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審決分類 審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない W09
管理番号 1390689 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2020-06-12 
確定日 2022-05-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第5770529号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5770529号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成27年1月30日に登録出願、第9類「スマートフォン用保護カバー,スマートフォン用ケース,タブレット型コンピュータ用保護カバー,タブレット型コンピュータ用ケース,ノートブック型コンピュータ用ケース」を指定商品として、同年5月25日に登録査定、同年6月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標等
1 引用商標
請求人が本件商標の登録の無効の理由において引用する登録商標は、以下の6件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2173459号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:昭和60年6月6日
設定登録日:平成元年9月29日
書換登録日:平成22年3月24日
指定商品:第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子計算機,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」及び第7類並びに第17類に属する商標登録原簿記載の商品
(2)登録第4696655号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成14年3月27日
設定登録日:平成15年8月1日
放棄による一部抹消:平成15年11月10日
指定商品及び指定役務:第9類「業務用テレビゲーム機,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電話機械器具,その他の電気通信機械器具,電子計算機,半導体素子,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物」及び第38類に属する商標登録原簿に記載の役務
(3)登録第5054551号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成18年7月31日
設定登録日:平成19年6月15日
指定商品及び指定役務:第9類「金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,携帯電話機,テレビ電話,サングラス,その他の眼鏡,スロットマシン」及び第16類並びに第37類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(4)登録第5137030号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成19年4月13日
設定登録日:平成20年6月6日
指定役務:第35類「コンピュータ・コンピュータソフトウェア・その他の電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(電子商取引によるものを含む。),レコード・インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル・インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル・録画済みビデオディスク及びビデオテープの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(電子商取引によるものを含む。),印刷物及び電子出版物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(電子商取引によるものを含む。)」
(5)登録第6084697号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
登録出願日:平成29年10月2日
優先権主張:2017年(平成29年)3月30日 ジャマイカ
設定登録日:平成30年9月28日
指定商品:別掲3のとおり
(6)国際登録第1014459号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
指定役務:別掲4のとおり
国際登録出願日:2009年(平成21年)4月29日
設定登録日:平成22年7月2日
優先権主張:2009年(平成21年)1月13日 米国
指定役務:別掲4のとおり
2 請求人が本件商標の登録の無効の理由において引用する請求人の使用に係る商標は、別掲2のとおりの構成(色違いを含む。:以下「使用商標」という。)からなり、「スマートフォン,タブレット型コンピュータ,ノートブック型コンピュータ」分野において、請求人が自己の業務に係る商品及び役務について周知著名であると主張するものである。
以下、引用商標1ないし引用商標6をまとめていうときは、「11号引用商標」といい、11号引用商標と使用商標をまとめていうときは「引用商標」という。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、審判請求書及び令和3年4月16日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において、要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第30号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。
2 無効原因
(1)請求人について
米国カリフォルニア州に本社を置くアップルインコーポレイテッド(AppleInc.(以下「請求人」という。))は、「iMac」、「MacBook」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型コンピュータ「AppleWatch」等を製造販売し、音楽・映像配信サービス「iTunes」、データ保管サービス「iCloud」等を提供する米国の法人である。同社は、「世界の最も価値あるブランドランキング」で首位を獲得するなど、高い知名度を誇り、当該ランキングにおいては、2011年から9年連続で首位の座を維持し、ブランド価値が2,000億ドルを超えた唯一の企業と評価されている(甲8)。
(2)引用商標の著名性について
引用商標は、別掲2のとおり林檎の図形を装飾化した構成からなる。
ア 日本の店舗表示及び販売状況
請求人の企業ロゴである引用商標は、請求人の公式ウェブサイトの他、店舗の看板として使用されている。
現在、請求人が運営する店舗(アップルストア)は都市圏にて10店舗あり(甲9)、コンピュータやOA機器を販売する大手家電量販店、携帯電話販売店でも請求人の商品は販売されている(甲10)。
このように請求人の商品は、直営店以外にも多くの他社店舗で販売されており、そこにおいても引用商標にかかる看板が掲げられ又は引用商標が付された商品が販売されている。
イ 引用商標の使用
引用商標は、請求人の商品及びサービス、広告並びに販売促進資材等に使用されている(甲11)。
ウ 広告宣伝
請求人の商品は、テレビ及びネットのコマーシャルで頻繁に放送されていることは周知の事実である。
例えば、民間会社が行った2017年3月から2018年2月までの「テレビCM出稿金額が大きいトップ100ブランドランキング」の企業順では第65位にランクされている(甲12、甲13)。
エ 請求人の商品及びサービスの売上
請求人の財務報告書によると、日本での純売上は、平成28年(2016年)は16,928百万米ドル(約1兆8千万円)、同27年(2015年)は15,706百万米ドル(約1兆7千万円)、同26年(2014年)は15,314百万米ドル(約1兆6千万円)、令和元年(2019年)は21,506百万米ドル(約2兆4千万円)、平成30年(2018年)は21,733百万米ドル(約2兆3千万円)及び同29年(2017年)は17,733百万米ドル(約1兆9千万円)である(甲14)。
当該財務報告書の内容は真正なものであり、また、請求人の商品及びサービスには常に企業ロゴである引用商標が付されているため、かかる売上は引用商標が付された商品及びサービスの売上と見ることができる。この数字を見ても、請求人の商品及びサービスが日本で広く取引されていることは明らかである。
オ 審決例
引用商標は、異議2019−900202、異議2017−900340、無効2017−680001(甲15)及び異議2017−900329においても、周知著名商標と認定されている。
