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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W20 |
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管理番号 | 1392380 |
総通号数 | 12 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-03-08 |
確定日 | 2022-11-17 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6484747号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6484747号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6484747号商標(以下「本件商標」という。)は「Molls」の欧文字を標準文字で表してなり、令和3年3月22日に登録出願、第20類「家具,ビーズクッション,クッション,ソファ」を指定商品として、同年11月10日に登録査定、同年12月13日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第935816号商標(以下「引用商標」という。)は、「moll」の欧文字を書してなり、2009年1月17日に国際商標登録出願(事後指定)、第20類「Furniture, seating, office furniture, furniture for children and young people, tables, desks, computer stands, cabinets, office cabinets (furniture), shelves, file racks, chairs.」を指定商品として、平成22年7月30日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出した。 (1)商品の抵触について ア 生産部門の一致 本件商標の指定商品(以下「本件商品」という。)は、引用商標の指定商品と同じように、家具やインテリアを製造する工場で、家具や椅子とともに生産されることもあり、両者は生産部門が一致する。 イ 販売部門の一致 本件商品は、引用商標の指定商品と同じ店舗(家具量販店や雑貨店)の同一又は近接した売り場で販売されていることが通常であり、需要者が家具を購入する際に本件商品を目にすることが一般的である。実際、本件商品が、本件商標権者のホームページ上で、ソファや椅子とセットで販売されている事実がある(甲3)から、両者は販売部門が一致する。 ウ 用途の一致 本件商品は、一般家庭又はホテルや店舗、オフィスなどにおいて、腰をかける際に用いられるものであり、上記イで述べたように引用商標の指定商品とセットで使用されることが一般的であるから、両者は用途が一致する。 エ 需要者の範囲の一致 本件商品を購入しようとする需要者は、家具や椅子に合わせて本件商品の購入を検討している一般消費者であることが通常であるから、両者は需要者の範囲が一致する。 オ 完成品と部品の関係にあるか 本件商品が完成品ソファを構成する部品の一つであり、本件商品なくして完成品ソファの販売をすることはできない場合があり(甲3)、そのような場合には、両者は完成品と部品の関係にある。 カ 上記アないしオを総合的に考慮すれば、本件商品と引用商標の指定商品は互いに類似し、本件商標と引用商標をそれぞれの指定商品に使用した場合には、これに接する取引者、需要者が同一の営業主の製造・販売に係る商品であると誤認混同するおそれがあるとみるのが相当である。 (2)商標の類似について 本件商標と引用商標の称呼を対比すると、本件商標からは「モルス」、引用商標からは「モル」の称呼が生ずる。商標の識別において重要な語頭からの2音「モル」を共通にし、相違している点はわずかに語尾における「ス」の音の有無のみである。しかして、該差異音「ス」の音は、それ自体響きの弱い無声摩擦子音であり、声帯が振動せずに発せられる音であるため明瞭に聴取し難いことに加えて、聴取され難い語尾に位置するものである。さらに、語頭の「モル」の部分が明瞭に発音され、これを聴く者に強い印象を与えることから、「ス」の音は前音に吸収されるように発音・聴取されるにとどまり、その印象は一層薄れたものになる。 すなわち、本件商標と引用商標の語尾の差異音「ス」の有無が称呼全体に及ぼす影響は極めて小さく、両商標を一音一音区切って発音するときは格別として、両商標をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調語感が近似したものとなり、彼此聞き誤るおそれがあるものといわなければならず、両商標は、称呼上相紛らわしい類似の商標である。 次に、本件商標と引用商標の外観を対比すると、本件商標は、欧文字「Molls」を頭文字のみ大文字でその他は小文字にて標準文字で記載されたものである。一方、引用商標は欧文字「moll」をすべて小文字で書してなるものであるが、両商標とも外観において特段強い印象を与えるものではない。 また、本件商標と引用商標の観念を対比すると、共通部分である「moll」は、「情婦」の意味を有する英単語であるが、我が国において一般的に親しまれているものとは認めがたく特段の観念を生ずるものではない。しかし、特段の観念を生ずるものではないとしても、英単語において、語尾の「s」は当該単語の複数形であることは一般的に知られているため、本件商標の語尾の「s」は、引用商標と観念の点から峻別して認識し得る要素とはなり得ない。 なお、語尾において「s」、「ス」及び「ズ」の有無の違いのみを有する商標が互いに類似するものと判断された異議決定及び審決例(甲4〜甲13)がある。 (3)むすび 以上から明らかなように、本件商標と引用商標は、称呼上類似する商標であり、また両商標における外観及び観念は、称呼における類似性をしのぐものではない。 したがって、両商標は全体的に観察して類似する商標であるというべきであり、本件商標をその指定商品について使用した場合、引用商標と出所混同のおそれがあり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、前記1のとおり、「Molls」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字から「モルズ」の称呼を生じるというべきであり、当該文字は、辞書等に載録が認められないから、特定の観念を生じない。 イ 引用商標 引用商標は、前記2のとおり、「moll」の欧文字を書してなり、その構成文字から「モル」の称呼を生じ、当該文字は、一般に親しまれている語ともいい難いから、特定の観念を生じない。 ウ 本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標は、上記ア及びイのとおり、5文字と4文字という短い欧文字の構成からなるところ、前半部分における4文字の綴りを共通にするとしても、語頭における大文字と小文字の相違、語尾における「s」の有無において差異を有するものであって、短い構成におけるこれらの差異により、両者の印象が異なり、外観において相紛れるおそれはないというべきである。 次に、本件商標から生じる「モルズ」の称呼と引用商標から生じる「モル」の称呼は、語尾における「ズ」の音の有無に差異を有するものであり、3音と2音という短い音数における該差異は、両称呼全体の語調語感に与える影響が大きく、これらをそれぞれ称呼するときは、聞き誤るおそれはなく、称呼において相紛れるおそれはないというべきである。 さらに、本件商標及び引用商標からは、特定の観念が生じないので、観念において比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標は、観念において比較することができないものであるとしても、外観、称呼において相紛れるおそれがないから、両者の外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)むすび したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2022-11-08 |
出願番号 | 2021040454 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W20)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
森山 啓 |
特許庁審判官 |
小松 里美 小林 裕子 |
登録日 | 2021-12-13 |
登録番号 | 6484747 |
権利者 | 株式会社アミコ |
商標の称呼 | モルズ、モルス、モールズ、モールス |
代理人 | 松永 章吾 |
代理人 | 前川 純一 |
代理人 | 山崎 和香子 |
代理人 | 前川 砂織 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |
代理人 | 森田 拓 |