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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1390667 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-07-10 
確定日 2022-01-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第5425332号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5425332号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標について
本件登録第5425332号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成23年1月25日に登録出願され,第30類「コーヒー,茶,ココア,チョコレート,はちみつ,ビスケット,穀粉及び穀物からなる加工品」を指定商品として同年7月15日に設定登録がされたものである。
なお,本件審判の請求の登録日は令和2年7月30日である(以下,当該登録前3年以内の期間(平成29年7月30日ないし令和2年7月29日)を「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
1 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲1を提出した。
本件商標は,その指定商品である,第30類「コーヒー,茶,ココア,チョコレート,はちみつ,ビスケット,穀粉及び穀物からなる加工品」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきである。
2 なお,請求人は,被請求人の答弁に対し,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない旨の審決を求め,答弁において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙1ないし乙7を提出した。
1 本件商標の使用事実の要点
商標権者は,要証期間に,我が国において,その請求に係る指定商品中「コーヒー」について,本件商標を使用している。
2 本件商標の使用者
乙1の「2018年商品カタログ」には,商標権者の名称である「EURO MARCHE」(ユーロマルシェ)が記載されている。
そして,乙2の「株式会社 成城石井 ヒラノ氏宛 メール」及び乙3の「株式会社BONTE JAPAN 鈴木氏宛 メール」には,商標権者の名称である「EURO MARCHE」(ユーロマルシェ)及び住所である「1 Avenue de l’Atria,74000 Annecy−FRANCE」(フランス,74000 アヌシー,アヴェニュードアトリア1)が記載されているところ,株式会社成城石井はスーパーマーケットを運営する小売業者であり,株式会社BONTE JAPANは輸入代理業者である。
3 使用に係る商品
乙1には請求に係る指定商品中「コーヒー」の製品名及び製品画像(商標法第2条第3項第1号にかかる使用)が表され,乙2では株式会社成城石井に商品見積価格の提供(商標法第2条第3項第8号にかかる使用)を行ったことが示され,乙3でも同様に株式会社BONTE JAPANに商品見積価格の提供(商標法第2条第3項第8号にかかる使用)を行ったことが示されている。
また,乙2及び乙3においても,請求に係る指定商品「コーヒー」の製品名及び製品画像が表されている。なお,不明瞭なので明瞭なものを加える(乙4,乙5)。
4 使用に係る商標
乙1ないし乙5には本件商標が記載されており,不明瞭なので明瞭なものを加える(乙6,乙7。商標法第2条第3項第1号にかかる使用)。
これら証拠に記載された商標は,登録商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから,本件商標と社会通念上同一と認められる。
5 使用時期
乙2には,「March 21, 2018 at 2:05 PM」(2018年3月21日午後2時5分)と記載され,乙3には,「February 22, 2018 at 1:57 PM」(2018年2月22日午後1時57分)と記載されている。

第4 審尋について
1 審判長は,被請求人に対して,令和3年5月31日付けで審尋し,期間を指定して回答書の提出を求めたが,被請求人からは何ら応答がなかった。
2 なお,上記1の審尋の内容は,要旨次のとおりである。
被請求人は,答弁書において,本件商標と社会通念上同一と認められる商標(本件使用商標)の商品(コーヒー)における使用の行為として,商標法第2条第3項第1号及び同項第8号の該当性を主張立証するが,被請求人の主張立証は以下の点で足りないと解されるので,これらの行為に係る要件(各号所定の要件。以下,それぞれ「1号要件」,「8号要件」という。)と証拠との関係について改めて説明するとともに,補足すべき証拠があれば併せて提出されたい。
・ 1号要件について
証拠からは,1号要件の行為者は不明である。乙1の発行者が商標権者であったとしても,これのみでは商品(コーヒーの包装)に商標を付した者までもが商標権者であると認めることはできない。また,当該行為者が乙7の商品写真に「輸入者」として表示されている「株式会社BONTE JAPAN」であるならば,乙3及び乙5のメールだけからは同社が使用権者であることを立証できたとはいえない。さらに,本件使用商標を商品(コーヒーの包装)に付したのは誰か不明である。そして,1号要件の行為が要証期間内にされたといえるだけの根拠がこれまでの証拠にはない。
・ 8号要件について
乙2ないし乙5のメールは商品見積価格を提示するものであるところ,当該見積書は,商標権者と株式会社成城石井及び株式会社BONTE JAPANとの2者間のやりとりにすぎないものであるから,頒布とはいえず,このような商品見積価格の提示は,8号要件でいうところの商標の広告的使用とは解されない。また,乙2ないし乙5は不鮮明であるところ,これら証拠に本件使用商標が表示されているか明らかでない。