カ 上記アないしオのとおり、引用商標は、請求人の商品及びサービスの利用者であれば必ず目にすることのある商標であって、請求人を表す商標として需要者の間において極めて広く知られている。
事実、甲第16号証ないし甲第18号証のとおり、引用商標は、トヨタ、マクドナルド、アディダス等と並ぶ有名ロゴとして理解され、記事にされている。
すなわち、引用商標は、明らかに「著名」であり、世界でも最も価値のある商標のひとつであり、我が国においても、テクノロジー関連業界はもとより、ほとんどの一般消費者にも認識されている。
以上のとおり、引用商標は、我が国及び世界各国における請求人の長年の販売及び販売促進活動の努力により、本件商標の登録出願時以前より、請求人の莫大な業務上の信用が化体した周知著名商標となっていたことが明らかである。
(3)本件商標が無効とされるべき理由
ア 商標法第4条第1項第11号
本件商標は、別掲1のとおり、図形商標である。
本件商標を90度左に回転させた図形(以下「本件商標の回転図形」という。)は、別掲6のとおりである。
被請求人は、実際には、本件商標を左に90度回転させた態様にて、請求人のスマートフォン「iPhone」用のケースに過去使用していた事実が認められる。
同ケースは請求人の商品として著名な「iPhone」シリーズの「iPhone5」用のものであるが、11号引用商標に係る林檎図形と被請求人が販売していたケースにおける本件商標は同じ場所に位置し、請求人のiPhone5に同ケースを装着するとちょうど引用商標が本件商標にかかるくり抜き部分から現れる形となっている。
一方、11号引用商標は、別掲2のとおり林檎図形を表した構成からなる。
本件商標は、一見すると何を表しているのかよく分からないとしても、左に90度回転させると、一口かじられた跡のある葉付きの林檎を模した図形と解される。
そして、本件商標と11号引用商標とを比較すると、11号引用商標に備えられた特徴的な3つの構成要素(林檎の実、かじられた跡、一枚の葉)を本件商標も備えている。
これらの要素を個別に見ると、まず、林檎の実部分については、全体的な形状に加え、底部の凹みの形状及び上部の膨らみの程度が酷似している。
かじられた跡については、いずれも右部分に位置する点で共通している。 11号引用商標は、このかじられた跡を有する点が一般的に描かれる林檎図形とは一線を画す非常に特徴的な点といえ、同特徴を備えている林檎図形は、請求人を想起させる。
したがって、かじられた跡を有するという共通要素を持つという事実は、11号引用商標と本件商標の類否に大きく影響する部分である。
一枚の葉については、本件商標では林檎の実部分に接地している点で実と葉の間にスペースを有する本件商標とは異なるが、非常に簡略化された図案で表現されている点においては共通しているといえる。
本件商標の回転図形と11号引用商標を重ねると、11号引用商標が本件商標にすっぽり収まる形となっており、本件商標は、まさに11号引用商標のアウトラインを一筆書きで表した態様であるといえる。
以上のとおり、11号引用商標は、本件商標の特徴要素を全て備えており、特にかじられた跡を有する点、シンプルに林檎のシルエットを表した図形であるという点、そのシルエットが11号引用商標と一致する点等を考慮すると両者は外観上相紛らわしい類似商標と解される。
また、観念についてみると、11号引用商標からは、その著名性ゆえに即座に「アップルインコーポレイテッド」を想起させることは明らかである。
一方、本件商標は、それを構成する林檎の実、かじられた跡、一枚の葉という特徴及び各構成要素の本件商標との類似度から、やはり「アップルインコーポレイテッド」をイメージさせるものである。
したがって、本件商標と11号引用商標とは、観念においても類似する。
しかして、「商標が類似のものであるかどうかは、その商標をある商品につき使用した場合に、商品の出所について誤認混同を生ずる虞があると認められるものであるかどうかということにより判定すべきものと解するのが相当」(最高裁昭33(オ)1104号昭36.6.27判決出典:最高裁判)であるところ、本件商標の指定商品は、「スマートフォン用保護カバー,スマートフォン用ケース,タブレット型コンピュータ用保護カバー,タブレット型コンピュータ用ケース,ノートプック型コンピュータ用ケース」であり、カバーないしケースの対象商品である「スマートフォン,タブレット型コンピュータ,ノートブック型コンピュータ」は、いずれも請求人の主力商品である。
したがって、本件商標の指定商品に本件商標が付された場合、請求人と何らかの関係があるかのような誤認を生じさせるおそれがあると認められる。
特に、「スマートフォン,タブレット型コンピュータ,ノートブック型コンピュータ」は、いずれもそのモバイル性から、縦にしたり、横にしたりと様々な向きで手に取られ、視認されるものであって、本件商標は、その角度を左90度に回転させた態様でも需要者及び消費者に視覚的に把握される可能性が高いものである。
そして、実際、本件商標を左90度に回転させた態様で使用されていた事実も存在する。
したがって、本件商標を回転させて類否を判断することは商品における一般的な取引実情であって、考慮されるべきものである。
なお、本件商標の指定商品は「スマートフォン用保護カバー,スマートフォン用ケース,タブレット型コンピュータ用保護カバー,タブレット型コンピュータ用ケース,ノートブック型コンピュータ用ケース」であり、「携帯情報端末及び電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品である。
11号引用商標の指定商品も「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具及びその部品」又はこれらの小売役務を指定商品としており、いずれも本件商標の指定商品と同一又は類似している。
また、引用商標5は、「コンピュータ・携帯電話・携帯用電子情報端末・身体に装着可能な情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドフォン・セットトップボックス・オーデイオ機器及びビデオ記録再生装置用カバー・バッグ・ケース・スリーブ・ストラップ及び飾りひも」が指定されており、完全に同一である。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
イ 商標法第4条第1項第15号
(ア)引用商標は、請求人のハウスマークとして長年にわたって使用され、請求人を表示するものとして著名な商標である。
しかして、本件商標は、上記アのとおり、引用商標と類似するものであって、万一類似しないとしても、請求人の周知著名商標である引用商標の構成をモチーフとしたものと解されるものである。
したがって、本件商標が、本件商標の指定商品について使用された場合には、その商品は、請求人又は関連する企業の商品と誤認されるおそれがあることは明らかである。
特に、引用商標は、本件商標の指定商品分野である「スマートフォン,タブレット型コンピュータ,ノートブック型コンピュータ」分野で極めて広く知られているものであり、同分野において「かじられた林檎図形」といえば請求人が真っ先に思い起こされる。
したがって、本件商標は、請求人を想起させるもので、本件商標に接する需要者及び取引者は、本件商標から「請求人の業務に係る商品」及び「請求人に関係する何らかの商品」をイメージすると考えられ、その出所を混同するおそれが高い。
(イ)「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」についての考慮すべき事項として、「A その他人の標章の周知度」、「B その他人の標章が創造標章であるかどうか」、「C その他人の標章がハウスマークであるかどうか」、「D 企業における多角経営の可能性」、「E 商品間及び役務間又は商品と役務間の関連性」及び「F 商品等の需要者の共通性その他取引の実情」について検討すると、本件商標が使用されると、出所の混同が生じるおそれや、請求人から公認を受けているとの誤認あるいは、請求人の周知な引用商標にかかる林檎図形の希釈化及び汚染化が生じるおそれがある。
A 引用商標が著名であることは、上記(ア)のとおりであり、特に、第9類の「スマートフォン,タブレット型コンピュータ,ノートブック型コンピュータ」分野においては非常に高い著名性を有している。
B 引用商標は、請求人よる創造商標であり、別掲2のとおり、ピクトグラムのように果物を極めて単純な図で表したものであって、「かじられた林檎」をモチーフとした点が独創的といえる。
したがって、この独創的な点が共通する本件商標は引用商標を意識させるに十分な図形であると考える。
C 引用商標は、請求人のハウスマーク(会社ロゴ)である。
D 請求人は、コンピュータの分野以外にも様々な事業分野で商品及び役務を展開しており、例えば、音楽配信サービス「iTunesStore」(甲22)、映像ストリーミングサービス「AppleTV」(甲23)の他、請求人本社では、マグカップやTシャツ、文房具等が販売されている(甲24)。
したがって、多角経営の可能性は十分に認められる。
E 商品間及び役務間又は商品と役務間等の関連性があることは、本件商標の指定商品より明らかである。
