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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
管理番号 1390750 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-05-19 
確定日 2022-05-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第6042638号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第6042638号商標の指定商品及び指定役務中、第41類「全指定役務」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6042638号商標(以下「本件商標」という。)は、「Python」の文字を標準文字で表してなり、平成29年5月25日に登録出願、第41類「組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供,教育・文化・娯楽用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」、第9類、第16類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同30年4月18日に登録査定、同年5月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年(2021年)6月3日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年(2018年)6月3日から令和3年(2021年)6月2日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第41類「全指定役務」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の答弁(1)について
乙第1号証は、「株式会社アーク」の表示の他に「PythonR研修」(審決注:「R」は、○の中にRの文字。以下同じ。)の表示があるものの、かかる「PythonR研修」の表示が請求に係る指定役務について使用していることを示す事実は、一切証明されていない。
また、仮に、乙第1号証が示す「PythonR研修」が、請求人が開発したプログラミング言語「PYTHON」の習得のための研修であると想定した場合でも、請求に係る指定役務は、「プログラミング言語に関する研修」の役務を一切包含していない。更に「PythonR研修」の表示が請求人の開発したプログラミング言語の研修と仮定した場合でも、当該表示「PythonR研修」における「Python」の表示は、研修が取り扱うプログラミング言語の種類を指し示す表示に過ぎず、被請求人が提供する役務を他社が提供する研修と識別するための表示として機能していない。即ち、当該表示「PythonR研修」における「Python」の表示は、商標の使用として認められるべき商標的使用には該当しない。
したがって、乙第1号証は、本件商標を請求に係る指定役務に使用している事実を、証明していない。
また、被請求人は、乙第2号証としてリンク先情報を提出し、同乙号証の7頁から8頁を指摘の上、「被請求人の商標権に基づくサービス提供の対象となる営業品目がすべて列挙されている」と述べ、さらには「本商標の区分第41類は、乙第2号証の7頁から8頁に記載があり営業のため使用している」と主張するが、「被請求人の商標権に基づくサービス提供の対象となる営業品目がすべて列挙されている」との情報は、本件商標が登録されている第41類の指定役務の記載を単に引用したものと推測される。かかる指定役務の記載のみでは、本件商標が請求に係る指定役務のいずれの役務に使用しているのか一切証明されていない。さらに、請求に係る指定役務について、本件商標を自他役務の識別力を発揮する態様にて取引上実際に使用している事実は、「被請求人の商標権に基づくサービス提供の対象となる営業品目がすべて列挙されている」との被請求人の提出情報において、一切示されていない。よって、請求に係る指定役務に対し、本件商標を取引上実際に、自他役務の識別力を発揮する状態で使用している事実、若しくは、取引上実際に使用していた事実を何ら証明していない。即ち、被請求人による「本件商標の区分第41類は、乙第2号証の7頁に記載があり営業のため継続使用している」との主張は、本件商標を請求に係る指定役務について実際に使用している、若しくは、使用を行っていた事実を何ら証明していないため、理由がなく失当である。
以上より、被請求人の答弁「7(1)」の内容及び当該答弁が指摘する乙第1号証及び乙第2号証の7頁から8頁は、本件商標を請求に係る指定役務について使用している事実を、何ら証明していない。
(2)被請求人の答弁(2)について
