• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W39
管理番号 1389562 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-02-26 
確定日 2022-04-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第5833583号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5833583号商標の指定役務中、第39類「自転車の貸与」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5833583号商標(以下「本件商標」という。)は、「エコサイクル」の片仮名を標準文字で表してなり、平成27年10月26日に登録出願、第39類「駐車場又は駐輪場の提供,駐車場又は駐輪場の管理,機械式駐車装置又は機械式駐輪装置の貸与,自転車の貸与,駐車場又は駐輪場の管理に関する情報の提供,駐車場又は駐輪場の提供に関する情報の提供」を指定役務として、同28年2月19日に登録査定、同年3月11日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、令和3年3月15日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の平成30年3月15日から令和3年3月14日までを以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第39類「自転車の貸与」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「自転車の貸与」への本件商標の使用について
チラシ(乙1)には「前払式時間貸駐輪場」との記載があり、「駐輪場の提供」に関するチラシであると認めることはできるものの、「自転車の貸与」の役務に関する記述は何ら存在しない。
メールマガジン(乙3)も「◆−地球にやさしい“エコサイクル”− 自転車での移動は地球環境にもお財布にもやさしくおすすめです。駐輪場も運営中♪」との記載があるのみで、「自転車の貸与」の役務に関する記述は何ら存在しない。
乙第5号証は、奈良県二上駅前の写真とのことであるが、当該証拠は、せいぜい「駐輪場の提供」を行っていることを示すのみであり、「自転車の貸与」の役務を提供していることは到底うかがえない。加えて、当該証拠では「エコサイクル」の表示がされていることも確認できない。なお、「サイクルECO」の表示が確認できるが、当該表示は本件商標と同一ではないことを念のため付言する。
なお、乙第2号証及び乙第4号証には、「エコサイクル」の表示も役務に関する記述も存在しない。
以上のように、被請求人の主張及び証拠からは、そもそも請求に係る指定役務である、第39類「自転車の貸与」について本件商標が使用されている様子はうかがえない。
(2)要証期間内における使用について
チラシ(乙1)には、作成日等を示す日付が何ら存在しない。この点、ポスティング報告書(乙2)は、チラシ(乙1)の配布事実及び配布時期を示すために提出されたものと思われるが、ポスティング対象物について何ら特定されておらず、これがチラシ(乙1)に関する報告書であるのかは不明である。さらに被請求人に宛てられた報告書なのかどうかも明らかではない。したがって、ポスティング報告書(乙2)からは、チラシ(乙1)が実際に2019年7月20日に配布されたか否かは不明である。
メールマガジン(乙3)には、被請求人が注記したと思われる「※8月28日配信分」の記載があるが、配信先・配信元・送信日時のタイムスタンプ等の記載もなく、単なるメールの原稿のようである。また、乙第4号証は、メールマガジンの配信実績に関する資料と思われるが、作成者も不明であり、配信されたメールマガジンの内容についても何ら特定されていないため、これらの証拠からは乙3に係るメールマガジン(乙3)が実際に8月28日に配信されたか否かは明らかではない。
写真(乙5)は、撮影日時の立証がなく、要証期間内に撮影されたものか不明である。
以上のように、被請求人は、要証期間内に登録商標を使用していたことを何ら立証していない。
(3)「エコサイクル」の商標としての使用について
乙第1号証及び乙第3号証には、「エコサイクル」の表示が記載されていることは確認できるが、当該表示は、役務との関係性が明確ではなく、役務の出所を表示する「商標」として使用されているものとはいえない。
この点、甲第1号証は、被請求人ホームページの導入事例集のページであるが、上から3つめの事例の「サイクルECO(自転車駐輪場)」を見ると、「スペース24は環境とお財布にやさしい自転車での移動“エコサイクル”の普及・推進に取り組んでいます。」と記載されている。すなわち、被請求人は、環境とお財布にやさしい自転車での移動行為を呼ぶ言葉として「エコサイクル」を使用しているのであり、役務の出所表示として「エコサイクル」を用いてはいない。
以上のように、被請求人自身が「エコサイクル」を商標として使用していないことに加え、乙第1号証及び乙第3号証における「エコサイクル」の表示と役務との関係性が不明確であることを踏まえれば、需要者等は乙第1号証及び乙第3号証における「エコサイクル」を役務の出所識別標識である商標として認識することはないといえる。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、答弁において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。
被請求人は、駐車場や駐輪場の運営管理を主たる事業とする法人であるが、乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人が、2019年(令和元年)7月20日に奈良県の二上駅前で「駐輪場の提供,自転車の貸与」をすべく、奈良県香芝市周辺で配布したチラシポスティングの写し及び同ポスティングの配布を請け負った事業者(ラクスル株式会社)の報告書である。
同書証から容易に理解できるように、「エコサイクル」は、自転車に関連する役務について使用されているものであるが、被請求人にあっては、このような「エコサイクル」と称したサービスにおいて、「駐車場の提供」(審決注:「駐輪場の提供」の誤記と認められる。)と付随して「自転車の貸与」も意図し、2020年(令和2年)6月から8月にかけても、延べ14559通ものメールマガジンの配信にて宣伝広告を行うと共に、実際に奈良県の二上駅前で自転車に関連する役務を提供している(乙3〜乙5)。
乙第1号証ないし乙第5号証より、被請求人は、2019年(令和元年)7月と2020年(令和2年)6月から8月にかけて、本件商標「エコサイクル」を付した「駐車場の提供,自転車の貸与」(審決注:「駐輪場の提供,自転車の貸与」の誤記と認められる。)について宣伝広告活動を行っており、これらが商標法第2条第3項第8号等の「使用」に該当することは明白である。

