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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W16
管理番号 1390749 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-05-19 
確定日 2022-05-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第6042638号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第6042638号商標の指定商品及び指定役務中、第16類「全指定商品」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第6042638号商標(以下「本件商標」という。)は、「Python」の文字を標準文字で表してなり、平成29年5月25日に登録出願、第16類「紙類,文房具類,定期的に発行される印刷された教材,定期刊行物,書画,写真,写真立て」、第9類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同30年4月18日に登録査定、同年5月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年(2021年)6月3日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年(2018年)6月3日から令和3年(2021年)6月2日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第16類「全指定商品」(以下「請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないことから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の答弁(1)について
乙第1号証は、「株式会社アーク」の表示の他に「PythonR研修」(審決注:「R」は、○の中にRの文字。以下同じ。)の表示があるものの、かかる「PythonR研修」の表示が請求に係る指定商品について使用していることを示す事実は、一切証明されていない。
また、被請求人は、乙第2号証としてリンク先情報を提出し、同乙号証の9頁を指摘の上、「被請求人の商標権に基づくサービス提供の対象となる営業品目がすべて列挙されている」と述べ、更には「本件商標の区分第16類は、乙第2号証9頁に記載があり営業のため使用している」と主張するが、乙第2号証9頁に、請求に係る指定商品に関するものと思しき記載はない。仮に、被請求人が主張する「乙第2号証9頁」は「乙第2号証7頁」が正しい記載だとしても、「被請求人の商標権に基づくサービス提供の対象となる営業品目がすべて列挙されている」との情報は、本件商標が登録されている第16類の指定商品の記載を単に引用したものと推測される。かかる指定商品の記載のみでは、本件商標が請求に係る指定商品のいずれの商品に使用しているのか理解できない。さらに、請求に係る指定商品について、本件商標を自他商品の識別力を発揮する態様にて取引上実際に使用している事実は、「被請求人の商標権に基づくサービス提供の対象となる営業品目がすべて列挙されている」との被請求人の提出情報において、一切示されていない。よって、請求に係る指定商品に対し、本件商標を取引上実際に、自他商品の識別力を発揮する状態で使用している事実、若しくは、取引上実際に使用していた事実を何ら証明していない。即ち、被請求人による「本件商標の区分第16類は、乙第2号証9頁(7頁が正しい記載と推察される)に記載があり営業のため継続使用している」との主張は、本件商標を請求に係る指定商品について実際に使用している、若しくは、使用を行っていた事実を何ら証明していないため、理由がなく失当である。
以上より、被請求人の答弁「7(1)」の内容及び当該答弁が指摘する乙第1号証及び乙第2号証9頁(7頁が正しいと推察される)は、本件商標を請求に係る指定商品について使用している事実を、何ら証明していない。
(2)被請求人の答弁(2)について
被請求人の主張及び乙第3号証は、本件商標が請求に係る指定商品のうち、いずれかの指定商品に関する本件商標の使用を何ら示していない。被請求人が示す乙第3号証4頁は、「Pythonの理解は必要だが資格は不要という方のご希望にお応えしました。」、「PythonRセミナー開催スケジュール」(審決注:「R」は、○の中にRの文字。以下同じ。)、「PythonR商標権について」の表示を確認できるが、かかる表示の使用態様、並びに乙第3号証4頁の記載内容の全趣旨からは、「Python」の表示は請求人の開発したプログラミング言語である「PYTHON」に関するセミナーであると推測されるが、一方、請求に係る指定商品に本件商標を使用している事実は、一切証明されていない。
