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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0308
管理番号 1389967 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2022-10-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2022-02-10 
確定日 2022-10-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第6475839号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6475839号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6475839号商標(以下「本件商標」という。)は、「jeno」の文字を標準文字により表してなり、令和3年5月26日に登録出願、第3類「薫料,香料,香水,香水類,コラーゲン化粧品,スキンホワイトニングクリーム,ヘアーコンディショナー,ヘアーローション,メイクアップ用化粧品,おしろい,日焼け止め用化粧品,せっけん類,日焼け用化粧品,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,シャンプー,皮膚の手入れ用化粧品,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去液,美顔用パック,ヘアーリンス,防臭せっけん,化粧品,歯磨き」及び第8類「ひげそり用具入れ,まつ毛カール器,ペディキュアセット,マニキュアセット」を指定商品として、令和3年11月2日に登録査定され、同月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、以下の2件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4112993号商標(以下「引用商標1」という)は、「Jino」の欧文字及び「ジーノ」の片仮名を上下二段に横書きした構成からなり、平成8年6月21日に登録出願、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,化粧品,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,つや出し剤」を指定商品として、同10年2月13日に設定登録されたものである。
2 登録第4540858号商標(以下「引用商標2」という)は、「ジーノ」の片仮名及び「Jino」の欧文字を上下二段に横書きした構成からなり、平成12年11月21日に登録出願、第3類「化粧用脱脂綿,化粧用あぶら取り紙」、第8類「手動利器」、第16類「紙製タオル,衛生手ふき」及び第21類「化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)」を指定商品として、同14年2月1日に設定登録されたものである。
上記の引用商標1及び引用商標2をまとめて、以下「引用商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、その登録が取り消されるべきである旨申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標の使用実績について
世界有数のアミノ酸メーカーである申立人は、1997年(平成9年)、香粧品分野に初めて参入し、引用商標を付した洗顔料、化粧水及び美容液の基本3品、並びに、シャンプー及びトリートメントのヘアケア製品の通信販売を開始し、その後、1999年(平成11年)に、トライアルセットの発売を開始した(甲3)。申立人は、翌2000年(平成12年)秋に、育毛ローションの発売を開始し(甲4)、2002年(平成14年)には、22種類のアミノ酸を配合した「アミノシューティカルクリーム」の発売を開始した(甲3)。
その後も、申立人は、引用商標の下で化粧品等を販売しており(甲5〜甲19)、また、各種メディアにより、引用商標を付した商品の広告宣伝活動も行っている(甲20〜甲27)。
さらに、引用商標を付した商品は、2013年(平成15年)度以降には、オールアバウトの「ベストコスメ大賞」の「通販コスメ編」において、クリーム部門や洗顔料部門を初めとして、毎年相当数が大賞等に輝いている(甲28)。
このように、通信販売によるアミノ酸を配合した化粧品等について、引用商標は、およそ四半世紀にわたって使用が継続されており、引用商標には申立人の多大な信用が蓄積されている。
2 商標登録を取り消すべき具体的理由
本件商標は、小文字の欧文字4文字「jeno」からなるものであるのに対し、引用商標は、上下を別として、大文字と小文字からなる欧文字4文字「Jino」と、その表音であると容易に認識、理解できる片仮名文字「ジーノ」からなるものである。
そこで、本件商標と引用商標の欧文字部分を比較すると、冒頭が大文字と小文字の差はあれ、「J」「j」、3文字目が「n」、4文字目が「o」である点で共通しており、相違するのは2文字目の「e」と「i」であり、4文字の構成中、3文字(即ち、75%)を共通にしており、しかも、視覚上、最も印象に残る冒頭及び末尾を共通にしている。
他方、相違する文字は、中間に位置しているばかりでなく、ともに母音字であって、本件商標の2文字目は、「i」に最も音韻学的に近似する「e」である。
また、欧文字と片仮名文字等の文字種の相違は、商標の外観上の類否判断に際しては、さほど重要な相違ではない。
したがって、本件商標は引用商標と外観上、相紛れ見られるおそれがない、とまでは言うことができないものである。
そして、本件商標からは、そのローマ字読み風に「ジェノ」の称呼を生ずるものであるが、「e」が「イー」と発音される英単語もあるので、「ジーノ」の称呼をも生ずるものである。
したがって、本件商標から生じ得る称呼と、引用商標から生ずる称呼は、共通する。
さらに、観念について、本件商標は、英語辞書等に搭載されていないので、そこからは、特定の意味合いを看取せしめないものであるが、その構成文字やそこから生ずる称呼からすると、やわらかい、女性的な印象を与えるものである。これは、「ino」で終止するイタリア語は、小さなペット、又は、金髪(biondino)、かわいい(carino)等に由来するからである。
他方、引用商標は、申立人(味の素(AJINOMOTO))発の化粧品であること、そしてアミノ酸が、太古の昔に海で生まれた生命の起源と言われていることから、ギリシャ神話に登場する海の守り神「INO」にあやかって名付けられたことに由来しているが、そこからは、本件商標と同様、やわらかい、女性的な印象を与えるものである。
したがって、本件商標及び引用商標からは、特定の観念を生じないとしても、ともに、やわらかい、女性的な印象を与える点で共通している。
