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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W06
管理番号 1392259 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-04-22 
確定日 2022-11-25 
事件の表示 商願2021−5673拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和3年1月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年7月12日付け:拒絶理由通知書
令和3年9月21日 :意見書及び手続補足書(甲1、甲2)の提出
令和4年1月25日付け:拒絶査定
令和4年4月22日 :審判請求書及び手続補足書(甲3〜甲8)の提出

2 本願商標
本願商標は、「アローアンカー」の文字を標準文字で表してなり、第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料,建築用金属材料,金属製金具」を指定商品として、登録出願されたものである。

3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録第5699006号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成26年3月26日に登録出願、第20類「輸送用コンテナ(金属製のものを除く。),金属代用のプラスチック製締め具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト(金属製のものを除く。)」を指定商品として、同年9月5日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「アローアンカー」の片仮名を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の「アロー」の文字は「矢」の意味を、「アンカー」の文字は「錨」の意味を有する(別掲2)、いずれも親しまれた外来語といえるものであるから、両語を組み合わせ一連に表したものと容易に理解されるものである。
したがって、本願商標は、その構成文字に相応して、「アローアンカー」の称呼を生じ、「矢の錨」程の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、「矢」の意味を有する「Arrow」の文字(別掲2)と「錨」の意味を有する「Anchor」の文字(別掲2)を、いずれもわずかに濃淡のある灰色の縁取りを有する黒色のゴシック体に属する書体で、下段の「Anchor」の語頭の「A」の上部が上段の「Arrow」の「o」の下部と重なるように二段に横書きし(以下「引用文字部分」という。)、平らな円盤の中心部から矢尻を斜め左下方向に複数連ねた形状からなるモノトーンの図形(以下「引用図形部分」という。)と組み合わせてなるものである。
そして、引用商標の構成中、引用文字部分は、全体がまとまりよく一体的に表されているとともに、上記のような縁取りを有する黒色の書体で明瞭に表され、引用図形部分の上に力強く浮き上がっている印象を与えるのに対し、引用図形部分は、灰色の細い線で、引用文字部分の背後に描かれており、色彩もモノトーンでそれほど目立つものではないことから、引用文字部分と比較して強い印象を与えるものとはいえない。
また、引用図形部分は、一見して特定の事象を表したものと理解できるものではなく、引用文字部分と有機的に結合しているものとはいえないから、引用文字部分と引用図形部分とは、外観上、分離して看取し得るものであって、観念上も、関連性を有するものとはいえないものである。
そうすると、引用商標は、その構成中の引用文字部分と引用図形部分とを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認めることはできないから、引用商標について、引用図形部分よりも強く支配的な印象を与えるものと認められる引用文字部分を要部として抽出し、本願商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるというべきである。
したがって、引用商標は、その構成中、要部である引用文字部分に相応して、「アローアンカー」の称呼を生じ、「矢の錨」程の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標の類否について
ア 商標の類否について
本願商標と引用商標の要部である引用文字部分について比較すると、「アローアンカー」の称呼及び「矢の錨」程の観念は、同一である。
また、本願商標と引用商標の要部である引用文字部分の外観についてみるに、両者は、片仮名と欧文字とで文字種の差異があり、構成や文字の書体において相違するとしても、商標の使用において、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で片仮名を欧文字表記にしたり、あるいは、その逆にしたりという文字種の変換はごく普通に行われていること、本願商標は標準文字で表されており、外観上何らの特徴を有するものではなく、引用商標の要部である引用文字部分も、上下二段に配され、わずかに濃淡のある灰色の縁取りを有するものの、黒色で明瞭に表された文字の中核をなす部分は、一般的なゴシック体に属する書体で書してなるにすぎず、その構成、書体や態様のみで顕著な識別力を有するものとは認められないことに照らせば、両者の外観の相違は、本願商標と引用商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、その商品の出所が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではないというべきである。
以上からすると、本願商標と引用商標の要部である引用文字部分とは、称呼及び観念が同一である一方で、外観の相違が、商品の出所が別異のものであると認識させるほどの強い印象を与えるものではないというべきであるから、本願商標と引用商標を離隔的に観察することを前提として、両者の外観、称呼及び観念が取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標であると判断するのが相当である。
イ 指定商品の類否について
本願商標の指定商品中、第6類「金属製金具」と、引用商標の指定商品中、第20類「金属代用のプラスチック製締め具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト(金属製のものを除く。)」とは、材質を異にしたとしても、「金属製金具」に属する「補強金具」や「ワッシャー」と「ねじ」や「ボルト」のように、物の締付けや結合のために一緒に用いられ、用途を共通にするものであり、また、別掲3の事例のとおり、同一の営業主が「補強金具」と「非金属製のねじ」を製造し、それらが同一の販売場所で販売されている実情があることをも考慮すれば、本願商標の指定商品と引用商標の指定商品中の上記商品とは、その生産部門、販売部門、用途及び需要者の範囲を共通にする場合があるといえるものであって、これらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは、需要者が同一の営業主の製造又は販売に係る商品であると誤認するおそれがあるというべきである。
したがって、本願商標の指定商品中、第6類「金属製金具」と、引用商標の指定商品中、第20類「金属代用のプラスチック製締め具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト(金属製のものを除く。)」とは、互いに類似する商品であると判断するのが相当である。
(4)小括
以上によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、引用商標の指定商品が本願の指定商品と類似の商品を含むものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)請求人の主張
ア 請求人は、本願商標は一体不可分の造語と認識されるものであるから、特定の観念を想起しないか、想起したとしても漠然とした意味合いであること、引用商標からは「アローアンカー」、「アロウアンカー」、「アロー」、「アロウ」、「アンカー」等の複数の称呼が生じ得るから、「アローアンカー」以外の称呼が生じた場合には十分に聴別できることにより、本願商標と引用商標とが非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、本願商標が一連に書してなるものであるとしても、「矢」の意味を有する「アロー」の語と「錨」の意味を「アンカー」の語を組み合わせたものと容易に理解されることは、上記(1)のとおりであり、全体として「矢の錨」程の観念を生じるというべきである。
また、引用商標の要部である引用文字部分は、その構成態様からして、全体がまとまりよく一体的に表されているものといえることは上記(2)のとおりであって、「Arrow」と「Anchor」とを分離して称呼するものというべき特段の事情は見いだせない。
さらに、「アロー」の文字が、「arrow」の文字とともに辞書に掲載されていることに照らせば(別掲2)、我が国においては「arrow」の語を通常「アロー」と発音するものというのが相当である。
そうすると、引用商標から生じる称呼は、「アローアンカー」であるというべきである。
そして、本願商標と引用商標が類似の商標であると判断するのが相当であることは、上記(3)のとおりである。
イ 請求人は、本願商標と引用商標は共通の称呼が生じ得るとしても、共通の称呼が外観及び観念の相違を凌駕して需要者等が誤認・混同を引き起こすということはないとして、過去の審決例(甲3〜甲8)を挙げ、本願商標と引用商標とが非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、商標登録の可否は、商標の構成、指定商品又は指定役務、取引の実情等を踏まえて、商標ごとに個別に判断すべきものであるところ、請求人が指摘する審決例では、商標の構成文字や態様が本願商標とは明らかに異なっており、かかる審決が存在することによって、本願商標と引用商標の類否についての判断が左右されるものではないというべきである。
そして、本願商標と引用商標が類似の商標であると判断するのが相当であることは、上記(3)のとおりである。
ウ したがって、請求人の上記主張は、いずれも、採用することはできない。
(6)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲

