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審決分類 審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 登録しない W30
管理番号 1389520 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-08-23 
確定日 2022-09-05 
事件の表示 商願2020−94561拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和2年7月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年12月15日付け:拒絶理由通知
令和3年 1月25日 :意見書の提出
令和3年 5月20日付け:拒絶査定
令和3年 8月23日 :審判請求書の提出

第2 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第30類「コーヒー,コーヒー豆」を指定商品として登録出願されたものである。

第3 原査定の拒絶の理由(要点)
本願商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、その構成中の「チバニアン」の文字は、約77万〜12万9千年前までの地球における地質年代の名称を表す語であり、平成29年6月に、国立極地研究所や茨城大などの研究チームが「チバニアン」を日本の地層として国際地質科学連合に登録申請し、令和2年1月に、上記の地質年代の区切りの規準となる「国際標準模式地」の名称として、日本の地層として初めて認定されたものである。
また、チバニアンの「国際標準模式地」である千葉県市原市の「養老川流域田淵の地磁気逆転地層」は、平成30年10月15日に、国の天然記念物に指定され、「チバニアン」の登録申請の際の地層及びその周辺地域は、紅葉の名所として知られる養老渓谷や温泉、小湊鉄道のトロッコ列車など様々な観光資源も存在することから、地元では、チバニアンビジターセンターをオープンさせるなどして、「チバニアン」に関連する観光振興に力を入れている実情にある。
そうすると、「チバニアン」の語は、地質年代の一名称として、我が国において広く一般に認識されており、また、「チバニアン」の登録申請の際の地層は、少なくとも我が国において著名な場所であって、当該地層及びその周辺地域が観光地として、広く一般に認識されているというのが相当である。
ところで、新たに世界遺産や国の天然記念物に指定された場所などが、新聞、ウェブサイト等の報道によって広く知られ、多くの者が当該地を訪れることにより結果として著名な観光地となることは一般的なことといえ、かつ、このような文化的所産の名称等を利用した地域興し等は盛んに行われているから、このような名称は、その知名度により強い顧客吸引力を有するものであり、それを商標として使用したいとする者も少なくない。
そして、本願の指定商品に係る食品分野においては、一般に観光名所等の名称やその地理的な名称を付した各種の土産物が販売されている実情がある。
してみれば、本願商標を、一私人である出願人に、本願の指定商品について独占使用を認めることは、「チバニアン」と称する地層に関連した観光振興や地域興しなどの公益的な施策の遂行を阻害し、また、各種の土産物を取り扱う事業者に対して無用の混乱を招くおそれがあるものというのが相当であるから、社会公共の利益に反するおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)本願商標
本願商標は、別掲1のとおり、周縁部に白色の細線が配された青色図形(以下「青色図形」という。)内の上部に、「Welcome」及び「ようこそ」の文字(両者の間には波線が表されている。)並びにその右側にカップ等と思しき図形を小さく表し、中央部に、大きく顕著に「チバニアン」の文字(「ン」の文字には、青色の化石状の図形が表されている。)の文字を表し、下部には、「City市原」の文字を「チバニアン」の文字に比して小さく、「781」の数字をより小さく表してなるものであり、「Welcome」、波線及び「781」は黄色で、その他の構成部分は白抜きで表されている。
