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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W08 |
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管理番号 | 1389551 |
総通号数 | 10 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-10-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-12-27 |
確定日 | 2022-09-21 |
事件の表示 | 商願2020−140426拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標及び手続の経緯 本願商標は、「紙ハサミ」の文字を標準文字で表してなり、第8類「はさみ類」を指定商品として、令和2年11月13日に登録出願されたものである。 原審では、令和3年4月13日付けで拒絶理由の通知、同年5月31日付けで意見書の提出、同年9月29日付けで拒絶査定されたもので、これに対して同年12月27日に本件拒絶査定不服審判が請求されている。 2 原査定の拒絶の理由(要旨) 本願商標は、「紙ハサミ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「紙」の文字部分は、「植物などの繊維を膠着させて製した薄片。材料にアルカリ液を加えて煮沸し、つき砕いて軟らかくし、樹脂または糊などを加えて漉き乾燥させたもの。」を表す語であり、「ハサミ」の文字部分は、「2枚の刃で挟むようにして物を切る道具。」等である「はさみ」を片仮名表記したものだから、全体として「紙のはさみ」程の意味合いが認識される。 そして、本願商標の構成中の「ハサミ」の文字は、その指定商品の普通名称を表示するものであるところ、その指定商品を取り扱う業界において、例えば「セラミックハサミ」や「ステンレスハサミ」のように、「ハサミ」の文字の前に当該商品の材質を明記することが行われていることや、紙用の商品が取り扱われていることを考慮すると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者及び需要者は、当該商品が「紙製の商品」又は「紙用の商品」であると認識するにとどまる。 そうすると、本願商標は、商品の品質、原材料及び用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。 3 当審における証拠調べ通知(令和4年4月28日付け証拠調べ通知書) 当審において、本願商標が、その指定商品との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲1に掲げる辞書における「紙鋏」の語の記載及び別掲2の事例(紙を切るのに使うはさみの事例)を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第1項の規定に基づき、その結果を請求人に通知し、意見を求めた。 4 証拠調べ通知に対する請求人からの意見 請求人は、上記の通知に対して、意見書を提出していない。 5 当審の判断 (1)本願商標について ア 本願商標は、「紙ハサミ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、「紙」(植物などの繊維を膠着させて製した薄片)及び「ハサミ」(2枚の刃で挟むようにして物を切る道具)の文字(参照:「広辞苑 第7版」岩波書店)を、同じ大きさ及び書体で、間隔なく横一列にまとまりよく一連一体の構成で表示してなるもので、別掲1に掲げる辞書に記載のとおり、「紙を切るのに使うはさみ」の意味を有する「紙鋏」の語に通じるものである。 イ そして、本願商標の指定商品(はさみ類)に係る取引業界において、別掲2のとおり、「紙ハサミ」や「紙用ハサミ」、「紙専用はさみ」などと称する、紙を切るのに使うはさみが広く一般に流通している実情がある。 ウ そうすると、本願商標は、その指定商品との関係において、「紙を切るのに使うはさみ」程度の意味合いを認識、理解させるというべきで、単に商品の品質又は用途を表示するにすぎない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は、日常的に使用する一般的なハサミは専ら紙を切断する道具であるところ、用途が明らかな商品の販売に際して用途を表示する必要はないから、本願商標が「紙」の語から始まることに取引者、需要者は違和感を覚えるもので、また、本願商標は「紙用」と表示していないから、本願商標は、単に「紙用のハサミ」を表すと認識されるものではなく、具体的な商品を想起させない旨を主張する。 しかしながら、上記(1)ア及びイのとおり、本願商標「紙ハサミ」は、「紙を切るのに使うはさみ」の意味を有する「紙鋏」の語に通じるもので、当該意味合いに相応する商品が広く一般に流通している実情があることを踏まえると、本願商標は、その指定商品との関係において、「紙を切るのに使うはさみ」程度の意味合いを通常は認識、理解させるというべきである。 (3)結論 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 辞書における「紙鋏」の語の記載 (1)「大辞泉 第2版」(小学館)において、「紙鋏」の項に「紙を切るのに使うはさみ。」の記載がある。 (2)「広辞苑 第7版」(岩波書店)において、「紙鋏」の項に「紙を切るのに用いる鋏。」の記載がある。 (3)「大辞林 第4版」(三省堂)において、「紙鋏」の項に「紙を切るのに用いる鋏。」の記載がある。 別掲2 紙を切るのに使うはさみの事例 (1)「面白映画公式ネットショップ」のウェブサイトにおいて、「熊出没 紙ハサミ」の商品紹介記事が掲載されている。 https://facewhite.stores.jp/items/620bb39bc15c5a2b747e78df (2)「NHK出版」のウェブサイトにおいて、「紙用はさみ」の商品紹介記事が掲載されている。 https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000052002037.html (3)「ボーネルンド オンラインショップ」のウェブサイトにおいて、「紙用ハサミ」の商品紹介記事が掲載されている。 https://ec.bornelund.co.jp/shop/g/gGT3315/ (4)「RINKY DINK」のウェブサイトにおいて、「【premax】プレマックス 紙用はさみ classic クラシカ」の商品紹介の項に、「硬質カーボンスチールを使用したハイクオリティーな紙用はさみは鋭い切れ味と優れた耐久性を兼ね備えています。」の記載がある。 https://www.rinkydink.jp/SHOP/216.html (5)「RIITOkodouguten」のウェブサイトにおいて、「FISKARS フィスカース フィンランド製 はさみ 紙用」の商品紹介の項に、「紙用はさみは先丸で長めの刃になっています」の記載がある。 https://riito.thebase.in/items/9913170 (6)「euro kitchen KASAI」のウェブサイトにおいて、「フリッグ FLiG はさみ 大 (ペーパー・紙用鋏)」の商品紹介記事が掲載されている。 https://eurokitchen.jp/SHOP/KTSPKCHASAL.html (7)「通販モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「ALLEX」の「紙専用はさみ」の商品紹介記事が掲載されている。 https://www.monotaro.com/g/02641780/ (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2022-07-19 |
結審通知日 | 2022-07-25 |
審決日 | 2022-08-08 |
出願番号 | 2020140426 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W08)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
矢澤 一幸 |
特許庁審判官 |
杉本 克治 阿曾 裕樹 |
商標の称呼 | カミハサミ、カミ |
代理人 | 特許業務法人栄光特許事務所 |