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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W44
管理番号 1389519 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2021-07-01 
確定日 2022-09-12 
事件の表示 商願2019−122466拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和元年9月2日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和2年10月6日付け:拒絶理由通知
令和2年11月13日受付:意見書、手続補正書の提出
令和3年3月18日付け:拒絶査定
令和3年7月2日受付:審判請求書、手続補正書の提出
令和4年2月24日付け:拒絶理由通知
令和4年4月14日受付:意見書の提出

2 本願商標
本願商標は、「顧問助産師」の文字を標準文字で表してなり、第35類、第38類、第41類、第42類及び第44類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものであり、その後、上記1の手続補正書の提出により最終的に、第44類「医療情報の提供,病院・クリニック等の医療に関する情報の提供,その他の医療情報の提供,健康診断に関する情報の提供,人材派遣による医療看護,健康診断,栄養の指導」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由の要点
本願商標は、「顧問助産師」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「助産師」の文字は、保健師助産師看護師法第3条において国家資格の名称として規定され、同法第42条の3第2項において、その使用が制限されているものである。そうすると、本願商標は、あたかも助産師の一種あるいは助産師と同様の国家資格であるかのように、需要者又は取引者に誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当であるから、本願商標を出願人が自己の商標として採択・使用することは、国家資格の制度に対する社会的信用を失わせ、社会公共の利益に反し、商取引の秩序を乱すおそれがあり、穏当ではないものと認める。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審における拒絶理由通知
当審において、別掲1及び別掲2に示すとおりの事実を示した上で、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである旨の拒絶理由通知を送付し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。

5 拒絶理由通知に対する意見の要旨
(1)本願商標の事業を開始した経緯について
請求人が代表取締役を務める会社(以下「請求人会社」という。)は、2019年9月には本願商標を使用して事業を始めており(証拠書類1)、この時点で「顧問助産師」と表記されているものは見受けられなかった。
(2)本願商標の社会的認知について
「顧問助産師」は、標章ではなくあくまでサービス名として運営しており、メディアでも多くとりあげられている(証拠書類2〜15)。
また、「顧問助産師」の検索結果から、社会的にも「顧問助産師」は標章ではなく、請求人会社のサービスだと認知されていることは明らかである(証拠書類16)。
(3)その他ウェブサイトでの掲載に関して
拒絶理由通知書に記載されている「顧問助産師」の文言を使用しているホームページは2019年9月以降の「顧問助産師」という言葉が社会認知されてからの掲載である(証拠書類17、18)。
(4)結論
「顧問助産師」は請求人会社のサービスとして社会的に認知されており、また、請求人会社が使用する以前にこの言葉を使用している事例は見受けられない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。

6 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第7号該当性について
本願の指定役務は、上記2のとおりに補正された結果、原査定における拒絶の理由に係る指定役務は削除されたものと認められる。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとした原査定の拒絶の理由は解消した。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、上記1のとおり、「顧問助産師」の文字を標準文字で表してなるところ、構成中の「顧問」の文字は、「諮問に応じて意見を述べること。また、その職にいる人。」の意味を有する文字であり、「助産師」の文字は、「分娩を助け、また妊婦・褥婦・新生児の保健指導を職業とする者。国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける。産婆。」の意味(いずれも広辞苑第6版)を有する文字である。
そして、職業を指す名称等に「顧問」の文字を冠した、「顧問○○」程の文字が、一定期間の契約方式により当該職業(○○)の分野についてアドバイスをする者を示す文字として広く使用されていることが認められる(別掲1)。
また、本願の指定役務の分野においても、医師や看護師等、医療従事者に係る職業に関連する分野に関してアドバイスする者について「顧問+医療従事者の職業を表す名称」を一連に表した、「顧問医師」、「顧問看護師」等の文字が使用されているのみならず「顧問助産師」の文字も使用されている事実がある(別掲2)。
そうすると、本願商標をその指定役務に使用しても、これに接する需要者は、その役務が「一定期間の契約方式により、助産師の業務に関する分野についてアドバイスをする者」によって行われる役務であること、すなわち、役務の提供の方法、役務の質を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものといわざるを得ない。
してみれば、本願商標は、その役務の提供の方法、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、請求人会社が、2019年9月に本願商標を使用して事業を始めた時点では「顧問助産師」と表記されているものは見受けられなかった旨主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、本願の指定役務の分野において、医師や看護師等の医療従事者に係る職業に関連する分野に関してアドバイスする者について、「顧問医師」、「顧問看護師」等の文字が使用されている事実があることから、本願商標に接する需要者には、その役務が「一定期間の契約方式により、助産師の業務に関する分野についてアドバイスをする者」である「顧問助産師」によって行われる役務であることを認識するにとどまるというべきである。
また、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断時期は審決時であるところ、本審決時において、本願商標「顧問助産師」の文字が第三者によって使用されている事実があることからすると、2019年(令和元年)9月当時に当該文字が存在した否かは、同項該当性についての判断を左右するものではない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとした原査定の拒絶の理由は解消したものの、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1 顧問+職業を表す名称が当該職業の分野において幅広くアドバイスをする者を示す文字として使用されている例
(1)「中小企業のためのひまわりほっとダイヤル」のウェブサイトにおいて、「顧問弁護士」の見出しの下、「顧問弁護士とは、契約した企業のために、法律上のアドバイスやサポートを継続して提供する弁護士のことです。」の記載がある。
(https://www.nichibenren.or.jp/ja/sme/service9.html)
(2)「オレンジ法律事務所」のウェブサイトにおいて、2022年2月2日付け「顧問弁護士とは?弁護士と顧問契約をする5つのメリット」の見出しの下、「顧問弁護士がいると、何か困ったとき、トラブルが発生してしまったときに、直ぐに相談することができます。・・・顧問弁護士の役割は 、 問題を解決するだけではありません。法律のプロにしか気づけないリスクを発見することができます。」の記載がある。
(https://orangelaw.jp/blog/work/komonbengoshi)
(3)「半田国際特許事務所」のウェブサイトにおいて、「顧問弁理士によるサポート」の見出しの下、「知財のプロ・弁理士が貴社の知的財産をサポートします。貴社の顧問弁理士として、知的財産に関するあらゆる相談をお受けして、解決策を提示させて頂きます。」の記載がある。
(https://h-pat.jp/corporate/corporate)
(4)「税理士ドットコム」のウェブサイトにおいて、「顧問税理士とは−役割や依頼できる業務などの基礎知識まとめ」の見出しの下、「顧問税理士とは? 顧問税理士とは、税務指導や経営サポートを継続的に行ってもらえるように一定期間で契約した税理士のことです。」の記載がある。
(https://www.zeiri4.com/c_1/c_1029/)
(5)「田井中労務行政事務所」のウェブサイトにおいて「顧問社労士とは?」の見出しの下、「顧問社労士とは労務の専門家。かかりつけ医のようなものです。」の記載がある。
(http://www.tainakaroumu.com/article/14087683.html)

