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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1391178 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-03-28 
確定日 2022-11-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第6503740号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6503740号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6503740号商標(以下「本件商標」という。)は「BABOO」の文字を標準文字で表してなり、令和3年8月4日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同4年1月13日に登録査定、同月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4172757号(以下「引用商標1」という。)
商標の構成 バブ
指定商品 第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」
登録出願日 平成9年2月28日
設定登録日 平成10年7月31日
(2)登録第5550406号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成 バブ(標準文字)
指定商品 第21類「化粧用具」
登録出願日 平成23年9月21日
設定登録日 平成25年1月18日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第75号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標の類否
本件商標は、「BABOO」の欧文字を横書きしてなり、その構成文字から「バブー」の称呼を生じること明らかであり、他方、引用商標は、いずれも「バブ」の片仮名を横書きしてなるから、その文字に呼応して「バブ」の称呼を生じること明らかである。
そこで、両者の称呼を比較すると、わずかに語尾に長音を伴うか否かの差異を有するにすぎず、称呼を構成する他の音を共通にするものであって、語尾に位置する長音は、破裂音で強く発音される前音「ブ」に吸収されて微かに余韻が残っているかのように感じられる程度であり、明確に聴取し難いものである。
なお、同様に2音の称呼からなり、語尾における長音の有無にすぎない商標について類似と判断された事例は枚挙にいとまがない。
また、両者の称呼のうち、共通する「バ」「ブ」の音は、ともに両唇破裂音であり、日本語でいうとバ行の音が該当する(甲4)。両唇破裂音は、上唇と下唇を閉じて呼気を止めた状態から、その閉鎖を一気に解放することによって発せられる音であり、強く息を吐くように発音されることから、聴取する者にも極めて強い印象を残す音である。
よって、聴者に強い印象を残す「バブ」の部分を共通にする本件商標と引用商標を一連に称呼するときは、全体の語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに相紛らわしい。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観においては相違し、観念において比較することができないとしても、称呼において互いに類似する商標というのが相当である。
イ 指定商品の抵触について
(ア)本件商標と引用商標1の指定商品の抵触
本件商標の指定商品中、「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料」は、引用商標1の指定商品「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」と類似する。
(イ)本件商標と引用商標2の指定商品の抵触
本件商標の指定商品中、「つけづめ,つけまつ毛」は、引用商標2の指定商品「化粧用具」と類似する。
ウ まとめ
以上より、本件商標と引用商標は、称呼が類似する商標であり、その指定商品も類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 商標「バブ」の周知・著名性
(ア)入浴剤「バブ」の発売
申立人は、1983年に日本初の炭酸錠剤入浴剤として「バブ」の販売を開始した(甲7、甲9)。
炭酸ガスの効果により高い温浴効果を得られること、従来、粉末が主流だった入浴剤を錠剤の形状としたことが注目されたことなどから需要者の大きな関心・支持を集め(甲7、甲22)、発売から約40年が経過した現在も申立人の重要な商品の一つとなっている(甲7、甲9、甲22、甲23、甲25、甲43、甲63)。
(イ)入浴剤「バブ」についての宣伝・広告
申立人は、1983年の発売から現在に至るまで継続して入浴剤「バブ」について、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・インターネット広告及び公共交通機関における広告・宣伝を積極的に行ってきた(甲74)。
また、朝日新聞等の全国紙、各種雑誌において広告・宣伝を行っている他、関東地方・関西地方においては、鉄道の主要駅や鉄道車内における広告も行っている。
さらに、2017年には、関東地方で夏の気温が特に高いことで知られる埼玉県熊谷市の暑さ対策への協力として、「バブ」の夏用商品(冷涼クールバブ)の無料引換券を熊谷市報とともに配布するといった活動も行った(甲34、甲35)。
(ウ)入浴剤「バブ」の需要者における認知度
長年にわたって活発な宣伝・広告を伴って販売されてきた結果、入浴剤「バブ」は申立人の製造・販売する入浴剤として、取引者・需要者から極めて高い人気を得ることとなった。
甲第5号証ないし甲第72号証は、2012年ないし2020年に発行された、入浴剤「バブ」が紹介されている新聞・雑誌記事の一部である。
