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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W03
管理番号 1391169 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-01-21 
確定日 2022-10-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6464757号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6464757号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第6464757号商標(以下「本件商標」という。)は、「ばぶくりーむ」の文字を標準文字で表してなり、令和3年5月13日に登録出願、第3類「せっけん類,つけづめ,つけまつ毛,ネイルアート用ステッカー,化粧用脱脂綿,つけまつ毛用接着剤,まつ毛用化粧品,アイシャドウ,クレンジングクリーム,スキンホワイトニングクリーム,スキンローション,ティッシュに浸み込ませた化粧水,マスカラ,メイクアップ用化粧品,リップクリーム,一般化粧水,乳液,化粧品,日焼け止め用化粧品,美顔用パック,口紅,口臭消臭スプレー,合成香料,芳香剤」を指定商品として、同年10月21日に登録査定され、同年11月1日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立人が引用する商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する商標は次のとおりであり(以下、これらをまとめて「11号引用商標」という。)、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第1807901号商標
商標の構成 バブ
指定商品 第5類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 昭和57年8月30日
設定登録日 昭和60年9月27日
書換登録日 平成18年11月22日
(2)登録第4172757号商標
商標の構成 バブ
指定商品 第3類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 平成9年2月28日
設定登録日 平成10年7月31日
(3)登録第5550406号商標
商標の構成 バブ(標準文字)
指定商品 第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
登録出願日 平成23年9月21日
設定登録日 平成25年1月18日
2 申立人が本件商標に係る登録異議申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、「バブ」の文字からなり、申立人が商品「入浴剤」について使用し、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されている著名な商標と主張するものである(以下「引用商標」という。)。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第76号証を提出した。
1 商標「バブ」の周知・著名性
(1)入浴剤「バブ」の発売
申立人である花王株式会社は、1983年に日本初の炭酸錠剤入浴剤として「バブ」の販売を開始した(甲7、甲9)。
炭酸ガスの効果により高い温浴効果を得られること、従来、粉末が主流だった入浴剤を錠剤の形状としたことが注目されたことなどから需要者の大きな関心・支持を集め(甲7、甲22)、発売から約40年が経過した現在も申立人の重要な商品の一つとなっている(甲7、甲9、甲22、甲23、甲25、甲43、甲63)。
(2)入浴剤「バブ」についての宣伝・広告
申立人は、1983年の発売から現在に至るまで継続して入浴剤「バブ」について、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・インターネット広告及び公共交通機関における広告・宣伝を積極的に行ってきた(甲74)。
甲第74号証は、2014年から2020年の7年間における入浴剤「バブ」の各媒体の広告出稿状況を示したものである。
例えば、関西・名古屋地区においては、年間のテレビ本数にして千数百本のテレビCMが放映されている。なお、テレビCMにおいては、向井理・牧野愛・阿部サダヲ・西島秀俊といった人気俳優・女優や、ベッキー・中村アン・いとうあさこといった人気タレントが起用されている。
また、朝日新聞等の全国紙、各種雑誌において広告・宣伝を行っている他、関東地方・関西地方においては、鉄道の主要駅や鉄道車内における広告も行っている。
さらに、2017年には、関東地方で夏の気温が特に高いことで知られる埼玉県熊谷市の暑さ対策への協力として、「バブ」の夏用商品(冷涼クールバブ)の無料引換券を熊谷市報とともに配布するといった活動も行った(甲34、甲35)。
