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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1391154 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-06-28 
確定日 2022-10-25 
異議申立件数
事件の表示 登録第6374819号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6374819号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6374819号商標(以下「本件商標」という。)は、「無限ピーマン」の文字を標準文字で表してなり、令和2年2月26日に登録出願、第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと,パスタソース,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦」を指定商品(以下「本件指定商品」という。)として、同3年4月5日に登録査定、同月8日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号又は同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
1 商標法第3条第1項第3号又は同項第6号該当性について
(1)本件商標は、「無限ピーマン」の文字を書してなるところ、本件商標を構成する「無限」の漢字は、その字のごとく「限りのないこと」を意味する語であり、また、「ピーマン」の片仮名は、「トウガラシの甘味種」を意味する語で、本件指定商品の原材料を表すものである。
したがって、これらを組み合わせた本件商標は、全体として、「限りのないピーマン」程の意味合いを看取せしめるものであり、その意味合いにおいては、一見、自他商品識別力を有するかのごとく見える。
(2)しかしながら、商品「食品」との関係においては、「おいしさ」の例えとして、「やめられない」、「とまらない」、「やみつき」等、限りなく食べ続けたくなるほど、おいしいさまを表す語が頻繁に使用されており、これに接する需要者もまた、限りなく食べ続けたくなる程おいしい様を表す語が頻繁に使用されていることは、十分に認識、理解している。
したがって、本件商標に接する需要者、取引者は、本件商標を構成する語自体からも、「限りなく食べられるほどおいしいピーマン」ないし「限りなくピーマンを食べられるほどおいしい料理」を意味するものであることを容易に認識、理解できる。
そして、実際に、本件商標を構成する「無限ピーマン」の文字は、かかる意味合いを有するものとして、現実に使用されている。
(3)「無限ピーマン」は、2016年7月6日、ツイート「無限ピーマン凄い。ピーマンを千切りにしてツナ缶・胡麻油・中華顆粒だし・塩と黒胡椒を合わせ電子レンジでチンして冷たく冷やすだけでご飯がモリモリ食べられる魔法の常備菜になる」において、使用されたのがきっかけである(甲1)。
これについて、ネットメディアが注目するようになり、記事化された(甲2、甲3)。
(4)2016年1月1日から2021年7月21日までの期間において、キーワード検索による人気度の動向を表す検索サイトにおける「無限ピーマン」のキーワード検索では、2016年7月頃から、急激に人気度が増し、繰り返し、人気度が上昇している(甲4)。
しかし、ツィッターやネットニュースで話題になったとしても、一般的な主婦層にまでは広まったということはできないが、日本最大級のレシピ投稿サイトにおいて、多数の「無限ピーマン」に関するレシピが投稿されるようになり、また、当該サイトのニュース欄(2016年8月21日付け)でも取り上げられるようになった(甲5)。
(5)この頃から、「無限」という言葉は、野菜をたっぷり使うレシピに使用されるようになり、昼の情報番組などテレビで取り上げられる機会が増え、プロの料理研究家のアレンジレシピも生まれ、ネットを見ないシニア層にも広まっていった(甲6)。
さらに、「無限ピーマン」は、各雑誌・新聞等においても多数取り上げられた(甲7〜甲31)。
(6)ネット上に現れた「無限ピーマン」は、それから5年を経過した現在、すっかり定番レシピとして定着している。上記レシピ投稿サイトで一番人気のレシピは、当該サイトにおいて登録されたレシピをもとにユーザーが料理を作ったことを報告する機能によるカウント数が、2021年7月20日現在、9,000を超えているほか、アレンジを含め、812件の「無限ピーマン」のレシピが投稿されており、さらに、「殿堂入り」した「無限ピーマン」に関するレシピは、74件にも上っている(甲32)。
また、検索サイトにおける過去5年間の「無限ピーマン」に関する人気度をみると、今なお、継続的に話題になっていることが分かる。
(7)このように、「無限ピーマン」は、限りなく食べられるほどおいしいピーマンの料理を意味するものとして、本件商標の登録出願前から現在に至るまで、広く一般に定着しており、これに接する需要者、取引者をして、それが無限に食べられるほどおいしいピーマンの料理を表示するものと容易に認識、理解せしめるものであるから、自他商品識別機能を果たし得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(8)また、かかる「無限ピーマン」には様々なバリエーションがあるが、一般には、その原材料として、ピーマン、ツナ缶、ゴマ油、中華顆粒だし等が使用されるものであるところ、本件指定商品には、中華顆粒だしが含まれる「調味料」が含まれている。
