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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W10
管理番号 1392138 
総通号数 12 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-02-17 
確定日 2022-11-16 
事件の表示 商願2019−151846拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和元年12月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年1月15日付け :優先権証明書提出書の提出
令和2年4月23日付け :拒絶理由通知書
令和2年7月28日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年11月13日付け:拒絶査定
令和3年2月17日 :審判請求書の提出
令和3年4月21日 :手続補正書(方式)の提出
令和3年12月27日付け:審尋
令和4年3月9日 :上申書の提出

第2 本願商標
本願商標は、「SURPASS−C」の文字を標準文字で表してなり、第10類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、2019年6月4日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して登録出願されたものであり、その後、指定商品については、上記1の手続補正書により、第10類「疼痛コントロールのための埋め込み型電気刺激装置を含む医療用機械器具,疼痛コントロールのための電気刺激装置専用の医療用の電極・電極アレイ及びその他の部品及び附属品,医療用の電極を含む神経系シグナルを調節するための組織及び神経組織に使用する医療用機械器具並びにそれらの専用部品及び附属品,医療用電子式神経刺激装置並びにその部品及び附属品,経皮的末梢神経電気刺激用機械器具並びにその部品及び附属品,医療用機械器具」に補正されたものである。

第3 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第2203747号商標(以下「引用商標1」という。)
引用商標1は、「サーパス」の片仮名を横書きしてなり、昭和62年12月28日登録出願、第10類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録され、その後、同21年10月28日に指定商品を第10類「歯科用機械器具,医療用機械器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第2232179号商標(以下「引用商標2」という。)
引用商標2は、別掲1のとおり、「SURPASS」の欧文字を横書きしてなり、昭和62年12月28日登録出願、第10類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年5月31日に設定登録され、その後、同22年2月17日に指定商品を第10類「歯科用機械器具,医療用機械器具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
以下、引用商標1及び引用商標2をまとめていうときは、「引用商標」という。

