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審決分類 審判 査定不服 外観類似 取り消して登録 W10
管理番号 1392208 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-06 
確定日 2022-08-30 
事件の表示 国際登録第1520492号に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 手続の経緯
本願は、2019年8月14日に米国においてなされた商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2020年(令和2年)2月12日に国際商標登録出願されたものであって、その手続の経緯は、以下のとおりである。
2021年(令和3年) 4月 8日付け:暫定拒絶通報
2021年(令和3年) 7月15日 :意見書の提出
2021年(令和3年)10月15日付け:拒絶査定
2021年(令和3年)12月 6日 :審判請求書の提出

2 本願商標
本願商標は、「UMBRELLA」の欧文字を横書きしてなり、第10類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品(第10類「Lip, cheek and tongue retractors, mouth props, tongue guards, and dental dams; dental apparatus for displacing oral tissue away from the teeth.」)を指定商品として国際商標登録出願されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した国際登録第915952号商標(以下「引用商標」という。)は、「Umbrellan」の欧文字を横書きしてなり、2006年(平成18年)5月31日に国際商標登録出願、別掲のとおりの商品を指定商品として、2008年(平成20年)2月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

4 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、「UMBRELLA」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は「傘、雨傘」を意味する一般に親しまれた英単語(プログレッシブ英和中辞典 第5版 株式会社小学館)であるから、これより「アンブレラ」の称呼を生じ、「傘、雨傘」の観念を生ずるものである。
(2)引用商標について
引用商標は、「Umbrellan」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書等に載録のないものであり、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そして、特定の語義を有しない欧文字からなる商標については、我が国において広く親しまれているローマ字風又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえ、「傘、雨傘」の意味を有する英語「Umbrella」が「アンブレラ」と読まれることからすると、引用商標は、その構成文字に相応し「アンブレラン」の称呼が生じるものである。
そうすると、引用商標からは、「アンブレラン」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標との類否について検討するに、本願商標と引用商標は、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、大文字と小文字の相違はあるものの「UMBRELLA」のつづりを同じくし、末尾における「n」の有無に差異を有するものであり、外観上近似した印象を与える。
そして、称呼については、本願商標から生ずる「アンブレラ」の称呼と、引用商標から生ずる「アンブレラン」の称呼とを比較すると、語尾の「ン」の音の有無に差異を有するものの、「ン」の音はそれ自体響きの弱い鼻音であって、前音の「ラ」に吸収されやすい音であるばかりでなく、比較的聴取されがたい語尾に位置することから、当該「ン」の音の有無が称呼全体に及ぼす影響は、決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合には、全体としての語調、語感が近似したものとなり、称呼上互いに相紛れるおそれがあるものというのが相当である。
観念については、本願商標から「傘、雨傘」の観念を生じ、引用商標からは特定の観念を生じないから、観念上相紛れるおそれはない。
そうすると、本願商標と引用商標は、観念上相紛れるおそれはないものの、外観において近似した印象を与え、称呼において相紛れるおそれのあるものであるから、これらを総合して観察すれば、本願商標と引用商標とは、互いに相紛れるおそれのある類似する商標というのが相当である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願商標の指定商品である第10類「Lip, cheek and tongue retractors, mouth props, tongue guards, and dental dams; dental apparatus for displacing oral tissue away from the teeth.」(仮訳:唇・頬及び舌の開創器,開口器,舌用ガード,並びに歯科用ダム,口腔組織を歯から離すための歯科用装置)と、引用商標の指定商品中、第10類の商品「Artificial limbs, prosthetic stump stockings, namely orthopaedic hose for lining prostheses, orthopaedic stockings; trunk supports for orthopaedic purposes, contained in this class.」(仮訳:義肢,人工装具の義足用ストッキング、すなわち義足を覆うための整形外科用ストッキング,整形外科用ストッキング,整形外科用の胴体用サポーター(本類に属するもの。))を比較する。
本願の上記指定商品(以下「本願商品」という。)は、歯科治療の際に用いられる歯科医療用器具であり、歯科医療機器・器具及び材料製造業者によって製造、販売され、歯科医療機器・器具及び材料を専門に取扱う事業者を介して、歯科治療に従事する者に販売されるものであるから、歯科治療に従事する者が需要者といえる。
他方、引用商標の上記指定商品(以下「引用商品」という。)は、痛みの軽減や変形の矯正、患部の固定、負担の軽減をはかる医療用品であり、整形外科医の処方により義肢・装具を専門に取り扱う事業者によりオーダーメードで製造されることもある胴体用支持具(装具)、そして、義肢、装具を専門に取り扱う事業者により製造、販売される義足に用いる専用の長靴下、ストッキングであり、これらは、整形外科に通院する患者若しくは義足の使用者が需要者といえる。
そうすると、本願商品と引用商品は、その生産部門、販売部門及び需要者の範囲、そして、用途においては、本願商品が歯科医療用であるのに対し、引用商品は整形外科用と、いずれも明確に異なるものであり、また、完成品と部品との関係にもないことが明らかであるから、両商標がそれぞれ上記の指定商品について使用されたとしても、その商品が同一営業主の取扱いに係る商品であると誤認混同されるおそれがあるということはできず、これらを総合的に考察すると、両商品は互いに類似するものではないというのが相当である。
また、本願商品と、引用商標の引用商品以外の指定商品とは類似しないこと明らかである。
(5)まとめ
してみれば、本願商標と引用商標が類似するとしても、両者の指定商品において類似するといえない以上、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないというべきである。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定の理由をもって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 引用商標の指定商品
第9類「Electric conductive threads covered with textile material.」
第10類「Artificial limbs, prosthetic stump stockings, namely orthopaedic hose for lining prostheses, orthopaedic stockings; gloves for medical use; trunk supports and bandages for orthopaedic purposes, contained in this class.」
第25類「Corselets, outerclothing and underclothing for ladies and gentlemen, stockings, socks, tights and leggings.」
審理終結日 2022-07-22 
結審通知日 2022-07-27 
審決日 2022-08-23 
国際登録番号 1520492 
審決分類 T 1 8・ 261- WY (W10)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 飯田 亜紀
小俣 克巳
商標の称呼 アンブレラ 
代理人 弁理士法人谷・阿部特許事務所 

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