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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W09
管理番号 1390664 
総通号数 11 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-11-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-06-12 
確定日 2022-05-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5770529号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5770529号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5770529号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成27年1月30日に登録出願、第9類「スマートフォン用保護カバー,スマートフォン用ケース,タブレット型コンピュータ用保護カバー,タブレット型コンピュータ用ケース,ノートブック型コンピュータ用ケース」を指定商品として、同年6月12日に設定登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年7月2日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である、平成29年7月2日ないし令和2年7月1日を以下「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び令和2年9月28日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年12月23日付け弁駁書において要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の要旨
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁書に対する弁駁
被請求人は、オンラインショップにて、平成30年(2018年)6月4日に「iPhone6/6s用シェリーカバー(iPhone6−shl3−05)」を受注したことを示す証拠として乙第1号証を提出している。
しかしながら、乙第1号証は、印刷日、作成者及び出典が不明でウェブサイトを印刷したものか、被請求人が自作したのか不明である。
したがって、乙第1号証は、証拠能力を欠いた証拠といわざるを得ない。 仮に、証拠として採用し得るとしても、本件商標が付されているか否かの証明はなされていない。
また、被請求人は、乙第1号証に示された商品「iPhone6/6s用シェリーカバー(iPhone6−sh13−05)」の商品ページとして乙第2号証を提出している。
しかし、乙第1号証と同様に、乙第2号証は印刷日、作成者及び出典が不明である。
被請求人は、乙第2号証を「インターネットアーカイブWaybackMachine(以下「WaybackMachine」という。)に蓄積された、シェリーショップのPhone6/6s用カバー」及び「SHELLYCOVER」のページのアーカイブと説明しているが、この「Phone6/6s」は「iPhone6/6s」の誤記であると理解する。
乙第2号証は、WaybackMachineに蓄積された商標権者の「2015年(平成27年)9月28日」における販売の様子を掲載したオンラインショップのページであり、この日付は、明らかに、要証期間外の証拠である。
加えて、乙第2号証で示されている商品番号は「iPhone6−SH013」で、乙第1号証で示されている商品番号「iphone6−sh13−05」とは一致していない。
さらに、乙第1号証では、請求金額が952円であるのに、乙第2号証では1,480円(税込1,598円)となっており、乙第1号証に記述されている商品が乙第2号証に示される商品と一致するとみることはできない。 以上から、乙第2号証は、要証期間外の証拠であり、乙第1号証で販売されたと主張する商品とは一致しないもので、採用されない証拠である。
なお、被請求人は、乙第2号証において、本件商標が使用されていると主張しているが、乙第2号証では、「iPhoneのシンプルで美しいフォルムをそのまま生かし、Appleロゴの型抜きが絶妙なフィット感を生み出します」及び「Appleロゴが見えるようにカットされており絶妙なフィット感を生み出しております」との説明があるように、商標権者は、カバーに存在する形状について請求人の著名商標を表示するための単なる切り抜きとして使用していることを自認している。
