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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z33
管理番号 1389559 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2021-02-15 
確定日 2022-02-14 
事件の表示 上記当事者間の登録第4311627号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4311627号商標(以下「本件商標」という。)は,「長城」の文字を標準文字で表してなり,平成10年4月1日に登録出願,第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として,同11年9月3日に設定登録がされ,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録日は,令和3年3月4日である。
なお,本件審判において,商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成30年(2018年)3月4日ないし令和3年(2021年)3月3日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は,本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対し,何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用者
本件商標の使用者は,本件商標権者の100%子会社の宝酒造株式会社(以下「宝酒造」という場合がある。)である(乙1)。
2 本件商標の使用に係る商品と使用態様
本件商標の使用に係る商品は,赤および白の2種類のワイン(以下「本件商品」という場合がある。乙2の1,4,乙3の1,2,乙4の1)であり,商標の使用態様は,写真(乙2の1,乙3の1,2,乙4の1)及びラベル(乙2の4)に示すとおりであり,本件商品の正面ラベルに「長城」の文字が鮮明に表わされている。
3 本件商品の品番,品名およびJANコード
本件商品のうち赤ワインの品番,品名,JANコードは,以下のとおりである(乙3の1)。
品番:31339
品名:長城ワイン赤N
JANコード:4904670323246
また,同白ワインの品番,品名,JANコードは,以下のとおりである(乙3の2)。
品番:31218
品名:長城ワイン白S
JANコード:6901009900015
4 商品カタログ「商品のご案内」
宝酒造の「商品のご案内 2020年五月現在」版(乙4の1)は,1万9700部印刷され全国主要取引先に配布されているところ,当該ご案内の40頁には,本件商標が明示された本件商品写真と上記3のJANコードと同じJANコードが掲載されている。
5 本件商品の販売事実
宝酒造は,2020年4月ないし同年9月に晋南貿易株式会社,栄康株式会社及び株式会社ショウリツに本件商品を販売した(乙5〜乙7)。
なお,出荷票,受領書(乙5〜乙7)の「長城ワイン赤N」及び「長城ワイン白S」の品番は上記3の品番に対応している。
6 小括
以上のとおり,本件商標は,要証期間に,日本国内において宝酒造により,その指定商品中「ワイン」について使用されている。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)宝酒造は,本件商標権者の100%子会社の一つであり,酒類,調味料,原料用アルコールの製造・販売を主な事業内容としている(乙1)。
(2)宝酒造が発行した「商品のご案内 2020年5月現在」(以下「商品のご案内」という。)の4葉目(40頁)には,「長城ワイン」のブランド名のもと,以下の商品が掲載されている(乙4の1)。
ア 「商品名:長城ワイン<赤>」,「酒類の品目:果実酒」,「JANコード:4904670323246」及び毛筆体風の書体で「長城」の文字が表示されているラベルが貼付された瓶の写真。
イ 「商品名:長城ワイン<白>」,「酒類の品目:果実酒」,「JANコード:6901009900015」及び上記アと同様の書体で「長城」の文字が表示されているラベルが貼付された瓶の写真。
(3)宝酒造に係る商品のご案内の5葉目には,「本社事務所・・・北海道支社 札幌市中央区北5条西6丁目2−2 札幌センタービル・・・首都圏支社 東京都中央区日本橋2丁目15−10 宝 明治安田ビル・・・」の記載がある(乙4の1)。
(4)「該当製品基本情報」の表題の書証には,「PB品コード」として「31339」の数字,「PB品名(販物用)」として「長城ワイン赤N」の文字,「JANコード」として上記(2)アのJANコードと同じ数字及び上記(2)アの瓶の写真と同じ写真が掲載されている(乙3の1)。
(5)「該当製品基本情報」の表題の書証には,「PB品コード」として「31218」の数字,「PB品名(販物用)」として「長城ワイン白S」の文字,「JANコード」として上記(2)イのJANコードと同じ数字及び上記(2)イの瓶の写真と同じ写真が掲載されている(乙3の2)。
(6)宝酒造株式会社「北海道支社恵庭配送セ」は,北海道札幌市所在の晋南貿易株式会社(以下「晋南貿易」という。)への出荷の際,同社宛てに,「品名分類コード」を「31339」とする商品名「長城ワイン赤N」又は「品名分類コード」を「31218」とする商品名「長城ワイン白S」をそれぞれ「個数」を1とする,2020年(令和2年)4月1日付け,同年6月18日付け,同月25日付け及び同年8月7日付けの「出荷票」及び「受領書」を発行し,これらの伝票を受け取った晋南貿易から,当該日付けの受領印が押印された当該「受領書」の返却を受けた(乙5)。
なお,当該宝酒造株式会社「北海道支社恵庭配送セ」の住所は,上記(3)の宝酒造の北海道支社の住所と一致する。
(7)宝酒造株式会社「首都圏支社 川口配送」は,東京都大田区所在の株式会社ショウリツ(以下「ショウリツ」という。)への出荷の際,同社宛てに,「品名分類コード」を「31339」とする商品名「長城ワイン赤N」又は,及び「品名分類コード」を「31218」とする商品名「長城ワイン白S」をそれぞれ「個数」を1とする,2020年(令和2年)4月11日付け,同年6月11日付け,同年8月20日付け(「長城ワイン赤N」は2個)及び同年9月24日付けの「出荷票」及び受領書を発行し,これらの伝票を受け取ったショウリツから,受領のサインがされた当該「受領書」の返却を受けた(乙7)。