第4 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、本願商標の要部と引用商標とは、「サーパス」の称呼及び「超える、超越する」の観念を同一にするものであるから、これらを総合的に考察すると互いに類似するものであり、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとしたものである。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、上記第2のとおり、「SURPASS−C」の文字を標準文字で表してなるところ、その外観上、「SURPASS」の欧文字と「C」の欧文字とを「−」(ハイフン)を介して結合してなることから、その構成は、前半の「SURPASS」の欧文字部分と後半の「C」の欧文字部分とに分離して看取されるものである。
そして、本願商標の前半を構成する「SURPASS」の欧文字は、「上回る,越える」(研究社「新英和中辞典」)等の意味を有する英語であり、本願の指定商品との関係においては、取引者、需要者に商品の品質等を表すものとして認識させる特別の事情はないものであって、自他商品の識別標識としての機能を有するものである。
一方、「−」(ハイフン)を介し本願商標の後半を構成する1文字の欧文字「C」は、それのみでは極めて簡単で、かつ、ありふれた標章といわざるを得ないものであり、また、一般的には、欧文字1字は商品の品番、型番等を表す記号又は符号として類型的に使用されているものであって、本願の指定商品である医療用機械器具の分野においても、商品の品番、型番等を表示するものとして、同様に採択、使用されている実情があることからすれば(別掲2参照)、当該文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を発揮しないか、極めて弱いものであり、当該文字部分のみから、商品の出所識別標識としての称呼、観念は生じないとみるのが相当である。
そうすると、本願商標は、その構成中の「SURPASS」の欧文字部分が、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというべきであるから、本願商標は、その構成中の「SURPASS」の欧文字部分を要部として抽出し、この部分のみを他人の商標(引用商標)と比較して商標の類否を判断することができるものである。
したがって、本願商標は、構成全体より生じる「サーパスシー」の称呼のほか、要部である「SURPASS」の欧文字に相応して、「サーパス」の称呼及び「上回る,越える」の観念を生じるものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は、上記第3のとおり、「サーパス」の片仮名を横書きしてなるところ、当該文字は、「上回る,越える」等の意味を有する英語の「SURPASS」の読みを表したものと容易に認識、把握されるとみるのが相当である。
したがって、引用商標1は、その構成文字に相応して「サーパス」の称呼を生じ、「上回る,越える」の観念を生じるものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は、別掲1のとおり、「SURPASS」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、「上回る,越える」等の意味を有する英語であり、その構成文字に相応して「サーパス」の称呼を生じ、「上回る,越える」の観念を生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
ア 本願商標と引用商標1との類否について
本願商標の要部と引用商標1との類否についてみるに、本願商標は、上記(1)のとおり、その構成中の要部である「SURPASS」の文字部分から「サーパス」の称呼及び「上回る,越える」の観念を生じるものであり、一方、引用商標1は、上記(2)アのとおり「サーパス」の称呼及び「上回る,越える」の観念を生じるものであるから、両者は称呼及び観念を共通にするものである。
また、外観においては、本願商標の要部である「SURPASS」の文字部分と引用商標1とは、文字の種類が欧文字と片仮名とで相違するとしても、商標の使用において、その構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記されることが一般に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における文字種の相違が、取引者、需要者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえないものである。
そうすると、本願商標と引用商標1とは、称呼及び観念を共通にするものであり、外観において差異を有するとしても、この差異は、称呼上及び観念上の類似性を凌駕するほどの顕著なものとはいえないことから、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
イ 本願商標と引用商標2との類否について
本願商標の要部と引用商標2との類否についてみるに、本願商標は、上記(1)のとおり、その構成中の要部である「SURPASS」の文字部分から「サーパス」の称呼及び「上回る,越える」の観念を生じるものであり、一方、引用商標2は、上記(2)イのとおり「サーパス」の称呼及び「上回る,越える」の観念を生じるものであるから、両者は称呼及び観念を共通にするものである。
また、外観においては、本願商標の要部である「SURPASS」の文字と、引用商標2を構成する「SURPASS」の文字は、書体の相違がみられるものの、これらは格別顕著な相違とはいえないものであり、他方、両者は同じ文字つづりからなるものであるから、外観上、近似した印象を与えるものである。
そうすると、本願商標と引用商標2とは、「サーパス」の称呼及び「上回る,越える」の観念を共通にし、外観上も近似した印象を与えるものであるから、これらを総合して全体的に考察すれば、両者は、商品の出所について誤認混同を生じるおそれのある、互いに類似の商標というのが相当である。
ウ まとめ
以上からすると、本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標である。
(4)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本願の指定商品である第10類「疼痛コントロールのための埋め込み型電気刺激装置を含む医療用機械器具,疼痛コントロールのための電気刺激装置専用の医療用の電極・電極アレイ及びその他の部品及び附属品,医療用の電極を含む神経系シグナルを調節するための組織及び神経組織に使用する医療用機械器具並びにそれらの専用部品及び附属品,医療用電子式神経刺激装置並びにその部品及び附属品,経皮的末梢神経電気刺激用機械器具並びにその部品及び附属品,医療用機械器具」は、引用商標の指定商品である第10類「歯科用機械器具,医療用機械器具」と同一又は類似の商品である。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標は、「SURPASS」の欧文字と「C」の欧文字とを「−」(ハイフン)で繋いだ構成よりなり、その構成文字はすべて同書同大で書され、文字数も冗長とまではいえず、外観上の構成は強い一体性を有しており一体不可分に認識される旨主張する。
しかしながら、上記1(1)のとおり、本願商標は、その構成から、前半の「SURPASS」の欧文字部分と後半の「C」の欧文字部分とに分離して看取されることに加え、その前半を構成する欧文字部分が、独立して自他商品の識別標識としての機能を十分に発揮し得るものであるのに対し、後半を構成する欧文字部分が、自他商品の識別標識としての機能を発揮しないか、極めて弱いものであって、前半の「SURPASS」の欧文字部分が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、当該文字部分を他人の商標と比較して商標全体の類否を判断することが許されるものである。
(2)請求人は、過去の登録例及び審決例を挙げて、本願商標も同様に取り扱われるべきである旨主張している。
しかしながら、請求人が挙げる審決例及び登録例は、本願商標とは、その構成、態様及び指定商品等が異なることから、事案を異にするものであり、かつ、具体的事案の判断においては、過去の審決例や登録例に拘束されることなく判断されるべきであるから、これらの事例の存在が上記の判断を左右するものではない。
(3)したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1 引用商標2


