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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W07111235
管理番号 1392376 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-02-09 
確定日 2022-10-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6477152号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6477152号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6477152号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和3年1月28日に登録出願、商標登録原簿に記載された第7類、第11類、第12類及び第35類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年10月27日に登録査定、同年11月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標(以下、まとめて「引用商標」ということがある。)は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第6297613号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:UMI(標準文字)
登録出願日:平成30年10月24日
優先権主張:2018年(平成30年)4月24日 欧州連合知的財産庁
設定登録日:令和2年9月29日
指定商品:第7類、第8類、第9類、第11類、第20類、第21類、第24類、第27類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
2 登録第6587382号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:Umi.(ウミ)(標準文字)
登録出願日:令和2年8月7日
設定登録日:令和4年7月14日
指定商品:第6類、第7類、第8類、第11類、第16類、第17類、第18類、第19類、第20類、第21類、第24類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、第7類及び第11類の指定商品(以下「申立商品」という。)について、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
1 申立て理由の要点
(1)本件商標は、その出願日前の商標登録出願に係る引用商標1に類似する商標であって、その指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品について使用される商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標は、その出願日前の商標登録出願に係る引用商標2に類似する商標であって、その指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品について使用される商標である。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当する。
2 具体的理由
(1)本件商標の構成
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、欧文字の「UMI」の3文字をデザイン化したものであることが容易に看取できるものであって、「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼を生じる。
この点、「特許情報プラットフォーム」において、「商標(検索用)」の欄に「§UMI」と表示されていること、そして、参考情報とはいえ「称呼」の欄に「ユウエムアイ」「ウミ」の称呼が掲載されている(甲7)。このことは、本件商標が「UMI」の欧文字を様式化してなる商標であり、「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼を生じることが容易に看取されるものであることを如実に示している。
(2)商標の対比
本件商標は、「UMI」の欧文字3文字をデザイン化したものと看取され、「U」と「M」の文字が一体的に表されているとはいうものの、格別特異な表現方法というほどのものではなく、その全体から「UMI」の欧文字3文字からなるものと理解されるから、これよりは、「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼が生じる。「ウミ」の称呼からは「海」「膿」「生み」などの観念も生じ得るところではあるが、引用商標1が表音文字である欧文字で表されていることからすれば、本件商標からは特定の観念を生じない。
これに対して、引用商標1は、「UMI」の欧文字3文字からなり、これよりは「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼を生じるものである。「ウミ」の称呼からは「海」「膿」「生み」などの観念も生じ得るところではあるが、表音文字である欧文字で表されていることからすれば、本件商標と同様、引用商標1は特定の観念を生じない。
引用商標2は、「Umi.(ウミ)」の欧文字及び片仮名からなるものであるが、「Umi.」の文字部分から「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼が生じ、「(ウミ)」の文字部分から「ウミ」の称呼が生じる。「ウミ」の称呼からは「海」「膿」「生み」などの観念も生じ得るところではあるが、引用商標2が表音文字である欧文字及び片仮名で表されていることからすれば、本件商標と同様、引用商標2からは特定の観念は生じない。
そこで、本件商標を引用商標1と対比すると、本件商標と引用商標1は、称呼を共通にし、外観上も「UMI」の3文字を看取させる点において類似するものである。
そして、両商標はいずれも特定の観念を生じるものではないから、観念上明確に識別することもできない。
よって、本件商標は、引用商標1に類似する。
また、本件商標を引用商標2と対比すると、両商標は「ユウエムアイ」及び「ウミ」の称呼を共通にし、特段の明確な観念を生じない両者が観念において明確に異なるものとして認識され、記憶されるとはいえない。
してみれば、本件商標と引用商標2は、称呼を共通にするものとして類似する。
この点、本件商標には「U」の文字と「M」の文字を結合するようにデザインが施されている点において外観上の特徴を有する。しかし、そうであるとしても、商標が常にその外観のみによって取引に資するとみるのは妥当ではなく、例えば店頭での取引において、本件商標が付された商品を口頭により特定する場合には不可避的に本件商標から生じる何らかの称呼をもって特定することになる。その場合には、本件商標は音声上「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼によって特定されることになるとみるほかなく、これ以外の称呼が本件商標から生じる余地はない。
そうすると、本件商標は「ユウエムアイ」又は「ウミ」と称呼され、簡易迅速を尊ぶ商取引においては、引用商標が付された商品と相紛れ、誤認・混同が生じるおそれがある。
この点、欧文字を図案化してなる商標と標準的な字体で書してなる商標の類否判断の例として、異議2017−900255においては、欧文字による文字列の書体が多少図案化されていても、それが格別特異な表現方法に及ぶものではない場合には、同じ文字列からなる商標と類似すると判断されている(甲8)。
また、当該事件では「商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変更したり、デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情がある」と言及されているが、かかる取引の実情が今日において大きく変わったとみるべき理由も見いだし難い。
これに照らして考察してみても、本件商標は、引用商標と類似するとみるのが妥当である。
(3)商品の対比
本件商標の指定商品中、第7類の「水しっくい塗装用機械,ろ過用機械,電気式ビーター,食器洗浄機,電気式コーヒー豆ひき器,工業用ロボット,清掃用塵埃排出装置」及び第11類の「白熱電球,照明用器具及び装置,製パン用オーブン,パン用トースター,多目的加熱調理器具,電気式揚物器,電気式チョコレートファウンテン,ガス浄化装置,消毒装置」は、引用商標1の指定商品と同一又は類似するものである。
また、本件商標の指定商品中、第7類の「道路清掃用機械(自走式のもの),除雪機,家庭用電気式掃除機,食品用包装機,電気式飲料調製機,電気式果汁搾り器,工業用紙巻たばこ製造機械」及び第11類の「ネイル用乾燥ランプ,炉用構造枠組,哺乳瓶用電気式加熱器,ヘアドライヤー,電子レンジ,電気式食品乾燥機,アイスクリーム製造機,洗濯物乾燥機,家庭用加湿器,加湿器,飲料水用ろ過器」は、引用商標2の指定商品と同一又は類似するものである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は引用商標に類似する商標であって、申立商品は引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、本件商標は引用商標1との関係で商標法第4条第1項第11号に該当し、引用商標2との関係で商標法第8条第1項に該当するにもかかわらず、誤って登録されたものである。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、申立商品について、商標法第4条第1項第11号及び第8条第1項に該当するものであるから、速やかにこれを取り消すとの決定を求める。