そして、本願商標の構成中、青色図形は、背景図形の一類型として認識され、「Welcome」及び「ようこそ」の文字は、他人の訪問などを歓迎する挨拶語であって、例えば観光地の土産物等にしばしば用いられる語でもあり、「City市原」の文字は、千葉県市原市を看取させるものである。また、カップ等と思しき図形や「781」の数字は、何らかの図形や数値を表したものと認識されるにとどまるものである。
一方、本願商標の構成中、中央部に大きく顕著に表された「チバニアン」の文字は、別掲2(1)のとおり、約77万4千年前から12万9千年前までの地球における地質年代の名称を表す語であって、当該文字は、視覚上、その他の構成部分に比して、太字で大きく表されていることから、取引者、需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部であるとみるのが自然である。
(2)我が国における「チバニアン」の語の周知性
ラテン語で「千葉時代」を意味する「チバニアン」の語は、遅くとも、国立極地研究所や茨城大学などの研究チームが、2017年6月7日に、千葉県市原市の養老川沿いにある地層(以下「養老川流域地層」という。)を、地質年代の区切りの基準となる「国際標準模式地」として国際地質科学連合(以下「IUGS」という。)に登録申請した頃から、地質年代の一名称ないしその名称の候補として、新聞報道やウェブサイト上の記事等によって広く報じられた。IUGSにおいて上記申請を審査中の2018年10月15日には、養老川流域地層は、「養老川流域田淵の地磁気逆転地層」の名称で、我が国の天然記念物に指定され、その後、2020年1月に、IUGSで、約77万4千年前から12万9千年前までの地質年代を「チバニアン」と命名することが決まり、養老川流域地層は、日本の地層として初めて「国際標準模式地」に認定された。
「チバニアン」命名の由来となった養老川流域地層を擁する市原市では、国の天然記念物指定や、「チバニアン」命名を受けて、養老川流域地層を新たな観光資源と捉え、その周辺地域に存在する養老渓谷や温泉、小湊鉄道のトロッコ列車等の様々な観光資源や、2019年12月にオープンした「チバニアンビジターセンター」などと共に、「チバニアン」に関連する観光振興に力を入れており、千葉県も観光振興の効果に期待を寄せている実情がある。
そうすると、「チバニアン」の語は、地質年代の一名称として、我が国において広く一般に認識されており、また、養老川流域地層は、我が国において著名な場所であって、養老川流域地層及びその周辺地域は、観光地として、広く一般に認識されているというのが相当である(以上、別掲2及び別掲3参照。)。
(3)我が国における「チバニアン」の語の使用の実情
新たに世界遺産や国の天然記念物に指定された場所などが、新聞、ウェブサイト等の報道によって広く知られ、多くの者が当該地を訪れることにより、結果として著名な観光地となることは一般的であり、このような観光資源を利用した地域興し等が各地で行われていることも、一般に知られているところである。そして、これらの地では、観光名所の名称やその地理的な名称を付した各種の土産物が販売されており、本願の指定商品に係る食品分野においても、同様の実情がある。
そして、養老川流域地層を擁する千葉県市原市及びその周辺地域でも、請求人以外の者により、バームクーヘン、パン、ピーナッツ及びキムチといった各種の食品に「チバニアン」の語が使用されていることが認められる(別掲4参照)。
(4)「チバニアン」の語と本願の指定商品との関係
「チバニアン」の語は、上記(2)のとおり、地質年代の一名称として、我が国において広く一般に認識されているため、強い顧客吸引力を有するといえる。
そして、上記(3)のとおり、千葉県においても、複数の他人が、「チバニアン」の語をバームクーヘン、パン、ピーナッツ及びキムチといった各種の食品に付し、使用している事実が認められるところ、本願の指定商品も、食品分野のものである。
上記事情を考慮すると、養老川流域地層を擁する千葉県市原市及びその周辺地域の食品を始めとする各種商品を取り扱う事業者が、「チバニアン」の語を、それぞれの商品について使用を欲するものと考えられる。
(5)請求人による本願商標の出願の目的