被請求人の主張及び乙第3号証は、本件商標が請求に係る指定役務のうち、いずれかの指定役務に関する本件商標の使用であるかを何ら示していない。被請求人が示す乙第3号証4頁は、「Pythonの理解は必要だが資格は不要という方のご希望にお応えしました。」、「PythonRセミナー開催スケジュール」(審決注:「R」は、○の中にRの文字。以下同じ。)、「PythonR商標権について」の表示を確認できるが、かかる表示の使用態様、並びに乙第3号証4頁の記載内容の趣旨からは、「Python」の表示は請求人の開発したプログラミング言語である「PYTHON」に関するセミナーであると推測されるが、請求に係る指定役務は、プログラミング言語のセミナーに役務を指定しておらず、よって、かかる表示が請求に係る指定役務を使用していると判断することはできない。
被請求人が「Python」の表示を請求人が開発したプログラミング言語「PYTHON」を差し示すために使用していることは、乙第3号証の1頁において、被請求人が「話題のAI・ディープラーニングで最も多く利用されている言語。それがPythonです。」、「Pythonは『コードが読みやすく』『少ないコード記述でプログラムが簡単にかける』特徴があります。今話題の『人工知能(AI)』だけでなく、一般的な『Web開発』や『教育の分野』など、広い分野で使われています。」、「現在最も高い年収を得ているのもPythonプログラマで、修得したい言語の第1位になっていることも頷けます。」、「2020年より基本情報技術者試験の選択可能なプログラミング言語としても採用されることが決定しています」などと記載している事実からも、明白である。
したがって、被請求人は、請求に係る指定役務のいずれの指定役務についても、本件商標の使用を示す事実を乙第3号証によって証明していない。
以上より、答弁「7(2)」の内容及び当該答弁が指摘する乙第3号証4頁は、本件商標を請求に係る指定役務について使用している事実を何ら証明していない。
(3)被請求人の答弁(3)について
被請求人は「Expert研修の講師は、有限会社MITドットトウキョウに委託した。」と述べるが、「Expert研修」なる研修の実施内容が不明である。そのため、「Expert研修」なる役務が、請求に係る指定役務のいずれの役務に関する本件商標の使用に該当するのか不明である。
そして、被請求人は乙第4号証にて請求書を提出するが、この請求書は有限会社MITドットトウキョウから被請求人である株式会社アークに対するものである。よって、当該乙号証からは、有限会社MITドットトウキョウが被請求人に対し提供した役務等の対価であると考えるのが自然であり、被請求人が有限会社MITドットトウキョウに対して提供した役務の対価請求ではない。
そのため、被請求人が提供を受けた役務に関する請求書とすれば、かかる役務に何らかの商標が使用されていたとしても、それは有限会社MITドットトウキョウが被請求人に提供した役務に関する対価の請求書であるから、被請求人が実施した役務の対価請求ではなく、かかる役務への商標使用は被請求人が所有する登録商標の使用とは認定できない。
なお、乙第4号証において「講習名・商品」に「Python講習1/28−30」及び「Python資料作成」の表示があるが、かかる「Python」の表示が、請求に係る指定役務のいずれの役務に関する使用に該当するのか不明である。
仮に、乙第4号証におけるこれら「Python」の表示が、仮に、請求人の開発したプログラミング言語「PYTHON」を差し示す場合は、講習の「学習内容」、「学習対象」の表示であり、請求に係る指定役務のいずれの役務について、他社の役務と識別するための商標的な使用ではない。また、プログラミング言語「PYTHON」の研修であったと仮定しても、請求に係る指定役務はかかるプログラミング言語に関する研修を含んでいない。
なお、乙第5号証は、本件商標が請求に係る指定役務に使用されていた事実を示す情報は一切無い。
したがって、乙第4号証及び乙第5号証は、本件商標を請求に係る指定役務のいずれかの役務に使用していること、若しくは、使用していたことを証明していない。
(4)被請求人の答弁(4)について
乙第6号証の請求書は、「研修名」に「Pythonファンデーション研修」、「Pythonエキスパート研修」との記載があるが、これらの研修が請求に係る指定役務のいずれの役務に該当するか不明である。
一方、仮に「Pythonファンデーション研修」、「Pythonエキスパート研修」における「Python」が、被請求人が開発したプログラミング言語の「PYTHON」を意味するのであれば、プログラミング言語に関する研修であると推察されるが、仮にそのように考えたとしても、請求に係る指定役務のいずれの役務も「プログラミング言語に関する研修」を包含しておらず、請求に係る指定役務のいずれの役務についても本件商標を使用していないことが明らかである。
また、「Pythonファンデーション研修」、「Pythonエキスパート研修」における「Python」は研修内容若しくは研修科目を指し示めす表示であり、被請求人が提供する研修という役務を他社が提供する研修から識別するための表示ではない。即ち、「Pythonファンデーション研修」、「Pythonエキスパート研修」における「Python」は、自他役務の識別力を発揮する表示ではなく、本件商標の使用には該当しない。
なお、被請求人は乙第5号証として銀行口座記録の写を提出するが、乙第6号証の請求書に対する入金記録をもって、本件商標の請求に係る指定役務への使用を示すものでないことは、火を見るより明らかである。
(5)被請求人の答弁(5)について
