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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W41
管理番号 1392244 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-03-16 
確定日 2022-11-24 
事件の表示 商願2020−93949拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「Social Well−Being」の欧文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,スポーツの興行の企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作,通訳,翻訳,朗読の上演」を指定役務として、令和2年7月30日に登録出願されたものである。
原審では、令和3年7月2日付けで拒絶理由の通知、同年9月15日付けで意見書の提出、同年12月9日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同4年3月16日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「Social Well−Being」と横書きしてなるところ、これは「人間関係に関する幸福」を表すものとして使用されている。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者及び需要者は、人間関係に関する幸福に関する役務(例えば、人間関係に関する幸福についての知識の教授等)であることを理解するにとどまり、本願商標は、単に役務の質、特徴を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が、その指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲のとおりの事実を発見したため、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき通知し、意見を求めた。

4 上記通知に対する請求人の意見
(1)「ウェルビーイング」は、個人又はグループが、身体的、精神的、社会的に「良好な状態」であることを表す概念として知られており、「キャリア・ウェルビーイング」(キャリアに関する幸福)、「ソーシャル・ウェルビーイング」(人展関係の幸福)などの5つの要素で構成されており、「ソーシャル・ウェルビーイング」は、それら5つの構成要素のうちの1つにすぎない。そのため、「ウェルビーイングセミナー」というタイトルのセミナーを開催した場合、需要者は、「人間関係」についての話題をテーマにしたセミナー以外にも、全く異なる話題をテーマにしたセミナーを連想する。
(2)別掲の事例は、必ずしも「ソーシャル・ウェルビーイング」をテーマにしたセミナー、すなわち「人間関係の幸福」をテーマにしたセミナーには直結しないため、本願商標がその指定役務の内容を、直接的かつ具体的に表示しているとする根拠にはならない。
また、ソーシャル・ウェルビーイングの文字を含む言葉が使用されている事例についても、別掲(1)及び(2)は、補足説明がなされている状況であり、別掲(3)は、イベントのタイトルがその内容を直接的に表示しているものではない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
ア 本願商標は、「Social Well−Being」の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は「Social」(社会の)及び「Well−Being」(幸福。福利。)の意味を有する英語で、両語を結合して「社会福祉」の意味を有する英語の成語(参照:「ジーニアス英和大辞典 背革装」大修館書店)となるものである。
イ そして、「ソーシャル・ウェルビーイング」は、別掲(1)のとおり、大学における研究対象となる専門分野の一つに位置づけられている。
加えて、本願商標の指定役務と関連して、別掲のとおり、ソーシャル・ウェルビーイングを含むウェルビーイングをテーマにする調査研究、セミナー、イベントなどが、例えば「ソーシャル・ウェルビーイングに関する調査票調査」、「・・・シンポジウム・・・−ソーシャル・ウェルビーイングに着目して−」、「Social Well−being Fes 2021」などと称して、開催されている実情がある。
ウ そうすると、本件商標をその指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」に使用するときは、その需要者及び取引者をして、「ソーシャル・ウェルビーイング(社会福祉)」をテーマにする講義又はセミナーであること、すなわち、単に役務の質(講義内容、テーマ)を表示するものと認識、理解されるにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標「Social Well−Being」は、セミナーのタイトルに設定した場合に、「人間関係に関する幸福」と解釈され、セミナーの内容を間接的に示していると解釈される余地はあっても、直ちにセミナーの内容を、直接的かつ具体的に表示するものではない旨を主張する。
しかしながら、「ソーシャル・ウェルビーイング」は、上記(1)イのとおり、大学における研究対象の専門分野の1つに位置づけられているなど、ある程度確立した専門用語であるから、本願商標をその指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」に使用するときは、その需要者及び取引者をして、「ソーシャル・ウェルビーイング(社会福祉)」をテーマにする講義又はセミナーであると認識、理解させるにすぎないというべきである。
イ 請求人は、別掲の事例は、必ずしも「ソーシャル・ウェルビーイング」をテーマにしたセミナー、すなわち「人間関係の幸福」をテーマにしたセミナーには直結しないため、本願商標がその指定役務の内容を、直接的かつ具体的に表示しているとする根拠にはならない旨を主張する。