第5 当審の判断
被請求人は,商標権者が要証期間に我が国において,その請求に係る指定商品中「コーヒー」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を1号要件及び8号要件に該当する行為として使用していると主張するので,以下,それぞれの要件ごとに検討する。
1 提出された証拠によれば,以下のとおりである
(1) 乙1は,商品カタログと思しきものであって,その表紙には,本件商標権者の名称の欧文字表記と理解される「EURO MARCHE」(末尾の「E」の文字には仏語の綴り記号であるアクサンテギュがつく。)の文字が記載されており,当該証拠の3葉目右上欄には,木と思しき図形の下部に「Belleville Cafe」(「Cafe」の末尾の「e」の文字には仏語の綴り記号であるアクサンテギュがつく。)の欧文字を横書きしてなる表示(以下「本件使用商標」という。)がある。
しかしながら,当該カタログは,外国語で表示されており,また当該カタログが日本国内で頒布等されたことを証明する証拠の提出はない。
(2) 乙6及び乙7は,商品(ガラス瓶・容器)の写真であって,当該商品の容器の横面に貼付されたシール(乙6)には,本件使用商標が表示されている(本件使用商標が容器に付された商品は,当該容器の品名の表示より「ハーブコーヒー」と認められる。以下「本件使用商品」という。)。なお,当該商品には,本件商標権者の名称の表示は見当たらないが,他方で,輸入者として「(株)BONTE JAPAN 東京都中央区・・・」の表示がある(乙7)。
(3) 乙2ないし乙5は,商標権者から株式会社成城石井(以下「成城石井」という。),あるいは,商標権者と株式会社BONTE JAPAN(以下「BONTE JAPAN」という。)に宛てた商品見積価格を提示する見積書を付したメールであるところ,当該見積書には,商品又は商品の包装に付されたものとして,本件使用商標の表示を確認することはできない。
2 以上を踏まえて検討する
(1) 1号要件について
ア 被請求人の提出した証拠からは,本件使用商品の包装(容器)に本件使用商標を付した者(1号要件の行為者)が商標権者であると認めることはできない。すなわち,乙1の商品カタログの発行者が商標権者であったとしても,このことから直ちに,本件使用商品(コーヒーの包装)に本件使用商標を付した者までもが商標権者であるということにはならない。
さらに進んで,1号要件の行為者が専用使用権者又は通常使用権者(以下,これらを合わせて単に「使用権者」という。)であるかについて検討しても,その行為が使用権者によってされたと認めることができない。なるほど,乙6及び乙7の商品写真には,本件使用商標が表示され,輸入者として「(株)BONTE JAPAN 東京都中央区・・・」の表示がうかがえるが,商標権者とBONTE JAPANとの関連を示す証拠は,見積書である乙3及び乙5のメールだけであり,当該メールからは,同社が使用権者であるということにはならない。
その他,1号要件に係る行為が商標権者又は使用権者によってされたことを認めるに足りる証拠はない。
イ さらに,1号要件に係る行為が要証期間内にされたと認めるに足りる証拠も見当たらない。仮に,乙1の商品カタログの発行日もしくは頒布日が要証期間内であり,乙2ないし乙5のメールの送信日が要証期間内であったとしても,このことからは,本件使用商品の包装に本件使用商標を付す行為が要証期間にされたということにはならない。
ウ そうすると,仮に本件使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められるとしても,被請求人は,商標権者又は使用権者が,要証期間に,1号要件に該当する行為として本件商標を使用していることを証明しないと判断せざるを得ない。
(2) 8号要件について
ア 乙2ないし乙5の見積書が表示されているメールは,商標権者と成城石井(乙2,乙4),あるいは,商標権者とBONTE JAPAN(乙3,乙5)との2者間のやりとりにすぎないものであるから,乙2ないし乙5のメール送信は,8号要件の「展示」,「頒布」及び「電磁的方法により提供する行為」のいずれにも該当せず,このような商品見積価格の提示は,8号要件でいうところの商標の広告的使用とは解されない。しかも,乙2ないし乙5は不鮮明であって,これら証拠に本件使用商標が表示されているか明らかでない以上,乙6及び乙7に本件使用商標の表示が認められるとしても,乙2ないし乙5に本件使用商標が表示されているということはできない。
イ そうすると,仮に本件使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められるとしても,被請求人は,8号要件に該当する行為として本件商標を使用していることを証明しないと判断せざるを得ない。
ウ なお,商品カタログ(乙1)は,外国語で表示されているものであり,また当該カタログが日本国内で頒布等されていることを証明する証拠は提出されていないから,当該カタログが日本国内に頒布等されたものとは認められない。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標の使用をしていることを証明したものということはできず,又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていないから,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
審判に関する費用については,商標法第56条第1項で準用する特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により,被請求人が負担すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲 本件商標(色彩は原本参照。)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,この審決に係る相手方当事者を被告として,提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 半田 正人
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2021-08-23 
結審通知日 2021-08-25 
審決日 2021-09-14 
出願番号 2011007467 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X30)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 須藤 康洋
大森 友子
登録日 2011-07-15 
登録番号 5425332 
商標の称呼 ベルビルカフェ、ベルビル 
代理人 アクシス国際特許業務法人 
代理人 美麗インターナショナル有限会社 

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