すなわち、商標権者は自己の商標として使用していないことは明らかである。
また、乙第2号証に記載されている形状はいずれも、本件商標と向きを同じにするものがなく、特許庁審判便覧(53−01)に記載されている「外観において同視される図形からなる商標」ということはできない。
以上のことから、被請求人が提出した乙号証は、いずれも本件商標の使用を立証していない。
以上のとおり、被請求人が提出した証拠方法によっては、要証期間において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしている事実を立証していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書、令和3年2月17日付け審尋(以下「審尋1」という。)に対する同年3月26日付け回答書(以下「回答書1」という。)及び同年10月22日付け審尋(以下「審尋2」という。)に対する同年11月4日付け回答書(以下「回答書2」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁書における主張
被請求人は、群馬県渋川市に本社を置く、ICカード関連商品、磁気シールド商品、スマートフォン向けのカバーなどを製造・販売する株式会社であり、インターネットショッピングモール楽天市場においてシェリーショップというオンラインショップを運営している。当該オンラインショップの受注管理システムには、iphone6/6s用シェリーカバー(iphone6−sh013−05)が、平成30年(2018年)6月4日に注文された旨の履歴が記録されている(乙1)。
ここで、当該ショップにおける当該商品のページの過去のWaybackMachineによれば、当該商品は指定商品のうち「スマートフォン用保護力バー・スマートフォン用ケース」に該当し、かつ、本件商標が付されたものであることが分かる(乙2)。
本件不使用取消審判における審判の請求の登録前3年以内である。
すなわち、被請求人は、本件商標が付された「スマートフォン用保護カバー・スマートフォン用ケース」について、被請求人は平成30年(2018年)6月4日に注文を受けそれ以降に譲渡しており、被請求人の使用は要証期間内である。
2 回答書1における主張
(1)審尋1における合議体の暫定的な見解に対する意見
ア 前提として、乙第1号証と乙第2号証は、単体で本件商標の使用を証明するものではなく、両証拠を合わせて要証期間以内の使用を証明しようとするものである。
イ 乙第1号証について
乙第1号証は、楽天市場の店舗運営システムである楽天RMSに、被請求人のIDパスワードを入力してログインすることで表示することができる画面であり、楽天市場内の「シェリーショップ」の取引記録について、「平成30年(2018年)6月4日から6日」の日付を指定して自動的に一覧表示している。
ただし、乙第1号証については作成者や作成日の情報が不足していたため、追加の証拠として乙第3号証を提出する。
ウ 乙第2号証について
乙第2号証は、WaybackMachineに蓄積された、楽天市場内の「シェリーショップ」のiPhone6/6s用カバー「SHELLYCOVER」の販売ページのアーカイブである。
WaybackMachineは、任意のタイミングでアーカイブを行うため、要証期間以内にアーカイブされた情報は存在せず、平成27年(2017年)9月28日時点の情報を提出したものである。
しかし、乙第1号証に係る取引時点でも同様のウェブサイトが存在していたからこそ、乙第1号証に係る注文が成立したものである。
したがって、乙第2号証は、単体では要証期間以内における本件商標の使用を証明するものとはなっていないが、乙第1号証にかかる譲渡が行われた商品に、本件商標が付されていたことを証明することになる。このことについては、後述する乙第3号証との関係でも補足して説明を行う。
(2)乙第3号証に基づく、平成30年(2018年)6月の使用に関する証明
ア 乙第3号証について
乙第3号証は、楽天市場の店舗運営システムである楽天RMSに、被請求人のIDパスワードを入力してログインすることで表示することができる画面であり、楽天市場内のシェリーショップにおける、平成30年(2018年)6月4日の6時8分の取引記録を表示しており、内容は、被請求人が入力したものではなく、楽天RMSに蓄積されているデータを自動的に表示している。
平成30年(2018年)6月4日の6時8分に、「iPhone6/6s用シェリーカバー(iphone6−sh013−05)」の注文がされたことを示しており、支払い方法についても記録がある。
