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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W374143
管理番号 1392176 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-12-24 
確定日 2022-11-04 
事件の表示 商願2020−59423拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「そのまま購入」の文字を標準文字で表してなり、第37類「家庭用掃除機の貸与,電気掃除機の貸与,床洗浄機の貸与,モップの貸与,乗物用洗浄機の貸与,洗車機の貸与,衣類乾燥機の貸与,衣類脱水機の貸与,電気洗濯機の貸与,高圧洗浄機の貸与,食器乾燥機の貸与」、第41類「カメラ用三脚の貸与,デジタルカメラの貸与,防水カメラの貸与,光学機械器具の貸与,カメラの貸与,液晶プロジェクタの貸与,映写用スクリーンの貸与,オーバーヘッドプロジェクターの貸与,映画機械器具の貸与,映写フィルムの貸与,楽器の貸与,運動用具の貸与,ICレコーダーの貸与,ビデオカメラの貸与,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,ラジオコントロールおもちゃの貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与」及び第43類「机の貸与,椅子の貸与,置物の貸与,ベビーラックの貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,なべの貸与,家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の貸与,家庭用調理台の貸与,家庭用流し台の貸与,食器の貸与,家庭用電気炊飯器の貸与,電子レンジの貸与,家庭用電気式ホットプレートの貸与,家庭用電気トースターの貸与,家庭用電子レンジの貸与,業務用電子レンジの貸与,業務用炊飯器の貸与,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用調理台の貸与,業務用流し台の貸与,家庭用ホットプレートの貸与,調理用機械器具の貸与」を指定役務として、令和2年5月13日に登録出願されたものである。
原審では、令和3年4月15日付けで拒絶理由の通知、同年5月28日付けで意見書の提出、同年9月30日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年12月24日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「そのまま購入」の文字を標準文字で表してなるところ、近時、レンタルした商品をそのまま購入することができる役務が一般的に提供されている実情があり、また、そのような役務に「そのまま購入」の文字が使用されている実情がある。
こうした実情を踏まえると、本願商標を、「○○の貸与」からなるその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、貸与に係る商品をそのまま購入できることを表示したものと理解し、把握するにとどまるから、本願商標は、単に役務の質、態様、提供の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、貸与に係る商品をそのまま購入できる役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審による証拠調べ通知(令和4年5月20日付け証拠調べ通知書)
当審において、本願商標が、その指定役務との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するか、また同条第2項の要件を具備するかについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条の規定に基づき通知し、請求人の意見を求めた。