しかしながら、本願商標の指定役務と関連して、上記(1)イのとおり、ソーシャル・ウェルビーイングを含むウェルビーイングをテーマにする調査研究、セミナー、イベントなどが開催されている実情があること、加えて、「ソーシャル・ウェルビーイング」は大学における研究対象の専門分野の1つに位置づけられるなど、ある程度確立した専門用語といえることを踏まえると、本願商標は、その指定役務中「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催」に使用するときは、「ソーシャル・ウェルビーイング(社会福祉)」をテーマにする講義又はセミナーであることを直接かつ具体的に認識、理解させるというべきである。
ウ 以上のとおり、請求人の主張は採用できない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当するから、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲(「ソーシャル・ウェルビーイング」や「ウェルビーイング」をテーマにする調査研究、セミナー、イベントの事例)
(1)専修大学の「ソーシャル・ウェルビーイング研究センター」のウェブサイトにおいて、「活動内容」の見出しの下、「ソーシャル・ウエルビーイングに関する調査票調査、すなわち『ライフスタイルと価値観に関する国際比較調査』を、東アジア・東南アジアの7つの国・地域で行います」の記載がある。
https://www.senshu-u.ac.jp/swb/activities.html
(2)東京新聞における「Campusインフォメーション」の見出しの記事情報(2018年11月17日)において、「専修大 ソーシャル・ウェルビーイング研究センターシンポジウム『アジアにおける『豊かさ』の新しい形―ソーシャル・ウェルビーイングに着目して―』」、「ソーシャル・ウェルビーイング(人々の安心感・満足感・幸福感)の状況について、5年間の研究成果を報告する。」の記載がある。
(3)「福井県高浜町」のウェブサイトにおいて、「ワーケーションWEEK『Social Well−being Fes 2021』オンライン」の見出しの記事情報に、セミナー(2021年9月14日〜19日開催)の開催案内が掲載されている。
https://www.town.takahama.fukui.jp/page/sougouseisaku/waacation/p006797.html
(4)「講談社」の「現代ビジネス」のウェブサイトにおいて、「【11/19参加無料 企業経営のカギ】企業を強くする『ウェルビーイング』セミナー」の見出しの記事情報に、セミナー(2021年11月19日開催)の開催案内が、「そこで今回は『ウェルビーイング』をテーマにしたオンラインセミナーを開催し、皆様にそのノウハウをご紹介します。」の記載とともに掲載されている。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87357
(5)「公益社団法人日本マーケティング協会」のウェブサイトにおいて、「JMAウェルビーイングセミナー第2回『Well beingに関する消費者のインサイトとそこから生み出す新しい価値とは』【オンライン】」の見出しの記事情報に、セミナー(2022年2月4日開催)の開催案内が掲載されている。
https://www.jma2-jp.org/event/seminar/well-being20220204
(6)「フィンランドセンター」のウェブサイトにおいて、「ウェルビーイングセミナーの開催」の見出しの記事情報に、セミナー(2020年10月22日)の開催案内が、「フィンランドセンターは、持続可能な仕事と仕事からの回復をテーマにウェルビーイングセミナーを開催いたします。」の記載とともに掲載されている。
https://finstitute.jp/ja/2020/10/12/wellbeingseminarja-2/
(7)「京都大学大学院総合生存学館ソーシャルイノベーションセンター」のウェブサイトにおいて、「ウェルビーイングセミナー開催」の見出しの記事情報に、セミナー(2022年7月から11月開催)の開催案内が、「ウェルビーイング(幸福感、心の健やかさ、生きがい)を実現することは、現代社会では必ずしも容易ではありません。この連続セミナーでは、経済的豊かさの追求だけでは達成困難なウェルビーイングの特徴を、いくつかの切り口から見て行きます。」の記載とともに掲載されている。
https://wellbeing.innovationkyoto.org/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC%E9%96%8B%E5%82%AC/
(8)「北海道大学 大学院文学研究院・大学院文学院・文学部」のウェブサイトにおいて、「ウェルビーイング・ワークショップ『ケアと共同性:フランスの精神医療から』」の見出しの記事情報に、セミナー(2019年10月19日開催)の開催案内が掲載されている。
https://www.let.hokudai.ac.jp/event/13363
(9)「名古屋大学」のウェブサイトにおいて、「ウェルビーイング説明会(大幸地区)」の見出しの記事情報に、セミナー(2017年4月13日、同月15日)の開催案内が掲載されている。
https://www.well-being.leading.nagoya-u.ac.jp/event/2017/04/201704131700HS.html
(10)「日経イベント&セミナー」のウェブサイトにおいて、「第1回 日経Well−beingシンポジウム」の見出しの記事情報に、セミナー(2021年9月21日〜22日)の開催案内が掲載されている。
https://events.nikkei.co.jp/40808/
(11)「一般社団法人日本予防医学協会」のウェブサイトにおいて、「【オンライン】ウェルビーイングカンファレンス」の見出しの記事情報に、セミナー(2021年7月14日開催)の開催案内が掲載されている。
https://www.jpm1960.org/seminar/end/2021.html


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-09-26 
結審通知日 2022-09-27 
審決日 2022-10-11 
出願番号 2020093949 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W41)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 杉本 克治
阿曾 裕樹
商標の称呼 ソーシャルウエルビーイング 
代理人 植田 吉伸 

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