• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z07
管理番号 1390676 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-11-25 
確定日 2022-07-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4439067号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4439067号商標の指定商品中、第7類「土木機械器具,荷役機械器具,化学機械器具,包装用機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),陸上の乗物用の動力機械の部品,風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ,塗装機械器具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4439067号商標(以下「本件商標」という。)は、「HSD」の欧文字を書してなり、平成11年10月7日に登録出願、第7類「金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,化学機械器具,繊維機械器具,食料加工用又は飲料加工用の機械器具,製材用・木工用又は合板用の機械器具,パルプ製造用・製紙用又は紙工用の機械器具,印刷用又は製本用の機械器具,包装用機械器具,プラスチック加工機械器具,半導体製造装置,ゴム製品製造機械器具,石材加工機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),陸上の乗物用の動力機械の部品,風水力機械器具,農業用機械器具,漁業用機械器具,ミシン,ガラス器製造機械,靴製造機械,製革機械,たばこ製造機械,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,機械式駐車装置,芝刈機,修繕用機械器具,電気式ワックス磨き機,電気洗濯機,電気掃除機,電機ブラシ,電気ミキサー,電気式カーテン引き装置,陶工用ろくろ,塗装機械器具,乗物用洗浄機,廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第9類「金属加工機械器具その他の機械器具を操作するための電気的マンドレル及び数値制御装置」を指定商品として、同12年12月8日に設定登録がなされ、同22年11月2日及び令和2年11月16日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判請求の登録日は、令和2年12月10日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成29年12月10日〜令和2年12月9日)を以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和3年3月18日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年6月29日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)において要旨次のように述べ、証拠方法として、審判請求書とともに甲第1号証及び甲第2号証を提出し、弁駁書とともに甲第3号証ないし甲第9号証を提出した。
1 請求の要旨
本件商標は、その指定商品中、結論掲記の指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、前記指定商品に係る登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 弁駁書による主張の要旨
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第3号証をもっては、本件商標が要証期間内に「土木機械器具,荷役機械器具,化学機械器具,包装用機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),陸上の乗物用の動力機械の部品,風水力機械器具,機械式の接着テープディスペンサー,自動スタンプ打ち器,起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,電機ブラシ,塗装機械器具」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について使用されたとはいえない。以下、その理由を述べる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人は、「ボーリングマシン」については類似群コード「09A03」が、「ドリルヘッド」については類似群コード「09A01,09A02,09A03」がそれぞれ付されていることから、乙第1号証及び乙第2号証に記載の商品「ボーリングマシン用ヘッド」は「土木機械器具」又は「荷役機械器具」の範ちゅうに含まれる商品である旨を主張する。当該商品「ボーリングマシン用ヘッド」が、「土木機械器具用」又は「荷役機械器具用」のものであれば、被請求人の主張にも理由があると思われる。
しかしながら、以下に述べるとおり、被請求人の使用商品「ボーリングマシン用ヘッド」は、明らかに「土木機械器具用」又は「荷役機械器具用」のものではない。