イ 乙第3号証と乙第1号証との関係について
乙第3号証は、乙第1号証の1葉目に記載された、注文日時「2018−09−0406:08」の取引について、その詳細を表示したものである。
両証拠の受注番号は「229638−20180604−00001702」で一致している。
ウ 乙第3号証と乙第2号証との関係について
乙第3号証の2ページ目の「商品【商品内訳】(商品番号)」の欄には、「iPhone6/6s用シェリーカバー(iphone6−shl3−05)」との記載があるが、これは乙第2号証の6ページ目の商品番号「iPhone6−SH013」と対応する。「−05」の部分は商品の色を特定するものであるが、詳細は後述する。
乙第3号証の2葉目の「小計」及び「合計」の欄には「1,480円」との記載があるが、これは乙第2号証の6ページ目の価格「1,480円」と一致する。
また、乙第3号証の2葉目の「項目・選択肢」の欄には「クリアグリーン」との記載があるが、これは乙第2号証に掲載されている商品のうち「クリアグリーン」の商品を選択したことを示す。
なお、乙第3号証の商品番号の「−05」の部分は、乙第2号証の5葉目目に掲載された「クリアタイプ」のうち5番目(01:クリアブラック、02:クリアホワイト、03:クリアブルー、04:クリアライトブルー、05:クリアグリーンの順)の商品であることを示している。
乙第2号証は、要証期間以前にアーカイブされた情報であるが、乙第3号証の商品と商品番号・色・金額が一致しており、合理的に考えれば乙第3号証の注文に係る商品の外観は乙第2号証で表示されているとおり本件商標が付されたものである。
そうすると、被請求人は、本件商標が付された「スマートフォン用保護カバー・スマートフォン用ケース」について、被請求人は平成30年(2018年)6月4日に注文を受けて譲渡しているので、商標法第2条第3項第2号に係る使用をしている。
(3)弁駁書に対する意見
請求人は、乙第1号証と乙第2号証の商品番号が一致しないとの主張をしているが、乙第2号証の商品番号の「−05」の部分は、前述したとおり、乙第2号証が示す「クリアタイプ」のうち「クリアグリーン」の商品であることを示す表示として付されたものであり、両商品は同一である。
また、乙第1号証の「請求金額」が乙第2号証の金額と一致していないのは、乙第3号証に示されているとおり「店舗発行クーポン」及び「ポイント」を利用したためである。
また、乙第2号証中の商品の写真を見れば、商品に本件商標が付されていることは明らかである。
乙第2号証に記載の形状と本件商標と向きが一致しないとの主張もされているが、スマートフォンカバーは縦向き、横向きなど様々な方向で使用されるものであり、商品に本件商標が付されていたことには変わりない。
(4)平成29年(2017年)10月の使用に関する証明(乙4〜乙10)
ア これまでに説明をした楽天市場における取引とは別に、平成29年(2017年)10月10日に、被請求人と株式会社鎌田スプリング(以下「鎌田スプリング社」という。)との取引において、本件商標が使用されていたことを示す証拠が発見されたため、乙第4号証ないし乙第10号証を用いて説明をする。
なお、本取引の対象となった商品は、楽天市場の取引に係る商品とは別のものである。
被請求人と鎌田スプリング社は、平成24年(2012年)頃から共同でスマートフォン用のケース・カバーの開発を行っており、その一環として本件商標を用いた商品が開発された。取引が行われた平成29年(2017年)頃の役割としては、被請求人がスマートフォンケース・カバーの製造を行い、鎌田スプリング社が販売店から注文を受け卸売りを行う、という実態があった。
イ 以下において、各証拠について説明を行う。
(1)乙第4号証について
乙第4号証ないし乙第6号証は、鎌田スプリング社がソフトバンクC&S株式会社(以下「ソフトバンクC&S社」という。)からの注文に基づき、卸売りを行うために被請求人からスマートフォンカバーを購入した際の取引証拠である。
乙第4号証は、鎌田スプリング社が作成した被請求人あての注文書(NO.170921001)のコピーである。
日付けは、平成29年(2017年)10月10日であり、注文内容の2番目に「スリムタイプ SH003−Bホワイト」。「数量:10」、「単価:600」及び「金額:6,000」との記載がなされている。
(2)乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人が作成した鎌田スプリング社あての納品書(伝票番号:66237)のコピーである。