第4 審尋
当審より被請求人に対し、令和3年8月26日付け審尋において、被請求人の主張及び提出された証拠からは、被請求人(商標権者)が、要証期間に、日本国内において、請求に係る指定役務「自転車の貸与」について本件商標を使用していたことを証明しているものとはいえない旨の合議体の暫定的見解及び請求人が提出した令和3年7月9日付けの弁駁書に対する意見を求めた。

第5 審尋に対する回答
被請求人は、令和3年9月30日付け及び同年11月1日付けの回答書において、審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第6号証を提出した。
被請求人にあっては、乙第6号証(被請求人ホームページの導入事例集のページ)に示すとおり、請求に係る指定役務「自転車の貸与」との関係で、本件商標「エコサイクル」を使用している。
そして、乙第6号証には、ウェブサイトの更新日が令和2年9月29日と表示されていることに鑑みると、遅くとも同日までに、すなわち、要証期間内に、被請求人によって、本件商標が指定役務「自転車の貸与」について使用されていたといった事実が容易に理解でき、故に、本件審判の請求は成り立たず、被請求人にあっては、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。

第6 当審の判断
1 事実認定
被請求人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)チラシ(乙1)は、その上段において、「エコサイクル」の文字が、やや太字のゴシック体の書体で赤色で大きく表示されている。また、下段において、オレンジ色の太枠による四角囲いの中の左側には、「前払式時間貸駐輪場」、「サイクルECO」及び「二上駅前第1」の文字が三段に表示され、その下に「24時間毎」、「50円」「住所:奈良県香芝市穴虫1047−2」及び「収容台数:22台」の文字がバランスよく表示されている。さらに、オレンジ色の太枠上(下部)に「運営:株式会社スペース24」の文字が問い合わせ先の電話番号とともに表示されている。しかしながら、「自転車の貸与」についての記載は見当たらない。
(2)ポスティング報告書(乙2)には、「この度は、ラクスルをご利用いただきまして誠にありがとうございました。ポスティング報告書になりますので、ご確認の程宜しくお願い申し上げます。」の文章の下に、「配布日」として「2019年07月20日」の表示、「配布地区」として「奈良県香芝市」内の表示、「配布部数」として「合計部数 1,000」の表示がされている。
(3)メールマガジン(乙3)には、冒頭に「※8月28日配信分」の表示があり、「◆−地球にやさしい“エコサイクル”− 自転車での移動は地球環境にもお財布にもやさしくおすすめです。駐輪場も運営中♪」との記載があり、最後に「(株)スペース24」の記載があるが、「自転車の貸与」についての記載は見当たらない。
(4)メールマガジン配信人数リスト(乙4)には、冒頭に「株式会社スペース二十四」の表示があり、「メルマガ配信 都道府県別人数」のタイトルで、都道府県別の会員数と配信日が表形式で記載されているが、客観的な証拠ではない。
(5)奈良県二上駅前駐車場(審決注:「駐輪場」の誤記と認められる。)の写真(乙5)には、1枚目の写真に「サイクルECO 二上駅前第1」、「24時間毎」、「50円」の表示があり、3枚目の写真に「サイクルECOのご利用方法」、「まずはお客様でチェーンロックをご持参下さい。」との記載と、自転車の駐輪の仕方を4つの図で表した看板はあるが、「エコサイクル」の記載はなく、「自転車の貸与」についての記載も見当たらない。
(6)被請求人ホームページの導入事例集(乙6)には、上から3つめの事例「サイクルECO(自転車駐輪場)」において、「スペース24は環境とお財布にやさしい自転車での移動“エコサイクル”の普及・推進に取り組んでいます。」との記載があるが、「自転車の貸与」についての記載は見当たらない。なお、これは甲第1号証と同一の証拠と認められる。
(7)以上を勘案すると、被請求人は奈良県二上駅前で「駐輪場の提供」を行っていることは認められるが、「自転車の貸与」を行っていることを確認することはできない。
2 判断
上記1で認定した事実によれば、被請求人は「駐輪場の提供」を行っていることは認められるが、「自転車の貸与」を行っていることを確認することはできず、「自転車の貸与」について、本件商標を使用した事実について何ら立証がされていない。
したがって、被請求人が、要証期間に日本国内において、請求に係る指定役務について、本件商標を使用したことを認めることができない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において、商標権者、通常使用権者又は専用使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務中、第39類「自転車の貸与」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-02-16 
結審通知日 2022-02-18 
審決日 2022-03-02 
出願番号 2015102886 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W39)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 板谷 玲子
森山 啓
登録日 2016-03-11 
登録番号 5833583 
商標の称呼 エコサイクル 
代理人 石本 貴幸 
代理人 渡部 彩 
代理人 田中 尚文 
代理人 鈴木 守 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