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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y35 |
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管理番号 | 1389554 |
総通号数 | 10 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-10-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2021-01-13 |
確定日 | 2022-03-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5022646号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5022646号商標(以下「本件商標」という。)は、「エーアールエム」の片仮名と「ARM」の欧文字を二段に表してなり、平成16年11月9日に登録出願され、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」及び第36類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同19年2月2日に設定登録され、同28年10月18日に更新登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和3年1月27日であり、その請求の登録前3年以内の平成30年1月27日から令和3年1月26日までの期間を以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定役務中、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」(以下「請求に係る指定役務」という。)についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務中、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 請求人は、被請求人の答弁に対して何ら弁駁していない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第23号証を提出している。 1 被請求人は、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標である「ARM」を使用して「経営に関する助言」を提供するためのセミナーを開催し(乙1)、当該セミナーの配布資料に「ARM」を使用した(乙4)。また、被請求人が要証期間内に開催したセミナーにおいて参加者に配布した資料(乙8)に、被請求人の健康経営推進サービスの内容とともに「ARM」が使用されており、被請求人の健康経営推進の役務とは、「経営に関する助言」の役務を指す。よって、被請求人は、「ARM」を要証期間内に「経営に関する助言」の提供に関する取引書類、販促物に付して頒布していたものといえる。 2 被請求人が、要証期間内に取引先に、健康経営の推進、すなわち、「経営に関する助言」をするために電子メールで送付した販促用資料(乙9)には、「ARM」が被請求人の役務の出所を表示するものとして使用されている。よって、被請求人は、「ARM」を要証期間内に「経営に関する助言」の提供に関する取引書類、販促物に付して電磁的方法により提供していたものといえる。 3 被請求人が、要証期間内に取引先に電子メールで送付した、被請求人が提供する「産業保健師の紹介・あっせん」サービスの販促資料(乙11)には、「ARM」が被請求人の当該役務の出所を表示するものとして使用されており、このサービスは、「職業のあっせん」サービスにも該当する。よって、被請求人は、「ARM」を要証期間内に「職業のあっせん」の提供に関する取引書類、販促物に付して電磁的方法により提供していたものといえる。 4 被請求人が、要証期間内に取引先に電子メールで送付した、被請求人が提供する「産業医の紹介・あっせん」サービスの販促資料(乙15、乙17、乙20)には、「ARM」が被請求人の当該役務の出所を表示するものとして使用されており、このサービスは、「職業のあっせん」サービスに含まれるものといえる。よって、被請求人は、「ARM」を要証期間内に「職業のあっせん」の提供に関する取引書類、販促物に付して電磁的方法により提供していたものといえる。 5 これらの行為は、商標法第2条第3項第8号の商標の「使用」に該当する。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)本件商標権者は、2020年8月21日までを申込み期間として、企業の人事・労務・総務部門の健康管理責任者ないし担当者を対象者とする「Withコロナ時代、従業員の心と体の健康管理セミナー」と題するセミナーを同月26日に開催する旨をインターネットを用いて告知した(乙1)。 この告知には、セミナーの主催者である本件商標権者の名称、セミナーのタイトル、開催日時、上記申込み期間、上記対象者が表示されるとともに、「〜多数のお客様の健康経営をご支援するARMがお届けします〜」と表示されていた(乙1。以下、乙1の「ARM」の文字を「使用商標1」という。)。 なお、「健康経営」とは、「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」等であり(乙4)、「健康経営」の「支援」とは、健康経営についてのデータ分析支援や健康施策の見直し支援を含むコンサルティングであって、健康経営コンサルティングサービス(乙9)を含むものである(乙8)。 (2)この告知に対しては、200人強の参加申込みがあり(乙2)、この参加申込みを受けて、2020年8月26日に、ウェブセミナー配信ツールであるZOOMを利用してセミナーが開催され(乙1)、セミナー修了後にセミナーの内容を示す配布資料(乙4)がダウンロード配布された。 