乙第3号証4頁には「『オンライン試験』をご用意しました」との記載があるが、「オンライン試験」の実施は、請求に係る指定役務のいずれの役務にも該当しない。よって、請求に係る指定役務について、本件商標を使用している事実を示していない。
(6)被請求人の答弁(6)について
乙第7号証の請求書は、「適用」欄に「Pythonテキスト(ファンデーション)」、「Pythonファンデーション試験」との記載があるが、被請求人のこれまでの主張並びに乙第3号証の記載内容から、「Pythonテキスト(ファンデーション)」、「Pythonファンデーション試験」における「Python」は、請求人が開発したプログラミング言語「PYTHON」に関する試験であると推測できる。
とすると、同表示における「Pythonテキスト(ファンデーション)」、「Pythonファンデーション試験」の表示は、配布テキスト及び試験の対象課題がプログラミング言語「PYTHON」であることを表示するものである。かかる「Python」の表示の使用は、テキストの内容及び試験の対象科目がプログラミング言語「PYTHON」であることを表示するに過ぎず、自他役務の識別力を発揮する商標的な使用ではない。
また、かかるプログラミング言語の研修は、請求に係る指定役務のいずれの役務にも該当しないから、請求に係る指定役務に使用している事実を証明していない。
乙第8号証についても、「Pythonテキスト(ファンデーション)」、「Pythonファンデーション試験」との記載があるが、乙第7号証に関して述べた同様の理由から、請求に係る指定役務のいずれの役務にも使用している事実を証明していない。
(7)被請求人の答弁(7)について
乙第9号証は「指定役務区分41 研修セミナー開催、試験実施、資格の付与、コンサルティングなど」の表示と「Python」の文字を併記する。しかしながら、かかる表示からは「指定役務区分41 研修セミナー開催、試験実施、資格の付与、コンサルティングなど」と「Python」の表示との関係が不明であり、さらには、「Python」の表示が、具体的にどのような役務に使用されているのか同号証からは理解できない。よって、乙第9号証は、請求に係る指定役務のいずれの役務についても、本件商標を使用している事実を証明していない。
(8)「ひみこ教室」における表示「Python」(パイソン)の使用について
まず、「ひみこ教室」なる講座の提供が、請求に係る指定役務のいずれの役務に該当するか検討する。
「ひみこ教室」が提供する役務は、被請求人が提出した証拠によれば、「小学生」を対象とした「記憶術」に関する研修であるため、「組織の経営管理等に関する教育訓練研修」でない。また、「マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修」でもない。
よって、「ひみこ教室」なる研修を提供する役務は、請求に係る指定役務のいずれにも属さず、請求に係る指定役務に使用していない。
また、被請求人は、「ひみこ教室」が「数字をたやすく記憶するPython(パイソン)コース」を設定し研修を提供していることを主張するとともに、「このコースでは、事前準備にコンピューターの力を借りて、数字を簡単に記憶する技術を習得します」、「数字を簡単に記憶するコンピューターを利用したコードブックの準備は、こちらでしておきます」、「最後に簡単な試験をします。10分以内で30桁以上の数字を覚えたみなさんには、Python Masterのバッチをプレゼントします」などと、「ひみこ教室」の内容を紹介している。
かかる記載から、これら記載におけるPython及びパイソンの表示は、請求人が開発したプログラミング言語「PYTHON」の表示であると考えざるを得ない。即ち、「ひみこ教室」の前記の紹介記事は、「ひみこ教室」が伝授する記憶術をマスターする方法として、請求人が考案したプログラミング言語「PYTHON」を使用し記憶術を学ぶことを表しているに過ぎない。
また、最終試験の合格者に対しては、Python Masterのバッチをプレゼントすることをアピールしていることからも、「ひみこ教室」が伝授する記憶術に、請求人の開発したプログラミング言語「PYTHON」を用いることを表示するものと理解することが自然である。
乙第15号証及び乙第16号証は領収書であるところ、但し書きにおいて「パイソンコース参加費」とある。これらの表示における「パイソン」も「ひみこ教室」においてプログラミング言語「PYTHON」を用いた記憶術を学ぶコースの内容を説明的に表示するにすぎない。
よって、前記乙号証は、請求に係る指定役務について、本件商標を「ひみこ教室」なる研修役務を他社の研修役務と識別するための使用、即ち、自他役務の識別力を発揮するための本件商標の商標的使用を証明していない。換言すれば、前記乙号証が示す他社の研修役務と識別するための自他役務の識別力を発揮する識別表示は、唯一「ひみこ教室」である。
上記の検討から、被請求人が「ひみこ教室」に関して提出した証拠は、本件商標を請求に係る指定役務のいずれかについて使用している事実を、証明していない。
(9)Python研修開催を告知するインターネット情報について
