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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W01 |
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管理番号 | 1391177 |
総通号数 | 11 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-11-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2022-03-28 |
確定日 | 2022-10-31 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6498009号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6498009号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6498009号商標(以下「本件商標」という。)は、「ジェンタミン」の文字を標準文字で表してなり、令和3年5月31日に登録出願、第1類「工業用の消臭剤・防臭剤・脱臭剤及び除菌剤,製造工程用洗浄剤,触媒,化学品」を指定商品として、同年12月15日に登録査定され、同4年1月12日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標に係る登録異議の申立てにおいて引用する国際登録第1299927号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2016年(平成28年)2月12日に国際商標登録出願、第1類及び第3類に属する別掲2のとおりの商品を指定商品として、平成29年2月24日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標の登録について登録異議を申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、互いに類似する。 2 本件商標は片仮名の標準文字による商標であり、引用商標は欧文字からなる商標ではあるが、実際の取引においては、欧文字で表した商標を片仮名で表記するなど相互に置き換えた表記が一般的に行われているため、外観、つまり、片仮名か欧文字かの相違は需要者に特段の印象を与えるものではなく、称呼が類似する商標は互いに類似する(甲2〜甲4)。 3 本件商標は「ジェンタミン」の称呼を生じるのに対し、引用商標は「フェンタミン」の称呼を生じる。両商標の称呼を比較すると、両者は音節の数が3音節で一致しており、第1音節のみが異なる。さらに、両称呼の第1音節は、頭子音・音節主音(母音)・末尾子音の構造を有しており、そのうちの音節主音(母音)「ェ」、末尾子音「ン」も同一である。 してみると、両商標の称呼は、音の長さ、全体としての音の調子が同一で、第1音節の頭子音に「ジ」と「フ」の相違があるにすぎない。 さらに、複数音節からなる称呼を聞き取るに際しては、最初の子音が拗音節(「フェ」等)であって、音節主音の後の末尾子音が撥音(「ン」)である場合には、頭子音は控えめに発音する一般的な日本語の発音慣習に鑑みれば、特殊な理由によって、あえて強調して発音したような場合でない限り、頭子音の区別は聞き漏らされることが多い。 以上を総合的に判断すると、本件商標は、称呼において、引用商標と混同を生じさせる。 第4 当審の判断 申立人は、本件登録異議の申立てにおいて、本件商標の登録の取消理由について根拠条文を明示していないが、商標登録異議申立書の申立ての理由の記載からすれば、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当することを理由として、同法第43条の2第1号に基づき商標登録の取消しを主張しているものと解することができるため、以下検討する。 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標について 本件商標は、上記第1のとおり、「ジェンタミン」の片仮名を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないことから、特定の観念を有しない一種の造語として認識、把握されるものである。 そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して「ジェンタミン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標について 引用商標は、別掲1のとおり、「FENTAMINE」の欧文字を横書きしてなるところ、当該文字は、辞書等に載録されている語ではなく、特定の意味合いをもって認識されているような事情も見いだせないことから、特定の観念を有しない一種の造語として認識、把握されるものである。そして、欧文字からなる造語については、これを称呼する場合には、我が国において親しまれているローマ字読み又は英語の読みに倣って称呼するのが自然である。 そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して「フェンタミン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とを比較すると、両商標はそれぞれ上記のとおりの構成からなるところ、その文字種が異なり、さらに、「ジェンタミン」と「FENTAMINE」とは、片仮名と欧文字とを相互に置き換えて表記したものでもないから、両者は外観上、判然と区別し得る。 また、本件商標から生じる「ジェンタミン」の称呼と、引用商標から生じる「フェンタミン」の称呼を比較すると、両者は称呼の識別上重要な要素である語頭において、「ジェ」と「フェ」の音の差異を有することから、この差異が、5音という比較的短い音構成からなる両称呼全体に与える影響は大きいものというべきであり、両者は明瞭に聴別し得る。 さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じない造語であることから、観念において比較することはできない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両者の外観、称呼及び観念等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は非類似の商標というのが相当である。 (4)小括 上記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではないから、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものとはいえず、ほかに同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(引用商標) 別掲2(引用商標の指定商品) 第1類「Chemical products for use in industry, particularly chemical products for use in the industries for detergents and cleaning products, cosmetics, personal care, home maintenance, adhesives, varnishes, lacquers, textiles, dyes, paints and coatings, inks, metal degreasing, intermediate polymers, plastic additives, surface treating, treatment of metals, greases and lubricants, agricultural chemistry, pesticides, foods and beverages, oil and gas, mining and explosives; surface-active chemical agents, antistatic agents, chemical additives, chemical preparations for the manufacture of pigments, chemical additives for fungicides.」 第3類「Bleaching preparations and other substances for laundry use; cleaning, polishing, degreasing and abrasive preparations; fabric softeners; soaps, cosmetics, hair lotions and hand lotions.」 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2022-10-21 |
出願番号 | 2021066407 |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W01)
|
最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
冨澤 美加 |
特許庁審判官 |
森山 啓 小林 裕子 |
登録日 | 2022-01-12 |
登録番号 | 6498009 |
権利者 | ユシロ化学工業株式会社 |
商標の称呼 | ジェンタミン |
代理人 | 土生 真之 |
代理人 | 大塚 啓生 |
代理人 | 中村 仁 |
代理人 | 園田・小林弁理士法人 |