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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W05
管理番号 1389564 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-03-01 
確定日 2022-05-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5640141号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5640141号商標の指定商品中,第5類「白金ナノコロイドを配合したサプリメント」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5640141号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成25年6月5日に登録出願,第5類「白金ナノコロイドを配合したサプリメント,白金ナノコロイドを配合した食餌療法用飲料,白金ナノコロイドを配合した食餌療法用食品」及び第32類「白金ナノコロイドを配合した清涼飲料,白金ナノコロイドを配合した果実飲料,白金ナノコロイドを配合した飲料用野菜ジュース」を指定商品として同年12月27日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,令和3年3月15日である。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成30年(2018年)3月15日ないし令和3年(2021年)3月14日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由,答弁に対する弁駁において要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中,第5類「白金ナノコロイドを配合したサプリメント」(以下「請求に係る指定商品」という場合がある。)について,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが,継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標の使用について
本件商標権者の販売に係る商品(乙1〜乙5,以下「本件商品」という。)は,サプリメントではなく,清涼飲料である。
食品表示法上,清涼飲料水と表示すべきものは定められており,商標法上も第32類に「清涼飲料」が区分されているので,原則として,これらは一致して然るべきである。
一方で,サプリメントは,明確な定義はないものの,厚労省のウェブサイトでは「特定成分が濃縮された錠剤やカプセル形態の製品」とされ(乙7),国立健康・栄養研究所によれば,「食品として流通していて,特定の成分(ビタミン,ミネラル,DHAなど)を含む錠剤・カプセル・濃縮エキス状の製品です。」とされている(乙6の3)。
これらに共通している「特定の成分が濃縮されている」という点に関し,被請求人は,本件商品は希釈して飲用するものであるから,濃縮エキス状の製品に当たるので,サプリメントに該当すると主張していると思われる。
しかし,被請求人が主張しているように,本件商品は,既に直接飲用できる程度に希釈されているものであるから(乙5,甲1),濃縮エキス状ではなく,既に希釈された,直接飲用可能な清涼飲料であって,単に,それをさらに希釈させて飲むことができるものにすぎないから「清涼飲料水」と表示すべきものであって,清涼飲料として区分されるべきである。
また,被請求人は,プラチナナノコロイドが健康食品やサプリメントとして登録されており,濃縮物として使用する場合の安全性について説明されていることをもって,本件商品がサプリメントに該当すると主張するが(乙6の1,乙6の2),本件商品のような既に希釈されている清涼飲料はこれに当たらないから,これらの説明が,本件商品がサプリメントに該当するとする証拠にはなり得ない。
そして,被請求人は,米国FDAの食品製造施設登録では,「MINERAL SUPPLEMENT IN WATER」という商品名で登録を許可されたことを本件商品がサプリメントである根拠にしているが(乙10,乙12),「IN WATER」の部分から希釈されていることが分かるし,そもそも,他国の食品製造施設登録は,我が国商標法上の判断に無関係である。