(3)入浴剤「バブ」の需要者における認知度
長年にわたって活発な宣伝・広告を伴って販売されてきた結果、入浴剤「バブ」は申立人の製造・販売する入浴剤として、取引者・需要者から極めて高い人気を得ることとなった。
甲第5号証ないし甲第72号証は、2012年から2020年に発行された、入浴剤「バブ」が紹介されている新聞・雑誌記事の一部である。
日本経済新聞社が行った、全国の小売業者のバイヤーを対象にした調査では、「温浴効果」「ブランド力」「リピート購入率」等の14項目中11項目で最も高い評価を得、総合評価で他社の主要入浴剤を大きく引き離してトップとなったほか(甲5、甲52)、様々な分野のロングセラー商品を紹介した記事でも大きく扱われている(甲7)ことからも、「バブ」についての我が国の取引者・需要者における認知度が極めて高いことがわかる。
(4)入浴剤「バブ」の市場におけるシェア・売上高等
「バブ」は、取引者・需要者の認知度が高いだけでなく、入浴剤市場において高いシェアを持っている事実がある。
2015年の「ブランド別シェアベスト5」において第1位となっている(甲50)他、2016年11月23日から12月20日の金額ベースでの売上で第1位、第2位、第4位(甲51)、2014年11月17日から23日の金額ベースでの売上で第1位、第2位、第4位(甲61)となっている。
また、株式会社インテージが行った調査においても、入浴剤市場における売上規模で圧倒的なシェアを持つことが明らかとなっている(甲73)。
上述のように、申立人の業務に係る入浴剤「バブ」が、1983年の発売以来積極的な宣伝・広告を伴って販売された結果、入浴剤市場において大きなシェアを占めることとなり、また新聞・雑誌等でも数多く紹介されたことから、「バブ」は申立人の業務に係る商標として、我が国の取引者・需要者において周知・著名となったものである。
2 商標法第4条第1項第11号
本件商標と11号引用商標は、称呼・観念において類似の商標であり、本件商標の指定商品は、11号引用商標の指定商品と類似であるから、本件商標は法第4条第1項第11号に該当する。
(1)本件商標と11号引用商標の構成
本件商標は「ばぶくりーむ」の平仮名を横書きに標準文字で書してなる商標であり、当該文字に呼応して「バブクリーム」の称呼を生ずるほか、後に詳述するように「バブ」の称呼が生じる。本件商標は、商標全体としては特定の観念を生じない造語として理解・認識されるものである。
一方、11号引用商標は、いずれも「バブ」の片仮名を横書きに書してなるものであり、その文字に呼応して「バブ」の称呼を生じる。また、「バブ」の語自体は特定の観念を生じない造語として理解・認識されるものであるが、前述のように、申立人が長年にわたって強力な宣伝・広告を伴って「バブ」を使用してきたことから、「花王株式会社の製造・販売する入浴剤のバブ」の観念を生じる。
なお、申立人は11号引用商標以外にも「バブ」を含む商標を多数登録しており、現在有効に存続しているものだけでも79件の「バブ」を含む登録商標を保有している(甲75)。
(2)本件商標と11号引用商標の類否
結合商標類否判断
本件商標は、「ばぶくりーむ」の文字を一連に書してなるものの、「くりーむ」が英語で「クリーム、クリーム状のもの、皮膚を保護し潤いを与える疑乳状の基礎化粧品」を意味する「cream」を平仮名で表記したものであることが容易に理解できるため、「ばぶ」と「くりーむ」の2語からなる結合商標と理解・認識されるものである。
イ 本件商標と11号引用商標の類否
さきに述べたとおり、「バブ」は花王株式会社が1983年の発売以来40年近くにわたって使用してきた商標であり、我が国の取引者・需要者において周知・著名となっているものである。
したがって、本件商標の構成中、11号引用商標と「バブ」の称呼を共通にする「ばぶ」の部分が、取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるといえる。
また、本件商標に接した需要者は、「ばぶくりーむ」の構成中、「くりーむ」は、英語で「クリーム、クリーム状のもの、皮膚を保護し潤いを与える凝乳状の基礎化粧品」といった意味を持つ「cream」を平仮名で表記したものであると容易に理解・認識できる。
そうすると、本件商標の指定商品のうち、少なくともクリーム状の商品であり得る「せっけん類,つけまつ毛用接着剤,まつ毛用化粧品,アイシャドウ,クレンジングクリーム,スキンホワイトニングクリーム,マスカラ,メイクアップ用化粧品,リップクリーム,一般化粧水,乳液,化粧品,日焼け止め用化粧品,美顔用パック,口紅,合成香料,芳香剤」については、商品の品質表示として理解・認識される「くりーむ」の部分からは出所識別標識としての称呼、観念が生じないと解すべきである。