日本経済新聞社が行った、全国の小売業者のバイヤーを対象にした調査では、「温浴効果」「ブランド力」「リピート購入率」等の14項目中11項目で最も高い評価を得、総合評価で他社の主要入浴剤を大きく引き離してトップとなったほか(甲5、甲52)、様々な分野のロングセラー商品を紹介した記事でも大きく扱われている(甲7)ことからも、「バブ」についての我が国の取引者・需要者における認知度が極めて高いことがわかる。
(エ)入浴剤「バブ」の市場におけるシェア・売上高等
2015年の「ブランド別シェアベスト5」において第1位となっている(甲50)他、2016年11月23日ないし12月20日の金額ベースでの売上で第1位、第2位、第4位(甲51)、2014年11月17日から23日の金額ベースでの売上で第1位、第2位、第4位(甲61)となっている。
また、株式会社インテージが行った調査においても、入浴剤市場における売上規模で圧倒的なシェアを持つことが明らかとなっている(甲73)。
上述のように、申立人の業務にかかる入浴剤「バブ」が、1983年の発売以来積極的な宣伝・広告を伴って販売された結果、入浴剤市場において大きなシェアを占めることとなり、また新聞・雑誌等でも数多く紹介されたことから、「バブ」は、申立人の業務に係る商標として、我が国の取引者・需要者において周知・著名となったものである。
(オ)「バブ」商標の権利取得状況
申立人は、引用商標以外にも「バブ」を含む商標を多数登録しており、現在有効に存続しているものだけでも79件もの「バブ」を含む登録商標を保有している(甲75)。
イ 本件商標と商標「バブ」の混同のおそれ
(ア)商標の類似性
本件商標「BABOO」からは「バブー」の称呼が生じ、「バブ」の称呼を生じる引用商標とは語尾における長音の差違にすぎず、互いに相紛らわしい類似の商標であることは商標法第4条第1項第11号の項で述べたとおりである。
本件商標の外観が引用商標とは異なるとしても、両商標の称呼の類似性の高さ、商標「バブ」の周知性・著名性に鑑みると、本件商標に接した者の印象に強く残るのは語頭にあり、なおかつ聴者の印象に強く残る両唇破裂音2音からなる「バブ」である。
そうすると、本件商標の外観が引用商標とは異なるとしても、称呼のうち共通する部分である「バブ」が申立人の周知・著名商標「バブ」を想起させることから、申立人の商標「バブ」と出所の混同を生じさせるおそれは極めて高いといわざるを得ない。
(イ)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)との関連性
本件商標の指定商品と、申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)は、いずれもドラッグストアや、スーパー等の小売店のバス・トイレタリー商品コーナーで販売されるものであり、販売場所が共通する商品である。
また、本件商標の指定商品も申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)も、ともに幅広い年代・性別の需要者が含まれており、両商品の需要者層は重複するものと考えられる。よって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)は販売場所等を共通にし、需要者層も重複する密接な関連を有するものである。
(ウ)まとめ
申立人の業務に係る商標「バブ」は、辞書等に記載されていない、一種の造語と介される独創的なものであり、かつ長期間にわたる積極的な宣伝・広告を伴う使用により需要者間に周知・著名となっているものである。
そして、周知・著名商標「バブ」との類似性が高く、かつ、申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)と販売場所・需要者層を共通にする等密接な関連を有する指定商品について登録されていることから、本件商標に接した需要者が、その商品の出所として申立人又は申立人と何らかの組織的・経済的つながりのある者を想起することは十分にあり得る。
したがって、本件商標は、申立人の周知著名な商標「バブ」との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標「バブ」及び引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び申立人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、「バブ」の片仮名からなる商標を使用した炭酸錠剤入浴剤(以下「申立人商品」という。)を1983年に発売して以来、継続して、その商品の製造、販売を行っている(甲7、甲9)。
(イ)申立人商品の宣伝広告は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・インターネット及び公共交通機関を通じて行われてきた(甲74)。
(ウ)2012年ないし2020年に発行された、入浴剤「バブ」が紹介されている新聞・雑誌記事(甲5〜甲72)には、特に、以下の記載がある。
a 日本経済新聞社が行った、全国の小売業者のバイヤーを対象にした入浴剤についての調査では、「ブランド力」、「リピート購入率」等の14項目中11項目(2020年)又は12項目(2015年)で最も高い評価を得、総合評価で首位(甲5、甲52)。
b 2015年の入浴剤についての「ブランド別シェアベスト5」において第1位(甲50)。
c 2015年11月23日ないし同年12月20日の入浴剤についての日経POSデータにおける金額ベースでの売上は、「バブ ゆずの香り」が第1位、「バブ 森の香り」が第2位、「バブ のんびり、ゆったり ほのぼの湯」が第4位(甲51)。
d 2014年11月17日ないし同月23日の入浴剤についての日経POSデータにおける金額ベースでの売上は、「バブ ゆずの香り」が第1位、「バブ 森の香り」が第2位、「バブ ヨーロピアンスパ」が第4位(甲61)。
(エ)調査対象品目を「入浴剤」、調査指標を「推計販売規模(金額)」とした、株式会社インテージが行った調査(2014年〜2020年)において、「バブ」が第1位(甲73)。
イ 上記アの事実を総合すると、申立人商品は、1983年発売以来、継続して製造販売され宣伝広告された結果、入浴剤の市場における売上規模等で上位に位置しているものであり、これに使用される商標「バブ」は、商品「入浴剤」について使用する商標として、本件商標の登録出願時には、既に我が国において需要者の間に広く認識されていたものといえ、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたというのが相当である。