請求人の主張によれば、請求人は、市原市に所在し、観光振興の公益的な施策に積極的に寄与している事業者であって、株式会社JTBが開催するチバニアンの観光プラン「チバニアンプライベートガイドプラン」の記念品として、本願商標が付されたコーヒーが提供されているとしている。
(6)判断
以上によれば、「チバニアン」の語は、約77万4千年前から12万9千年前までの地球における地質年代の名称を表す語であり、当該名称は、2020年1月にIUGSで認定されたものであるところ、認定を受けるための申請の段階から、「チバニアン」に関する内容の新聞報道等が多数行われており、当該語は、地質年代の一名称として、我が国において広く一般に認識されているため、強い顧客吸引力を有するといえる。そして、千葉県市原市の養老川流域地層は、「チバニアン」命名の由来となった地として、我が国において著名な場所であって、観光地として、広く一般に認識されているものと認められる。
また、市原市では、養老川流域地層を新たな観光資源と捉え、「チバニアン」に関連する観光振興に力を入れているところ、一般的に観光地では、食品を含めた各種の土産物が販売されており、市原市及びその周辺地域でも、既に請求人以外の者によって、各種の食品に、「チバニアン」の語が使用されている実情が認められる。
そして、本願の指定商品は食品であること、及び上記の実情を踏まえれば、本願の指定商品の分野において、今後更に同地域の多くの事業者が、「チバニアン」の語の使用を欲する可能性は極めて高いというのが相当である。
そうすると、たとえ、請求人が市原市の観光振興に寄与している事業者であって、本願商標が付されたコーヒーがチバニアンに係る観光の記念品として提供されているとしても、上記事情を総合的に勘案すれば、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部である「チバニアン」の文字を含む本願商標を、一私人が自己の商標として登録し、独占的に使用することは、「チバニアン」を活用した観光振興等の公益的遂行を阻害するおそれがあり、さらに、「チバニアン」に係る観光地に関連した各種の土産物を取り扱う事業者や、今後「チバニアン」の語の使用を欲するであろう多くの事業者に対して、無用の混乱を招くおそれがあると判断するのが相当である。
してみれば、このような事情を招くおそれがある本願商標を、請求人の商標として登録を認めることは、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものというべきである。
したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、本願商標は「チバニアン」の文字を含むものの、これ以外の要素が多数入っていることから、本願商標を請求人が商標権として取得したとしても、単なる「チバニアン」の文字のみの商標とは明確に異なるものであり、「チバニアン」の文字を独占するものではないこと、それゆえ、観光振興等の公益的な施策の遂行を阻害することはなく、各種土産物を取り扱う事業者に対して混乱を招く恐れもない旨主張する。
しかしながら、商標権は、指定商品又は指定役務について登録商標を独占的に使用することができる権利であるとともに、第三者に対しても、同一又は類似の商標の使用を禁止することができる権利でもある。上述のとおり、本願商標は、強い顧客吸引力を有する「チバニアン」の文字を要部とするものであることからすれば、これを、特定の者に、商標権として商標登録を認めることは、「チバニアン」を活用した観光振興に注力する千葉県市原市をはじめ、各種の土産物を取り扱う事業者や、今後、当該語の使用を欲するであろう事業者に係る商品(コーヒー、コーヒー豆)について、「チバニアン」の語の使用を制限することとなる。
そうすると、本願商標をその指定商品について登録することは、指定商品についての使用の独占をもたらすことになり、観光振興等の公益的遂行を阻害するおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、ひいては社会公共の利益に反するものとして、公の秩序又は善良の風俗を害するものといわざるを得ない。