別掲2 本願の指定商品に係る分野において、欧文字1字が、商品の品番、型番、種別、規格等を表す記号又は符号として使用されている例
(下線は、当合議体が付加。)
1 「フクダ電子」のウェブサイトにおいて、「トップページ > 医療関係の皆さまへ > 製品情報 > 人工呼吸/麻酔器 > Flow−c」の見出しの下、「麻酔システム Flow−c 多忙な手術室のワークフローをスムーズに」の記載、及び「特長」の項に、「Flow−i同様ボリュームリフレクタを採用し正確なガス供給を提供」の記載がある。
https://www.fukuda.co.jp/medical/products/ventilator/flow-c.html
2 「NIHON KOHDEN」のウェブサイトにおいて、「医療関係の皆様へ:製品情報」の見出しの下、「人工呼吸器 HAMILTON−Cシリーズ 商品コード:HAMILTON−C3」の記載がある。
https://www.nihonkohden.co.jp/iryo/products/resp_resus/ventilator/hamilton_c3.html
3 「Medical EXPO」のウェブサイトにおいて、「二次医療 > 整形外科関連 > 頸椎用椎体間ケージ > Medacta」の見出しの下、「頸椎用椎体間ケージ Mecta−C STAND ALONE」の記載、及び「詳細」の項に、「Mecta−C Stand Aloneは、C2からT1までの複数の連続したレベルの変性椎間板症を患っている患者に使用することを目的としています。」の記載がある。
https://www.medicalexpo.com/ja/prod/medacta/product-94141-606601.html
4 「premium plus JAPAN」のウェブサイトにおいて、「NEWキュアリングライトC02−C/C02−D」の見出しの下、「C02−C (Classic) Curing Light /C02−D (Dual Range) Curing Light」の記載、及び「製品スペック Product Specifications」の項に、「C02−C NEW C02−Cクラシック」、「C02−D NEW C02−Dデュアル」の記載がある。
https://premiumplus.jp/4499/
5 「メディキット株式会社」のウェブサイトにおいて、「製品情報」の見出しの下、「静脈用製品 静脈内留置針 標準型 スーパーキャスZu−C」の記載、及び「品番 24G Zu−C×3/4”」の記載がある。
http://www.medikit.co.jp/product/detail/2_05.html
6 「FEEDデンタル」のウェブサイトにおいて、「タスク フラミンゴ−C」の見出しの下、「フラミンゴ C 医療機器 詳細情報: ●商品コード:1928282●入数:1セット●販売名:フラミンゴ−C」の記載、及び「ほかの方が一緒に閲覧された商品」の項に、「フラミンゴ−D」の記載がある。
https://dental.feed.jp/product/302000140.html
7 「PMDA」のウェブサイトにおけるPDFファイルにおいて、「販売名:HYDRA−C ステム」の見出しの下、「1. 形状・構造」の項に、「1) 大腿骨ステム 製品名:HYDRA−C ステム」の記載がある。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/ResultDataSetPDF/181602_30300BZI00035000_A_01_01
8 「メディカルオンライン」のウェブサイトにおいて、「ホーム > プロダクト > 製品詳細」の見出しの下、「脊椎ケージ Solitaire−C スペーサー 製造販売企業:ジンマー バイオメット合同会社」の記載がある。
https://dev.medicalonline.jp/index/product/eid/70022


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示)
この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意)
特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 森山 啓
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2022-06-23 
結審通知日 2022-06-24 
審決日 2022-07-06 
出願番号 2019151846 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W10)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 荻野 瑞樹
小林 裕子
商標の称呼 サーパスシイ、サーパス 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 石田 昌彦 
代理人 右馬埜 大地 
代理人 両部 奈穂子 

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