そして、「バブ」の片仮名からなる引用商標1は、その指定商品中、「化粧品」の範疇に含まれる「入浴剤」について、同様に需要者の間に広く認識されていたものと認められるものの、その余の指定商品について使用されていることは確認できないから、当該商品との関係において、需要者の間に広く認識されているものとは認められない。さらに、引用商標2は、その指定商品である「化粧用具」について使用されていることが確認できず、当該商品との関係において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「BABOO」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して、「バブー」の称呼を生じるというのが相当であり、当該文字は、特定の意味合いを認識させる語として親しまれたものとはいえないから、特定の観念を生じない。
イ 引用商標
引用商標は、上記2のとおり、いずれも「バブ」の片仮名を書してなるから、「バブ」の称呼を生じること明らかである。
そして、上記(1)からすれば、引用商標1は、商品「入浴剤」の限度において、「(申立人商品のブランドとしての)バブ」の観念を生じるものであり、引用商標2は、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないから、特定の意味合いを認識させない造語を表したものと理解されるものであり、これよりは特定の観念を生じるものとはいえない。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標は、「BABOO」の欧文字を表してなるのに対し、引用商標は、いずれも「バブ」の片仮名を書してなるものである。
そうすると、本件商標は、引用商標とは、5文字からなる欧文字と2文字からなる片仮名という文字種及び文字数が相違し、外観上明らかに相違するものである。
次に、本件商標から生じる「バブー」の称呼と引用商標から生じる「バブ」の称呼とは、「バ」「ブ」の2音を共通にするが、語尾における長音の有無において差異を有するものである。そして、両称呼はともに長音を含め3音又は2音という短い音構成からなるものであることからすると、前者が語尾に長音を伴うことにより間延びした感じに聴取されるのに対して、後者は、途切れる感じに聴取されるものであるから、語尾における長音の有無の差異が両称呼全体に及ぼす影響は小さくなく、それぞれを一連に称呼しても、その音調、音感が異なり、両称呼は相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念においては、本件商標は特定の観念が生じないものであるところ、引用商標1は、「(申立人商品のブランドとしての)バブ」の観念を生じる場合があり、引用商標2は特定の観念が生じないものであるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれはないか比較することができないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において相紛れるおそれがないか比較できないものであり、外観において明らかに相違するもので、称呼において相紛れるおそれはないものであるから、外観、称呼及び観念によって、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品
本件商標の指定商品は、引用商標1又は引用商標2の指定商品と同一又は類似の商品である。
オ 小括
以上のとおり本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 本件商標と商標「バブ」との類似性の程度
本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきであるから、本件商標は、引用商標と同じ文字綴りからなる申立人商品について使用する商標「バブ」とも類似しないものといえ、両者の類似性の程度は低いものというべきである。
イ 商標「バブ」の周知性
商標「バブ」は、上記(1)のとおり、申立人の業務にかかる商品「入浴剤」を表示するものとして、我が国の需要者の間において広く認識されていたものである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり、商標「バブ」は、申立人の業務に係る商品「入浴剤」を表示するものとして広く認識されているとしても、本件商標と商標「バブ」とは、類似性の程度が低いものであるから、本件商標に接する取引者、需要者が、申立人に係る商標「バブ」ないし引用商標を連想又は想起するものということはできない。
そうすると、本件商標は、本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、商標「バブ」ないし引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
エ 小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも該当するものではなく、その登録は、同法第4条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-10-25 
出願番号 2021096801 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W03)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 板谷 玲子
須田 亮一
登録日 2022-01-24 
登録番号 6503740 
権利者 株式会社RAPiS
商標の称呼 バブー 
代理人 松永 章吾 
代理人 森田 拓 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 前川 純一 
代理人 山崎 和香子 
代理人 前川 砂織 

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