さらに,被請求人は,海外向けパッケージに「Mineral Supplement」と表示し,サプリメントである旨の説明を表示していること(乙11,乙13,乙14),製造元企業のパンフレットのサプリメント欄に本件商品が掲載されていること(乙15)を本件商品が「サプリメント」であることの理由にしているが,本件商品が「サプリメント」であるか,「清涼飲料」であるかは,客観的に判断されるべきものであり,主観的に判断されるべきものではないため,この主張に理由がないことは明らかである。
仮に,「清涼飲料」の商品についての使用が,第32類「白金ナノコロイドを配合した清涼飲料」の使用にも当たり,これとは非類似とされている全く別の第5類「白金ナノコロイドを配合したサプリメント」の使用にも当たるとされることは,商標権者に過分な保護を与え,商標選択の余地を不当に狭めることとなり,商標法第50条の趣旨に反することにもなるため,妥当ではない。
(2)まとめ
以上に説明したとおり,本件商品は,「清涼飲料」であり,本件商標権者は,本件商標を「白金ナノコロイドを配合したサプリメント」について使用していないため,被請求人が立証している行為が請求に係る指定商品についての使用に当たると認めることはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,答弁書及び審尋に対する回答において,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第28号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用について
(1)本件商標権者による本件商品の販売
本件商標権者は,パンフレットや同人の運営するウェブサイトを通じて,本件商標と社会通念上同一の商標(以下「使用商標」という。)を用いて,要証期間に,日本国内において請求に係る指定商品(白金ナノコロイドを配合したサプリメント)を通信販売にて業として販売している(商標法第2条第3項第2号)。
本件商標権者の運営するウェブサイトのプリントアウトには,本件商品の写真があり,本件商品に付された使用商標が見て取れる(乙1)。
本件商標権者の運営するウェブサイト内にある本件商品を販売するオンラインショップのページには,本件商品の注文欄があり,商品名として,「sai」と表示されており,当該表示は本件商標を便宜上簡略化した表示と考えるのが合理的である(乙2)。
本件商品のパンフレットの表紙には,使用商標がはっきり表示されている。同パンフレットには,本件商品の説明があり,最終頁には,本件商品を電話で注文できる案内がある(乙3)。
注文書と納品書の写しは,上記の注文方法により,顧客から本件商品の注文を受け,納品した際のものであって,品番・品名欄には使用商標が表示されている(乙4)。
なお,本件商品は,毎月定期購入で契約した場合,1箱目は定価,同月内の2〜4箱目は3割引で購入できる制度があり(乙23),この2〜4箱目を「sai次商品」と表記している。
また,当該納品書の住所は商標登録原簿の住所と異なるが,本件商標権者は,令和2年10月2日に本店を東京都中央区銀座二丁目5番8号から静岡県伊豆市市山325番に移転した(乙24)。その際,事務処理センターを東京都港区赤坂一丁目7番4号No.1ニイクラビル5階に設置した(乙25)。
2019年4月30日に発行された雑誌「ゴルフダイジェスト・トラベラー」の一部写しの11頁には,本件商品が紹介されている。そこには,使用商標が表示された本件商品の写真が,本件商標権者の名称とともに掲載されている(乙5)。
(2)本件商品が請求に係る指定商品であることについて
本件商品は,「食品表示法」のもと,「清涼飲料水」との表示が義務付けられており,「サプリメント」と表示することは認められないが,本件商品の本質は,「サプリメント」に該当する。
ア 本件商品について
本件商品は,一般的に「白金ナノコロイド」,「白金コロイド」,「プラチナナノコロイド」,「プラチナコロイド」,「ナノプラチナ」,「黒プラチナ(色調が黒いため)」などと呼ばれているもので,蒸留水で希釈後,ろ過,充填,殺菌をして出荷されるものであって,成分はミネラルであり,希釈して飲用するため,濃縮エキスに該当する。
国立研究開発法人の医薬基盤・健康・栄養研究所による「健康食品」の安全性・有効性情報のデータベースには,「プラチナナノコロイド」,「白金ナノコロイド」が健康食品やサプリメントとして登録されており(乙6の1,乙6の2),その「安全性」についての説明や,国立健康・栄養研究所発行のパンフレット集における「サプリメント」について「食品として流通していて,特定の成分(ビタミン,ミネラル,DHAなど)を含む錠剤・カプセル・濃縮エキス状の製品です。」の定義(乙6の2,乙6の3)並びに厚生労働省のウェブサイトにおける,健康食品及びサプリメントの説明及び雑誌や文献の表示(乙7〜乙9)によっても,本件商品は,濃縮したプラチナコロイドであって,水や飲み物に入れて飲むようになっているから,サプリメントに該当する。
