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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1392355 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-01 
確定日 2022-08-17 
異議申立件数
事件の表示 登録第6314130号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6314130号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6314130号商標(以下「本件商標」という。)は、「AVIA」の文字を標準文字で表してなり、令和2年4月15日に登録出願、第3類「シャンプー,化粧用クレンジング乳液,ヘアーコンディショナー,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),靴用つや出し剤,研磨剤(研磨用補助液及び歯科用のものを除く。),精油,化粧品,口紅,美顔用パック,固形の化粧せっけん,練り歯磨き,薫料,ペット用化粧品,芳香剤,口臭消臭スプレー,染毛剤,つや出し剤,ネイルエナメル」を指定商品として、同年10月22日に登録査定され、同年11月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において、引用する登録商標は次の(1)ないし(3)とおりであり、現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1700172号商標
商標の構成:「AVIA」の欧文字を横書きしてなるもの(甲2)
登録出願日:昭和56年10月15日
優先権主張:1981年4月15日(アメリカ合衆国)
設定登録日:昭和59年7月25日
指定商品 :第25類「運動靴,その他のはき物」(平成17年3月2日書換登録)
(2)登録第3208848号商標
商標の構成:「AVIA」の欧文字を横書きしてなるもの(甲3)
登録出願日:平成5年11月17日
設定登録日:平成8年10月31日
指定商品 :第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」
(3)登録第3209265号商標
商標の構成:「AVIA」の欧文字を横書きしてなるもの(甲4)
登録出願日:平成5年11月17日
設定登録日:平成8年10月31日
指定商品 :第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
(4)使用商標
申立人は、斜字体風にデザインされた「AVIA」の欧文字(一部のものには「I」の文字部分の上部に赤色の矢印状の図形が付されている。以下「使用商標」という。)を商品「フィットネスシューズ」に使用して、周知著名であると主張するものである(甲5,甲7等)。
なお、上記(1)ないし(4)をまとめて、以下「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証を提出した。
(1)具体的理由
ア 申立人の概要
申立人は、1979年にアメリカ合衆国オレゴン州にて創設された会社であり、40年以上にわたってフットウェアの開発・製造・販売を行っているフットウェアメーカーである。創始者が発案した申立人独自の機能「カンチレバーソール」をいかし、人工工学に基づいたフットウェアの開発に取り組み続けている。1984年、エアロビクスシューズが話題となり、一躍世界のトップブランドヘと成長した(甲5)。
日本へは1986年に進出し、2021年現在、全国各地のスポーツ用品販売店及びウェブショップ、また、フィットネスクラブにてその商品が販売されており(甲6〜甲18)、フィットネス、ランニング、アクアエクササイズなどの分野で、代表的なフィットネスシューズ「A6812w」を中心にトッププロたちから熱い支持を得ている。
申立人の商品の販売数を証明するためライセンシーによる使用料報告書を提出する。使用料を売上総額の6%として売上額を算出すると、代表商品であるシューズと靴下の2017年の売上総額は、約8676万円、2018年は約5800万円、2019年では約1億600万円となる。2020年は9月末までで4000万円以上の売上げがある(甲8)。
イ 引用商標の独創性及び周知性
「AVIA」は、辞書には掲載されていない語である(甲19〜甲21)。申立人が所在するアメリカ合衆国の人名辞典サイトには「AVIA」が掲載されているが(甲22)、子供の名前検証サイトによると、アメリカ合衆国において、1880年から現在までの間に「AVIA」と名付けられた数は極めて少なく、「AVIA」という名前の人口数が最も多かった年でも、アメリカ全体の人口に占める割合はわずか0.003%であった(甲23)。「AVIA」は、アメリカ合衆国内ですら稀有な人名といえ、英語を母語としない我が国においては、「AVIA」を目にした者がこれを人名と認識する可能性は非常に低く、このことからも「AVIA」は完全なる造語であるといえる。インターネット検索サイトで「AVIA」の語を検索すると検索結果の大部分が申立人の商品に関するサイトであり、申立人の商標の周知性、独創性がともに高いことがうかがえる。
ウ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、欧文字で「AVIA」と書してなる標準文字である。引用商標は、いずれも、欧文字で「AVIA」と書してなり、両者はいずれも「アヴィア」と称呼され、外観も同一であり、造語のため観念上の比較はしえないことから、類似するといえる。
エ 商品の出所混同のおそれについて