英語で「クリーム、クリーム状のもの、皮膚を保護し潤いを与える疑乳状の基礎化粧品」といった意味を持つ「cream」を平仮名で表記したものであることが容易に理解される「くりーむ」が出所識別標識として認識されない識別力を欠く商標であることはあえていうまでもないが、例えば第3類の商品を指定商品とする「A クリーム/A Cream」(商願2003−013746)、「フェイスマッサージクリーム」(商願2012−098015)、「プロテクトクリーム」(商願2005−76380)といった商標が商標法第3条第1項各号に該当するとして登録を拒絶されていることからも明らかである。
つまり、本件商標については花王株式会社の周知・著名商標「バブ」と称呼上同一である「ばぶ」が取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える一方、「くりーむ」が少なくとも一部の指定商品との関係では商標の品質表示と理解されるものであり出所識別標識としての称呼、観念が生じないことから、本件商標から「ばぶ」を抽出し、この部分を11号引用商標と比較して商標の類否を判断することは、妥当であり許されるというべきである。
本件商標の構成中、取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「ばぶ」の部分を抽出すると、この部分は11号引用商標と共通する「バブ」の称呼を生じ、また、この称呼に起因して「花王株式会社の製造・販売する入浴剤のバブ」の観念を生じる。
申立人の業務に係る商標「バブ」については、テレビやラジオ等音声による宣伝・広告も数多く行われており、今日においても音声のみによる商取引が行われていること、また、「バブ」の高い周知性・著名性を考慮すると、「バブ」という称呼から直ちに申立人の商標「バブ」が想起されることから、本件商標と商標「バブ」の類似性は極めて高いといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、11号引用商標と称呼及び観念が共通し、互いに紛れるおそれのある類似する商標である。
(3)商品の抵触について
本件商標の指定商品は、11号引用商標の指定商品と類似する商品を含む。
(4)まとめ
上記より、本件商標と11号引用商標は称呼及び観念が共通する類似の商標であり、本件商標と11号引用商標の指定商品も類似するものであるから、本件商標は11号引用商標との関係で商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号
申立人の業務に係る商標「バブ」は、長年にわたる積極的な宣伝・広告を伴う使用の結果、我が国における取引者・需要者によく知られており、周知・著名となっていることから、これと混同を生ずるおそれのある本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(1)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当すること
ア 「バブ」商標の周知・著名性
商標「バブ」が申立人の商品を表示するものとして、取引者・需要者に極めてよく知られており我が国で周知・著名となっていることは、上記1で述べたとおりである。
イ 混同のおそれの有無の判断基準
混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品又は指定役務と他人の業務に係る商品又は役務との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品又は役務の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商品の指定商品又は指定役務の取引者及び需要者において普通に払われる注意を基準として、総合的に判断されるべきものである(最高裁平成10年(行ヒ)第85号同12年7月11日第三小法廷判決・民集54巻6号1848頁参照)。
ウ 本件商標と商標「バブ」の混同のおそれ
(ア)商標の類似性
本件商標から「ばぶ」の部分のみが抽出されて商標「バブ」と対比されるため、本件商標と商標「バブ」が称呼及び観念において共通する類似の商標であることはさきに述べたとおりである。
仮に、本件商標「ばぶくりーむ」が、一連一体の商標として認識されることがあるとしても、商標「バブ」の周知性・著名性に鑑みると、本件商標に接した者の印象に強く残るのは語頭にあり、かつ、「クリーム、クリーム状のもの、皮膚を保護し潤いを与える凝乳状の基礎化粧品」を意味するものとして識別力の弱い「くりーむ」と比して格段に独創性の強い「ばぶ」の部分である。
そうすると、本件商標「ばぶくりーむ」は、仮に一連一体の商標として認識されることがあるとしても、語頭の「ばぶ」が申立人の周知・著名商標「バブ」を想起させることから、申立人の商標「バブ」と出所の混同を生じさせるおそれは高いといわざるを得ない。
(イ)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)との関連性
本件商標の指定商品と、申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)は、いずれもドラッグストアや、スーパー等の小売店のバス・トイレタリー商品コーナーで販売されるものであり、販売場所が共通する商品である。