F 本件商標の指定商品は、請求人にとっての主要商品である「スマートフォン,タブレット型コンピュータ,ノートブック型コンピュータ」用のケース・カバーであることから、請求人の主要商品とは非常に強い関連性が認められ、需要者の共通性は当然に認められる。
事実、被請求人は、上記のとおり、本件商標を使用して「iPhone」用ケースの販売を過去行っていた。
したがって、本件商標が請求人の引用商標を意識したものであることは明らかである。
(ウ)以上のとおり、本件商標がその指定商品に使用されると、かかる指定商品分野における需要者は、それらの商品が請求人の業務に係る商品ないし請求人と何等かの関係がある者の業務にかかる商品であると誤認し、出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
なお、図形商標間の出所混同のおそれに関し、無効審判2016―890047で判断もされた例もある。
本件商標の場合でも、商標構成上に多少差異があるとしても、引用商標が請求人のハウスマークとして周知・著名であって、その独創的な特徴部分が共通することを考慮すると、出所混同のおそれは高い。
(エ)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第19号
上記ア及びイのとおり、本件商標が請求人の周知著名商標である引用商標に類似する。
一般的に、林檎という果物の図柄を、本件商標の指定商品の商標として採用しなければならない必然性ないし必要性は全くない。
したがって、被請求人は、請求人の周知著名商標である引用商標の存在を当然に知りながら、本件商標を採択し登録出願したものと推認できる。
そして、別掲6のとおり、実際の使用では登録商標の態様とは異なる形(左に90度回転させた態様)で請求人の「iPhone」用ケースについて本件商標を使用した事実が認められる。
上記の事実及び引用商標が著名であって、極めて大きな顧客吸引力を有する事実を考慮すれば、本件商標は、引用商標のもつ強大な顧客吸引力及び名声へのただ乗りによって不正の利益を得る目的を有するか、引用商標の有する強い識別力、表示力及び顧客吸引力を希釈化することによって請求人に損害を加える目的を有するかのいずれかの不正の目的をもって使用するものと解さざるを得ないものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
エ むすび
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標の登録は、同法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきものである。
3 被請求人の答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第11号
被請求人は、令和2年9月28日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)において、本件商標と11号引用商標とは非類似である旨述べているが、被請求人の主張は、以下に述べるとおり失当である。
ア 商標の類否判断方法について
商標審査基準では、商標の類否は、出願商標及び引用商標がその外観、称呼又は観念等によって需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に観察し、出願商標を指定商品又は指定役務に使用した場合に引用商標と出所混同のおそれがあるか否かにより判断する。
また、判例でも「商標が類似のものであるかどうかは、その商標をある商品につき使用した場合に、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められるものであるかどうかということにより判定すべきものと解するのが相当」(最高裁昭33(オ)1104号昭36.6.27判決)と認定されている。
以上のとおり、商標の類否は、対比される商標を同一又は類似の商品に付した場合に出所の混同のおそれがあるかどうかによって判断されるべきである。
これに対し、答弁書における被請求人の主張は、外観、称呼及び観念を個別に対比し検討しているにすぎず、上記総合的な観点からの混同の有無については言及されていない。
そこで、以下のとおり改めて、本件商標が本件商標の指定商品に使用された場合、誤認混同を生ずるおそれがある点につき主張する。
イ 両商標の対比
被請求人は、(ア)11号引用商標の特徴的な3つの構成要素(林檎の実、かじられた跡、一枚の葉)を備えていないこと、(イ)本件商標の右側の出っ張り部の下部から本件商標の下部の凹んだ部分の右端部に至る部分の曲線は、11号引用商標の同部分に該当する曲線と明らかに異なっていることから「一口かじられた跡のある葉付きの林檎を模した図形と解される」余地はない旨主張している。
しかしながら、まず、(ア)については、3つの構成要素のみで両商標は構成されているものではなく、底部の凹みの形状や上部の膨らみの程度等全体的な形状をもって対比すべきである。
次に(イ)については、本件商標の指定商品との関係上、本件商標は必ずしも登録商標の態様でのみ視認されるものではなく、本件商標の指定商品を違った方向から観察した場合、別掲6のとおり、登録商標と反時計回りに「本件商標の回転図形」も視認される。
なお、現在係属中の本件商標に対する商標法第50条に基づく取消審判(取消2020−300409)における令和2年9月28日付答弁書とともに被請求人が提出した証拠として、本件商標の回転図形が表示されたスマートフォンケースの写真(甲26)を提出していることから、被請求人が主に本件商標の回転図形を使用する意図を有することは明らかである。
さらに、無効2000−35489の審決(甲27)においても、「商標が実際の取引の場で使用される場合、特に本件商標のように図形からなる商標が指定商品の一種である腕時計に使用されるときは、天地がいずれの方向であるか特定されない場合があるものと認められる。
この点にしたがい、11号引用商標との対比においては、本件商標を時計回りに90度回転させた態様のものとして判断する。」と判断されている。
以上のとおり、本件商標においても、本件商標の回転図形と11号引用商標を比較して商標の類似を判断すべきと考える。
したがって、(イ)にかかる主張は、本件商標の回転図形と11号引用商標を比較した場合には、凹みの位置が両者一致し、明らかに類似する曲線を描いているといえることから失当である。
そして、被請求人は「かじられた跡」を備えていない旨述べているが、本件商標の回転図形の形状を見ると右側の凹み部分は十分に「かじられた跡」と認定できるものである。
ウ また、被請求人は、本件商標中に、11号引用商標がすっぽり収まるとしても、本件商標を構成する曲線は、曲がり具合などで11号引用商標の外周と異なっており、請求人が主張するように「11号引用商標のアウトラインを一筆書きで表した態様」とはいえない旨主張している。
多少の曲がり具合の相違があるとしても、本件商標の回転図形が右側のかじられた跡部分、底部の凹み部分を有し、また、上部の葉っぱの突き出た部分をはみ出すことなく囲うような形状であることに疑いはない。
また、被請求人が提出した本件商標の使用証拠と主張する甲第26号証に「iPhoneのシンプルで美しいフォルムをそのまま生かし、Appleロゴの型抜きが絶妙なフィット感を生み出します」と記述されているとおり、本件商標は「Appleロゴの型抜き」すなわち「11号引用商標の型抜き」である。
以上のとおり、本件商標は、11号引用商標を模して考案された図形であることは明らかであって、本件商標の指定商品に使用すれば、その出所について誤認、混同のおそれがある。
エ 取引者及び需要者の共通性
商標の類否判断にあたっては、指定商品又は指定役務における一般的、恒常的な取引の実情が考慮されるところ、本件指定商品「スマートフォン用保護カバー,スマートフォン用ケース,タブレット型コンピュータ用保護カバー,タブレット型コンピュータ用ケース,ノートブック型コンピュータ用ケース」の主たる需要者は、スマートフォンやタブレット・ノートブッPCのユーザーであって、広く一般の需要者を含み、その商品の購入に際し、常に注意深く商標を確認するとは限らない。特にスマートフォン、タブレット・ノートブックPCそれ自体は非常に高価な商品であって、その購入においては、需要者も相当の注意を払うと予想されるが、そのケースの購入にあっては、本体に比べ比較的廉価な商品であって、消費者は商標を注意深く観察するというよりは、ぱっと見の印象で購入に至る場合も多いといえる。
以上のような商品の取引の実情が認められるところ、本件商標と11号引用商標は細部において異なる部分があるとしても、全体のアウトラインは、ほぼ一致しており、請求人の著名商標である11号引用商標につられて、本件商標を11号引用商標と誤認混同するおそれは非常に高いといえる。
オ 隔離的観察における混同可能性
被請求人が答弁書で述べるとおり、時と場所を異にする隔離的観察を行った場合、さほど高い注意力をもって商品を確認するとはいえない本件商標の指定商品分野において、消費者は目の前で2つの商標を対比するのではなく、記憶の中にある、あやふやなイメージで商標を目にする。