(2)請求人は、コーヒー、コーヒー豆の類似群コードを有するとする過去の商標登録の存在を挙げ、いずれの出願の経過を見ても、商標法第4条第1項第7号の拒絶理由は通知されておらず、現状のチバニアンよりも極めて著名な観光地であるにも関わらず登録になっており、本願商標のように、一部でも観光名所等の名称が入ってしまっていれば「観光振興や地域おこしなどの公益的な施策の遂行を阻害し、また、各種の土産物を取扱事業者に対して無用の混乱を招くおそれがある」と認定するのであれば、極めて不合理な判断である旨主張する。
しかしながら、請求人の挙げる「富士山\ありがとう」(登録第5886551号商標)及び「池間島\ハート岩」(登録第5595954号商標)の登録例は、いずれも役務を指定するものであり、「南極点」(登録第1978981号商標)の登録例は、指定商品が「菓子及びパン」であり、それぞれ本願の指定商品とは相違する。
また、指定商品に「コーヒー」又は「コーヒー豆」を含む登録例(「鬼の洗濯板」(登録第5681431号商標)、「富士山」(登録第5050829号商標)、「富士五湖」(登録第5224834号商標)、「日本海」(登録第5402358号商標))についても、それぞれ、宮崎県宮崎市青島をとりまく波状岩の通称、山の名称、山梨県側の富士山麓に位置する5つの湖の総称、及び海の名称である。一方で、本願商標の要部である「チバニアン」の文字は、地質年代の名称であるし、それぞれの名称が我が国において広く一般に認識されるようになった経緯等の事情が異なることに加え、商標法第4条第1項各号所定の商標登録を受けることができない商標に当たるかどうかを判断する基準時は、原則として登録査定時である(最三小平成16年6月8日判決 裁判集民事214号373頁)。
よって、請求人の挙げる上記の登録例は、本願商標の商標法第4条第1項第7号の該当性を判断する上で参考とすべき事例としては適切とはいえず、同号に該当するか否かは、個別かつ具体的に判断されるべきものであるから、上記の登録例の存在によって本件の判断が左右されるものではない。
(3)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり、審決する。
別掲
別掲1 本願商標(色彩は原本参照。)


別掲2 原審において開示した事実
(1)「コトバンク」のウェブサイトにおいて、「チバニアン」の見出しの下、「(読み)ちばにあん(英語表記)Chibanian 知恵蔵miniの解説 約77万年4千前から12万年9千年前までの地球における地質年代の名称。ラテン語で「千葉時代」の意。国立極地研究所や茨城大学などの研究チームが、千葉県市原市の養老川沿いにある地層を地質年代の区切りの基準となる「国際標準模式地」として申請し、2020年1月、日本の地層として初めて国際地質科学連合に認定された。約77万年前に海底で堆積した同地層には、地球の磁気(地磁気)のN極とS極が最後に逆転した痕跡が残されており、この時代の気候変動や生物種などを調べるうえで重要な地層として注目されている。」の記載、及び「出典 朝日新聞出版」の記載がある。
https://kotobank.jp/word/%E3%83%81%E3%83%90%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%B3-1726758
(2)2016年4月15日付け「朝日新聞」(朝刊、1ページ)において、「(天声人語)地質年代にチバニアン」の見出しの下、「地質年代の境目を示す「国際標準模式地」に選ばれると、「チバニアン」という地質年代が生まれる。「千葉時代」である」の記載がある。
(3)2017年5月6日付け「日本経済新聞」(夕刊、8ページ)において、「「千葉時代」を地球史に、地質年代命名権、国際学会に申請、市原の地層。」の見出しの下、「地球の歴史の77万〜12万6千年前の時期をラテン語で「千葉時代」を意味する「チバニアン」と命名しようと、茨城大や国立極地研究所のチームが、千葉県市原市にある77万年前の地磁気反転を示す地層を、その時代を代表する「国際標準模式地」の候補として、月内に国際学会に申請することが6日、分かった。」の記載がある。