また、本件商標の指定商品も申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)も、ともに幅広い年代・性別の需要者が含まれており、両商品の需要者層は重複するものと考えられる。
よって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)は販売場所等を共通にし、需要者層も重複する密接な関連を有するものである。
(ウ)本件商標の実際の使用態様は未だ確認できないが、同一の商標権者の登録商標である「ばぶうぉーたー」(商標登録第6462043号)、「ばぶあんぷる」(商標登録6493996号)の使用態様をみると、「ばぶ」と「うぉーたー」「あんぷる」が2段書きに書されており(甲76)、「ばぶ」が視覚的に分離し得る態様で使用されていることから、かかる取引の実情に照らしても、本件商標が、商標「バブ」との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であることは明白である。
エ まとめ
申立人の業務に係る商標「バブ」は、辞書等に記載されていない、一種の造語と解される独創的なものであり、かつ、長期間にわたる積極的な宣伝・広告を伴う使用により、需要者間に周知・著名となっているものである。
そして、周知・著名商標「バブ」との類似性が高く、かつ、申立人の業務に係る商標「バブ」が使用されている商品(入浴剤)と販売場所・需要者層を共通にする等密接な関連を有する指定商品について登録されていることから、本件商標に接した需要者が、その商品の出所として申立人又は申立人と何らかの組織的・経済的つながりのある者を想起することは十分にあり得る。
したがって、本件商標は、申立人の周知著名な商標「バブ」との間で出所の混同を生じるおそれのある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 むすび
以上から明らかなように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号の規定に該当するにもかかわらず商標登録されたものであるから、その登録は、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第4 取消理由の通知
当審において、令和4年6月22日付けで、商標権者に対し、「本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用したときは、これに接する需要者は、周知・著名な引用商標を想起、連想し、当該商品を、他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見を求めた。

第5 商標権者の意見
上記第4の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第6 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知・著名性について
申立人提出の証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、1983年から、少なくとも2020年まで継続して、引用商標を使用した商品「入浴剤」(以下「申立人商品」という。)を製造販売している(甲5、甲7、甲9)。
イ 申立人商品は、2015年の入浴剤のブランド別シェア1位を獲得し(甲50)、2014年11月17日ないし23日、及び2015年11月23日ないし12月20日において、各種の申立商品が、入浴剤の金額ベースでの売上げ第1位、第2位及び第4位を占めた(甲51、甲61)ほか、2014年ないし2020年において、スーパーマーケット・コンビニエンスストア・ホームセンター及びドラッグストアにおける入浴剤分野での販売規模が連続して1位であった(甲73)。
ウ 申立人商品は、2014年から2020年にかけて、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、交通機関等において、継続して広告された(甲74)。
エ 申立人商品は、2015年及び2020年における日経MJ「バイヤー調査」の入浴剤分野において1位を獲得し(甲5、甲52)、さらに、2020年には、日本経済新聞社の「日経POSセレクション2020 ロングセラー」(10年以上売れ続けて好調をキープしている人気商品)の一つに選出された(甲7)。
オ 上記アないしエによれば、申立人は少なくとも1983年から2020年までの約37年間継続して申立人商品を製造販売しており、申立人商品は、2014年ないし2020年にかけて、入浴剤市場において高い販売実績を有し、申立人商品に係る広告も、少なくとも2014年から2020年までの間、各種媒体において継続的に行われていることが認められ、さらに、申立人商品が取引者、需要者から高い評価を受けていることもうかがえる。