先ず、第7類の「土木機械器具」及び「荷役機械器具」は、「特許庁商標課編商品及び役務の区分解説[国際分類第10版対応]」(以下「商品及び役務の区分解説」という。)によれば、「(1) 土木機械器具 この商品は、専ら土木工事用に用いられる機械器具が該当します。」と記載され、
「(2) 荷役機械器具 この商品は、専ら荷役に使用される機械器具が該当します。」と解説されている(甲3)。
次に、例えば、「WIPO Madrid Goods and Services Manager」の商品・役務リストによれば、「boring machines」は、「中ぐり盤・ボーリングマシン」と翻訳され、用途が特定されていないことから、「09A01,09A03」の2つの類似群コードが付されている(甲4)。
一方、特許庁類似商品・役務審査基準(以下「類似商品・役務審査基準」という。)において、「中ぐり盤」(類似群コード09A01)については、その英語表示が「boring machines for metalworking」とあり、「金属加工機械器具」(09A01)の範ちゅうに含まれる商品として明確に区分され、「土木機械器具」(09A03)とは非類似の商品として取り扱われている。
また、例えば、「木板又は合板の孔開け用電気ドリルのドリルビット」であれば類似群コード「09A09」が付され(甲5)、「石材加工用レーザードリル」であれば類似群コード「09A70」が付されている(甲6)。
これらからすれば、「ドリル」に関連する商品もその用途によって適切な類似群コードが付されるものであり、一律に「ボーリングマシン」又は「ボーリングマシン用ヘッド」は、「土木機械器具」や「荷役機械器具」(09A03)の範ちゅうに属する商品に該当するものではない。
ここで、乙第1号証及び乙第2号証についてみると、被請求人の「ボーリングマシン用ヘッド」には製品番号「H6318H0442」が付されている。そして、当該製品番号の商品「ボーリングマシン用ヘッド」の用途が記載されているウェブページによれば、「CNCボーリングヘッドは、木材、MDF、グラスファイバー、プラスチック、複合材の加工機での用途に設計されています。フライス加工、ボーリング加工、ルーティング加工、研削、研磨などに適しています。」と紹介されている(甲7)。
また、乙第2号証の請求書に記載の商品「ボーリングマシン用ヘッド」の納品先である「株式会社平安コーポレーション」(以下「平安コーポレーション社」という。)は、自社ホームページにて、木工・プレカット加工機、住宅に関連した階段・キッチン・ドアなどの加工機や、樹脂・軽金属・カーボン素材などの新素材等の素材加工機の開発・生産を行う会社であると紹介している(甲8)。
さらに、平安コーポレーション社は、「ボーリングマシン」を製造・販売しているが、その用途は木質材用と明確に記載されている(甲9)。
以上のことからすれば、乙第1号証及び乙第2号証に記載の被請求人の製品番号「H6318H0442」の商品「ボーリングマシン用ヘッド」は、「土木機械用」や「荷役機械用」のものではなく、「木材加工用」のものであって、被請求人の主張に理由がないことは明らかである。
なお、仮に、被請求人の商品「ボーリングマシン用ヘッド」がその性質上その他の材料の加工が可能であるとしても、「専ら」土木工事や荷役に使用されるものではないため、「土木機械器具」又は「荷役機械器具」の範ちゅうに属する商品とはいえない(甲3)。
(2)乙第3号証について
乙第3号証は、2021年(令和3年)3月17日付けの資料であり、要証期間に日本国内で使用した証拠ではないため、要証期間における「交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)」の使用証拠としては認められない。
(3)まとめ
以上より、乙第1号証ないし乙第3号証をもっては、本件商標が要証期間に「土木機械器具」、「荷役機械器具」及び「交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)」等の本件審判請求に係る指定商品について使用されたとはいえない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
1 答弁の理由の概要
被請求人は、本件商標を、本件審判請求に係る指定商品について現に使用していることを主張する。
(1)使用商標
本件商標は、木材、金属、ガラス、プラスチック、石材、アルミニウム等の素材を加工するために用いられる電動スピンドルのほか、上述の素材を加工するために用いられる多様な機械器具を取り扱う法人である被請求人の名称「アッカ エッセ ディ ソチエタ ペル アツィオニ」(HSD SpA)から、法人格を示す「ソチエタ ペル アツィオニ(SpA)」を省いた略称として、被請求人によって永年にわたり使用されており、また、同法人が製造及び販売される商品に用いられる商標として、使用されている。
(2)商標使用者
以下に示される証拠における本件商標の使用者は、商標権者自身である。
(3)使用証拠
ア 乙第1号証は、被請求人が製造及び販売するボーリングマシン用ヘッド(Boring Heads)に関する製品のカタログであり、ここに本件商標が用いられていることが確認できる。また、ボーリングマシン用ヘッドの型番として「H6318H0442」が使用されていることが確認できる。