したがって、本件商標が本件指定商品中「調味料」に使用されるときは、「無限ピーマンを作るための調味料」であると認識、理解されるにすぎない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当する。
2 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、その構成中に「ピーマン」の片仮名を有するところ、本件指定商品中には、かかる「ピーマン」を原材料とする商品が多数含まれている(甲33〜甲35)。
したがって、本件商標がピーマンを原材料としない商品について使用された場合、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)本件商標は、上記第1のとおり、「無限ピーマン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、同じ書体及び大きさで、等間隔でまとまりよく一体的に表されているから、全体で不可分一体の語を表してなると理解できる。
そして、本件商標の構成中の「無限」の文字は「限界のないこと。」の意味を、また、その構成中「ピーマン」の文字は「トウガラシの甘味種。」の意味を有する語(「広辞苑 第七版」岩波書店)であるところ、本件商標は、その構成文字全体で特定の意味を有する成語となるものではなく、両語の語義を結合した意味合いも漠然としているから、具体的な意味合いを認識させることのない造語といえる。
(2)申立人提出の証拠によれば、次の事実が認められる。
ア 2016年7月6日のSNSの記事において、「無限ピーマン凄い。ピーマンを千切りにしてツナ缶・胡麻油・中華顆粒だし・塩と黒胡椒を合わせ電子レンジでチンして冷たく冷やすだけでご飯がモリモリ食べられる魔法の常備菜になる」と記載がある(甲1)。
イ ネットメディア、レシピ投稿サイト、雑誌・新聞等において、「無限にピーマンが食べられるという「無限ピーマン」のレシピを紹介」、「無限ピーマン/その名のとおり、無限にピーマンが食べられるぐらいおいしいという意味だそう」などとして、「無限ピーマン」と称する多様な料理方法を紹介する記事が掲載されている(甲2、甲3、甲5〜甲10、甲15、甲16、甲18、甲19、甲21〜甲23、甲25〜甲31)。
(3)上記(2)の事実よりすれば、本件商標を構成する「無限ピーマン」の文字は、「無限にピーマンが食べられるぐらいおいしい」という料理方法を漠然と指称する語として使用されている実情があるとしても、具体的な料理方法は必ずしも一定しておらず、ピーマンを食材として使用すること以外の食材や調味料、料理方法は多様であるから、特定の料理名又は料理レシピを指称する語として確立しているとまではいい難い。
加えて、申立人提出の証拠によっては、「無限ピーマン」の文字が、本件指定商品との関係において、商品の品質又は用途等を表示する語として、取引上一般に使用されている事実は見いだせない。
(4)そうすると、本件商標は、漠然とした料理方法を示唆するとしても、その指定商品との関係において、商品の品質又は用途等を具体的に表示するものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 商標法第3条第1項第6号該当性について
(1)本件商標は、上記1(1)のとおり、その構成文字がまとまりよく一連一体の語を表してなるもので、具体的な意味合いを認識させるものではない。
(2)また、申立人提出の証拠によれば、上記1(3)のとおり、「無限ピーマン」の語は、漠然とした料理方法(無限にピーマンが食べられるぐらいおいしい)を指称するものとして使用されているとしても、特定の料理名又は料理レシピを指称する語として確立しているとまではいえず、また、商品の宣伝文句等として広く採択、使用されている実情も明らかではない。
(3)そうすると、本件商標は、その指定商品との関係において、自他商品の出所識別標識としての機能を有さないものとはいえず、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、上記1(1)のとおり、まとまりよく一連一体の語を表してなるもので、直ちに具体的な商品の品質などを表示したものと認識できるものではないから、本件指定商品に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意)
特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
異議決定日 2022-10-14 
出願番号 2020020204 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W30)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 杉本 克治
阿曾 裕樹
登録日 2021-04-08 
登録番号 6374819 
権利者 東洋水産株式会社
商標の称呼 ムゲンピーマン、ムゲン 
代理人 古関 宏 

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