そして,本件商品に配合されている濃縮された濃度のプラチナ(白金)は,他のプラチナ飲料やサプリメントと比べて,比較にならない程度の高濃度である。
市販されている他社の白金ナノコロイドのサプリメントの多くは1本あたりまたは1錠あたり数μgの白金が配合されている(乙20,乙21)。これに対して,本件商品の白金含有量は430ppm(430mg/1000ml)となっており,150ml/1箱には約64.5mgの白金が含有されている(乙22)。すなわち,本件商品は市販の「白金ナノコロイド入りサプリメントウォーター」の実に2万倍近くの濃度の白金が含まれているのである。
したがって,本件商品には高濃度の白金が含有されており,「特定の成分が濃縮された」と定義される(乙7)「サプリメント」に該当するといえるのである。
また,請求人は本件商品が「蒸留水で希釈」していることもって「濃縮エキス状」には当たらないと主張しているが,製造工程及び品質管理上,濃度を均一に保つために希釈することは当然であり,希釈した後においてもこれほど高濃度な「白金ナノコロイド」を含有する商品は他に類を見ない。
イ 需要者の認識
本件商品は,1日1回5ml程度をそのまま飲用する需要者もいるかもしれないが,清涼飲料水であるミネラルウォーター,スポーツドリンクやエナージードリンクのように1回に100ml程度をぐいぐい飲むような商品でない(甲1,乙3)。多くの需要者は,1日5mlを目安に水,お茶,紅茶やコーヒーに添加して飲用するのであり,これはまさにサプリメントとしての使用である。
需要者のウェブサイトにおいては,(a)他の「サプリメント」を飲用していた需要者が本件商品の飲用により「他のサプリメントを飲まなくなった」ことや,清涼飲料水では説明できない「体験談」の記載(乙16の1),(b)本件商品は薄めて飲むのが一番良いと思います旨の飲み方の記載(乙16の2),(c)本件商品の使用により,「自分に変化が起きることやストレスを減らす」こと,また「抗酸化作用(還元力)が強く,体の酸化(老化)やストレスから守ってくれる」こと及び「私の朝はコップ1杯のお水に飲むプラチナをそそぎごくごく飲むことからはじまります!」の記載(乙17の1),(d)「我が家では抗酸化作用の強いルイボスティーを20年以上飲み続けています!3年前からはルイボスティーにプラチナの水saiをたっぷり混ぜて飲んでいるんですよ」と記載(乙17の2)及び(e)本件商品は「お肌と心を守る」旨の記載があり,毎月11日をプラチナデイズとして,飲むプラチナsaiをシャンパングラスに滴下して,試飲させていることがうかがえる(乙18)。
また,「sai」を化粧品の成分として利用したプラチナブブ株式会社のウェブサイトにおいて,本件商品ついてのコメントとして,「ストレスでダメージを受けたあらゆるところに到達し間違いなく修復してくれる」と主張していることから,この需要者は「サプリメント」として認識した上で使用している(乙19)。
これらの証拠から多くの需要者が本件商品を「サプリメント」として認識して飲用していることは明らかである。
以上のことから,本件商品は他に類を見ないほど高濃度の白金を含有するサプリメントであって,需要者もそのことを理解し,他の飲料に混ぜて飲用しているといえる。したがって,本件商品は請求に係る指定商品に使用されている。
ウ 海外における取引
本件商品は,2013年の米国FDA(アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration))の食品製造施設登録では,「MINERAL SUPPLEMENT IN WATER」という商品名で登録を許可されたため(乙10,乙12),それ以降インバウンドや米国を含む海外ユーザー向けに「Mineral Supplement」と表記したパッケージを作成し,販売を行っている(乙11)。
「Mineral Supplement」と表記したパッケージ(乙11)で本件商品を出荷したインボイス及び送り状の商品明細欄には,「(Mineral supplement Water)」の文字がある(乙13)。また,本件商品の英文パンフレットには,「"sai" is a liquid mineral supplement containing pure water and colloidal platinum (和訳:saiは,純水とコロイド状プラチナを含む液体ミネラルサプリメントです。)との説明があり,このことからも,本件商品が「サプリメント」のカテゴリーであることがわかる(乙14)。
なお,商品名の「SAI」及び「sai」の表示は,本件商標を便宜上簡略化した表示である。
また,インバウンド需要者(海外からの旅行者が自国に持ち帰る商品)及び海外代理店向けの納品に際しては,納品書及び納品書(控)に「sai Colloidal Platinum 150ml」と記載し(乙4),国内向け商品は「sai」又は「sai次商品」記載することで納品書上区別しているが,商品の内容は国内向けの商品と同一のものである(乙26)。