(4)2017年6月7日付け「日本経済新聞」(朝刊、38ページ)において、「磁場反転示す千葉地層の時代、「チバニアン」きょう申請、茨城大など、国際学会に。」の見出しの下、「地球の磁場(地磁気)が反転した痕跡を残す千葉県市原市の地層について、茨城大や国立極地研究所などのチームが7日、地球の歴史で約77万〜12万6千年前の年代名を決める基準地とするよう、国際学会に申請する。イタリアからの提案もあり、学会は年内にも選考に入る。日本チームの主張が通るとラテン語で「千葉時代」を意味する「チバニアン」の名称がつく見通しだ。」の記載がある。
(5)2017年11月14日付け「産経新聞」(東京版 朝刊、1ページ)において、「地球史に「千葉時代」誕生へ 77万〜12万6000年前「チバニアン」」の見出しの下、「地球の歴史で約77万〜12万6千年前の年代が「チバニアン」(千葉時代)と命名される見通しになったことが13日、関係者への取材で分かった。この年代の基準地として千葉県の地層を国際学会に申請し命名を目指す日本の研究チームが、競合するイタリアを1次審査で破った。(中略)日本は国立極地研究所や茨城大などのチームが千葉県市原市の地層を基準地として申請。ラテン語で千葉時代を意味するチバニアンの年代名を提唱した。」の記載がある。
(6)2018年6月16日付け「朝日新聞」(朝刊、33ページ)において、「チバニアン「国のお墨付き」 「地磁気逆転地層」天然記念物指定へ /千葉県」の見出しの下、「地質学上の時代区分に「チバニアン」の名が刻まれる可能性があることで注目される市原市田淵地区の「地磁気逆転地層」が、国の天然記念物に指定されることになった。国の文化審議会が15日、文部科学相に答申した。正式指定の秋ごろに向けて、地元の市原市は地層の保存保護を進め、研究材料や観光資源として活用を図る方針だ。指定されるのは、地磁気逆転地層を中心に、周辺の養老川の川底の化石や滝、支流沿いの露出部分も含めた約2・8ヘクタール。市原市が1月に県を通じて国に意見具申していた。県内の天然記念物(特別天然記念物1件を含む)は計18件となる。」の記載がある。
(7)2020年1月18日付け「東京新聞」(朝刊 地方版(千葉中央版)、22ページ)において、「観光資源に/新たな誇り 地元・市原や県、喜び広がる」の見出しの下、「【千葉県】地層「千葉セクション」がある市原市の小出譲治市長は臨時会見を開き、「市原だけではなく、日本、世界の宝。新たな観光資源として磨き上げ、世界に発信したい」と喜びを語った。森田健作知事は「今回の認定は県民の新たな誇りとなるとともに、千葉の魅力を世界に向けて発信できる絶好の機会にもなり大変うれしい」とコメントした。16日の定例会見では「見学路や駐車場など受け入れ態勢の整備は、県としてもできる限り支援していきたい」と述べ、観光振興の効果にも期待を寄せた。地学の生きた教材としても期待は高い。県教委文化財課は、子ども向けに分かりやすく説明するウェブページを開設するほか、学校で掲示するポスターを作製して、チバニアンを広く知ってもらう計画を進めている。沢川和宏・県教育長は「あの土地から何が分かるか、想像力や知識力がかき立てられるきっかけになると思う」と説明した。」の記載がある。
(8)2020年1月18日付け「日本経済新聞」(地方経済面 千葉、39ページ)において、「地質時代名に「チバニアン」決定、地域活性化に期待感、県・市原市では歓迎の声。」の見出しの下、「77万4千〜12万9千年前の地質時代を「チバニアン」(千葉時代)と命名することが国際学会で決まり、千葉県や由来となった地層を擁する市原市では歓迎の声が上がった。今後は科学教育や観光の面で地層に注目が集まり、地域活性化にもつながるとの期待感が高まっている。チバニアン命名の由来となった市原市田淵地区の「地磁気逆転地層」には太古、地球のN極とS極の向きが逆転した痕跡が残っている。市原市は地磁気逆転のしくみをパネルや映像で分かりやすく紹介する「チバニアンビジターセンター」を2019年12月に開設。地元住民らでつくるガイド組織も発足し、見学者向けの解説や観光案内を手がけている。地層の近くには紅葉の名所として知られる養老渓谷や温泉、小湊鉄道のトロッコ列車など様々な観光資源が点在する。チバニアン見物に訪れる観光客を周辺の観光スポットに呼び込むことで、新たな観光振興につながる期待感は強い。小出市長も「観光資源を磨き上げて来訪者を増やしたい」と意気込む。」の記載がある。