したがって、被請求人は、請求に係る指定商品のいずれの指定商品についても、本件商標の使用を示す事実を乙第3号証によって示していない。
以上より、答弁「7(2)」の内容及び当該答弁が指摘する乙第3号証4頁は、本件商標を請求に係る指定商品について使用している事実を何ら証明していない。
(3)被請求人の答弁(3)及び(4)」について
ア 被請求人は「同再現ホームページには、26A01、26B01、26D01などに該当する、電子出版物を電子媒体に記憶させたUSBを販売する旨の記載があり(乙第3号証4頁)、かつ(4)のとおり、販売の実績がある。」と主張するが、「電子出版物を電子媒体に記憶させたUSB」は、請求に係る指定商品中の「定期的に発行される印刷された教材」及び「定期刊行物」とは明らかに異なる商品である。また、被請求人は「26A01、26B01、26D01」をいわゆる特許庁発行の類似商品・役務審査基準が付与する「類似群」を表示しているものと推察するが、「電子出版物を電子媒体に記憶させたUSB」は、これらの類似群には包含されない。
イ 仮に、「電子出版物を電子媒体に記憶させたUSB」なる商品が、「定期的に発行される印刷された教材」及び「定期刊行物」に近接する場合があるとしても、「電子出版物を電子媒体に記憶させたUSB」なる商品について、本件商標を表示している事実が一切示されていない。
ウ また、被請求人は、その販売実績として、乙第4号証及び乙第5号証を提出する。これら乙号証は、「備考」欄において「【テキスト】媒体(USB)」と表示するが、かかる媒体は「定期的に発行される印刷された教材」にも「定期刊行物」にも該当しない。
エ 一方、乙第4号証及び乙第5号証において、「適用」欄に「Pythonテキスト(ファンデーション)」の表示が存在するが、かかる「Pythonテキスト(ファンデーション)」の表示のおける「Python」は、被請求人が提出した乙号証の内容及び全趣旨から、請求人が開発したプログラミング言語「PYTHON」を指し示す表示であることは明らかである。
よって、乙第4号証及び乙第5号証における「Python」の表示は、「備考」欄における「【テキスト】媒体(USB)」を他社の媒体(USB)と識別するために使用する商標的な使用ではなく、「【テキスト】媒体(USB)」が収録しているプログラミング言語「PYTHON」を指し示す説明的な表示に過ぎない。
よって、仮に乙第4号証及び乙第5号証が示す「【テキスト】媒体(USB)」が「定期的に発行される印刷された教材」及び「定期刊行物」のいずれかの商品に近接するとしても、乙第4号証及び乙第5号証は、本件商標を請求に係る指定商品である「定期的に発行される印刷された教材」及び「定期刊行物」のいずれかの商品に、他社の製造販売に係る商品と識別するために使用していること、若しくは、使用していたことを証明していない。
(4)被請求人の答弁(5)について
2021年1月13日付けプレスリリース(乙第6号証2頁)は、「指定商品区分41 研修セミナー開催、試験実施、資格の付与、コンサルティングなど」の表示と「Python」の文字を併記するが、かかる表示からは、請求に係る指定商品のいずれかの商品について、本件商標を使用している事実を一切示していない。即ち、「指定商品区分41 研修セミナー開催、試験実施、資格の付与、コンサルティングなど」と「Python」の表示との関係が不明であり、更には、「Python」の表示が、具体的にどのような商品に使用されているのか、同号証からは理解できない。よって、乙第6号証は、請求に係る指定商品のいずれの商品についても、本件商標を使用している事実を証明していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
(1)被請求人のホームページ「会社概要(乙第1号証)」において、「商標権に基づく営業品目」へのリンクが張られており、リンク先(乙第2号証)には、被請求人の商標権に基づくサービス提供の対象となる営業品目がすべて列挙されている。
本件商標の区分第16類は、乙第2号証9頁に記載があり営業のため継続して使用している。
乙第2号証の表記は、商標登録証やJ−PlatPatに合わせてあるため、一般人には、少々見づらいところもあるが、もっとも正確な表記であり、将来のトラブルを回避するに有効であると考えている。
(2)被請求人は、登録商標「Python」に基づいた研修を実施しており、その第1回の2019年9月13日の開催が取り扱ったホームページを当時のバックアップファイルを使用して再現した。登録商標が研修のために使用されていることがわかる(乙第3号証4頁)。ただし、再現であるので、当該研修以外の周辺の情報は今日現在のものとなっている。
(3)同再現ホームページには、26A01、26B01、26D01などに該当する「電子出版物を電子媒体に記憶させたUSB」を販売する旨の記載があり(乙第3号証4頁)、かつ(4)のとおり、販売の実績がある。
(4)(3)の販売実績として、2019年10月18日付け請求書(乙第4号証)及び2019年11月15日付け領収書(乙第5号証)を提出する。各項番1が該当する。なお、個人名は、プライバシー保護のため、付箋をつけて保護している。