イ 乙第2号証は、被請求人が発行した、静岡県浜松市所在の日本企業である平安コーポレーション社が発注した製品番号「H6318H0442」に該当する「ボーリングマシン用ヘッド」に対する請求書である(2019年(令和元年)9月30日発行)。この請求書から、本件商標が付されたボーリングマシン用ヘッドが、日本に向けて輸入販売されている事実が確認できる。
「ボーリングマシン」については類似群コード「09A03」が付されていることから、類似商品・役務審査基準上、「土木機械器具」又は「荷役機械器具」の範ちゅうに属する商品であり、また「ドリルヘッド」については類似群コード「09A01,09A02,09A03」の類似群コードが付されていることから、上記「ボーリングマシン用ヘッド」は、本件商標の指定商品中、「土木機械器具」又は「荷役機械器具」の範ちゅうに含まれる商品と考えられる。
ウ 乙第3号証は、主に工業製品に関する通販サイトである「Direct Industry」(以下、乙第3号証を「通販サイト」という場合がある。)の日本消費者向けホームページのプリントアウトである。ここから、被請求人による商品(ACサーボモーター)に本件商標が付されている旨及び当該商品が日本の消費者向けに販売されている事実が確認できる。
「ACサーボモーター」は、本件審判請求に係る指定商品中、「交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)」の範ちゅうに含まれる商品と考えられる。
エ 以上のとおり、被請求人は、要証期間に、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を本件審判請求に係る指定商品に付して使用するとともに、これらの商品に関する請求書及びカタログ等の取引書類に使用している。このような使用行為は、商標法第2条第3項第2号及び同項第8号に定義される商標の使用行為に該当するものである。
2 まとめ
以上のとおり、本件商標が、本件審判請求に係る指定商品について、要証期間に、被請求人(商標権者)によって使用されていたことが客観的に証明された。

第4 審尋及び被請求人の回答
1 令和3年9月1日付け審尋
審判長は、令和3年9月1日付け審尋(以下「審尋1」という。)において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠である乙第1号証ないし乙第3号証によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標を使用している事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。
2 審尋1に対する被請求人の回答の概要
被請求人は、審尋1に対し、令和3年10月6日付け審判事件回答書(以下「回答書」という。)にて、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第4号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。
なお、乙第6号証については、乙第6号証の2があることから乙第6号証を以下「乙第6号証の1」と読み替えるものとし、「乙第6号証の1」及び「乙第6号証の2」をまとめていう場合には、「乙第6号証」という。
(1)証拠
ア 乙第3号証ないし乙第5号証について
乙第3号証については、1葉目の右下に出力日である「2021年(令和3年)3年17日」の日付が記載されているため、要証期間での「ACサーボモーター」の広告・販売を証明するものではないとされている。
しかしながら、通販サイトは、被請求人の代理店として、要証期間においても、乙第3号証と同様の被請求人の商品に係る広告を継続して掲載していた。この事実を示すため、乙第4号証として、乙第3号証の2葉目として提出した通販サイトと同一のアドレスに関するwayback machineの検索結果を提出する。提出証拠の左上の箇所には「1 capture」及び「2 Oct 2017」と記載されているが、これは、係るアドレスにおいて公開されている通販サイトが、2017年(平成29年)10月2日以降変更されずに掲載がされている事実を示すものである。
また、通販サイトの所有者であるVirtualExpo Group(以下「VirtualExpo Group社」という。)は被請求人の代理店として、被請求人の商品に関する広告及び販売を行っている。被請求人との関係を明示的に示す契約書等はないが、被請求人は、VirtualExpo Group社を被請求人の代理店として、被請求人に係る商標を付した商品の販売、輸入及び広告等を行うことを永年にわたり認めている。商標権者により商品が流通に置かれ、転々流通する場合、商品に改変が施される等特段の事情がない限り、これらの者は当然に商標を使用することを許諾されていると考えられるので、被請求人の代理店である通販サイトの所有者は、少なくとも黙示の使用権者にあたると解されるべきである。
また、「ACサーボモーター」は、被請求人によるホームページにおいて「wood line(木材用ライン)」及び「glass/stone range(ガラス・ストーンレンジ)」のカテゴリに分類されているとおり(乙5)、木工用機械器具やガラス、石材の加工器具などに用いられる電動機である。そのため、「ACサーボモーター」は、「交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)」の範ちゅうに属するものである。
イ 乙第6号証について