別掲1 引用商標



別掲2 本願商標及び引用商標の構成文字に通じる、「アロー」、「arrow」、「アンカー」、「anchor」の各文字の辞書への掲載事実
(1)「コンサイスカタカナ語辞典第4版」(株式会社三省堂)において、「アロー」の文字が、「arrow」の文字とともに、「矢」の意味を有する語として掲載されている。
(2)「コンサイスカタカナ語辞典第4版」(株式会社三省堂)及び「広辞苑第七版」(株式会社岩波書店)において、「アンカー」の文字が、「anchor」の文字とともに、「錨」の意味を有する語として掲載されている。
(3)「ランダムハウス英和大辞典第2版」(株式会社小学館)において、「arrow」及び「anchor」の各文字が、それぞれ「矢」、「錨」の意味を有する語として掲載されている。

別掲3 同一の営業主が、本願の指定商品である第6類「金属製金具」に属する「補強金具」と、引用商標の指定商品中の第20類「金属代用のプラスチック製締め具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト(金属製のものを除く。)」に属する「非金属製のねじ」を製造し、それらが同一の通信販売用ウェブサイトで販売されている事例
「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、締結部品の製造販売を行う「八幡ねじ」(http://yht.co.jp/company/)が製造したものと認められる「特厚金折(補強金具)」と「プラスチックなべ小ネジ」が販売されている。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B00M1IDNOO/)
(https://www.amazon.co.jp/dp/B005XGD7RE/)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-09-21 
結審通知日 2022-09-30 
審決日 2022-10-12 
出願番号 2021005673 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W06)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 鈴木 雅也
渡邉 あおい
商標の称呼 アローアンカー、アロー 
代理人 前川 真貴子 

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