以上、本件商標と引用商標を比較すると、本件商標は、欧文字4文字、引用商標は、欧文字4文字とその片仮名表記からなるものであり、その欧文字同士は、4文字中、3文字を共通にしており、相紛れ見られるおそれがない、とまでは言うことができないものであり、称呼上もまた、共通する場合があり、観念上も、やわらかい女性的な印象を与える点で共通している。
したがって、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、本件商標と引用商標とを同一又は類似の商品に使用したときは、取引者、需要者をして、商品の出所について混同を生ずるおそれがある類似の商標である、というべきである。
また、本件商標に係る指定商品中、第3類「香料,香水,香水類,コラーゲン化粧品,スキンホワイトニングクリーム,ヘアーコンディショナー,ヘアーローション,メイクアップ用化粧品,おしろい,日焼け止め用化粧品,せっけん類,日焼け用化粧品,つけづめ,つけまつ毛,つけまつ毛用接着剤,シャンプー,皮膚の手入れ用化粧品,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去液,美顔用パック,ヘアーリンス,防臭せっけん,化粧品,歯磨き」は、引用商標1の指定商品中、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,化粧品,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き」と、また引用商標2の指定商品中、第3類「全指定商品」と、さらに、本件商標に係る指定商品中、第8類「全指定商品」は、引用商標2の指定商品中、第21類「全指定商品」に類似する。
よって、本件商標は、引用商標に類似するものであり、その指定商品も同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

第4 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「jeno」の文字を標準文字で表した構成からなるところ、該文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そして、一般的に、特定の意味を有さない欧文字からなる造語にあっては、我が国において親しまれた外国語である英語読み又はローマ字読みにならって称呼されるとみるのが一般的であり、本件商標からは、「ジェノ」の称呼を生ずるものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、「ジェノ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
なお、申立人は、「e」の文字が「イー」と発音される例を挙げ、本件商標から「ジーノ」の称呼も生じる旨主張しているが、一般的な英語の用例又はローマ字読みにおける発音に倣えば、「je」の文字は、通常「ジェ」と発音されるのが自然であり、これを避けて「ジー」と発音することは考えがたいから、本件商標「jeno」は、「ジェノ」と称呼されると判断するのが相当である。
よって、申立人の主張は、採用することができない。
2 引用商標について
引用商標は、「Jino」の欧文字及び「ジーノ」の片仮名を上下二段に表してなるものであり、これより、「ジーノ」の称呼を生じること明らかであり、また、「Jino」及び「ジーノ」の文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものであるから、特定の観念を生じないものである。
3 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、それぞれの文字構成は、上記1、2のとおり「jeno」と「Jino」及び「ジーノ」であるところ、本件商標と引用商標の欧文字部分は、第3文字目と第4文字目の「n」と「o」とが共通するが、語頭の小文字の「j」と大文字の「J」の違い及び第2文字目の「e」と「i」の違い並びに片仮名「ジーノ」の有無により、外観上判然と区別し得るものである。
次に、称呼においては、本件商標から生じる「ジェノ」の称呼と、引用商標から生じる「ジーノ」の称呼とは、語頭における「ジェ」と「ジー」という音の差異があり、この差異が、全体として2音と長音を含む3音という短い音構成からなる両称呼に及ぼす影響は少なくないとみるのが相当であるから、それぞれを一連に称呼しても、語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはない。
そうすると、本件商標から生じる称呼と引用商標から生じる称呼とは、相紛れるおそれはないものである。
さらに、観念においては、両商標からはいずれも特定の観念が生じないものであるから、比較することができない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないとしても、その外観及び称呼において、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
4 申立人の主張について
申立人は、引用商標はおよそ四半世紀にわたって使用が継続されており、引用商標には申立人の多大な信用が蓄積されている旨述べているが、提出に係る証拠からは、引用商標が化粧品等に使用されていることは確認できるものの、我が国における販売数量、売上金額等の具体的な販売実績は明らかでなく、また、新聞、雑誌等のメディアで掲載されていることはうかがえるとしても宣伝広告費等も不明であるから、これより引用商標が直ちに著名な商標ということはできない。
したがって、申立人の提出に係る証拠をもってしては、引用商標が、本件商標の登録査定時において、我が国の需要者の間で広く認識されていたものとはいえず、本件商標と引用商標との類否の判断に影響を与えるものとはいえない。
5 小括
以上からすると、本件商標の指定商品が、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品であるとしても、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
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異議決定日 2022-09-27 
出願番号 2021064445 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W0308)
最終処分 07   維持
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 清川 恵子
大森 友子
登録日 2021-11-24 
登録番号 6475839 
権利者 菅野 真由美
商標の称呼 ジェノ 
代理人 辻本 依子 
代理人 眞田 忠昌 
代理人 土野 史隆 
代理人 宮崎 超史 
代理人 特許業務法人Toreru 
代理人 小林 健一郎 
代理人 古関 宏 

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