乙第20号証及び乙第21号証は、同号証の中段にある「イベントの説明」において、「話題のAI・ディープラーニングで最も多く利用されている言語。それがPython(パイソン)です。」、「Pythonは『コードが読みやすく』『少ないコード記述でプログラムが簡単にかける』特徴があり2020年より基本情報技術者試験の選択可能なプログラミング言語としても採用されることが決定しています。」と述べていることからも、被請求人はPython及びパイソンを請求人が開発したプログラミング言語「PYTHON」に関する研修であることを告知するために、Python(R)、PythonRを表示しているのである。
即ち、乙第20号証及び乙第21号証におけるPython(R)、PythonRの表示は、研修の内容が請求人の開発したプログラミング言語「PYTHON」を修得するための研修であることを端的に表示するものであり、当該研修を他社の研修と識別するための表示でないことは明らかである。
そして、以上の事実及び分析を敷術すれば、被請求人が乙第22号証として提出する研修テキストは、その表示に「PythonR Foundation」の表示があるものの、かかるテキストのこれらの表示は、請求人が開発したプログラミング言語「PYTHON」の研修に使用するためのテキストであることを説明的に表示するものに過ぎず、請求に係る指定役務について自他役務の識別力を発揮する態様で使用するものではない。
また、そもそも前記乙号証におけるプログラミング言語「PYTHON」の研修役務は、請求に係る指定役務のいずれの役務にも該当しない。
よって、被請求人が乙第20号証、乙第21号証及び乙第22号証によって示すPythonの使用は、そもそも請求に係る指定役務について使用しておらず、かつ、自他役務の識別力を発揮させるための商標的な使用ではない。
したがって、かかる被請求人の主張をもって、本件商標の請求に係る指定役務に関する証明とすることはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証を提出した。
(1)被請求人のホームページ「会社概要(乙第1号証)」において、「商標権に基づく営業品目」へのリンクが張られており、リンク先(乙第2号証)には、被請求人の商標権に基づくサービス提供の対象となる営業品目がすべて列挙されている。
本件商標の区分第41類は、乙第2号証7頁から8頁に記載があり営業のため使用している。
乙第2号証の表記は、商標登録証やJ−PlatPatに合わせてあるため、一般人には、少々見づらいところもあるが、もっとも正確な表記であり、将来のトラブルを回避するに有効であると考えている。
(2)被請求人は、登録商標「Python」の41A01などに基づいた研修を実施しており、その第1回の2019年9月13日付けFoundation講習開催、及び2020年1月28日から30日付けExpert講習開催を取り扱ったホームページを当時のバックアップファイルを使用して再現した。登録商標が研修のために使用されていることがわかる(乙第3号証4頁)。ただし、再現であるので、当該研修以外の周辺の情報は今日現在のものとなっている。
(3)Expert研修の講師は、有限会社MITドットトウキョウに委託した。2020年2月4日付けの同社よりの請求書を乙第4号証として写しを提出する。乙第4号証の講習名・商品の第1行は2020年1月28日から30日付けExpert講習の講師費用であり、第2行は、オンラインで事前配布した追加資料作成費である。なお、関係のない項目はマスクした。
また、同請求に対する支払いを証する銀行口座記録を乙第5号証として写しを提出する。
(4)同Expertコースヘの受講者に対する2020年1月23日付けの請求書を乙第6号証として写しを提出する。なお、受講者名は個人情報保護の観点よりマスクした。また、請求先企業名も一部をマスクした。
また、同請求に対する受け取りを証する銀行口座記録を乙第5号証として写しを提出する。
(5)(2)の再現ホームページには、さらに41A01に該当する、オンラインによる教育上の試験の実施を行う旨の記載があり(乙第3号証4頁)、かつ(6)のとおり、2019年11月29日に試験の実績がある。
(6)(5)の実施実績として、2019年10月18日付け請求書(乙第7号証)及び2019年11月15日付け領収書(乙第8号証)を提出する。各適用の第2行目が該当する。なお、個人名は、プライバシー保護のため、付箋をつけて保護している。
(7)他の研修開始時においても、2021年1月13日付けプレスリリース(乙第9号証2頁)において、本件商標の広告活動に努めている。
(8)ひみこ教室について
被請求人は、国家試験を中心とするライセンスを多数、1か月以内の受験勉強で取得している。これを実現するため、様々な暗記術を吟味し効果のあるものを選定して会得した。これの一部を本業である研修にも組み込み(乙第10号証〜乙第12号証)、結果、極めて高い合格率を実現していた。さらにこれを被請求人代表者の孫の勉強に役立てるため、小学生向けにアレンジした内容とし、こども向けに「ひみこ教室(乙第13号証)」を開催している。
「ひみこ教室」は、世界記憶力選手権で採用されている10種の競技から選び、小学生向けとしたもので、記憶する対象により複数コースがある。
その中に、「数字をたやすく記憶するPython(パイソン)コース」があり、2019年7月28日に第1回を開催している(乙第13号証3頁)。同テキストは乙第14号証のとおりである。また、同日参加者宛の領収書(写し)の一部は、乙第15号証及び乙第16号証のとおりである。
「ひみこ教室(乙第13号証3頁)」には、第1回の開催が2019年7月28日である旨の記載はあるが、その後の最新の開催情報を追加したため、ホームページは上書きされている。したがって、第1回の開催である2019年7月28日時点の内容は消滅しており、インターネットに掲載している乙第13号証では証明できない。そのため、間接的ではあるが、バックオフィスでの制作過程に使用したパソコンでのファイルの流れや、それらのタイムスタンプにより証明する。
制作過程は、次のようになる。
ア パソコンにワードファイルとして下書き原稿を作成する。
「ひみこ教室の案内の下書き原稿(乙第17号証)」。下書き原稿を更新すると上書きされるため、現時点では更新日が直近コース終了日の2021年7月24日となっているが、最初の作成日は2019年6月5日である。これについては、後述する。
イ 上記アのファイルをPDFファイル(ファイル名:himiko.pdf)に変換する。
単なるファイル形式の変換であるので、上記アのファイルとテキストは同一の内容となる。ただし、ワードでは、ファイルのタイムスタンプは、変換時が記録され、直近コース終了日の2021年7月24日となる。
ウ 上記イのファイルをインターネットにアップロードする。
上記イのファイルをアップロード用ソフトウエアFFFTPを利用してインターネットにアップロードする(乙第13号証)。FFFTPは、ファイルをそのままアップロードするだけで、タイムスタンプ機能がない。上記イとウは、テキストの内容もタイムスタンプ情報も、完全に同一である。
以上を総括すると、テキストの内容は上記ア、イ、ウはすべて同じである。しかし、ワードを利用しているアとイは、作成や更新されるたびに、タイムスタンプが記録されるため、作成日時や更新日時が異なることになる。
したがって、上記アのファイル「ひみこ教室の案内の下書き原稿(乙第17号証)」が、第1回開催の2019年7月28日以前に存在していたことを証明する必要があると考える。ワードの機能として、更新日時は更新のたびに書き換えられるが、作成日時は書き換えられることはない。この機能を利用して、以下、具体的には、上記アのファイル「ひみこ教室の案内の下書き原稿(乙第17号証)」の作成日は、2019年6月5日であることを証明する。
上記アのファイル「ひみこ教室の案内の下書き原稿(乙第17号証)」のヘッダーにパソコン上の在り場所を付加するためワードの標準機能(挿入→クイックパーツ→フィールド)を利用すると「c:¥活動中¥アーク¥ホームページ¥アーク.com¥ひみこ¥ひみこ.doc」であることが、追加表示される(乙第18号証)。乙第17号証とこの乙第18号証の違いは、ヘッダーにパソコン上の在り場所が表示されているかどうかだけで、テキストの内容は同じである。
ついで上記アのファイル「ひみこ教室の案内の下書き原稿(乙第17号証)」の存在場所をWindowsの標準機能であるエクスプローラーを利用して表示させる(乙第19号証左側)。そして、エクスプローラーで、プロパティ(情報)を得たいファイルを選択して右クリックし、さらに「プロパティ」をクリックする。
すると「プロパティ(乙第19号証右側)」が得られ、最初の作成日時は、2019年6月5日10時5分21秒であることが確定する。これで、第1回のコース開催日(2019年7月28日)の約1か月半程前には、上記アのファイル「ひみこ教室の案内の下書き原稿(乙第17号証)」を作り始めていたことがわかる。
研修の告知は、おおむね1か月くらい前までに行うのが一般なので、時期的にも違和感はないものと考える。
残念ながら、タイムスタンプでは、テキストの中身までの証明はできない。しかし、最初の作成ファイルと最新の更新ファイルの差は、最初の作成ファイルは「2019年開催」スケジュールのみであり、最新の更新ファイルには「2019年開催」から「2021年開催」のスケジュール3年分が掲載されていることである。
(9)Python研修開催を告知するインターネット情報
上記(8)の「ひみこ教室」より後日付になるが、2019年9月13日開催の証拠として、研修の告知サイトconnpassの記事がある(乙第20号証)。なお、同2頁のフィード欄に「本研修が中止されました。このイベントにはもう参加できません。」とあるが、これは、開催前日になり、受付処理を締め切るために、中止と表示したものである。
また、2020年1月28日開催の証拠として、研修の告知サイトTECH PLAYの記事がある(乙第21号証)。なお、参加者0人とあるのは、このTECH PLAYを経由しての申込者を示している。告知はTECH PLAYだけではなく、他の告知ルートよりの申込により、令和3年7月20日付けで提出済みの乙第3号証どおりに研修は実施されている。
なお、同研修において使用している研修テキストは乙第22号証のとおりである。

第4 審尋
当審より被請求人に対し、令和4年1月5日付け審尋において、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者が、請求に係る指定役務について本件商標を使用していたことを被請求人が証明しているものとはいえない(「プログラミング言語である『Python』の研修の実施」、「オンラインによる教育上の試験の実施」、「小学生対象の『数字をたやすく記憶するためのPython(パイソン)コース研修」は、請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれない。)。旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した令和3年10月12日付けの弁駁書に対する回答を求めた。