第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、デザイン性の程度が低いとはいえないものであり、直ちに「UMI」の欧文字を表したものと認識させるともいい難いものである。
また、これが特定の事物等を表したものと認識されるというような事情も見いだせないものであるから、本件商標は、むしろ、特定の観念を有しない、一種の図形として認識されるというべきである。
そうすると、本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じないというのが相当である。
2 引用商標について
(1)引用商標1について
引用商標1は、「UMI」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、直ちに特定の観念を有する語として認識されるというような事情は見いだせない。
そうすると、引用商標1は、その構成文字に相応して「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標2について
引用商標2は、「Umi.(ウミ)」の文字を標準文字で表してなるところ、直ちに特定の観念を有する語として認識されるというような事情は見いだせない。
そうすると、引用商標2は、その構成文字に相応して「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである
3 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標が一種の図形というべきものであるのに対し、引用商標は文字よりなるものであるから、両者は外観上明らかに区別し得る。
また、引用商標は「ユウエムアイ」又は「ウミ」の称呼を生じるのに対し、本件商標は特定の称呼を生じないものであるから、両者は称呼において紛れるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することはできない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標というのが相当である。
4 小括
上記3のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、申立商品と引用商標の指定商品の類否について言及するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び第8条第1項に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、申立商品について、商標法第4条第1項第11号及び同法第8条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲
【別掲】
本件商標


(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-09-29 
出願番号 2021009659 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W07111235)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 小松 里美
冨澤 美加
登録日 2021-11-26 
登録番号 6477152 
権利者 香港恒路國際有限公司
商標の称呼 ユウエムアイ、ウミ 
代理人 小林 奈央 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 押野 雅史 
代理人 田中 克郎 
代理人 廣中 健 

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