このセミナーの講演内容は、「健康経営の推進に向けたフィジカル面での対策」を含むものであり(乙1)、セミナーの配布資料(乙4)には、「ARMのご支援内容」として、「行動変容に向けてのサポートが可能」である旨が表示され、また、「ARM」が「各種データ一元管理」を行って、「従業員自ら取り組める仕組みづくり」を行う「企業」に対する「サービス提供」を行う旨を示す図が表示された(乙4。以下、乙4の「ARM」の文字を「使用商標2」という。)。 (3)本件商標権者の従業者は、2020年8月26日に、販促用資料を添付ファイルとする電子メールを取引先企業に送付した(乙14)。 この販促用資料(乙11)は、その表紙に、「企業に寄り添う『産業保健師サービス』のご提案」というタイトルと本件商標権者の名称が表示されたものであり、「産業保健師サービスのご紹介」との小見出しの章において、「ARMの産業保健師サービスの特徴」(以下、乙11の「ARM」の文字を「使用商標3」という。)として、「貴社のニーズに合せ、様々な勤務体制の保健師をご紹介」「ご提供するサービスは人材紹介、業務委託となります。」等と表示され、「保健師サービス(紹介)」として、「貴社と弊社にて人材紹介契約を締結。弊社に登録している保健師の中から貴社の条件に合った方をご紹介いたします。」等と表示されている。 2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 本件商標は、「エーアールエム」の片仮名と「ARM」の欧文字を二段に表した構成からなるところ、「エーアールエム」は、「A」「R」及び「M」のアルファベットそれぞれの読みを表したものであるから、片仮名及び欧文字は観念において異なるものではなく共通にするものといえる。 一方、使用商標である使用商標1、使用商標2及び使用商標3は、いずれも、本件商標の欧文字部分とそのつづりを共通にするものであるから、本件商標が二段併記の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときの、一方の使用であり社会通念上同一の商標と認められる。 (2)使用者について 上記1(1)及び1(2)によれば、セミナーの告知における使用商標1の表示及びセミナーの配布資料における使用商標2の表示は、いずれも、セミナーの主催者である本件商標権者が行ったものと認められる。また、上記1(3)によれば、販促用資料における使用商標3の表示の主体も本件商標権者である。 よって、使用商標1、使用商標2及び使用商標3のいずれについても、使用者は、本件商標権者である。 (3)使用役務について ア 上記1(1)及び1(2)によれば、本件商標権者は、「健康経営」についてのデータ分析支援や健康施策の見直し支援を含むコンサルティングであって、健康経営コンサルティングサービスを含む健康経営の支援サービスを行うとともに、この健康経営コンサルティングサービスを含む健康経営支援サービスについて、使用商標1及び使用商標2を使用したものであるところ、この「健康経営」とは、取引先企業における従業者の健康管理を将来的な収益性の向上に向けた経営的視点から捉えたものであるから、本件商標権者が行う、健康経営の支援としてコンサルティングは、請求に係る指定役務のうち「経営に関する助言」に該当する。 イ 上記1(3)によれば、本件商標権者は、取引先との人材紹介契約に基づく産業保健師の紹介を含む「産業保健師サービス」を行うとともに、この「産業保健師サービス」について、使用商標3を使用したものである。 この産業保健師サービスは、請求に係る指定役務のうち「職業のあっせん」に該当する。 ウ よって、使用役務は、請求に係る指定役務に含まれる「経営に関する助言」及び「職業のあっせん」である。 (4)使用時期について 上記1(1)によれば、本件商標権者は、2020年8月21日にセミナーのインターネットを用いた告知において使用商標1を表示し、上記1(2)及び1(3)によれば、同月26日に、セミナーのダウンロード配布された配布資料において使用商標2を表示し、電子メールで送信された販促用資料において、使用商標3を表示したものと認められる。 よって、使用商標1、使用商標2及び使用商標3の使用は、いずれも要証期間内になされたものである。 (5)使用行為について 上記1(1)のセミナーのインターネットを用いた告知、上記1(2)のセミナーのダウンロード配布された配布資料及び上記1(3)の電子メールで送信された販促資料は、提供先がセミナーの対象者、セミナーの参加者及び電子メールを受信した取引先である点は異なるものの、いずれも使用役務に関する広告を内容する情報として電磁的方法により提供されたものといえる。 よって、上記(4)の、使用商標1、使用商標2及び使用商標3の使用は、いずれも、要証期間内に、使用役務に関する広告を内容とする情報に使用商標1、使用商標2又は使用商標3を付して電磁的方法により提供する行為であり、商標法第2条第3項第8号に該当する。 3 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が請求に係る指定役務中「経営に関する助言」及び「職業のあっせん」について本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 審判長 齋藤 貴博 出訴期間として在外者に対し90日を附加する。 |
審理終結日 | 2021-10-07 |
結審通知日 | 2021-10-11 |
審決日 | 2021-10-28 |
出願番号 | 2004102463 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y35)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
岩崎 安子 相崎 裕恒 |
登録日 | 2007-02-02 |
登録番号 | 5022646 |
商標の称呼 | エーアールエム |
代理人 | 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 |
代理人 | 橘 和之 |