(9)2020年10月20日付け「毎日新聞」(地方版、16ページ)において、「市原市:市の魅力、電柱でPR 12月掲示開始 スポンサー募集 市原 /千葉」の見出しの下、「チバニアンやトロッコ列車をデザインして、市原市の魅力をPRする「ご当地電柱広告(地域資源型PR電柱広告)」に、市と東電タウンプランニング千葉総支社が乗り出す。」の記載がある。
(10)「市原市観光協会」のウェブサイトにおいて、「チバニアン(千葉時代)」の見出しの下、「チバニアンビジターセンターオープン(市ホームページに飛びます) 国指定天然記念物「養老川流域田淵の地磁気逆転地層」について、見学者にその魅力を正しく理解していただけるよう、仮設のガイダンス施設を令和元年12月15日にオープンしました。地磁気逆転の仕組みと地層の関係、周辺で見られる化石など一帯の魅力をわかりやすく解説した展示と映像の放映を行っています。」の記載がある。
http://www.ichihara-kankou.or.jp/publics/index/153

別掲3 我が国における「チバニアン」の語の周知著名性について
(1)2018年10月16日付け「朝日新聞」(朝刊、21ページ)において、「チバニアン周辺整備に本腰 国天然記念物指定で市原市/千葉県」の見出しの下、「地質学上の時代区分に「チバニアン(千葉時代)」の名が刻まれる可能性があることで注目される市原市田淵地区の養老川沿いの「地磁気逆転地層」が15日付の官報で、国の天然記念物として新たに指定された。これを記念し、市原市は一般向けの現地説明会を21日に開くほか、今後、遊歩道の設置や現地ガイドの育成など見学環境の整備に本格的に乗り出す。指定された区域は地磁気逆転地層を中心とした約2・8ヘクタール。地層を根拠に、日本の研究チームが地球史のうち約77万〜12万6千年前の時代区分を「チバニアン」と名付けるよう国際学会に申請している。・・・地層一帯は現在は私有地が大半で、市は今後、市有地化を進める。また、来年度中に保存活用計画を策定し、案内・説明板や駐車場、トイレの設置など見学環境を整備する。斉藤副教育長は「有識者の意見を聞き、市民とも一緒になりながら、市原の宝をどういった形で見せていくか検討していきたい」と話した。」の記載がある。
(2)「文化庁」のウェブサイトにおける「国指定文化財等データベース」において、「史跡名勝天然記念物」の見出しの下、「名称:養老川流域田淵の地磁気逆転地層 種別1:天然記念物 指定年月日:2018.10.15(平成30.10.15) 所在都道府県:千葉県 解説文:養老川が房総丘陵を侵食して露出した、第四紀前期更新世と中期更新世境界付近の砂泥質の地層(上総層群(かずさそうぐん)国本層(こくもとそう))で、地球磁場の逆転現象の記録を良好に保存している。・・・一連の地層が露頭面上で容易に観察でき、火山灰層によって視覚的に確認可能でかつ年代が確認されている場所は他に例がなく、学術上極めて価値が高い。」の記載がある。
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/401/00004051

別掲4 我が国における「チバニアン」の語の使用の実情について
(1)「休暇村館山」のウェブサイトにおいて、「チバニアン」の文字を含む以下の商品画像とともに、「2018.01.20 売店コーナー新商品のお知らせ」の見出しの下、「本日は売店の新商品の紹介と私がおススメする売店商品の紹介をさせて頂きます。まずは「時代はいま千葉」という商品。今話題の地磁気逆転の地層にちなんだ商品です。名前のインパクトが大変強く、ネタ的にも?大変おすすめの商品となっております。ひとくちサイズのバームクーヘンになっており、小分けの袋に入っているので会社のお土産などにももってこいですね!」の記載がある。
https://qkamura.or.jp/sp/tateyama/blog/detail.asp?id=7293

