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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05
管理番号 1389854 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-02-09 
確定日 2022-09-07 
事件の表示 商願2020−157495拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標及び手続の経緯
本願商標は、「漢方油膜軟膏」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,医療用接着テープ,歯科用材料,おむつ,おむつカバー,はえ取り紙,防虫紙,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。),人工受精用精液」を指定商品として、令和2年12月21日に登録出願されたものである。
原審では、令和3年6月4日付けで拒絶理由の通知、同年7月19日付けで意見書の提出、同年11月5日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同4年2月9日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。

2 原査定の拒絶の理由(要旨)
本願商標は、「漢方油膜軟膏」の文字を標準文字で表してなるが、その構成中「漢方」の文字は「中国から伝来し、日本で独自の発展を遂げた治療中心の医学。漢方は薬物療法(漢方薬)が主で、ほかにはり、灸(きゅう)などの用手療法がある。」等の意味を、「油膜」の文字は「水や物体の表面にできる油の膜。」の意味を、「軟膏」の文字は「均質な半固形状の外用薬。軟膏薬。軟膏剤。」の意味を有する語であるから、本願商標は全体として、「油の膜の成分を配合した漢方薬の軟膏剤」ほどの意味合いを認識させる。
そして、本願商標の指定商品を取り扱う業界では、「油膜成分を配合した漢方薬の軟膏剤」に「漢方」、「油膜」及び「軟膏」の文字を使用し、取引が行われている実情がある。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときには、これに接する需要者は、「油膜成分を配合した漢方薬の軟膏剤」であること、すなわち、単に商品の品質を表示したものと認識するというべきである。
したがって、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表したものだから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記軟膏剤以外の商品に使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性
ア 本願商標は、「漢方油膜軟膏」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「漢方」の文字は「中国から伝来した医術」の意味を、「油膜」の文字は「水や物の表面にできた油の膜」の意味を、「軟膏」の文字は「脂肪・脂肪油・ろう・ワセリン・グリセリン・樹脂などに薬品を練り合わせた外用薬」の意味を有する語(「広辞苑 第7版」岩波書店)である。
そして、医薬品と関連する取引業界において、別掲のとおり、油膜を形成する成分を配合した漢方の軟膏が流通している実情があり、それを「漢方油膜軟膏」と指称する事例もある。
そうすると、本願商標は、その指定商品中「薬剤」に係る需要者及び取引者をして、「油膜を形成する成分を配合した漢方の軟膏」程度の意味合いを想起させるもので、単に商品の品質(内容)、効能を表示するにすぎない。
イ 請求人は、本願商標の構成中「油膜」の文字は、その指定商品との関係において意味合いが不明確で、商品の品質を表す普遍的な表示ではなく、また、本願商標は、全体として「油の膜の成分を配合した漢方薬の軟膏剤」の意味合いのほか、「油の膜で患部を覆うタイプの漢方薬の軟膏剤」の意味合いを暗示させることもあり得るから、商品の品質を表示するものではない旨を主張する。
しかしながら、上記アのとおり、油膜を形成する成分を配合した漢方の軟膏が流通している実情があり、それを「漢方油膜軟膏」と指称する事例もあること、さらには軟膏(油脂性のものも多い。)を塗ることで油膜が形成されることは容易に想起可能であることを踏まえると、本願商標は、その構成文字全体をして、請求人主張の意味合いを組み合わせたような、「油膜を形成する成分を配合した漢方の軟膏」程度の意味合いを通常は想起させるというべきで、単に商品の品質(内容)、効能を表示するにすぎない。
ウ 以上を踏まえると、本願商標は、その指定商品中「薬剤」について、商品の品質(内容)、効能を普通に用いられる方法で表示する標章にすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標の商標法第4条第1項第16号該当性
本願商標は、上記(1)のとおり、「油膜を形成する成分を配合した漢方の軟膏」程度の意味合いを想起させる。
そうすると、本願商標を、その指定商品中、「薬剤」(軟膏)以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲(油膜を形成する成分を配合した漢方の軟膏の事例。原審提示の事例と同じ。)
(1)「万協製薬株式会社」のウェブサイトにおいて、「紫雲膏ヒフール(漢方薬)」の商品紹介の項に、「漢方油膜軟膏」、「天然油膜成分配合」の文字を包装に表示した商品写真が掲載されている。
https://www.bankyo.com/product/detail__119.html
(2)「協和薬品工業株式会社」のウェブサイトにおいて、「紫雲膏『キョーワ』」の商品紹介の項に、「漢方油膜軟膏」、「天然油膜成分軟膏」の文字を包装に表示した商品写真が掲載されている。
http://kyowa-ci.co.jp/products/%E7%B4%AB%E9%9B%B2%E8%86%8F%E3%80%8C%E3%82%AD%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%80%8D/
(3)「生活協同組合 おおさかパルコール」のチラシ(2018年11月)において、「ニタンダ紫雲膏」の商品紹介の項に、「漢方軟膏剤 紫雲膏」、「天然油膜成分」の記載がある。
https://www.palcoop.or.jp/au_serv/mylife/pdf/2018/2018_1103.pdf


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-07-12 
結審通知日 2022-07-13 
審決日 2022-07-27 
出願番号 2020157495 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W05)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 矢澤 一幸
特許庁審判官 杉本 克治
阿曾 裕樹
商標の称呼 カンポーユマクナンコー、カンポーユマク、ユマクナンコー、ユマク 
代理人 高梨 範夫 

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