被請求人は、注文を受けてすぐに納品の手続を行っており、納品の日付は注文日と同じ平成29年(2017年)10月10日となっている。注文内容として「品番・品番:4560395482608iPhone5s/5用 ホワイト sh003−B」、「数量:10」、「単価:600.00」及び「金額:6,000」との記載がなされている。
また、納品書左上に「ソフトバンク様納品分」との記載がなされている。 商品が迂回して送付されることを避けるため、鎌田スプリング社を経由することなく、被請求人から卸売先であるソフトバンクC&S社に直接送付されている。
(3)乙第6号証について
乙第6号証は、鎌田スプリング社が作成したソフトバンクC&S社あての納品書(NO:170928001)のコピーであり、鎌田スプリング社に保管されていたものである。
日付けは、平成29年(2017年)10月11日であり、「JANコード:4560395482608」、「商品名:BackCoverSlimTypeSH003−Bホワイト」及び「数量:10」との表示がなされている。
(4)これらの証拠について比較すると、型番については乙第4号証の「SH003−B」、乙第5号証の「sh003−B」及び乙第6号証の「SH003−B」というように対応した内容となっており、色の表示である「ホワイト」と数量の「10」という内容は一致している。
したがって、平成29年(2017年)10月に、被請求人が鎌田スプリング社に型番「sh003−B」の商品を譲渡したことは客観的に明らかである。
(5)乙第7号証及び乙第8号証について
乙第7号証は、令和3年(2021年)3月現在の「株式会社鎌田スプリングウェブサイト」の「iphoneDESIGNCASE」のページを印刷したものである。
乙第7号証の4ページ目には、「型式番号:sh003−B」、「カラー:ホワイト」及び「JANコード(バーコードの数字):4560395482608」の商品が商品写真と共に掲載されている。
当該商品には、本件商標が付されていることが分かる。
このページでは当該商品について以前から同様の内容で掲載されており、乙第8号証として提出する、WaybackMachineの平成28年(2016年)8月9日時点の蓄積データにおいても、同様の情報が掲載されている。
すなわち、上記取引の当事者である鎌田スプリング社は、平成28年(2016年)時点から令和2年(2021年)現在まで、当該商品の外観について一貫した情報を示している。
乙第5号証、乙第7号証及び乙第8号証の「sh003−B」、「4560395482608」及び「ホワイト」という表示は一致しており、前述した平成29年(2017年)10月10日時点に取引された商品にも本件商標が付されていたことは、合理的に考えれば明らかである。
(6)乙第9号証について
乙第9号証は、鎌田スプリング社本社営業本部のT氏による陳述書であり、T氏は乙第4号証ないし乙第6号証に係る取引の担当者であり、陳述書はこれらの取引内容の概要と取引された商品に本件商標が使用されていたことを示すものである。
(7)乙第10号証について
乙第5号証に係る取引で譲渡された商品について、当事者以外である株式会社ピーシーデポコーポレーション(以下「ピーシーデポコーポレーション社」という。)のオンラインストアの情報を用いて、補足的に特定をする。 乙第10号証は、令和3年(2021年)3月現在の、ピーシーデポコーポレーション社が運営する「PCDEPOT(PCデポ)公式オンラインストア」の「シェリー背面パネルsh003−B[ホワイト]foriPhone5/5」のページを印刷したものである。
掲載されている商品の、商品番号「4560395482608」は、乙第5号証の「4560395482608」と一致しており、型番として表示された「sh003−B」も一致している。
また、このページの商品の写真を見ると、当該商品には本件商標が付されていることが分かる。
さらに、乙第10号証の1ページ目下部には、「発売日2014年12月01日」との記載がある。
したがって、取引関係者以外であるピーシーデポコーポレーション社が発信する情報からも、平成29年(2017年)10月時点に取引された商品に、本件商標が付されていたことがわかる。
(8)以上の証拠が示すとりお、本件商標が付された「スマートフォン用保護カバー」について、被請求人は平成30年(2018年)10月10日に譲渡しており、商標法第2条第3項第2号に係る使用をしているものと認められる。
3 審尋2に対する回答書2における主張
(1)審尋2の合議体の暫定的な見解に対する意見