被請求人による交流モーターは、乙第3号証として提出した通販サイト以外にも、同様に代理店であるモステックジャパン株式会社(以下「モステックジャパン社」という。)からも販売されており(乙6の1)、モステックジャパン社は、被請求人の代理店として、被請求人製品の修理なども請け負っている(乙6の2)。
このように、被請求人による本件商標が付された商品は我が国の需要者に対して広告・販売が行われている。
(2)結論
以上のとおり、本件商標は、第7類「交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)」について、我が国においては、通常使用権者であるVirtualExpo Group社及びモステックジャパン社によって要証期間に使用されていたことは明らかである。
3 令和3年12月20日付け審尋
審判長は、令和3年12月20日付け審尋(以下「審尋2」という。)において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠である乙第1号証ないし乙第6号証によっては、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を本件審判請求に係る指定商品について、日本国内において、要証期間に、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為を行ったことを証明していない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。
4 審尋2に対する被請求人の応答
被請求人は、審尋2に対し、回答しなかった。

第5 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人(商標権者)が、製造及び販売するボーリングマシン用ヘッドに関する製品のカタログであるとされるものであり、その1葉目の右下に「HSD」の記載があり、左下に「CNC Boring Heads」との記載がある。
また、乙第1号証の2葉目は不鮮明であり、商品と思しき画像が確認できる程度であり、商品の型番や商品の詳細に関する記載は読み取れない。
さらに、乙第1号証には、カタログの発行日についての記載や、カタログの発行者が被請求人(商標権者)であることを示す記載は見当たらない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、被請求人(商標権者)が、発行した製品番号「H6318H0442」等に関する請求書であるとされるものであり、左上部に「HSD」の記載、左下部に「HSD S.p.A.」及びイタリア国内の所在地の記載があり、上部に受取人(RECEIVER)として「HEIAN CORPORATION」の記載、日付として「30/09/2019」の記載がある。
また、乙第2号証の中央の表内に、「GOODS CODE」及び「DESCRIPTION」の欄に「H6318H0442」及び「BORING UNIT BHZ 5V C60 d10 1.7kW」の記載がある。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、通販サイトとされるところ、右下部に「2021/03/17」の記載があり、その1葉目の中央左に、「HSD(R)」((R)は「R」を丸囲みしたもの、以下同じ。)の記載があり、その下に「ACサーボモーター SM137―」、「販売者:/HSD イタリア」の記載がある。
また、2葉目には「SMART MOTORS」のタイトル下に複数の「ACサーボモーター」の写真及び型番等の記載がある。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、「wayback machine」の検索結果の写しであるところ、その1葉目の左上部に「1 capture」及び「2 Oct 2017」の記載がある。
また、乙第4号証の1葉目の左部に「HSD(R)」の文字の記載があること、及び、その3葉目に「SMART MOTORS」のタイトル下に複数の「ACサーボモーター」の写真が掲載されている。
(5)乙第5号証について
乙第5号証は、商標権者のホームページの写しであるところ、ページの下部に「https://www.hsdusa.com・・・」で始まるアドレスと、上部に「2021/10/06」の印刷日が記載され、その下に、「HSD」の記載があり、その下に「Home Products Wood line Smart Motors」(抄訳:ホーム 製品 木材ライン スマートモーター)の記載とともに、モーターと思しき写真が掲載されている。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は、モステックジャパン社のウェブサイトの写しであるところ、乙第6号証の1の上部及び乙第6号証の2の2ページの下部に、「HSD(ITALY)/スピンドルモーター(SPINDLE MOTOR)」の記載があり、その下に「イタリア製ACスピンドルモーターのメーカーです。」の記載がある。
また、乙第6号証の1の中央右には「2019年07月16日」との日付の記載がある。
さらに、乙第6号証の2の4ページには、「HSD製品の修理」の見出しの下、「HSD製品の修理については以下までメールにてお問い合わせください。」及び「修理窓口/モステックジャパン株式会社 営業担当/E−Mail 当社以外でご購入のHSD製品の修理につきましては修理ルートが異なります。」の記載がある。