その際は、消費者はその場で自分の記憶を頼りに商品を選ぶこと、11号引用商標は我が国において非常によく知られた著名商標であること、11号引用商標を構成する図案において右側のかじられた跡とみられる形状は11号引用商標の林檎図形を他の様々な林檎図形と識別する上で特に特徴的な部分であること等を考慮すると、11号引用商標と外観上、相当類似する本件商標に接した消費者は、直接対比するよりもさらに本件商標を周知著名商標である11号引用商標と誤認する可能性が高いといえる。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号
ア 被請求人は、答弁書において、本件商標と引用商標は非類似であって、商標法第4条第1項第15号は、著名な登録商標をその指定商品と非類似の商品に使用した場合に適用されるが、これには当たらない旨述べている。
しかしながら、商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」と規定しており、「著名な登録商標を指定商品と非類似の商品に使用した場合」は同号が適用される一例にすぎない。
また、同号は、出所混同を防止するための規定であって、「他人の著名な商標と類似しないと認められる場合又は他人の著名な商標と類似していても商品等が互いに類似しないと認められる場合において、商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるとき。」は同号が適用されることからも、仮に商標が非類似であったとしても混同は生じ得る。
したがって、被請求人の上記主張は失当である。
イ 被請求人は、本件商標はそもそも「一ロかじられた跡のある葉付きの林檎を模した図形」に見えるものではないため、その出所について混同することは考えられない旨述べている。
しかしながら、「一口かじられた跡のある葉付きの林檎を模した図形」に見えるかどうかによって、本号に該当するかどうかが決せられるのではなく、引用商標の周知度、引用商標がハウスマークであるか、需要者の共通性等、様々な事実を総合勘案して判断されるものである。
なお、本件商標は、引用商標の型抜きデザインであることは被請求人も認めているので、本件商標は「一口かじられた跡のある葉付きの林檎」すなわち引用商標を模した図形といえる。
ウ 被請求人は、本件商標の使用態様に照らしても、引用商標の希釈化及び汚染化が生じることはない旨述べている。
しかしながら、本件商標の形状部分から引用商標が見えるようにデザインされたものであることが引用商標の希釈化及び汚染化が生じない根拠とはなり得ない。
また、被請求人のいう本件商標の使用態様とは甲第26号証に表されたものと思料するが、本件商標の使用態様が今後どのように変化するかは予測できないものであって、その使用態様によって引用商標の希釈化及び汚染化は十分にあり得る。
そもそも、本件商標は引用商標と相紛らわしい類似商標であって、本件商標の指定商品が請求人主力商品分野にかかる商品であることを考慮すると、本件商標の存在は、引用商標の顧客吸引力等商標の機能を希釈化させるものある。
したがって、被請求人の上記主張は失当である。
エ 被請求人は、公認の商品であれば、スマートフォンカバー自体に引用商標が付されるのが通常であり、本件商標の形状(くり抜き部分)から引用商標を表示されるとしても、公認を得ているとの誤認が生じることはない旨述べている。
しかしながら、引用商標と相紛らわしい類似商標である本件商標の形状が請求人の公認を得ているとの誤認は生じないと認めるに足りる具体的・合理的な証拠を被請求人は一切示しておらず、肯首できない。
請求人ウェブサイトで販売される請求人スマートフォン「iPhone」用のケース一覧においても(甲28)、様々なタイプのケースが販売されており、被請求人の主張する態様(甲26)であれば公認を得ているとの誤認が生じないとはいえない。
加えて、上記ウにかかる主張と同様に、上記請求人主張は、甲第26号証の態様にのみ基づいた主張であって、今後本件商標をどのように使用するかは予測できない。被請求人がいう、「公認の商品であれば・・・」のようにスマートフォンカバー自体に本件商標が付される可能性もある。
したがって、被請求人の上記主張は失当である。
オ 図形商標同士の誤認混同のおそれについて
無効2016−890047(甲25)以外にも、次のとおり、図形商標間で誤認・混同が生じる旨認定されている。
無効2015−680001及び無効2015−890100の審決の認定に照らしても、本件商標をその指定商品に使用した場合には、これに接する取引者・需要者は、著名商標である引用商標を連想、想起して、当該商品が請求人と経済的・組織的に何らかの関係がある者の業務にかかる商品と誤信するおそれがあるものというべきである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 被請求人の本件商標と引用商標は類似しないとの主張上記(1)及び(2)のとおり失当である。
イ 被請求人は、a)本件商標の形状(くり抜き部分)から引用商標を表示させるのは、引用商標を尊重する精神から生まれたアイデアであること、b)本件商標を被請求人が使用したとしても、それが請求人の公認商品と解される余地はないことを理由に、引用商標の顧客吸引力にただ乗りし、顧客吸引力を棄損するものではない旨主張する。
しかしながら、a)については、そのようなアイデアと商標法第4条第1項第19号にいう「不正の目的」があるかどうかは全く関係がない。
商標審査基準において「i)一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであること。ii)その周知な商標が造語よりなるものであるか、又は、構成上顕著な特徴を有するものであること。」の要件を満たす場合には不正の目的をもって使用するものと推認される旨規定されていることからも、本件商標が同号に該当することは明らかである。
また、ii)については、請求人の公認商品と解される余地がある。
ウ 被請求人は、被請求人の実際の使用の態様が登録商標の角度とは異なることについて、これは本件商標の指定商品が縦向き、横向きなど様々な方向で使用されることを考慮しつつ同業者による本件商標の類似商標の取得の防止を意図したものであり、不正の意図があったものではない旨主張する。
しかしながら、甲第26号証のとおり、被請求人は実際の使用においては、請求人の引用商標が表示されるように本件商標の回転図形を使用しているのであり、また、本件商標の指定商品が様々な方向から視認されるとしても、本件商標の指定商品が一般に販売・展示される際の正面からの向きを基準に商標は選定され、使用されるものである。商標権利者は、指定商品について登録商標の使用をする権利を専有することからも(商標法第25条)、被請求人は本件商標の回転図形についてそもそも登録出願を検討した、とみるのが自然であって、これをあえて本件商標の回転図形で登録出願されたのは、故意に引用商標と非類似と見せかける意図があったと推認せざるを得ない。
したがって、被請求人の上記主張は失当である。
(4)商標法第3条第1項柱書違反について
答弁書中「本件商標の採択・登録出願の経緯」をみるに、被請求人は、スマートフォンカバーのデザイン検討にあたり、請求人の引用商標を尊重して、カバー装着時のデザイン性を維持することを目指して、本件商標にかかる形状をくり抜くことを考案した旨述べている。
同事実より、被請求人は、本件商標を自他商品識別標識としての商標ではなく、スマートフォンのデザインの一形状として採択、使用を意図していることは明らかであって、そのような商標は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とはいえず、商標法第3条第1項柱書より商標登録は認められない。
なお、被請求人が本件商標を単にスマートフォンのケースデザインとしてのみ使用し、商標として使用していないことは、現在係属中の本件商標に対する商標法第50条に基づく取消審判(取消2020−300409)における令和2年9月28日付け答弁書において提出された証拠(甲26)からも明らかである。
当該無効理由は、本件審判の審理の過程で被請求人の主張で明らかになった事実であり、職権審理によって追加されるべき無効理由と考える。
仮に、被請求人が本件商標を商標として使用しているとしても、その場合には、引用商標との関係で出所混同を生じさせることは上記のとおりである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、類似するものであって、また、本件商標を付した本件商標の指定商品が請求人と何らかの関係があるかのようにその出所について混同するおそれがあることは明らかであることから、被請求人の主張はいずれも失当である。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 本件商標の採択及登録出願の経緯
(1)被請求人は、群馬県渋川市に本社を置く株式会社であり、ICカード関連商品、磁気シールド商品、スマートフォン向けのカバーなどを製造及び販売している。
請求人の販売するスマートフォンの背面には、林檎の図形を装飾化した企業ロゴ(引用商標)が付されていた。
(2)平成24年(2012年)頃から、請求人のスマートフォンに装着するスマートフォンカバーであって、装着時に請求人の企業ロゴ(引用商標)が隠れないように、カバーの背面の一部をくり抜いたデザインの商品が販売されていた(乙1)。
(3)しかし、企業ロゴ(引用商標)の周囲を大きくくり抜くと、スマートフォン背面が露出して傷がつきやすくなるなど、カバーによる保護の意味がなくなるだけでなく、ロゴのデザイン性を損なってしまう懸念がある。