本件商品の中国を含む海外の販売店向けの取引価格は,国内販売価格とは大きく異なるが,インバウンド需要者向けの単価は国内向け単価と同一である(乙27,乙28)。
そして,上記(1)のとおり,本件商標権者は,東京都から静岡県に移転しているところ,インボイス及び送り状(乙13)に記載の住所は当時の本社の住所である。
エ その他
本件商品の製造元であるアイノベックス株式会社(以下「アイノベックス社」という。)が,商社を通じて一般の化粧品会社などにプラチナコロイド原料を販売するために配布しているパンフレットの11頁のサプリメントの欄には本件商品の記載がある(乙15)。
なお,商品名の「sai」の表示は,本件商標を便宜上簡略化した表示である。
2 まとめ
以上より,本件商標は,要証期間に,日本国内において,本件商標権者により「白金ナノコロイドを配合したサプリメント」について使用されている。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は「食品,清涼飲料,化粧品等」の販売を目的とする法人であって,その事業内容には「白金微粒子を原料とする『清涼飲料水』の販売」がある(乙1,乙24)。本件商標権者の本社は令和2年10月2日に東京都中央区から静岡県伊豆市に移転しており,また,同年9月4日に東京都港区のオフィスについて賃貸借契約している(乙24,乙25)。
(2)本件商標権者は,同人のウェブサイト及び電話を通じて,商品名「sai」の文字と「Colloidal Platinim」の文字が2段に表示された商品(以下「使用商品」という。)を販売している(乙1,乙3,乙23)。
なお,使用商品は,「sai」の文字のみの商品名で表示される場合がある(乙1〜乙3,乙23ほか,被請求人の主張)。
(3)使用商品のパンフレットには「『sai/サイ』は・・・『世界初のプラチナ飲料です』」,「『sai』の材料は,プラチナと綺麗な水だけ。」及び「プラチナ飲料『飲む音楽sai』(清涼飲料水)50ml×3本セット 15400円(消費税込み)」の記載及び本件商品の包装箱の表示があるところ(乙3),定期購入のご案内の表題のパンフレットには,使用商品を定期購入した場合は,同時注文及び追加注文が,毎月3箱まで30%割引の10780円で購入できるとある(乙23)。
(4)平成31年4月30日発行の「GOLF DIGEST Traveler」において,使用商品が紹介されているところ,その記事には「・・・愛飲されている清涼飲料水『sai(サイ)』。水とプラチナだけで構成されている・・・清涼飲料水の製造許可を得てつくられ・・・」の記載がある(乙5)。
(5)被請求人が,使用商品の製造元と主張するアイノベックス社は,「清涼飲料水の製造等」を事業とする会社であり,「プラチナコロイドのチカラ−化粧品原料,食品原料として−」の表題のパンフレットの9頁には「食品用プラチナコロイド・清涼飲料水『sai』は・・・」及び11頁には「■サプリメント」の見出しの下「・『sai』を飲用することで,精神的な諸症状が改善」の記載がある(乙15)。
(6)使用商品を飲用している需要者と思われる者のウェブサイトには,使用商品の包装瓶の写真の表示,「白金コロイド液(サイ sai)を実際に体験したり・・・」,「製造元のアイノベックス株式会社・・・そして2000年9月当時の厚生省から清涼飲料水の許可を取得されました。」,「プラチナコロイド液」,「アイノベックス社製プラチナコロイドは,多くの特徴を持っています。清涼飲料水として安全に飲用できます。副作用は皆無です。」,「国内で最初に飲料水として認可を取得して,清涼飲料水として販売!飲料水(sai)のお問い合わせ先は」,「プラチナの世界へようこそ♪飲むプラチナを試してみませんか」,「プラチナが飲めるって知ってますか?」,「飲むプラチナsai」,「私はプラチナコロイドの清涼飲料水『sai』のファンであり・・・清涼飲料水saiと・・・」等の記載がある(乙16〜乙19)。
(7)本件商標権者は2019年1月10日に同人の旧本社において,使用商品を販売したことがうかがえる(乙27,乙28)。
なお,使用商品の価格は一箱につき15400円である(乙27,乙28)。
(8)アイノベックス社に係る商品が,米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の食品製造施設登録において「MINERAL SUPPRIMENT IN WATER」という商品名で登録認可されたことがうかがえる(乙10)ところ,被請求人は,当該商品は使用商品である旨主張している(乙12)。