(5)他の研修開始時においても、2021年1月13日付けプレスリリース(乙第6号証2頁)において、本件商標の広告活動に努めている。

第4 審尋
当審より被請求人に対し、令和4年1月5日付け審尋において、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、商標権者が、請求に係る指定商品について本件商標を使用していたことを被請求人が証明しているものとはいえない(「電子出版物を電子媒体に記憶させたUSB」は、請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれない。)旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した令和3年10月12日付けの弁駁書に対する回答を求めた。

第5 審尋に対する回答
被請求人は、令和4年2月7日付け審判事件回答書において、審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第23号証ないし乙第27号証(なお、乙第7号証ないし乙第22号証は欠番である。)を提出した。
1 被請求人は、乙第3号証として、Python研修を告知するホームページを提出している。この1行目の見出しには、「【Python】Foundation/Expert/Master研修」と「Python」の商標が使われており、また、2行目には赤の太字で「PythonR資格を取得しよう!」とあり、商標法第2条第3項第8号の広告的使用に該当する。
また、同2頁から3頁にかけて、「3 Pythonのロゴ入りネックストラップを試験合格者全員にプレゼント」のタイトルのもと、社員証などを入れて使用する「ネームカード用ネックストラップ」を試験合格者に提供している旨の記載と写真を掲載している。
「ネームカード用ネックストラップ」は、試験合格者のみが得られるため、勉学の意欲を促進する効果が期待でき、教育効果を高めることに利用されている。よって、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供するものに標章をつける行為」であり、利用にあたる。よって、これらは商標法第2条第3項第3号及び同第4号の使用に該当する。
さらに、研修冒頭において、当該「ネームカード用ネックストラップ」を示して、試験合格者のみが得られる旨を説明しており、これは展示にあたる。よって、これは商標法第2条第3項第5号の使用に該当する。
この「ネームカード用ネックストラップ」には、Pythonの登録商標を刻印して使用している。製作には当然費用が発生するが、受講者が負担する研修費用に含まれており、この譲渡・引き渡しは、商標法第2条第3項第2号の使用に該当する。
乙第3号証では、同記述と写真が頁の境で分かれており、また写真も小さくて分かりづらいので、改めて乙第23号証として従前の2頁から3頁が連続するように少し大きく印書したホームページを、また乙第24号証として「Pythonの登録商標を刻印したネームカード用ネックストラップ」の拡大写真を提出する。
2 乙第3号証の写真「ネームカード用ネックストラップ」は、第16類「文房具類」(25B01)に該当する。
弁駁書6頁における、乙第3号証の写真「ネームカード用ネックストラップ」を、「紙類〜写真立て」のいずれに該当するか、請求人は気が付かなかったようである。もしくは、気が付かなかったふりをしていたのかも知れない。
「ネームカード用ネックストラップ」は、J−PlatPatで検索する(乙25)と、商願2009−075816(乙26)、商願2012−0439539(乙27)があり、ともに類似群コード25B01(第16類「文房具類」)とされている。
そして、被請求人の登録商標「Python」には、25B01が含まれている。
よって、被請求人が本件商標「Python」を使用していることは、明らかである。

第6 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)被請求人ホームページの会社概要によれば、被請求人は、一般社団法人日本AI−Ready協会の認定を受けた「PythonR研修」を行っている(乙1)。
(2)同ホームページの会社概要には「商標権に基づく営業品目」の項目があり、リンク先(乙2)には、「商標登録に基づくサービスは、以下のとおりです。」として、商標登録を受けた商標14件が、商標登録番号、商品及び役務の区分、指定商品又は指定役務の各表示とともに記載されており、その中の一つに本件商標「Python」がある。
(3)バックアップファイルを使用して再現したとされる2019年8月初旬頃の被請求人ホームページのセミナースケジュールには「【Python】Foundation/Expert/Master研修 日本AI−Ready協会推薦」が以下の内容を含めて紹介されている(乙3、乙23)。