(4)そこで、企業ロゴ(引用商標)以外の部分の露出が少なくなるように、カバーをくり抜くことが考えられ、請求人の企業ロゴ(引用商標)に完全に一致するようにカバーをくり抜いた商品も平成24年(2012年)頃に販売されていた(乙2)。
しかし、このようなくり抜き部分が商標として認識された場合、請求人の商標権に抵触する恐れがある。
(5)被請求人としては、請求人の企業ロゴ(引用商標)を尊重して、カバー装着時のデザイン性を維持し、ユーザーの満足度を高めることで、両者がWIN−WINの関係になるのを目指していたので、請求人の商標権に抵触しない範囲でカバーをくり抜いて請求人の企業ロゴ(引用商標)を露出させることとした。
そこで、スマートフォン背面の保護を一部犠牲にしつつも、請求人の企業ロゴ(引用商標)の形状と非類似になるように、スマートフォンカバーを大きめにくり抜く形状を考案した。
そして、この形状に関し、本件商標の登録出願を行い、商標登録を得た。
引用商標を単純に拡大した場合には、葉の先端とかじられた跡の部分について尖った形状が生じるところ、この形状は非類似になるようにする意図からすべて曲線で構成されていることに特徴がある。
なお、「本件商標の指定商品」が縦向き、横向きなど様々な方向で使用されることに鑑みて、本件商標に関しては、「本件商標の指定商品」を横向きで使用した際の形状を登録出願している。
これは、同業者による本件商標の類似商標の取得の防止を意図したためでもある。
(6)以上のように、本件商標は、請求人の引用商標を模倣したものではなく、逆に請求人の企業ロゴ(引用商標)のデザイン性を尊重し、かつ請求人の権利を侵害しないよう、引用商標と非類似になるようにデザインされたものである。
2 商標法第4条第1項第11号に該当するとの主張に対する反論
(1)両商標の類否
ア 請求人の類否判断の前提の誤り
商標の類否は、商標審査基準が示すように、時と場所を異にする離隔的観察により判断すべきものである。
したがって、本件商標と11号引用商標を対比的に観察することは妥当でない。
請求人は、両商標を重ね合わせた図を掲載し(請求人の主張)、それを基に類否について主張をしているが、これは上記対比的観察に該当する誤った類否判断の手法を基にしたものであり、不適切な主張といわざるを得ない。
また、商標審査基準が示すように、商標法第4条1項第11号における商標の類否の判断にあたっては、指定商品又は指定役務における一般的、恒常的な取引の実情は考慮され得るが、当該商標が現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的、限定的な取引の実情は考慮されない。
さらに、「商標が実際に使用されている商標の具体的態様、方法」は、「特殊的・限定的な取引の実情」に該当するものである。
請求人は、本件商標を使用したスマートフォンカバーを被請求人が販売していた旨を述べており、当該商品の態様に基づきこのように両商標を重ね合わせる主張を行っていると考えられる。
しかし、これは、「商標が実際に使用されている商標の具体的態様、方法」を参考にしたものであり、「特殊的・限定的な取引の実情」であり、商標の類否の判断にあたって考慮することは許されないものである。
商標法第4条第1項第11号に該当するか否かの判断時は、登録査定時(平成27年5月26日)であり登録査定時以降の事実を参酌して類否判断をすべきでない。
そもそも、請求人が証拠として挙げる甲第19号証及び甲第20号証は、登録査定以降の日付の証拠であり、登録査定時の取引の実情を示す証拠として適切ではない。
以上のように、請求人の主張はその前提が不適切であるが、以下具体的に反論をする。
イ 外観
請求人は、本件商標と11号引用商標とを対比し、本件商標が、11号引用商標の特徴的な3つの構成要素(林檎の実、かじられた跡、一枚の葉)を備えている旨主張している。
しかしながら、本件商標は、下記のとおり11号引用商標の特徴的な3つの構成要素を備えていない。
本件商標は、全体として丸みを帯びた形状の図形であり、一見して何を表しているか認識することは困難である。請求人が構成要素として挙げたものを認識しようとしても、それらの要素は本件商標の図形の中で混然一体となっている。
そのため、請求人の主張する「林檎の実」の形状は認識できない。
また、本件商標には下部に凹んだ部分があるものの、11号引用商標のように、凹んだ部分の両端が尖っていないため、「かじられた跡」と認識することはできない。
さらに、本件商標には右側に出っ張った部分があるが、請求人も認めるように、出っ張った部分は全体の形状と一体化しており、分離しているわけではない。
また、出っ張った部分は丸みを帯びており、葉のように先端が尖っているわけではない。
そのため、本件商標の右側の出っ張った部分を「一枚の葉」の形状と認識することはできない。
それゆえ、本件商標は、11号引用商標の特徴的な3つの構成要素を備えていない。
また、本件商標と11号引用商標とを対比した際に、本件商標の右側の出っ張り部の下部から本件商標の下部の凹んだ部分の右端部に至る部分の曲線は、11号引用商標の「林檎の実」の葉の付け根に当たる部分から「かじられた跡」に至る部分の曲線と明らかに異なっており、これが本件商標と11号引用商標との間に視覚的相違を生み出している。
したがって、本件商標は、請求人が主張するように「一口かじられた跡のある葉付きの林檎を模した図形と解される」余地はない。
また、本件商標中に、11号引用商標がすっぽり収まるとしても、本件商標を構成する曲線は、曲がり具合などで11号引用商標の外周と異なっており、請求人が主張するように「11号引用商標のアウトラインを一筆書きで表した態様」とはいえない。
さらに、本件商標と11号引用商標とはサイズも形状も異なっており、請求人が主張するように「シルエットが11号引用商標と一致する」わけではなく、請求人の主張は誤りである。
以上のとおり、本件商標と11号引用商標は、外観において非類似である。
ウ 称呼
本件商標及び11号引用商標からは称呼は生じない。
エ 観念
請求人は、「類似度が高いから観念も類似」と主張しているが、上記イのとおり、本件商標と11号引用商標との外観の類似度は低いのであるから、本件商標と11号引用商標とは観念においても非類似である。
(2)結論
以上のとおり、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの主張は成り立たない。
3 商標法第4条第1項第15号に該当するとの主張に対する反論
上記2で述べたとおり、本件商標と引用商標とは非類似である。
商標法第4条第1項第15号は、著名な登録商標を指定商品と非類似の商品に使用した場合に適用されるが、このような例にも当たらない。
また、請求人は、本件商標と引用商標とが多少差異があるとしても、出所混同のおそれが高い旨を主張しているが、本件商標はそもそも「一口かじられた跡のある葉付きの林檎を模した図形」に見えるものではないため、取引者や需要者において、請求人と被請求人が経済的又は組織的に何等かの関係があるとの誤認が生じる余地はなく、その商品等の需要者が商品の出所について混同することは考えられない。
さらに、本件商標は、本件商標の形状部分から引用商標が見えるようにデザインされたものであり、その使用態様に照らしても、引用商標の希釈化及び汚染化が生じることはない。
また、請求人は、本件商標を付したスマートフォンカバーを販売した場合に、公認を得ているとの誤認が生じる旨主張する。
しかし、公認の商品であればスマートフォンカバー自体に引用商標が付されるのが通常であり、カバーのくり抜き部分から引用商標を表示させる必要はなく、取引者や需要者もそのように考えるものと思われる。
そして、現実に、請求人の商品でも、公認の商品に関しては引用商標を付している。
よって、本件商標の形状(くり抜き部分)から引用商標表示をされるとしても、公認を得ているとの誤認が生じることはない。
以上のとおり、本件商標と引用商標は類似せず、混同を生じる余地もないから、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとの請求人の主張は成り立たない。
4 商標法第4条第1項第19号に該当するとの主張に対する反論
上記2で述べたとおり、本件商標と引用商標とは類似しない。
また、上記1(5)のとおり、本件商標の形状(くり抜き部分)から引用商標を表示させるのは、引用商標を尊重する精神から生まれたアイデアである。
さらに、上記1(5)のとおり、本件商標を被請求人が使用したとしても、それが請求人の公認商品と解される余地はないから、被請求人が本件商標を使用したとしても、それは引用商標の顧客吸引力にただ乗りし、顧客吸引力を毀損するものではない。
それゆえ、被請求人が本件商標を使用したとしても「不正の目的をもって使用」したことにはならない。
また、請求人は、被請求人の実際の使用の態様が本件商標の角度とは異なることが、何らかの不正の意図であるように主張する。