(9)被請求人が使用商品の英文パンフレットと主張する書証には「"sai" is a liquid mineral supplement containing pure water and colloidal platinum (和訳:saiは,純水とコロイド状プラチナを含む液体ミネラルサプリメントです。)」の記載があるところ,当該書証には,印刷範囲や裁断ライン,加工の位置を示すトンボ(トリムマーク)が表示されている(乙14)。
(10)本件商標権者は,2020年6月26日ないし同年9月29日に「SAI(Mineral supplement Water)150ml」の商品名の商品を中国に向けて発送したことがうかがえる。なお,当該商品の価格は一箱につき,日本円で560円であるところ(乙13),被請求人は,当該商品は使用商品である旨主張している。
(11)被請求人が海外向けの使用商品であると主張する商品の包装箱は使用商品のパンフレット(乙3)に掲載されている包装箱とは異なるものであって,包装箱の上部に「Mineral Supplement」の文字が表示されている(乙11,乙26)。
(12)いわゆる「健康食品」,「サプリメント」の原材料にプラチナナノコロイド,白金ナノコロイドがある(乙6の2,乙9,乙20,乙21)。
(13)一般財団法人日本食品分析センターがアイノベックス社に発行した分析試験成績書には「検体名 sai IS−17985」,「分析試験項目」として「白金」,「結果」として「430ppm」の記載がある(乙22)。
2 判断
(1)不使用取消審判の請求の対象となっている登録商標を現実に使用している商品が当該登録商標の指定商品に該当するか否かは,単に,その名称,表示等の形式のみによって判断すべきではなく,当該商品の取引者及び需要者の判断を基準として実質的に判断すべきである(東京高裁昭和57年(行ケ)第67号同60年5月14日判決参照)。
そして,被請求人は,本件商標権者が要証期間に本件商標と社会通念上同一である使用商標を請求に係る指定商品(白金ナノコロイドを配合したサプリメント)に使用していた旨主張するのでこれについて検討する。
(2)使用商品について
本件商標権者は「清涼飲料水」等を販売している法人であり,使用商品は,本件商標権者及び被請求人が使用商品の製造元と主張するアイノベックス社のウェブサイト記事及びパンフレットにおいて「清涼飲料水」と紹介されている。
また,使用商品は,雑誌の記事及び使用商品の需要者に係るウェブサイト記事においても「清涼飲料水」及び「飲むプラチナ」のように紹介されている。
そして,被請求人は,使用商品が「白金ナノコロイドを配合したサプリメント」として紹介されていることを示すウェブサイト・雑誌の記事等を提出していない。
そうすると,使用商品のパンフレット,本件商標権者のウェブサイト等に接する需要者は,使用商品を「清涼飲料水」と認識し,購入しているものであるから,当然に需要者に係るウェブサイトにおいても,使用商品を「清涼飲料水」として紹介しているものと認められる。
使用商品が請求に係る指定商品(白金ナノコロイドを配合したサプリメント)に該当するかどうかは,その取引者及び需要者の判断を基準とすべきところ,上記より,取引者及び需要者が,使用商品を「清涼飲料水」として認識しているとみるのが相当であり,請求に係る指定商品(白金ナノコロイドを配合したサプリメント)として認識しているとは,いえないものである。
したがって,使用商品は「清涼飲料水」であって,請求に係る指定商品(白金ナノコロイドを配合したサプリメント)であると認めることはできない。
(3)被請求人の主張について
ア 被請求人は,使用商品に含有される「白金ナノコロイド」が国立研究開発法人の医薬基盤・健康・栄養研究所による「健康食品」の素材情報データベースに,健康食品やサプリメントとして登録されていること,「白金ナノコロイド」がサプリメントの原材料であること,使用商品の「白金ナノコロイド」の含有率が,他の白金ナノコロイドを原材料とするサプリメントより高いこと及び使用商品の使用方法が他の飲料等に滴下して飲用するものであり,当該使用方法はサプリメントの使用方法であること等を理由として使用商品は「サプリメント」であり,需要者も使用商品が「サプリメント」であると認識している旨主張する。
しかしながら,上記(2)のとおり,本件商標権者は,使用商品を清涼飲料水として販売している。
また,使用商品を使用していると思われる需要者のウェブサイトにおいて,「他の『サプリメント』を飲用していた需要者が本件商品の飲用により『他のサプリメントを飲まなくなった』」ことや,「清涼飲料水では説明できない『体験談』」や,使用商品を他の飲み物に滴下して飲用する旨が記載されているものの,これらの需要者は,使用商品を「サプリメント」ではなく「清涼飲料水」と紹介しているものであるから,需要者による使用商品の認識は,「清涼飲料水」であるというのが相当である。