(2)「価格.com」のウェブサイトにおいて、「「出没!アド街ック天国」で紹介されたすべての情報」の見出しの下、「市原BEST20・・・「チバニアン」で話題の地層があるのは、市原市南部の田淵地区。五井駅から月崎駅へと向かい、そこから徒歩30分。周辺にあるオススメの店は「Mai cafe」。・・・自家製の「チョコレートマカロン 2粒」は断面が地層に見えて土産にピッタリ。「里見駅 喜動房倶楽部」を紹介。里見駅で不定期にオープンしている地元ボランティアの店である。名物の石焼き芋は、駅弁の様に車内販売もしてくれる。地元の奥様方手作りのお弁当なども売られ、最新作は「ニアンもち」。「チバニアン」にちなんで作られたという。・・・「市原 BEST20」の16位は「チバニアンブーム」。最寄りの月崎駅では地元の人が、露店「Cafeうさぎや」で観光客をもてなしている。洋菓子店「GOTT」では、「市原ミルフィーユ」に地層のお菓子というキャッチコピーを付けた。「ともえのキムチ」では「チバニアンキムチ」という新商品を開発。」の記載がある。
https://kakaku.com/tv/channel=12/programID=594/page=4752/
(3)「Twitter」のウェブサイトにおける「うっほ@もぐもぐピーナッツ(ゴリラ担当)」に係るページにおいて、「チバニアン」の文字を含む以下の商品画像とともに、「千葉県流山の超人気パン工場「小菅製パン」さんへ取材&店頭販売のお手伝いに行きました!77万年前のチバニアン地層を模した、ちぎり御地層パン!」の記載がある。
https://twitter.com/uhhosugawara/status/1008663944557355008?lang=da

(4)「市原市」のウェブサイトにおいて、「チバニアン」の文字を含む以下の商品画像とともに、「チバニアン発見」の見出しの下、「令和2年1月17日、チバニアンが決定してから1年。・・・市外の方にチバニアンを説明する機会があり、チバニアンにちなんだお土産を探してみました。・・・房の駅で販売されている「チバニアン発見」。千葉県特産のピーナッツを3色にコーティングして地層のように並べた落花生加工品です。いちご、バナナ、抹茶の味を想像とは違う色でコーティング。チバニアンを表現した「面白美味しい商品」です。株式会社やます・・・の話では「この商品は、市原市と共同で開発をさせていただきました。千葉らしいものであり、地層をキーワードにさまざまな意見を出し、磁場逆転ということが世界的にも大きな発見ということで、落花生を使用し、味を見た目の色とは違う味にするという商品になりました。」ということです。食べてみるとイメージと味の意外性に驚き楽しむことができます。外袋にはチバニアンの説明も書いてあり、チバニアンを説明したい、市原市を紹介したいという時に使っていきたい商品です。」の記載がある。
https://www.city.ichihara.chiba.jp/article?articleId=60581cb24082c254c7c6e3a9

(5)「号外NET 市原市」のウェブサイトにおいて、「チバニアン」の文字を含む以下の商品画像とともに、「白金通りにあるともえのキムチ、インパクトのある看板とチバニアンキムチの旗が気になり、行ってみました。・・・正式な会社名は(有)ともえダイニング・・・早速中に入ると・・・今までになかったものが・・・。一つはチバニアンキムチ。(チバニアンキムチ 定価1,100円)なんと!チバニアンキムチには、千葉県名産の落花生が入り、地層に見立てているとのことです。極上キムチでケース入りなのでお土産にもいいですね!」の記載がある。
https://ichihara.goguynet.jp/2020/02/12/tomoenopkimuchi/



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-07-05 
結審通知日 2022-07-06 
審決日 2022-07-25 
出願番号 2020094561 
審決分類 T 1 8・ 22- Z (W30)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 石塚 利恵
小俣 克巳
商標の称呼 ウエルカムヨーコソチバニアンシティイチハラ、ウエルカムヨーコソチバニアン、ウエルカム、ヨーコソチバニアン、チバニアン、シティイチハラ 
代理人 高橋 昌義 

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