ア 被請求人の販売するスマートフォン用保護カバーの中央上部に型抜きされた穴は、スマートフォン本体に使用商品1又は使用商品2をセットしたときに、スマートフォン本体に付された標章を視認しやすくするための穴(型抜き)といえるものであって、一種のスマートフォン用保護カバーのデザインであると認識するのが相当であり、これらのデザイン化された穴が商標的使用とは認められないとの合議体の見解について同意する。
イ また、型抜きされた穴が商標的使用であると認められるとした場合であっても、使用商品1及び使用商品2の中央上部に型抜きされた穴は、外観上本件商標と同視できるものではないので、社会通念上同一とは認められないとの合議体の見解についても同意する。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証ないし乙第3号証
乙第1号は、商標権者がインターネット上で運営する楽天市場のシェリーショップ(以下「シェリーショップ」という場合がある。)における受注管理システムの画面であり、商品の注文情報として、「注文日時」の項目に「2018−0604 06:08」、商品名の項目に「iPhon6/6s用シェリーカバー(iphone6−sh03−05)」の記載がある。
また、乙第3号証は、乙第1号証の注文情報の内容を詳細に示している画面であり、1葉目において、詳細情報の見出しの下、「注文日時」の項目に「2018−0604 06:08」の記載があり、2葉目において、送付先の欄に、注文者氏名「T」氏及び住所「大阪市・・・」の記載、「商品【商品内訳】/(商品番号)の欄に「iPhone6−sho13−05」の記載、単価の欄「1,480円」、個数の欄に「1」、小計の欄に「1,480円」等の記載がある。
乙第2号証は、平成27年(2015年)9月28日付けのWaybackMachineに蓄積された「シェリーショップ」の画面の写しであり、9葉目に「COPYRIGHT2007‐2015 C(「C」の文字には○が付されている。)SYELLY COMPANY.INC」の記載がある。
また、5葉目に、乙第1号証及び乙第3号証の商品名の項目に記載している「iPhon6/6s用シェリーカバー(iphone6−sh03−05)」の写真(別掲2:以下「使用商品1」という。)が掲載されている。
そして、使用商品1は、別掲1のとおり、中央上部に型抜きされた穴がある。
なお、乙第1号証及び乙第3号証には、本件商標は表示されていない。
(2)乙第4号証ないし乙第6号証及び乙第9号証
乙第4号証は、平成29年10月10日付けのソフトバンクC&S社が鎌田スプリング社を介して商標権者へ商品「スマートフォン用保護カバー」を注文した際の鎌田スプリング社発行の商標権者の担当者あての注文書であり、商品の品番として「iPhone5s5用 ホワイト sh003−B ホワイト」(以下「別掲3:使用商品2」という。)、数量欄に「10」、単価欄に「6,000」及び金額欄に「6,000」等の記載がある。
乙第5号証は、乙第4号証において鎌田スプリング社が商標権者へ注文した使用商品2について、商標権者が作成した鎌田スプリング社あての平成29年10月10日付けの納品書であり、品番・品名欄に「iPhoon5s/5用 ホワイト sh003−B」(使用商品2)、数量欄に「10」、単価欄に「600.00」及び金額欄に「6,000」、備考欄に「税抜」、「株式会社シェリー」及び「群馬県渋川市有馬1791−3」の記載がある。
乙第6号証は、商標権者から鎌田スプリング社へ使用商品2を納品し、さらに、鎌田スプリング社がソフトバンクC&S社あてに使用商品2を納品したことを示す納品書であり、商品名欄に「sh003−B ホワイト」(使用商品2)、数量欄に「10」、単価欄に「600.00」及び金額欄に「6,000」等の記載がある。
乙第9号証は、鎌田スプリング社の営業本部の社員T氏による陳述書であり、乙第4号証ないし乙第6号証に掲載されている商品の取引内容の概要と取引された商品に本件商標が使用されている旨の記載がされている。
なお、乙第4号証ないし乙第6号証及び乙第9号証には、本件商標は表示されていない。
(4)乙第7号証及び乙第8号証
乙第7号証は、令和3年3月24日に出力した鎌田スプリング社のウェブサイトの写しであり、4葉目に「型式番号 sh0003−B」及び「カラー ホワイト」の記載及び使用商品2の写真が掲載されている。
また、乙第8号証は、平成28年(2016年)9月9日付けでWaybackMachineに蓄積された鎌田スプリング社のウェブサイトの写しであり、3葉目に「型式番号 sh0003−B」及び「カラー ホワイト」の記載及び使用商品2の写真が掲載されている。
そして、使用商品2は、別掲2のとおり、中央上部に型抜きされた穴がある。
(5)乙第10号証