イ 被請求人は,アイノベックス社が頒布しているパンフレットの「■サプリメント」の欄に使用商品の記載がある旨主張している。
しかしながら,上記1(5)のとおり,当該パンフレットには使用商品が「清涼飲料水」と明記され,また,上記(2)のとおり,使用商品は,需要者において清涼飲料水として認識されているものである。そして,当該パンフレットの頒布先,頒布部数,頒布時期等は明らかではないから,当該パンフレットの「サプリメント」の欄に使用商品の記載があることのみにより,使用商品がサプリメントであると認めることはできない。
ウ 被請求人は,使用商品が,米国FDA(アメリカ食品医薬品局)の食品製造施設登録において「MINERAL SUPPRIMENT IN WATER」という商品名で登録認可された旨及び英文パンフレットに「"sai" is a liquid mineral supplement containing pure water and colloidal platinum (和訳:saiは,純水とコロイド状プラチナを含む液体ミネラルサプリメントです。)」の記載があるから, 使用商品は「サプリメント」のカテゴリーであることがわかる旨を主張している。
しかしながら,米国で消費される食品や飲料などを製造,加工等する業者は,米国FDA(アメリカ食品医薬品局)に登録する必要があり,申請後登録が認可されるというものにすぎない。
また,英文パンフレットは加工の位置を示すトンボ(トリムマーク)が表示されていることから印刷前の版下と認められるもので,実際にこのパンフレットが作成されたかは不明であり,また,作成されたとしても,当該パンフレットの頒布地域,頒布部数,頒布期間等は不明である。
そうすると,米国FDAの食品製造施設登録の認可及び英文パンフレットに「mineral supplement」の文字の記載があることが,我が国の需要者の認識に影響を及ぼすものとはいえない。
エ 被請求人は,本件商標権者が,使用商品の包装箱に「Mineral Supplement」の文字を表示しインボイス及び送り状の商品明細に「SAI(Mineral supplement Water)」と記載した使用商品を海外ユーザー向けに出荷した旨を主張する。
しかしながら,上記(2)のとおり,使用商品は,我が国において清涼飲料水として認識されるものであり,使用商品の出荷先である中国においてどのように認識されているか不明であるから,包装箱,インボイス,送り状に「Mineral supplement Water」の文字の記載があることのみにより,ただちに使用商品が請求に係る指定商品(白金ナノコロイドを配合したサプリメント)であると認めることはできない。
オ したがって,被請求人の主張はいずれも採用できない。
(4)小括
被請求人が提出した証拠から認定できる使用商品は,請求に係る指定商品(白金ナノコロイドを配合したサプリメント)とは認められない。
そして,他に被請求人が提出した証拠によっては,要証期間に,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標を使用していることを証明するものはない。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできない。
また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中「結論掲記の指定商品」について,商標法第50条の規定により登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲 本件商標


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,この審決に係る相手方当事者を被告として,提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-02-22 
結審通知日 2022-02-28 
審決日 2022-03-23 
出願番号 2013042748 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W05)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 佐藤 松江
大森 友子
登録日 2013-12-27 
登録番号 5640141 
商標の称呼 サイコロイダルプラチナ、サイコロイダルプラチナム、サイ、エスエイアイ、コロイダルプラチナ、コロイダルプラチナム、コロイダル、プラチナ、プラチナム 
代理人 亀卦川 巧 
代理人 勝見 元博 
代理人 山尾 憲人 
代理人 佐々木 美紀 

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