第5 審尋に対する回答
被請求人は、令和4年2月7日付け審判事件回答書において、審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第28号証(なお、乙第23号証ないし乙第27号証は欠番である。)を提出した。
(1)被請求人は乙第3号証としてPython研修のホームページを提出している。これは41K01に該当すると思料する。
(2)被請求人は、海外の研修認定機関の認定の元に行う研修を行っているが、彼らはたとえば、Python文法なら、Python文法のみの研修としてシラバスを定めて、遵守を要求し、周辺知識を含め逸脱を許さないことが一般である。
これに対して日本では、たとえば、Pythonの文法の研修と告知していても、関連する実務的な内容などをご講義に入れないと満足しない傾向がある。
したがって、本件Python研修を含めすべての研修において様々な助言・指導や情報の提供をも講義し、また質問にも積極的に応えている。さらには実務上の案件についてもコンサルティングまでも行うことがある。しかしながら、これらは口頭での対応であるので証拠が残らない。そこで受講者のアンケート乙第28号証を提出する。
同号証の内容は、以下のように指定役務が行われていることを示している。
<乙第28号証の記述>
私の仕事は社内改革の一環としてPythonを広げる役割です。なかなかCやJavaから移ってくれないので苦慮しています。今回の研修で業務改善へのノウハウもお話しいただいて目からウロコでした。
<対応する指定役務>
「組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修」
<乙第28号証の記述>
教育も担当しています。人材育成についてもアドバイスや情報の提供があり、とても満足しています
<対応する指定役務>
「マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修」
「マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供」

第6 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)被請求人ホームページの会社概要によれば、被請求人は、一般社団法人日本AI−Ready協会の認定を受けた「PythonR研修」を行っている(乙1)。
(2)同ホームページの会社概要には「商標権に基づく営業品目」の項目があり、リンク先(乙2)には、「商標登録に基づくサービスは、以下のとおりです。」として、商標登録を受けた商標14件が、商標登録番号、商品及び役務の区分、指定商品又は指定役務の各表示とともに記載されており、その中の一つに本件商標「Python」がある。
(3)バックアップファイルを使用して再現したとされる2019年8月初旬頃の被請求人ホームページのセミナースケジュールには「【Python】Foundation/Expert/Master研修 日本AI−Ready協会推薦」が以下の内容を含めて紹介されている(乙3)。
ア 「PythonR資格を取得しよう!」として、「話題のAI・ディープラーニングで最も多く利用されている言語。それがPythonです。Pythonは『コードが読みやすく』『少ないコード記述でプログラムが簡単にかける』特徴があります。」「さらに、現在最も高い年収を得ているのもPythonプログラマで、修得したい言語の第1位になっていることも頷けます。また、2020年より基本情報技術者試験の選択可能なプログラミング言語としても採用されることが決定しています。」と記載されている。
イ 「すぐ使えるUbuntu(OS)〜Python入りUSBを無料で提供!!」として、「PythonR研修には、言語概要を学ぶPythonRファンデーション、プログラミングを実装するPythonRエキスパート、自在に使いこなすPythonRマスターと3種類があります。実機演習を行うエキスパートとマスターには、上記USBが付属しています。」と記載されている。
ウ 「Cより容易に修得でき、容易に書ける、感激の言語です」の標題の下に、「【Python言語の優位性】」、「【Pythonの利用例】」、「【研修ラインナップ】」の他、「【無料でご提供】」として「OS(Ubuntu)からPythonまでの一式が入ったUSBチップを、マスターおよびエキスパート研修の参加者に無料で差し上げます。・・・」、「『PythonRロゴ入り本革製ネックストラップ』を試験合格者全員に贈呈しています。」と記載されている。
エ 「各資格試験概要」として、「試験時間:60分」、「試験実施 各コースの最終日の午後」と記載されている。
オ 「受講者特典/プレゼント」として、「『Python入りUSBチップ』を差し上げます(ファンデーションは対象外)」、「『Pythonロゴ入り本革製ネックストラップ』を試験合格者全員に贈呈」と記載されている。「Python入りUSBチップ」とは、OS(Ubuntu)からPythonまで、関連ソフトウエア一式が入ったUSBチップである。