してみれば、申立人商品及びそれに使用されている引用商標は、本件商標の登録出願の日前から、申立人の業務に係る商品(入浴剤)として、及び当該商品を表示するものとして、いずれも需要者の間に広く認識され、その状況は本件商標の登録査定時においても継続しているといえるものであって、その周知・著名性の程度は高いものというのが相当である。
(2)本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標は、上記第1のとおり、「ばぶくりーむ」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「ばぶ」の文字部分は、上記(1)のとおり、申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている引用商標「バブ」と称呼を同一にするものであって、その文字種が異なるにすぎないものである。そして、本件商標の構成中の「くりーむ」の文字は、「白粉下あるいは肌や髪の手入れなどに用いる半固形状の化粧品。」等の意味を有する「クリーム」(株式会社岩波書店 広辞苑第七版)の語を平仮名で表したものと容易に認識させるものであり、本件商標の指定商品中、例えば「せっけん類,つけまつ毛用接着剤,まつ毛用化粧品,アイシャドウ,クレンジングクリーム,スキンホワイトニングクリーム,マスカラ,メイクアップ用化粧品,リップクリーム,一般化粧水,乳液,化粧品,日焼け止め用化粧品,美顔用パック,口紅,合成香料,芳香剤」等との関係においては、クリーム状の商品であるという、商品の形状を表した部分と理解させるものというべきであるから、自他商品識別標識としての機能が弱い部分とみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中に、申立人商品を表示するものとして周知・著名な引用商標「バブ」を平仮名表記したにすぎない「ばぶ」の文字を有するものであり、当該文字部分が看者の注意をひきやすい語頭に位置すること、構成中の「くりーむ」の文字部分は自他商品識別標識としての機能が弱いことも相まって、本件商標においては、構成中の「ばぶ」の文字部分が強く印象付けられるものというのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標とは、一定程度の類似性を有するものといえる。
(3)引用商標の独創性
引用商標は、「バブ」の文字よりなるところ、当該文字は辞書等に掲載されていないものであって、一種の造語とみるべきものであるから、その独創性は高いといえる。
(4)本件商標の指定商品と申立人商品の関連性
本件商標の指定商品と、申立人商品「入浴剤」は、ドラッグストアやスーパーマーケット、コンビニエンスストアの日用雑貨品売場や薬局等で販売されることが多いものである。また、いずれも美容、衛生又は健康増進のために使用されるものである。
そうすると、両商品は、その販売場所、用途を共通にすることが多いといえるから、本件商標の指定商品と申立人商品は、関連性を有するものといえる。
(5)需要者の共通性
本件商標の指定商品と申立人商品「入浴剤」は、いずれも一般消費者を対象とするものであるから、需要者層は共通するものである。
(6)出所の混同のおそれ
上記(1)ないし(5)のとおり、引用商標は、申立人商品を表示するものとして周知・著名なものであり、その独創性も高いといえる。そして、本件商標と引用商標とは一定程度の類似性を有し、さらに、本件商標の指定商品と申立人商品とは関連性を有するものであって、需要者層も共通するものである。
してみれば、本件商標権者が、本件商標をその指定商品に使用したときは、これに接する需要者は、周知・著名な引用商標を想起、連想し、当該商品を、他人(申立人)あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(7)小括
したがって、本件商標は、他人(申立人)の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この決定に対する訴えは、この決定の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-08-26 
出願番号 2021058502 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W03)
最終処分 06   取消
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 森山 啓
小林 裕子
登録日 2021-11-01 
登録番号 6464757 
権利者 株式会社CANDY・A・GO・GO
商標の称呼 バブクリーム、バブ 
代理人 山崎 和香子 
代理人 前川 砂織 
代理人 森田 拓 
代理人 前川 純一 
代理人 松永 章吾 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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