食肉,肉製品」に使用するときは同項第6号に該当するとしており、本願商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとする点は原査定と実質的に相違するものではない。
(5)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲 別掲1 「肉の○○(○○には氏が入る。)」という名称の使用例(1及び2は当審の拒絶理由通知書で示した事例。3〜6は原審の拒絶理由通知書で示した事例。下線は当審が付した。)
1 2015年12月11日付け日本経済新聞の26ページにおいて、「軽減税率、加工食品も、「据え置き歓迎」「増税心配」、首都圏、小売業者、消費刺激策、求める声も。」の見出しの下、「東京都墨田区で総菜も販売する精肉店「肉のムラヤマ」の店主は「加工品が含まれるのはありがたい」と受け止めつつも「(異なる税率に対応するレジなどの準備は)個人商店は厳しい」と悩む。」との記載がある。
2 「肉のムラヤマ」のウェブサイトにおいて、「その下通商店街で馬刺しが買えるお店は当店だけ!」の見出しの下、「熊本へお越しの際は、是非「肉のムラヤマ(村山精肉)」へお立ち寄りください。」との記載がある。
https://www.basashi-murayama.com/
3 2015年10月10日付け山形新聞朝刊の16ページにおいて、「この店この味 肉の小林(寒河江市) まるごとぎょうざ」の見出しの下、「寒河江市の「肉の小林」は1960(昭和35)年創業の精肉店。自慢の肉を使った商品開発に熱心に取り組んでおり、陳列棚にはオリジナルの加工食品がずらりと並ぶ。」の記載がある。
4 2010年6月17日付け日本経済新聞名古屋夕刊の37ページにおいて、「鉄板ステーキ「胡楽人」―希少な「伊賀牛」にこだわり(味力)」の見出しの下、「・・・伊賀市の老舗精肉店「肉の伊藤・銀座店」から希少な伊賀牛を仕入れる。」の記載がある。
5 2020年10月24日付け北海道新聞朝刊の14ページにおいて、「肉の山本 新工場稼働*冷凍庫増強、生産能力3倍」の見出しの下、「【千歳】食肉製造卸の「肉の山本」(山本歳勝社長)は23日、旧工場(流通3)から北約250メートルの場所に移転新築した新工場(同)を稼働させた。」の記載がある。
6 2017年7月22日付け静岡新聞朝刊の20ページにおいて、「九州豪雨の被災地支援 バザーや募金活動−伊東、西伊豆」の見出しの下、「・・・「肉の村田」など9事業所がブースを構えた。スイーツやパン、弁当など各店舗の自慢の一品を並べた。」の記載がある。

別掲2 本願の補正後の指定商品及び指定役務
第29類「肉又は肉製品を主材とする惣菜,野菜を主材とする惣菜,魚介類を主材とする惣菜,食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物(「かつお節・寒天・削り節・食用魚粉・とろろ昆布・干しのり・干しひじき・干しわかめ・焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,食用魚粉,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」
第30類「調理済みのチャーハン,調理済み焼きそば,調理済みスパゲッティ,おにぎり,茶,コーヒー,ココア,氷,菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。),パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,即席菓子のもと,パスタソース,食用酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」
第35類「フランチャイズの事業の運営及び管理,フランチャイズの事業の運営及び管理に関する指導・相談及び助言,フランチャイズシステムに基づく経営の診断及び指導又は経営に関する助言,その他の経営の診断及び指導又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供」
第43類「飲食物の提供」



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審理終結日 2022-09-05 
結審通知日 2022-09-09 
審決日 2022-10-20 
出願番号 2020004064 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (W29303543)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 大森 友子
特許庁審判官 山根 まり子
清川 恵子
商標の称呼 ニクノムラヤマ 
代理人 佐藤 大輔 
代理人 橘 哲男 

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