カ 「付帯サービス」として、「1.『社内コース開催向けテキスト販売』をご用意しました」に「多くの社員を社内で養成する企業からのご希望にお応えしました。各コースとも1万円/1名でご提供します。媒体はUSBまたは紙媒体となりますので、ご指定ください。」と、「2.『オンライン試験』をご用意しました」に「すでに知識・経験のある方は、直接オンライン試験を受けることができます。各コースとも1万円(税込み)/1名で受験できます」と記載されている。
キ 「PythonRセミナー開催スケジュール」として、「Foundationコース」について、開催日「2019年9月13日(金)」(被請求人の主張によれば、これが第1回の「Python研修」とのことである。)、日数「1日」、定員「24」、会場「東京・本郷」、状況「受付終了」及び開催日「2020年1月28日(火)」、日数「1日」、定員「24」、会場「東京・本郷」、状況「受付中」、並びに「Expertコース」について、開催日「2019年9月2日(月)〜9月4日(水)」、日数「3日」、定員「24」、会場「東京・本郷」、状況「受付終了」及び開催日「2020年1月28日(火)〜1月30日(木)」、日数「3日」、定員「24」、会場「東京・本郷」、状況「受付中」と記載されている。
(4)請求書(乙4)には、請求者として「有限会社 MIT ドットトウキョウ」の記載、請求先として「株式会社アーク」の記載、「年月日」として「2020年2月4日」の記載、講習費として合計金額「¥319,000」の記載、講習名・商品として「Python講習1/28−30」及び「Python資料作成」の記載がなされている。
(5)被請求人名義の2020年1月21日発行の預金通帳(乙5)には、2020年2月28日に、NTTデータから269,500円の振込みと、MITドットトウキョウへの319,000円の支払いがなされたことが記録されている。
(6)請求書(乙6)には、請求者として「株式会社アーク」及び「東京都文京区本郷5丁目33番10号 いちご本郷ビル5階」の記載、請求先として「株式会社NTTデータ」の記載、「年月日」として「2020年1月23日」の記載、請求額として「金269,500円」の記載、項番1から項番4に研修名として「Pythonファンデーション研修(合格あんしんオプション付き)」、項番5に研修名として「Pythonエキスパート研修(合格あんしんオプション付き)」の記載、また項番1から項番5のすべての研修について、受講開始日として「20200128」(2020年1月28日)の記載がなされている。また最下部には、請求月翌月末までに被請求人名義の口座(銀行名、支店名及び口座番号は、上記(5)の預金通帳の口座と一致している。)に、上記請求額を振り込むよう指示がなされている。
(7)請求書(乙7)には、請求者として「株式会社アーク」及び「東京都文京区本郷5丁目33番10号 いちご本郷ビル5階」の記載、請求先として「株式会社AOT」の記載、「年月日」として「2019年10月18日」の記載、請求額として「金20,000円」の記載、また、項番1に、適用「Pythonテキスト(ファンデーション)」、人数「1」、金額(税込)「10,000円」、項番2に、適用「Pythonファンデーション試験」、人数「1」、金額(税込)「10,000円」の記載、さらに、備考に「【テキスト】媒体(USB)」、「【受験日】2019年11月29日」の記載がなされている。
(8)領収書(乙8)には、領収者として「株式会社アーク」及び「東京都文京区本郷5丁目33番10号 いちご本郷ビル5階」の記載、領収先として「株式会社AOT」の記載、「年月日」として「2019年11月15日」の記載、領収額として「金20,000円」の記載、また、項番1に、適用「Pythonテキスト(ファンデーション)」、人数「1」、金額「10,000円」、項番2に、適用「Pythonファンデーション受験料」、人数「1」、金額「10,000円」の記載、さらに、備考に「【テキスト】媒体(USB)」、「【受験日】2019年11月29日」の記載がなされている。
(9)2021年1月13日付けの被請求人のプレスリリース「『DX研修』 初の資格試験付を開始」(乙9)には、「【会社概要と本件に関するお問い合わせ】」において、被請求人の「取得済み登録商標(使用権を含む)」の中に、「(指定役務区分41 研修セミナー開催、試験実施、資格付与、コンサルティングなど)」として「『Python』」が記載されている。
(10)請求人は、小学生を対象として、記憶術を学ぶことができる「ひみこ教室」を開催しており、当該ひみこ教室において「数字をたやすく記憶するPython(パイソン)コース研修」を、2019年7月28日に実施したことが認められる(乙10〜乙19)。当該研修のテキストとおぼしき写真の表紙には、左上に「株式会社アーク」の記載、中央に「数字をかんたんにおぼえるPythonRコース」(審決注:「Python」の上には「パイソン」と片仮名が振られている。また、「R」は、○の中にRの文字。以下同じ。)の記載がある(乙14)。
(11)乙第3号証に記載の「PythonRセミナー・Foundation(ファンデーション)コース」(2019年9月13日(金)及び2020年1月28日(火)開催)が、インターネット上で事前に告知されていたものと認められる(乙20、乙21)。当該研修のテキストとおぼしき写真の表紙には、右上に「株式会社アーク」の記載、中央に「PythonR/Foundation」(審決注:「R」は、○の中にRの文字。以下同じ。)の記載がある(乙22)。
