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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W42
管理番号 1391184 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-05-20 
確定日 2022-11-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第6527182号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6527182号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6527182号商標(以下「本件商標」という。)は、「ZOOM PHONE」の欧文字を標準文字で表してなり、令和2年12月18日に登録出願、第38類及び第42類に属する別掲1の役務を指定役務として、同4年3月7日に登録査定され、同月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は、次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2445969号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 ZOOMの欧文字を横書きしてなるもの
指定商品 第9類「電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD―ROM,メトロノーム,レコード,蓄音機(電気蓄音機を除く)」及び第15類「楽器,演奏補助品,音さ」
登録出願日 平成 元年7月19日
設定登録日 平成 4年8月31日
書換登録日 平成15年8月20日
(2)登録第4363622号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 ZOOMの欧文字を横書きしてなるもの
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成 元年10月19日
設定登録日 平成12年 2月25日
書換登録日 平成22年 7月28日
(3)登録第4940899号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第9類及び第15類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 平成17年 8月8日
設定登録日 平成18年3月31日
(4)登録第6255174号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
登録出願日 令和元年7月30日(平成29年10月30日に登録出願された商願2017−143112に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願)
設定登録日 令和2年5月29日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、その指定役務中、第42類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号に該当する具体的理由
ア 本件商標について
本件商標は、英単語の「ZOOM」と「PHONE」を組み合わせた態様からなり、商標全体より「ズームフォン」の称呼が生じるが、それ以外に、「ズーム」の称呼が生じる。
本件商標は「ZOOM」(「ズーム」と称呼され、「急上昇」の意味を持つ)と「PHONE」(「フォーン」と称呼され、「電話」の意味を持つ)という二つの既成語の結合よりなり、いずれの語句も、英語にさほど馴染みのない人であっても容易にその意味を知り得る程度に浸透した既成語である。
本件商標の第42類の指定役務はいわゆる「SaaS」であるが、デジタル通信の媒体として用いられるのはパーソナルコンピューターのほか、スマートフォンなどの「電話」である。そうすると、本件商標に接する需要者は、本件商標のうち「PHONE」の部分について役務の質を表示するもの(電話機を通じて提供されるもの)として把握し、識別力を有さず、本件商標の要部について「ZOOM」と理解する(甲3)から、本件商標から最も自然に生じる称呼は、「ZOOM」より生じる「ズーム」であり、「ZOOM」商標と類似する。引用商標はいずれも「ZOOM」の文字よりなる商標である。よって、本件商標は、引用商標と類似する。
イ 引用商標について
引用商標は、いずれも「ZOOM」の文字からなり、「ズーム」の称呼と「急上昇」の観念を生じる。
ウ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標と引用商標は、ともに「ズーム」の称呼、「急上昇」の観念を生じる点において同一であり、「ZOOM」の文字を構成の主要素としている点において共通し、外観において類似する。
エ 本件商標と引用商標の指定商品・役務の対比
本件商標の指定役務は、引用商標2ないし引用商標4の指定商品の一つである第9類「電子計算機用プログラム」と類似する。
(2)小括
上述のとおり、本件商標は、引用商標とその態様において類似し、かつ、その指定役務について引用商標の指定商品と類似である。ゆえに、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、「ZOOM PHONE」の欧文字を標準文字で表してなり、同書、同大で外観上まとまりよく一体に表されているものであり、その構成全体から生じる「ズームフォーン」又は「ズームフォン」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、構成中の「ZOOM」の文字は、「(画角を連続的に変えることの意である)ズーム」の意味を有し、また、「PHONE」の文字は、「電話」の意味を有するものの、本件商標全体として辞書等に載録が認められない語であるから、全体として親しまれた意味合いを理解させるものとはいえないが、かかる構成及び称呼よりすれば、本件商標は、構成全体をもって一体不可分というべきであって、その構成中「ZOOM」の文字部分を分離抽出し他の商標と比較検討することはできない。
そうすると、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の造語を表したものと取引者、需要者に認識されるというのが相当であるから、本件商標からは、「ズームフォーン」又は「ズームフォン」の称呼を生ずるというべきであり、特定の観念は生じない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、上記2(1)のとおり、第9類及び第15類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品とするものである。
(イ)引用商標2は、上記2(2)のとおり、いずれも「ZOOM」の欧文字からなり、該文字に相応して「ズーム」の称呼、「(画角を連続的に変えることの意である)ズーム」の観念を生じるものである。
(ウ)引用商標3及び4は、別掲2及び3のとおり「ZOOM」又は「zoom」の欧文字をデザイン化してなり、いずれもそれらの構成文字に相応し「ズーム」の称呼、「(画角を連続的に変えることの意である)ズーム」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標1の類否
引用商標1は、上記(ア)のとおり、第9類及び第15類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品とするものであって、当該商品は、本件商標の指定役務とは類似しないものであるから、本件商標との類否を判断するまでもなく、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(イ)本件商標と引用商標2ないし4の類否
本件商標と引用商標2ないし4の類否を検討すると、外観においては、「PHONE」の文字の有無及びデザイン化された態様など、構成文字数及び構成態様が明らかに異なり、判然と区別し得るものである。
次に、本件商標から生じる「ズームフォーン」又は「ズームフォン」と引用商標から生じる「ズーム」の称呼を比較すると、両者は後半部に「フォーン」又は「フォン」の音の有無という明らかな差異を有するから、両者は、明瞭に聴別し得るものである。
さらに、観念においては、本件商標が特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標2ないし4は「(画角を連続的に変えることの意である)ズーム」の観念を生じるものであるから、観念上相紛れるおそれはないものである。
そうすると、本件商標と引用商標2ないし4とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、両商標の指定役務と指定商品の類否について検討するまでもなく、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標はその指定役務中、第42類「全指定役務」について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲

別掲1 本件商標の指定役務
第38類
音声会議通信,ネットワーク会議通信,インスタントメッセージによる通信,遠隔会議用通信端末による通信,テレプレゼンス会議通信,ビデオ会議用通信端末による通信,ウェブ会議通信,ウェブによるメッセージの通信,電気通信ネットワーク・ワイヤレス通信ネットワーク・インターネット・情報サービスネットワーク及びデータネットワークを利用した音声・オーディオ・ビジュアルイメージ及びデータの送信による通信サービス
第42類
同時に複数のユーザーが参加するライブビデオ音声会議・遠隔会議・ネットワーク会議・ウェブ会議及びインスタントメッセージングを含むライブデジタル通信のためのソフトウェアを特徴とするオンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SAAS)

別掲2 引用商標3


別掲3 引用商標4



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異議決定日 2022-10-26 
出願番号 2020156978 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W42)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 大森 友子
清川 恵子
登録日 2022-03-14 
登録番号 6527182 
権利者 ズーム ビデオ コミュニケーションズ インコーポレイテッド
商標の称呼 ズームフォーン、ズームフォン、ズームホーン、ズームホン 
代理人 秋山 朋子 
代理人 和田 信博 
代理人 豊崎 玲子 

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