申立人の商標は、本件商標の登録出願時、我が国においてスポーツ用シューズなどファッション関連商品の分野において、すでに周知となっている。また、特定の意味を有さない造語であり、独創性が高い商標であることは明らかである。
続いて、商品の関連性と取引者及び需要者の共通性について検討する。本件商標の指定商品は、日常的な美容の分野に係る商品である。対して、引用商標の指定商品は、ファッション関連商品である。本件商標の指定商品の需要者は、衛生及び美容目的で、日常的に用いられるという当該商品の性質上、性別や年代、職業を限定せずあらゆる分野の広汎な一般消費者であるといえるため、その中には、引用商標に係る取引者、需要者も当然含まれている。さらに、ファッション企業が化粧品事業を展開したり、スポーツ用品を販売したりする企業が化粧品会社と組んで化粧品市場に参入するなど、ファッション関係商品の製造・販売業者が日常的な美容の分野に係る商品、いわゆる化粧品なども取り扱うのがもはや一般的ともいえる市場の実情もあり(甲25〜甲31)、商品同士の関連性の程度は非常に高い。
混同のおそれの有無の基準となる注意力については、日常的に使用される性質の商品であることや、同指定商品の需要者が特別の専門知識を有するものでない一般消費者であることに鑑みれば、その需要者が商品を購入する際に払う注意力はさほど高くないものと認められる。
これらを総合考慮して判断するところ、引用商標の指定商品と関連性の高い本件商標の指定商品について、本件商標が使用された場合には、引用商標の周知性と高い独創性も相まって、当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信させるおそれ(狭義の混同)、又は、当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれ(広義の混同)があることは明らかである。
(2)結語
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出した証拠及び主張によれば、次のとおりである。
申立人は、1979年にアメリカ合衆国オレゴン州にて創設された、フットウェアの開発・製造・販売を行っている会社であること(甲5、甲6)、申立人の業務に係る「AVIA」ブランドのフィットネスシューズ(以下「申立人商品」という。)は、我が国において、2011年より伊藤忠商事、デサント等により販売が開始されたこと(甲6)、ライセンシーによる報告書(甲8)を基にした申立人の主張による売上高の算出方法によれば、申立人商品の売上総額は、2017年は約8676万円、2018年は約5800万円、2019年では約1億600万円であり、2020年は9月末までで約4000万円以上であったこと、また、引用商標を構成する「AVIA」の欧文字は、2021年3月15日出力のインターネットの通販サイト(甲9〜甲18)によれば、申立人商品の名称の一部として、例えば、「アヴィア AVIA レディース フィットネスシューズ A6812W−SPM シルバー/ピンク」、「AVIA(アヴィア) フィットネスシューズA6812W」のように記載され、さらに、使用商標がウェブサイトに表示され、また、シューズの側面に付されていることが認められる。
イ しかしながら、引用商標を使用した具体的な申立人商品の販売を示す証拠や、申立人商品の売上高や市場シェアなどの実績、取引状況等を示す客観的な証拠の提出はなく、引用商標を使用した申立人商品の市場シェアも不明であり、我が国における市場占有率(販売シェア)に基づいて、引用商標の周知性を把握することはできない。
また、申立人商品の通販サイトの存在期間や、当該ウェブサイトへのアクセス数等も不明で、当該ウェブサイトを通じて販売された申立人商品の取引状況を具体的に示す取引書類等の提出もないから、申立人提出の上記証拠によっては、引用商標の使用状況を具体的に把握することができず、その周知性の程度を推し量ることができない。
その他、申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間で、申立人商品を表示するものとして広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
ウ 小括
したがって、具体的な使用事実に基づいて、引用商標の使用状況を把握し、その周知性の程度を客観的に推し量ることができないから、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
そして、本件商標は上記1のとおり「AVIA」の文字を標準文字で表してなるものであり、引用商標も上記2のとおりいずれも「AVIA」の文字からなるものであるから、両商標は、同一又は類似する商標と認められ、その類似性の程度は高いものといえるものの、申立人商品は、「フィットネスシューズ」であり、本件商標の指定商品は、洗浄剤及び化粧品類であるから、これらは商品の原材料、品質、用途において大きく異なるばかりか、生産者、販売者、流通経路等が全く異なるものであって、需要者の範囲が一致する場合があるとしても、商品自体の関連性が高いとはいえないものである。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして、申立人の業務に係る引用商標を連想、想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-03-01 
出願番号 2020042117 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 榎本 政実
鈴木 雅也
登録日 2020-11-09 
登録番号 6314130 
権利者 楼小軍
商標の称呼 アビア、アバイア 
代理人 中田 和博 
代理人 青木 博通 
代理人 鈴木 薫 

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