しかし、これは、上記1(5)で述べたように、「本件商標の指定商品」が縦向き、横向きなど様々な方向で使用されることを考慮しつつ同業者による本件商標の類似商標の取得の防止を意図したものであり、不正の意図があったものではない。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは類似せず、被請求人が本件商標を使用したとしても不正の目的をもって使用することにはならないから、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとの請求人の主張は成り立たない。

第5 当審の判断
請求人が本件審判を請求するにつき、利害関係を有する者であることについては当事者間に争いがないから、本案に入って審理し、判断する。
1 引用商標の周知・著名性について
(1)請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のことが確認できる。
ア 請求人は、米国カリフォルニア州に本社を置く米国の法人であり、「iMac」、「MacBook」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型コンピュータ「AppleWatch」等を製造販売し、音楽・映像配信サービス「iTunes」、データ保管サービス「iCloud」及び映像ストリーミングサービス「AppleTV」等を提供している(請求人の主張、甲22、甲23)。
また、請求人は、令和元年(2019年)5月24日付け「Forbes JAPAN」において、世界の最も価値あるブランドランキングにおいて、9年連続でトップなり、ブランド価値が2,000億ドルを超えた唯一の企業と評価されている旨紹介された(甲8)。
イ 引用商標は、請求人の公式ウェブサイト(甲11)の他、店舗の看板として使用されており、現在、請求人が運営する東京(5か所)、川崎、京都、名古屋、大阪及び福岡に、合計10店舗ある(甲9)。
また、大手家電量販店、携帯電話販売店のウェブサイトにおいて、請求人の商品「スマートフォン」が販売されているとともに、引用商標が表示されている(甲10の2、甲10の4)。
ウ 請求人の売上
請求人の財務報告書によると、我が国での売上高は、平成26年(2014年)は15,314百万米ドル(約1兆6千万円)、同27年(2015年)は15,706百万米ドル(約1兆7千万円)、同28年(2016年)は16,928百万米ドル(約1兆8千万円)、同29年(2017年)は17,733百万米ドル(約1兆9千万円)、同30年(2018年)は21,733百万米ドル(約2兆3千万円)及び令和元年(2019年)は21,506百万米ドル(約2兆4千万円)である(甲14)。
(2)判断
上記(1)を総合的に判断すれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時はもとより、現在においても請求人の業務に係るパーソナルコンピュータ、スマートフォン及びそれに関連する商品又は役務(以下「請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務」という。)においては、取引者、需要者の間に広く知られているといい得るものである。
しかしながら、請求人の提出した証拠からは、引用商標が請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務以外の商品及び役務において使用され、請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されている事実は確認できず、また、それらの引用商標を表示した商品及び役務における使用の態様、その販売量、提供数、市場占有率、広告の範囲、回数等、周知著名性を判断する客観的な事実を証明する資料の提出もないことから、請求人の提出した証拠からは、引用商標が請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品又は役務以外の商品及び役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていると認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、一見して何を表した図形であるかまでは、直ちに看取、理解し得ない一筆書き風の輪郭を描いた図形よりなるところ、本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
(2)11号引用商標について
11号引用商標は、別掲2のとおり、黒色で右上方に丸い切り欠きのある簡略化されたりんごと思しき果実の上方に、右上に向かって上る葉が表された図形よりなところ、当該図形からは、請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られている「(請求人である)アップルのロゴマーク」の観念を生じるというのが相当である。
(3)本件商標と11号引用商標との類否について
本件商標は、上記(1)のとおり、一見して何を表した図形であるかまでは、直ちに看取、理解し得ないものであることから、本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
一方、11号引用商標は、上記(2)のとおり、右上方に丸い切り欠きのある簡略化されたりんごと思しき果実の上方に、右上に向かって伸びる葉が表されているものである。
また、11号引用商標は、特定の称呼をもって親しまれたものではなく、これより特定の称呼は生じないが、請求人の商品及び役務を表示するものとして周知・著名であることから、「(請求人である)アップルのロゴマーク」の観念を生じるものである。
そこで、本件商標と11号引用商標とを比較すると、両商標の外観においては、それぞれの構成からすれば、外観上、明確に区別できるものである。
次に、本件商標と11号引用商標は、いずれも特定の称呼を生じないものであるから、称呼においては、比較することはできないものであって、観念においては、本件商標は特定の観念を生じないものに対し、11号引用商標は「(請求人である)アップルのロゴマーク」の観念を生じるから、観念上、紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と11号引用商標とは、称呼において比較できないとしても、観念において紛れるおそれはなく、外観においては、明らかに異なるものであり、これら外観、称呼、観念を総合して考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない、非類似の商標である。
(4)請求人の主張について
請求人は、別掲6の本件商標の回転図形のとおり、本件商標は、左に90度回転させると、一口かじられた跡のある葉付きの林檎を模した図形と解されるものであって、11号引用商標に備えられた特徴的な3つの構成要素(林檎の実、かじられた跡、一枚の葉)を本件商標も備えており、本件商標を11号引用商標と重ねると、11号引用商標が本件商標にすっぽり収まる形となっており、本件商標は11号引用商標のアウトラインを一筆書きで表した態様であって、シンプルに林檎のシルエットを表した図形であるという点、そのシルエットが11号引用商標と一致する点等を考慮すると、両者は外観上紛らわしい類似商標であると主張する。
しかしながら、本件商標は、上記(1)のとおり、一見して何を表した図形であるかまでは直ちに看取、理解し得ない図形を、一筆書き風の輪郭を描いた図形よりなり、たとえ、別掲6のとおり、本件商標を左に90度回転させた場合でも、本件商標は、輪郭内に色彩ないこと、右上に向かって伸びる葉に相当する部分が、林檎の実にあたる部分と切り離されていないことからしても、11号引用商標に備えられた特徴的な3つの構成要素を持つ林檎の図形と外観上類似する商標であることを認識することは困難であるとするのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は採用することはできない。
(5)小括
以上のとおり、本件商標は、11号引用商標と非類似の商標であるから、その指定商品及び指定役務の類否に言及するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知・著名性について
引用商標は、上記1(2)のとおり、請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られていたものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度について
本件商標は、別掲1のとおり、一見して何を表した図形であるかまでは、直ちに看取、理解し得ない一筆書き風の輪郭を描いた図形よりなるところ、本件商標からは、特定の称呼及び観念は生じないものである。
一方、引用商標は、別掲2のとおり、黒色で右上方に丸い切り欠きのある簡略化されたりんごと思しき果実の上方に、右上に向かって上る葉が表され図形(色違いを含む。)よりなるものである。
また、引用商標は、特定の称呼をもって親しまれたものではなく、これより特定の称呼は生じないが、請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務を表示するものとして周知・著名であることから、「(請求人である)アップルのロゴマーク」の観念を生じるものである。
そこで、本件商標と引用商標とを比較すると、両商標の外観においては、それぞれの構成からすれば、外観上、明確に区別できるものである。