ア 「PythonR資格を取得しよう!」として、「話題のAI・ディープラーニングで最も多く利用されている言語。それがPythonです。Pythonは『コードが読みやすく』『少ないコード記述でプログラムが簡単にかける』特徴があります。」、「さらに、現在最も高い年収を得ているのもPythonプログラマで、修得したい言語の第1位になっていることも頷けます。また、2020年より基本情報技術者試験の選択可能なプログラミング言語としても採用されることが決定しています。」と記載されている。
イ 「すぐ使えるUbuntu(OS)〜Python入りUSBを無料で提供!!」として、「PythonR研修には、言語概要を学ぶPythonRファンデーション、プログラミングを実装するPythonRエキスパート、自在に使いこなすPythonRマスターと3種類があります。実機演習を行うエキスパートとマスターには、上記USBが付属しています。」と記載されている。
ウ 「Cより容易に修得でき、容易に書ける、感激の言語です」の標題の下に、「【Python言語の優位性】」、「【Pythonの利用例】」、「【研修ラインナップ】」の他、「【無料でご提供】」として「OS(Ubuntu)からPythonまでの一式が入ったUSBチップを、マスターおよびエキスパート研修の参加者に無料で差し上げます。・・・」、「『PythonRロゴ入り本革製ネックストラップ』(乙24)を試験合格者全員に贈呈しています。」と記載されている。
エ 「各資格試験概要」として、「試験時間:60分」、「試験実施 各コースの最終日の午後」と記載されている。
オ 「受講者特典/プレゼント」として、「『Python入りUSBチップ』を差し上げます(ファンデーションは対象外)」、「『Pythonロゴ入り本革製ネックストラップ』(乙24)を試験合格者全員に贈呈」と記載されている。「Python入りUSBチップ」とは、OS(Ubuntu)からPythonまで、関連ソフトウエア一式が入ったUSBチップである。
カ 「付帯サービス」として、「1.『社内コース開催向けテキスト販売』をご用意しました」として、「多くの社員を社内で養成する企業からのご希望にお応えしました。各コースとも1万円/1名でご提供します。媒体はUSBまたは紙媒体となりますので、ご指定ください。」と、「2.『オンライン試験』をご用意しました」に「すでに知識・経験のある方は、直接オンライン試験を受けることができます。各コースとも1万円(税込み)/1名で受験できます」と記載されている。
キ 「PythonRセミナー開催スケジュール」として、「Foundationコース」について、開催日「2019年9月13日(金)」(被請求人の主張によれば、これが第1回の「Python研修」とのことである。)、日数「1日」、定員「24」、会場「東京・本郷」、状況「受付終了」及び開催日「2020年1月28日(火)」、日数「1日」、定員「24」、会場「東京・本郷」、状況「受付中」、並びに「Expertコース」について、開催日「2019年9月2日(月)〜9月4日(水)」、日数「3日」、定員「24」、会場「東京・本郷」、状況「受付終了」及び開催日「2020年1月28日(火)〜1月30日(木)」、日数「3日」、定員「24」、会場「東京・本郷」、状況「受付中」と記載されている。
(4)請求書(乙4)には、請求者として「株式会社アーク」及び「東京都文京区本郷5丁目33番10号 いちご本郷ビル5階」の記載、請求先として「株式会社AOT」の記載、「年月日」として「2019年10月18日」の記載、請求額として「金20,000円」の記載、また、項番1に、適用「Pythonテキスト(ファンデーション)」、人数「1」、金額(税込)「10,000円」、項番2に、適用「Pythonファンデーション試験」、人数「1」、金額(税込)「10,000円」の記載、さらに、備考に「【テキスト】媒体(USB)」、「【受験日】2019年11月29日」の記載がなされている。
(5)領収書(乙5)には、領収者として「株式会社アーク」及び「東京都文京区本郷5丁目33番10号 いちご本郷ビル5階」の記載、領収先として「株式会社AOT」の記載、「年月日」として「2019年11月15日」の記載、領収額として「金20,000円」の記載、また、項番1に、適用「Pythonテキスト(ファンデーション)」、人数「1」、金額「10,000円」、項番2に、適用「Pythonファンデーション受験料」、人数「1」、金額「10,000円」の記載、さらに、備考に「【テキスト】媒体(USB)」、「【受験日】2019年11月29日」の記載がなされている。
(6)2021年1月13日付けの被請求人のプレスリリース「『DX研修』 初の資格試験付を開始」(乙6)には、「【会社概要と本件に関するお問い合わせ】」において、被請求人の「取得済み登録商標(使用権を含む)」の中に、「(指定役務区分41 研修セミナー開催、試験実施、資格付与、コンサルティングなど)」として「『Python』」が記載されている。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、被請求人は、要証期間に、「PythonR研修」又は「PythonRセミナー」と称する、プログラミング言語である「Python」を修得するための3種類の研修(又はセミナー)の開催及び3種類の資格試験の実施をしたことが推認され(乙1、乙3)、また、被請求人は、要証期間に、「PythonR研修」(又はセミナー)のテキストを記憶させたUSB(請求人が主張するところの「電子出版物を電子媒体に記憶させたUSB」)の販売をしたことが認められる(乙3〜乙5、乙23)。