4 上記通知に対する請求人の意見
請求人は、上記通知に対して、意見を提出しない。

5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
ア 本願商標は、「そのまま購入」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「そのまま」の文字は「状態に変化のないこと。」の意味を、「購入」の文字は「買い入れること。」の意味を有する語(「広辞苑 第7版」岩波書店)であり、いずれも意味の理解が容易な語であるから、構成文字全体として「そのまま購入」すること程度の意味合いを容易に理解できる。
イ 本願商標の指定役務と関連するレンタル業界において、別掲のとおり、例えば「そのまま購入」、「レンタルそのまま購入!」、「レンタル終了後そのまま購入可」、「そのまま購入可」等の表示をする、貸与物を返却せずに、そのまま購入できるサービスが、一般的に提供されている実情がある。
ウ そうすると、本願商標は、その指定役務(貸与と関連する役務)との関係においては、(貸与物を)「そのまま購入」することが可能な役務であることを想起させるもので、単に役務の質(内容、購入オプション)を表示するにすぎない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張
ア 請求人は、証拠(以下、請求人提出の証拠1から証拠9は、甲○と表記する。)を提出し、「そのまま購入」は全国レベルで需要者の間に周知であり、使用による識別性を得ている旨の主張をする(商標法第3条第2項の要件充足性を明確に主張していないものの、念のため以下検討する)。
イ しかしながら、証拠によれば、請求人は、家電のレンタルサービスを手がけている会社(甲2)であって、「レンティオの“そのまま購入”」と称する、「使って気に入ればそのまま買える」ことをうたったレンタルサービス(以下「請求人役務」という。)を提供(甲1)しており、一定程度の貸出実績(約50万件)がある実情はうかがえる(甲5)。
ウ 他方、請求人役務の名称は、請求人名称(レンティオ)を冠したもので、また、「そのまま購入」の文字部分もサービス内容(使って気に入ればそのまま買える)を表示するにすぎないことを鑑みると、本願商標に相当する商標を独立した出所識別標識として印象付け、記憶させるような使用態様ではないから、請求人役務の提供実績が、本願商標に係る請求人の出所識別標識としての知名度の向上に寄与するものとは直ちに評価し難い。
なお、請求人の提供するサービスのメディア(テレビ、ラジオ、雑誌等)を通じた広告実績(甲8)やランキング(甲9)にしても、広告宣伝の具体的態様は不明であるから、本願商標の知名度の向上につながるような広告宣伝があったかも明らかではない。
エ そうすると、本願商標は、請求人提出の証拠によっては、我が国の需要者の間において、請求人の業務に係る役務を表示する標章として、広く認識されるに至っているものとは認められない。
したがって、本願商標は、請求人により使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとはいえず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、同条第2項の要件を具備しない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲 貸与された物品を返却せずに、そのまま購入できるサービスの事例
(1)「BEERACLE」のウェブサイトにおいて、「会員様専用」の「そのまま購入」の項に、「【そのまま購入】ドクターケラー ヘアーエナジャイザー」、「【そのまま購入】エルフェイス」などと表示する商品が掲載されている。
また、同ウェブサイトの「よくある質問」の「レンタル中に商品購入はできますか?」の項に、「購入可能です。レンタル中の商品を『そのまま購入』、もしくはレンタル商品をご返却後に同型の商品をお届けする『新品購入』がございます。」の記載がある。
https://www.beeracle.jp/ic/members/purchase
https://www.beeracle.jp//questions
(2)「SHiROSHiTA Direct 楽天市場店」のウェブサイトにおいて、「レンタルそのまま購入キャンペーン」の項に、「レンタルそのまま購入!」、「まずは1週間レンタルでじっくりお試し。気に入ったら返却せずにそのままご購入。」の記載がある。
https://item.rakuten.co.jp/shiroshita-direct/c/0000000154/
(3)「日本経済新聞」のウェブサイトにおいて、「レンタル商品そのまま購入 ピーステックラボ」の見出しの記事情報(2020年6月23日付け)において、「個人や企業の間でモノを貸し借りできるスマートフォンアプリ『アリススタイル』を手掛けるピーステックラボ(東京・渋谷)は、借りた商品をそのまま購入できるサービスを始めた。家電製品などをレンタルしてしばらく使った後、気に入れば追加料金を払って使い続けることができるようになる。」の記載がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60668620T20C20A6XY0000/
(4)「IQOS」のウェブサイトにおいて、「IQOSイルマキット」のお試しキットの紹介の項に、「レンタル終了後そのまま購入可」、「気に入ったらそのまま購入!」の記載がある。
https://jp.iqos.com/trial#
(5)「IO DATA」のウェブサイトにおいて、「アイオーレンタルサービス」の項に、「そのまま購入可」、「気に入ったらご返却不要!そのまま購入できます」の記載がある。
https://www.iodata.jp/support/service/iss/service/rental/index.htm
(6)「Rentry」のウェブサイトにおいて、「延長やレンタル後の購入がカンタン」の見出しの下、「レンタルして気に入ったら」、「サイトから購入手続き」、「返送いらずでそのまま購入!」の記載がある。
https://rentry.jp/help/buyout
(7)「KARITOKE」のウェブサイトにおいて、「気に入った商品をそのまま購入することができる、新サービス『KAUTOKE(カウトケ)』開始のお知らせ」の見出しの下、「レンタルして気に入った商品をそのまま購入することができる、新サービス『KAUTOKE(カウトケ)』を本日からご利用いただけるようになりました。」の記載がある。
https://karitoke.jp/information/216/detail
(8)日経MJ(流通新聞)の「『カウリル』のTENT、資金調達で機能開発。」の見出しの記事情報(2021年5月10日付け)において、「レンタル品を扱う事業者や小売店舗などの商品を中心に約2000点が並ぶ。利用者は借りた商品を気に入った場合はそのまま購入することもできる。」の記載がある。
(9)日経産業新聞の「無印、ベッドや机レンタル、大塚家具は約70品目を用意。」の見出しの記事情報(2021年2月9日付け)において、「ベッドや机などが1年単位で借りられ、気に入った商品はそのまま購入できる。」の記載がある。
(10)日経産業新聞の「ディノス・セシール、『試してから購入』広がる、家具レンタル、25都道府県に、家電や衣料、他社も続々。」の見出しの記事情報(2018年7月4日付け)において、「ソファやベッドなどの新品家具をレンタルで使用し、気に入ればそのまま購入できる。」の記載がある。


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-08-31 
結審通知日 2022-09-06 
審決日 2022-09-20 
出願番号 2020059423 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W374143)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 阿曾 裕樹
杉本 克治
商標の称呼 ソノママコーニュー、ソノママ 
代理人 青木 孝博 

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