別掲2 「顧問医師」、「顧問看護師」、「顧問助産師」等が使用されている例
(1)2021年11月13日付け「神戸新聞」夕刊1ページにおいて「<news深化系>コロナ禍剣道 接近戦避けて 口元2重防御、「一本」に大声欠かせぬが・・・ 「つばぜり合い」抑制 試合にテンポ「意外な効果」」の見出しの下、「同6月、全剣連は顧問医師の意見を踏まえ、対人稽古の再開に向けたガイドラインをまとめた。」の記載がある。
(2)「iHealth」のウェブサイトにおいて、「顧問医師の紹介」の見出しの下、「iHealthでは、顧問医師として、「自己治癒力を高める医療」を提唱している医師「小西康弘」先生をアドバイザーとして迎え入れています。」の記載がある。
(https://i-health.shop/doctor.html)
(3)「医療法人社団 平成医会」のウェブサイトにおいて「顧問医契約」の見出しの下、「顧問医契約は、人事担当者様のためのご契約です。日頃お忙しい人事担当者様に対して平成医会の専任の担当者がサポートいたします。対応の難しいメンタル問題について、予防・実際に起きた時の対処、休職、復職などのさまざまな場面で顧問医療機関にご相談ができる契約です。」の記載がある。
(https://heisei-ikai.or.jp/mental_assist/page_10/)
(4)「大阪糖尿病協会」のウェブサイトにおいて、「大阪糖尿病協会 顧問看護師会」の見出しの下、「大阪糖尿病協会 顧問看護師会とは・・・そこで、患者さんの自己管理を支援させていただくのが、私たち顧問看護師会の看護師です。私たちは、糖尿病療養支援に関する専門的知識と経験を数多く持ち、顧問医会の先生方や顧問栄養士会、顧問臨床検査技師会の方々とともに、自己管理についての相談や啓蒙活動を行っています。」の記載がある。
(http://osakadiabetes.org/kango/index.html)
(5)「定年生活.com」のウェブサイトにおいて、2018年9月16日付け「上手に公的介護サービスを利用するには?」の見出しの下、「<ご案内>」として「当社「顧問看護師」サービスをご利用の方や、弊社提携弁護士の遺言書作成時に、ご希望の方に「私の介護プラン」を作成させていただいております。」の記載がある。
(https://www.teinenseikatsu.com/cat_special/24997/)
(6)「ダスキン健康保険組合」のウェブサイトにおいて、「ブラックゾーン」「レッドゾーン」の方に受診勧奨をしています」の見出しの下、「顧問医師と顧問看護師が新しくなりました!」として「顧問医師」及び「顧問看護師」が紹介されている。
(https://www.duskin-kenpo.or.jp/health_promotion/sante/sante161/sante_16
1_201611_2.pdf)
(7)「はな助産院」のウェブサイトにおいて「取り扱い業務」の見出しの下、「<企業の方へ>」として「企業内助産師、顧問助産師」の記載がある。
(http://www.midwifemap.com/hanajyosanin/mysite/about)
(8)「やました歯科医院」のウェブサイトにおいて、2020年7月10日付け「助産師相談室が始まります」の見出しの下、「マタニティー歯科を充実するために、顧問助産師による「助産師相談室」を開始します。産前産後はお母さんの体調、お口の中も大きく変化します。歯科医療者だけではなく、産前産後のプロフェッショナルである助産師がチームに加わり、お母さんのサポートをおこなってゆきます。」の記載がある。
(https://yamashita-dnt.com/blog/%e5%8a%a9%e7%94%a3%e5%b8%ab%e7%9b%b8%e8%
ab%87%e5%ae%a4%e3%81%8c%e5%a7%8b%e3%81%be%e3%82%8a%e3%81%be%e3%81%99/)

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審理終結日 2022-06-28 
結審通知日 2022-07-01 
審決日 2022-07-25 
出願番号 2019122466 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W44)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 大森 友子
小俣 克巳
商標の称呼 コモンジョサンシ、コモン 

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