また、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の称呼を生じないものであるから、称呼において比較することはできないものであって、観念においては、本件商標からは特定の観念を生じないものに対し、引用商標は、「(請求人である)アップルのロゴマーク」の観念を生じるから、観念上、紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼において比較できないとしても、観念において紛れるおそれはなく、外観においては、明らかに異なるものであり、これらを総合して考察すれば、両者は、相紛れるおそれのない、非類似の商標であるから、類似性の程度は低いものといわざるを得ない。
(3)本件商標の指定商品と請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務の関連性、需要者の共通性についてについて
本件商標の指定商品は、請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務の一部と同一又は類似する商品であるから、本件商標の指定商品と請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務の一部との関連性は高く、需要者の範囲も共通するものといえる。
(4)出所の混同のおそれについて
引用商標は、上記(1)のとおり、請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く知られていたものであって、上記(3)のとおり、本件商標の指定商品は、請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品及び役務の一部と関連性を有し、その需要者を共通することがあるとしても、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、両者の類似性の程度は低いものといえる。
そうすると、本件商標は、本件商標の商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、その商品が他人(請求人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
請求人は、「被請求人は、請求人の著名商標である引用商標の存在を当然に知りながら、本件商標を採択し登録出願したものと推認できる。そして、本件商標は、実際の使用では本件商標の態様とは異なる形(左に90度回転させた態様)で請求人の『iPhone』用ケースについて本件商標を使用した事実が認められる(甲20)。上記の事実及び請求人の引用商標が周知・著名であって、極めて大きな顧客吸引力を有する事実を考慮すれば、本件商標は、引用商標のもつ強大な顧客吸引力及び名声への只乗りによって不正の利益を得る目的を有するか、引用商標の有する強い識別力、表示力及び顧客吸引力を希釈化することによって請求人に損害を加える目的を有するかのいずれかの不正の目的をもって使用するものと解さざるを得ないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。」と主張する。
しかしながら、上記1(2)のとおり、引用商標が、請求人の業務に係るコンピュータ等及びそれに関連する商品又は役務において、取引者、需要者の間に広く認識されているとしても、本件商標と引用商標は、上記2(3)と同様に、非類似の別異の商標である。
また、本件商標の実際の使用態様について、本件商標と異なるとしても、このことのみをもって、本件商標は、不正の目的をもって使用するものとはいえない。
その他、本件商標の登録出願の経緯において、被請求人による本件商標の登録出願が、他人に損害を加える目的その他の不正の目的で行われたものと認めるに足る証左もなく、その他、本件商標が不正の目的で商標登録を受けたものというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 商標法第3条第1項柱書該当性について
請求人は、弁駁書において、被請求人による本件商標の登録は、商標法第3条第1項柱書に該当する旨主張している。
しかしながら、上記の主張は、その無効の審判の請求時の理由として主張していなかったものである。
そうすると、当該無効の審判の請求後に新たな主張を追加することは、請求の理由の要旨を変更するものであるから、無効の理由の追加は、商標法第56条において準用する特許法第131条の2第1項(第2号及び第3号を除く。)の規定により認めることはできない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本件商標


別掲2 11号引用商標及び使用商標(色違いを含む。)


別掲3 引用商標5の指定商品
第9類「コンピュータ,コンピュータハードウェア,手持ち式コンピュータ,タブレット型コンピュータ,電気通信機械器具の部品及び附属品,電話機,携帯電話,スマートフォン,音声・データ・画像・音響・映像及びマルチメディアコンテンツの送信用無線通信機械器具,ネットワーク通信装置,インターネットへ接続でき、電話・電子メール及びその他の電子データの送受信及び保存可能な手持ち式デジタルコンピュータ,身体に装着可能なコンピュータハードウェア,インターネットへ接続でき、電話・電子メール及びその他の電子データの送受信及び保存可能な身体に装着可能な携帯情報端末装置,腕時計型携帯情報端末,眼鏡型携帯情報端末,指輪型携帯情報端末,着用可能なアクティビティトラッカー,接続機能付きブレスレット型測定用具,電子書籍リーダー,コンピュータソフトウェア,コンピュータ・コンピュータ周辺機器・携帯情報端末装置・携帯電話・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・身体に装着可能な情報端末・イヤホン・ヘッドホン・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・ホームシアターシステム・ホームエンターテイメントシステムをセットアップ・設定・操作及び処理するためのコンピュータソフトウェア,アプリケーション開発用コンピュータソフトウェア,コンピュータゲームソフトウェア,マルチメディアコンテンツを内容とするダウンロード可能な音声・映像ファイル,コンピュータ周辺機器,コンピュータ・携帯電話・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー用周辺機器,コンピュータ・携帯電話・携帯情報端末装置・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・指輪型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー用の身体に装着可能な周辺機器,生体認証装置,加速度計,高度計,距離測定機械器具,距離記録装置,歩数計,圧力測定装置,圧力指示計,コンピュータ・スマートフォン・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー用のモニター,コンピュータ・スマートフォン・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー用のディスプレイスクリーン,コンピュータ・スマートフォン・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー用のヘッドマウントディスプレイ,コンピュータ・スマートフォン・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー用のヘッドセット,仮想現実及び拡張現実用ディスプレイ・ゴーグル・コントローラー及びヘッドセット,3D眼鏡,眼鏡,サングラス,光学製品,光学用機器,カメラ,カメラ用フラッシュ,キーボード,コンピュータ用マウス,マウスパッド,プリンター,ディスクドライブ,ハードディスクドライブ,音声及び映像の記録及び再生用機械器具,デジタルオーディオ機器及びビデオ記録再生装置,オーディオスピーカー,音響増幅器及び受信機,乗物用音響装置,音声記録及び認識用機械器具,イヤホン,ヘッドホン,マイクロホン,テレビジョン送受信機,テレビジョン受信機,テレビジョン受像モニター,セットトップボックス,ラジオ,ラジオ送受信機,自動車搭載用のコンピュータ及び電子情報端末のインターフェース,自動車搭載用の電気用制御盤・モニター・タッチスクリーン・遠隔制御装置・スマートフォンの機能拡張用接続器・コンピュータの機能拡張用接続器・携帯型音楽プレーヤーの機能拡張用接続器・コネクター・スイッチ・音声制御装置,全地球測位装置(GPS),ナビゲーション装置,乗物用ナビゲーション装置,コンピュータ・携帯電話・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・スピーカー・アンプリファイアー・ホームシアターシステム・ホームエンターテイメントシステムの遠隔制御装置,コンピュータ・携帯電話・携帯情報端末装置操作用の身体に装着可能な装置,腕時計型携帯情報端末及び眼鏡型携帯情報端末操作用の身体に装着可能な装置,イヤホン及びヘッドホン操作用の身体に装着可能な装置,オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー操作用の身体に装着可能な装置,テレビジョン送受信機・セットトップボックス操作用の身体に装着可能な装置,スピーカー・アンプリファイアー操作用の身体に装着可能な装置,ホームシアターシステム・ホームエンターテイメントシステム操作用の身体に装着可能な装置,データ記憶装置及びデータ記録媒体,コンピュータチップ,充電器,コンピュータ・携帯電話・手持ち式コンピュータ・コンピュータ周辺機器・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・テレビジョン送受信機・セットトップボックス用の電気及び電子コネクター,コンピュータ・携帯電話・手持ち式コンピュータ・コンピュータ周辺機器・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・テレビジョン送受信機・セットトップボックス用のカプラー,コンピュータ・携帯電話・手持ち式コンピュータ・コンピュータ周辺機器・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・テレビジョン送受信機・セットトップボックス用の電気ケーブル及び電気ワイヤ,コンピュータ・携帯電話・手持ち式コンピュータ・コンピュータ周辺機器・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・テレビジョン送受信機・セットトップボックス用の充電器,コンピュータ・携帯電話・手持ち式コンピュータ・コンピュータ周辺機器・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・テレビジョン送受信機・セットトップボックス用の機能拡張用接続器,コンピュータ・携帯電話・手持ち式コンピュータ・コンピュータ周辺機器・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・テレビジョン送受信機・セットトップボックス用の電源アダプター及び電気アダプター,双方向タッチスクリーン端末機,コンピュータ・コンピュータスクリーン・携帯電話・携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・テレビジョン送受信機・セットトップボックス・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー用のインターフェース,コンピュータ・携帯電話及び腕時計型携帯情報端末のスクリーン保護フィルム,コンピュータ・コンピュータ周辺機器・携帯電話携帯情報端末装置・身体に装着可能な電子情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドホン・オーディオプレーヤー・オーディオレコーダー・ビデオプレイヤー・ビデオレコーダー・テレビジョン送受信機・セットトップボックスの部品及び附属品,コンピュータ・携帯電話・携帯用電子情報端末・身体に装着可能な情報端末・腕時計型携帯情報端末・眼鏡型携帯情報端末・イヤホン・ヘッドフォン・セットトップボックス・オーディオ機器及びビデオ記録再生装置用カバー・バッグ・ケース・スリーブ・ストラップ及び飾りひも,自撮り棒(手持ち用一脚),電子たばこ用充電器,電子手帳,口述録音機,ヘムマーカー,商品用電子タグ,ファクシミリ,計量用機器,計量器,電光掲示板,測定装置,シリコンウェハー,集積回路,アンプリファイアー,蛍光スクリーン,遠隔制御装置,電気的遠隔制御装置,避雷器,アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル


別掲4 引用商標6の指定商品
第9類「Computers; computer hardware; computer peripherals; handheld computers; handheld mobile digital electronic devices for recording, organizing, transmitting, manipulating, and reviewing text, data, image, audio, and audiovisual files, for the sending and receiving of telephone calls, electronic mail, and other digital data, for use as a digital format audio player, handheld computer, personal digital assistant, electronic organizer, electronic notepad, camera, and global positioning system (GPS) electronic navigation device; digital audio and video recorders and players; personal digital assistants; electronic organizers; cameras; telephones; mobile phones; satellite navigational systems, namely, global positioning systems(GPS); electronic navigational devices, namely, global positioning satellite (GPS) based navigation receivers; computer game machines for use with external display screens, monitors, or televisions; a full line of accessories and parts for the aforementioned goods; stands, covers, cases, holsters, power adaptors, and wired and wireless remote controls for the aforementioned goods; computer memory hardware; computer disc drives; optical disc drives; computer networking hardware; computer monitors; flat panel display monitors; computer keyboards; computer cables; modems; computer mice; electronic docking stations; set top boxes; batteries; battery chargers; electrical connectors, wires, cables, and adaptors; devices for hands-free use; headphones; earphones; ear buds; audio speakers; microphones; and headsets; a full line of computer software for business, home, education, and developer use; downloadable audio and video files, movies, ring tones, video games, television programs, pod casts and audio books via the internet and wireless devices featuring music, movies, videos, television, celebrities, sports, news, history, science, politics, comedy, children's entertainment, animation, culture, current events and topics of general interest.」

別掲6 本件商標の回転図形


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 榎本 政実
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2021-12-15 
結審通知日 2021-12-20 
審決日 2022-01-13 
出願番号 2015008375 
審決分類 T 1 11・ 222- Y (W09)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
小俣 克巳
登録日 2015-06-12 
登録番号 5770529 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 川上 和秀 
代理人 萩原 誠 

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