乙第10号証は、令和3年(2021年)3月24日に出力された「PC DEPOT WEB本店」と称するウェブサイトの写しであり、使用商品2の写真が掲載されている。
なお、乙第10号証は、要証期間外のものである。
2 上記1によれば、以下のとおりである。
(1)商標権者は、商品の品番、型番が「iPhon6/6s用シェリーカバー(iphone6−sh03−05)」(使用商品1)の「スマートフォン用保護カバー」及び商品の品番、型番が「iPhoon5s/5用 ホワイト sh003−B」(使用商品2)の「スマートフォン用保護カバー」を製造、販売していると認められる。
(2)商標権者は、平成30年(2018年)6月4日に、使用商品1を商標権者がインターネット上で運営する楽天市場のシェリーショップにおいて、大阪市在住のT氏に販売したものと推認できる。
(3)商標権者は、平成29年(2017年)10月10日に、使用商品2を商標権者から鎌田スプリング社へ販売、納品したことが推認できる。
(4)使用商品1及び使用商品2は、別掲2及び別掲3のとおり、中央上部に型抜きされた穴がある。
3 判断
(1)使用商品、使用者及び使用期間
使用商品1及び使用商品2(以下、使用商品1及び使用商品2をまとめていうときは「使用商品」という。)は、乙第2号証、乙第7号証及び乙第8号証に掲載された使用商品の写真からすれば、使用商品は「スマートフォン用保護カバー」と認められる。
また、使用商品1の販売場所である楽天市場のシェリーショップ(乙2)の「SYELLY COMPANY.INC」の記載は、商標権者の名称の英語表記といえるものである。
また、使用商品2の納品書(乙5)に記載の「株式会社シェリー」及び「群馬県渋川市有馬1791−3」の記載は、商標権者の名称及び住所といえるものである。
さらに、商標権者がT氏に使用商品1を販売した日は、平成30年(2018年)6月4日であり、また、商標権者が使用商品2を鎌田スプリング社へ納品した日は、平成29年(2017年)10月10日であり、いずれも要証期間である。
(2)使用商標
ア 商標権者が、使用商標と主張する商標は、別掲2及び別掲3のとおり、使用商品の中央上部に型抜きされた穴であって、これは、スマートフォン本体に使用商品をセットしたときに、スマートフォン本体の標章が視認しやすくするための穴(型抜き)といえるものであって、一種のスマートフォン用保護カバーのデザインであると認識するのが相当ですから、これらの穴が商標的使用とは認められない。
イ 仮に、上記使用商品の中央上部に型抜きされた穴が商標的使用であると認められるとした場合であっても、本件商標は、別掲1のとおり、右下部分を凸状に、下部及び左半分の中央を凹ませた一筆書きの細い輪郭線よりなる図形であるのに対して、使用商品の中央上部に型抜きされた穴は、別掲2及び別掲3のとおり、上部を凸状に、右半分の中央を凹ませた図形を型抜き風にした構成であることからすれば、外観上同視できるものとはいえないものであるから、本件商標と使用商品の中央上部に型抜きされた穴は、社会通念上同一とは認められない。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれもが、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を本件取消審判請求に係る指定商品に、商標法第2条第3項各号に掲げる使用をしているものとは認められない。
その他、被請求人は、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為を行ったことを証明していない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1 本件商標


別掲2 使用商品1(乙2:色彩は原本を参照。)


別掲3 使用商品2(乙7、乙8:色彩は原本を参照。)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-03-08 
結審通知日 2022-03-15 
審決日 2022-03-31 
出願番号 2015008375 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (W09)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
豊田 純一
登録日 2015-06-12 
登録番号 5770529 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 川上 和秀 
代理人 萩原 誠 

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