(12)「Python研修顧客満足度調査」には、「(3)今回の研修で満足された点がありましたら、お聞かせください」という質問に対する意見として「・・・今回の研修で業務改善へのノウハウもお話しいただいて目からウロコでした。教育も担当しています。人材育成についてもアドバイスや情報の提供があり、とても満足しています。」との記載がある(乙28)。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、被請求人は、(1)「PythonR研修」又は「PythonRセミナー」と称する、プログラミング言語である「Python」を修得するための3種類の研修(又はセミナー)の開催及び3種類の資格試験の実施のうち、「Expert(エキスパート)コース研修」を2020年1月28日から30日に、「Foundation(ファンデーション)コース研修」を同年1月28日に開催したこと(乙1、乙3〜乙6)、「Foundation(ファンデーション)コース研修」のオンライン試験を2019年11月29日に実施したこと(乙7、乙8)、「Foundation(ファンデーション)コース研修」(2019年9月13日(金)及び2020年1月28日(火)開催)の事前告知をインターネット上で行っていたこと(乙20、乙21)が認められ、また、(2)小学生対象の記憶術を学ぶことができる「ひみこ教室」において「数字をたやすく記憶するPython(パイソン)コース研修」を、2019年7月28日に実施したこと(乙10〜乙19)が認められる。
しかしながら、上記(1)及び(2)のいずれの研修及び資格試験の実施も、請求に係る指定役務(「組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修」を含む。)の範ちゅうに含まれるものとは認められない。
そうすると、被請求人が請求に係る指定役務について本件商標を使用した事実に関しては、何ら立証がされていない。
したがって、被請求人が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標を使用したことを認めることができない。
3 被請求人の主張について
(1)被請求人は、Python研修のホームページ情報(乙3)、ひみこ教室の案内のための資料(乙13、乙17〜乙19)等を提出し、本件商標が研修のために使用されている旨主張している。
しかしながら、上記2のとおり、プログラミング言語習得のための研修の開催及び資格試験の実施や、小学生対象の数字をたやすく記憶する記憶術習得のための研修は、そもそも請求に係る指定役務(「組織の経営管理及び事業の変革管理・業務改善・後方支援への取り組みに関する教育訓練研修,マネジメント・コミュニケーション・営業・リーダーシップ・人材育成の能力向上の教育訓練研修」を含む。)の範ちゅうに含まれるものとは認められない。したがって、被請求人の主張を採用することはできない。
(2)被請求人は、Python研修において様々な助言・指導や情報の提供をも講義し、また質問にも積極的に応え、さらには実務上の案件についてコンサルティングまでも行うことがあるとして、受講生のアンケート結果(乙28)の記載内容から、請求に係る指定役務中「事業の変革管理・業務改善への取り組みに関する教育訓練研修,人材育成の能力向上の教育訓練研修,人材育成の能力向上の教育・研修に関するコンサルティング・助言・指導及び情報の提供」の役務を提供している旨主張している。
しかしながら、仮に、Python研修の中で、業務改善のノウハウの教授や、人材育成についてのアドバイス等が行われていたとしても、それらは独立した役務ではなく付随的なサービスにすぎないし、そもそも本件商標が使用されている役務は、プログラミング言語習得のための研修の開催及び資格試験の実施や、小学生対象の数字をたやすく記憶する記憶術習得のための研修の開催である以上、本件商標が被請求人主張の上記指定役務について使用されているものと認めることはできない。したがって、被請求人の主張を採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第41類「全指定役務」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-03-30 
結審通知日 2022-04-01 
審決日 2022-04-12 
出願番号 2017070713 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W41)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 板谷 玲子
森山 啓
登録日 2018-05-11 
登録番号 6042638 
商標の称呼 パイソン、ピソン 
代理人 前田 大輔 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 中村 知公 
代理人 朝倉 美知 

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