なお,当該宝酒造株式会社「首都圏支社 川口配送」の住所は,上記(3)の宝酒造の首都圏支社の住所と一致する。
2 上記1の認定事項に基づき,以下判断する。
(1)使用商品について
本件商標の指定商品(本件審判の請求に係る商品)は,上記第1のとおり, 第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」である。
そして,商品のご案内(乙4の1)に掲載されている,「長城ワイン<赤>」及び「長城ワイン<白>」を商品名とする商品(以下,これらの商品をまとめて「使用商品」という。)には,「酒類の品目」に「果実酒」とある。
そうすると,使用商品は果実酒であり,本件審判の請求に係る商品中「果実酒」と同一の商品であると認められる。
(2)本件商標と使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,上記第1のとおり,「長城」の文字を標準文字で表してなる。
他方,商品のご案内には使用商品の商品名の下,瓶の写真が掲載されているところ,当該瓶は,それぞれの使用商品の包装瓶の写真と認められる。
そして,当該包装瓶に貼付されたラベルには毛筆体風の書体で「長城」の文字(別掲,以下「使用商標」という。)が表示されている。
そうすると,使用商標と本件商標とは書体にのみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(3)商標の使用及び使用時期について
宝酒造は,要証期間である2020年(令和2年)4月ないし9月において,同社の北海道支社より,北海道札幌市所在の晋南貿易に,及び同社の首都圏支社より東京都大田区所在のショウリツに対して,品名「長城ワイン赤N」及び品名「長城ワイン白S」を出荷し,晋南貿易及びショウリツは,これらの商品を受領していると認められるところ,これらの商品に係る「品名」及び「品名分類コード」は「該当製品基本情報」に掲載された「PB品名(販物用)」及び「PB品コード」と一致する。
また,当該「該当製品基本情報」に掲載されている「PB品名(販物用)」の「長城ワイン赤N」及び「長城ワイン白S」のJANコード及び瓶の写真は,商品のご案内に掲載されている使用商品(「長城ワイン<赤>」及び「長城ワイン<白>」)のそれぞれのJANコード及び包装瓶の写真と一致する。
そうすると,宝酒造が,晋南貿易及びショウリツに出荷し,同社らが受領している品名「長城ワイン赤N」及び品名「長城ワイン白S」は,商品名に欧文字1文字の有無等があるとしても,商品のご案内に掲載されている使用商品と認められる。
したがって,宝酒造は,要証期間内に,使用商品の包装に使用商標を付したものを日本国内の顧客に譲渡又は引き渡したものと認められる。
(4)商標の使用者について
上記(3)のとおり,宝酒造は,要証期間内に,使用商品を日本国内の顧客に譲渡又は引き渡したことが認められるから,本件商標の使用者であるといえるところ,同社は,本件商標権者の100%子会社であって,酒類の販売を主な事業内容としているものである。
したがって,宝酒造は,通常使用権の許諾契約がなくても,本件商標権者から本件商標の使用について黙示の許諾を受けているものと推認することができるから,本件商標の通常使用権者であると認めることができる。
(5)小括
以上によれば,本件商標の通常使用権者である宝酒造は,要証期間に日本国内において,本件審判の請求に係る商品「果実酒」の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付して譲渡又は引き渡したものであって,上記使用行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品の包装に標章を付したものを譲渡し,又は引き渡した行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標の使用権者が本件審判の請求に係る指定商品中の「果実酒」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
別掲(使用商標)


(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは,この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は,その日数を附加します。)以内に,この審決に係る相手方当事者を被告として,提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は,著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては,著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 平澤 芳行
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2021-08-31 
結審通知日 2021-09-03 
審決日 2021-10-05 
出願番号 1998027820 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z33)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 大森 友子
鈴木 雅也
登録日 1999-09-03 
登録番号 4311627 
商標の称呼 チョージョー、ナガシロ 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 北口 貴大 
代理人 永岡 愛 
代理人 城山 康文 
代理人 横川 聡子 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 

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