しかしながら、いずれの商品及び役務も請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれるものとは認められない。
そうすると、被請求人が請求に係る指定商品について本件商標を使用した事実に関しては、何ら立証がされていない。
したがって、被請求人が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定商品について、本件商標を使用したことを認めることができない。
3 被請求人の主張について
(1)被請求人は、Python研修を告知するホームページ(乙3)を提出しているなどとして、商標法第2条第3項第8号の広告的使用に該当する旨主張している。
しかしながら、上記2のとおり、研修に係る役務は、そもそも請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれるものとは認められないから、商標法第2条第3項第8号の商品に関する広告での使用に該当することはない。したがって、被請求人の主張は採用することができない。
(2)被請求人は、試験合格者全員にプレゼントしている「ネームカード用ネックストラップ」(乙3、乙23、乙24)は、勉学の意欲を促進する効果が期待でき、教育効果を高めることに利用されているから、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供するものに標章をつける行為」であり、商標法第2条第3項第3号及び同第4号の使用に該当する旨、また、研修冒頭において、当該「ネームカード用ネックストラップ」を示して、試験合格者のみが得られる旨を説明しており、これは展示にあたるから、商標法第2条第3項第5号の使用に該当する旨主張している。
しかしながら、上記2のとおり、研修に係る役務は、そもそも請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれるものではなく、役務に関する使用行為を規定した商標法第2条第3項第3号ないし同第5号に該当する旨の主張自体、失当である。したがって、被請求人の主張は採用することができない。
(3)さらに、被請求人は、「ネームカード用ネックストラップ」(乙3、乙23、乙24)は、請求に係る指定商品中の「文房具類」に該当するとした上で、当該「ネームカード用ネックストラップ」には、「Python」の登録商標を刻印して使用しており、その製作費用は受講者が負担する研修費用に含まれているから、当該ネックストラップの譲渡・引き渡しは、商標法第2条第3項第2号の使用に該当する旨主張している。
しかしながら、上記1で認定したとおり、当該ネックストラップは、「PythonR研修」又は「PythonRセミナー」と称する、プログラミング言語「Python」を修得するための3種類の研修(又はセミナー)における資格試験合格者全員に対し、被請求人が無料で贈呈しているものであって、被請求人が業として製造・販売しているものではないから、商標法上の商品ということはできず、よって、かかる被請求人の行為が商標法第2条第3項第2号に該当するということもできない。したがって、被請求人の主張を採用することはできない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定商品について、本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定商品に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、第16類「全指定商品」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-03-30 
結審通知日 2022-04-01 
審決日 2022-04-12 
出願番号 2017070713 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W16)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 板谷 玲子
森山 啓
登録日 2018-05-11 
登録番号 6042638 
商標の称呼 パイソン、ピソン 
代理人 前田 大輔 
代理人 朝倉 美知 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 

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