2 上記1において認定した事実及び被請求人の主張によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商品1について
被請求人(商標権者)が製造及び販売する「ボーリングマシン用ヘッド」に関する商品カタログ(乙1)であり、「HSD」(以下「使用商標」という。)の文字が記載されていることが確認できる。
また、被請求人(商標権者)が、2019年9月30日に発行した請求書(乙2)で、静岡県浜松市所在の「HEIAN CORPORATION」が受取会社である型番「H6318H0442」の「ボーリングマシン用ヘッド」(以下「使用商品1」という。)に対する請求書であり、使用商品1の請求書(取引書類)に使用商標が付されていることが確認できる。
さらに、被請求人(商標権者)は、商品カタログ(乙1)については、その2葉目が不鮮明な点はあるが、その表紙の右下に使用商標が記載され、左下に「CNC Boring Heads」と記載されているので、乙第1号証が、「CNC Boring Heads」についてのカタログで、使用商品1も「CNC Boring Heads」の一種であることは推認できる旨を主張しているが、乙第1号証及び乙第2号証からは、使用商品1が、専ら土木工事用に用いられる機械器具であることや、専ら荷役に使用される機械器具であることは確認することができない。
また、「CNC Boring Heads」は、一般的に屋内で工作物に対して精密な加工作業を行う数値制御工作機械に用いられる機械器具(加工ヘッド)と考えられるので、使用商品1が、本件審判請求に係る指定商品中の「土木機械器具」及び「荷役機械器具」の範ちゅうに属する商品であるとは考えられない。
さらに、使用商品1が、本件審判請求に係るその他の指定商品の範ちゅうに属するともいえない。
したがって、乙第1号証及び乙第2号証から、使用商品1について、商標権者が本件商標を要証期間に使用したことを証明したとは認められない。
(2)使用商品2及び使用商品3について
乙第3号証は、通販サイトとされるものであり、これには、使用商標と「ACサーボモーター」(以下「使用商品2」という。)の文字及び2021年(令和3年)3月17日に印刷された日付が記載されているが、印刷日は、要証期間外である。
乙第4号証は、その1葉目の左上部に「2017年(平成29年)10月2日」の記載、使用商標、その3葉目に「SMART MOTORS」のタイトル下に複数の使用商品2が掲載されているが、これらは、要証期間外のものである。
乙第5号証は、商標権者のホームページの写しであるが、印刷日は、要証期間外の日付である。
乙第6号証は、モステックジャパン社のウェブサイトで、これには、要証期間である2019年(令和元年)7月16日の日付が記載され、使用商標、「スピンドルモーター(SPINDLE MOTOR)」及び「ACスピンドルモーター」の記載がある。
そうすると、要証期間である2019年(令和元年)7月16日にモステックジャパン社のウェブサイトにおいて、使用商標と「スピンドルモーター」及び「ACスピンドルモーター」(以下「使用商品3」という。)の文字が確認できるが、モステックジャパン社と被請求人(商標権者)との関係を証明する証拠の提出はなく、両者がどのような関係にあるのか不明である。
また、被請求人は、要証期間において、被請求人自身が、本件商標を使用商品2及び使用商品3に使用していた事実を証明する証拠を提出していない。
さらに、乙第6号証に使用商品3と記載されているが、当該商品が、本件審判請求に係る指定商品に属する商品であるか、被請求人は、乙第5号証を用いて説明しているが、この証拠からは、当該モーターが、本件審判請求に係る指定商品に属する商品であるか判断することができない。
したがって、仮に、本件商標と使用商標が、社会通念上同一の商標であるとしても、乙第3号証ないし乙第6号証からは使用商品2及び使用商品3について、商標権者が本件商標を要証期間に使用したことを証明したとは認められない。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、本件審判請求に係る指定商品について、被請求人は、本件商標を商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが要証期間に日本国内において、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為をした事実を証明したということはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 榎本 政実
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2022-03-09 
結審通知日 2022-03-11 
審決日 2022-03-23 
出願番号 1999090479 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z07)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 大山 健
小俣 克巳
登録日 2000-12-08 
登録番号 4439067 
商標の称呼 エイチエスデイ、エッチエスデイ、エイチエスディー、エッチエスディー 
代理人 遠山 良樹 
代理人 外川 奈美 
代理人 特許業務法人R&C 
代理人 青木 篤 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