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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z42 |
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管理番号 | 1389491 |
総通号数 | 10 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2022-10-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2020-10-09 |
確定日 | 2022-01-24 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4505326号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4505326号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成12年6月9日に登録出願され、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同13年9月7日に設定登録され、同23年4月5日及び令和3年4月7日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年10月26日であり、その請求の登録前3年以内の平成29年10月26日から令和2年10月25日までの期間を以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消すとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)アリゲーターデザインが作成したデザイン案、提案書(乙4の1〜乙4の4)は、内部資料にすぎず、これらが存在することをもって、直ちに暖簾、店内照明灯、店内看板のデザインが製作され、本件飲食店に設置されたことを推認することはできない。 (2)乙第8号証の1、乙第8号証の2及び乙第9号証の2の写真において、暖簾上の文字は極めて小さく、文字を判読できない。乙第9号証の1の写真において、店内看板上の文字が「tora−tora」であるか明らかでないし、仮にそうであると仮定した場合でも、縦書きされた「きんとら日記」の文字が重なっており、本件商標とは構成が著しく異なる。この写真の店内照明灯上の文字は極めて小さく文字を判読できない。乙第10号証の1ないし乙第10号証の3の写真の撮影日は本件審判請求登録日後である。 (3)このように、被請求人が答弁書において提出した使用の証拠は、いずれも、商標法第50条第2項の要件を満たすものでなく、要証期間内の本件商標の使用は認められない。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証(枝番を含む。)を提出している。 1 令和2年12月28日付け答弁書 (1)被請求人は、「大衆麺食堂きんとら」(以下「本件飲食店」という。)を開業するために、店舗建物の所有者と定期建物賃貸借契約を締結し、店舗デザイン事務所であるアリゲーターデザインスタジオに飲食店の外観及び内装のデザインを発注し、建築会社(「陽建築工匠」)に店舗工事を依頼し、姫路保健所から飲食店の営業許可を取得し、本件飲食店を2018年(平成30年)11月26日にプレオープンし、同月27日に開店(グランドオープン)した。 (2)プレオープンの際、本件店舗の軒先に本件商標を表示した暖簾が掲げられた。また、本件店舗の店内には、被請求人が店舗デザイン事務所に作成を依頼したデザインと同じデザインの店内看板と照明灯が設置されている。 2 令和3年6月10日付け回答書 (1)被請求人は、本件飲食店の開業準備に関する業務の監理を株式会社籠屋興産(以下「籠屋興産」という。)に委託し、籠屋興産は、陽建築工匠に工事工程表の作成を指示する等し、暖簾、店内照明及び店内看板を本件飲食店に設置するための看板工事を看板設置事業者のA.D.Fオフィスに発注した。 被請求人は、本件飲食店で使用する暖簾、店内照明及び店内看板のデザイン中に本件商標を表示しており、2018年(平成30年)11月14日の時点において商標法第2条第3項第3号の使用行為が既になされていた。 (2)本件飲食店で使用する暖簾、店内照明及び店内看板のデザイン中の本件商標の表示は、本件飲食店のプレオープン以降は、商標法第2条第3項第5号の使用行為に該当する。 (3)答弁書とともに提出した写真(乙8、乙9)の一部箇所を拡大した写真を提出する。また、本件飲食店のグランドオープンの日に被請求人従業者が撮影した本件飲食店の店舗外観の写真(乙18)を提出する。 (4)アリゲーターデザインスタジオの代表者の陳述書(乙19)を提出する。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。 (1)本件商標権者は、1981年に設立登記がなされた法人であり、2018年11月に姫路市内においてラーメン店である飲食店「大衆麺食堂きんとらJR姫路駅東口本店」(「本件飲食店」)を開業した(乙1、乙2、乙7)。 なお、本件飲食店の開業に向けた工事については、工事監理を株式会社籠屋興産(「籠屋興産」)が担当した。また、施行については陽建築工匠が担当したが、本件飲食店の入口に掛けられる暖簾の製作を含む看板工事については、籠屋興産を経由して依頼された姫路市の屋外広告業登録を受けた広告業者であるA.D.Fオフィス(以下「本件施工業者」という。)が担当した(乙5、乙11、乙14、乙15)。 (2)籠屋興産は、本件飲食店の内外装のデザインをアリゲータデザインスタジオ(以下「本件デザイン事務所」という。)に依頼し、本件デザイン事務所は、上記暖簾の当初デザイン(以下「当初デザイン」という。)を含む本件飲食店の内外装のデザイン案を作成して、2018年10月18日に籠屋興産を通じて本件商標権者に提案し、同月30日に当初デザインとは異なるデザイン(以下「修正デザイン」という。)(別掲2(1))が提案された(乙4の2、乙19)。 修正デザインによる暖簾は、左部から中央部にかけてデザインが施された「大衆麺食堂きんとら」の文字が表示され、正面右下には、「姫路本店」の文字とともに別掲3のロゴが表示されたものである(乙4の2、乙18の1、乙19)。 (3)同年10月下旬から11月下旬にかけて上記(1)の工事が施工され、そのうち看板工事は、11月12日から同月16日の予定であったが、同月14日には終了した(乙6、乙15)。 (4)本件商標権者は、同月26日の本件飲食店のプレオープンの際には、修正デザインと当初デザインの折衷案(以下「折衷デザイン」という。)(別掲2(2))による暖簾を本件飲食店の入口に掛けて営業を行った(乙8、乙19)。 折衷デザインによる暖簾は、左部にデザインが施された「大衆麺食堂きんとら」の文字が表示され、正面右下には、「姫路本店」の文字とともに別掲3のロゴが表示されたものである(乙8、乙9、乙10の3、乙17)。 (5)同月27日の本件飲食店のグランドオープンの際には、修正デザインによる暖簾を本件飲食店の入口に掛けて営業を行った(乙18の1)。 (6)本件飲食店の暖簾には、2つのデザインのものが存在しており(乙19)、グランドオープン後は、修正デザインによる暖簾が使用される場合(乙9の1)と折衷デザインによる暖簾が使用される場合(乙9の2)とがあり、2つの暖簾のいずれかが使用される場合もあるものと認められる。 2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 別掲3のロゴは、尾の長い動物のようなシルエット(以下「図形」という。)の下に「Tora−tora」の文字を配してなるところ、両者は、空間を挟んで配置されていることから外観上分離される上に、観念的な結びつきも見いだせないものであるから、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。 そして、このうちの「Tora−tora」の文字(以下「使用商標」という。)は、本件商標とは、構成文字を共通にし書体のみに変更を加えた同一の文字からなるものであるから、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。 (2)使用者について 上記1(2)の修正デザインによる暖簾及び上記1(4)の折衷デザインによる暖簾のいずれにも別掲3のロゴの一部として使用商標が表示されており、本件商標権者は、本件デザイン事務所による提案を受けて、これらの使用商標が表示された2つの暖簾を本件施工業者に製作させて、これを本件飲食店の営業を行うにあたって、これらの2つの暖簾を用いたものである。 よって、使用商標の使用者は、本件飲食店の営業を行うにあたって、これらの2つの暖簾を用いた本件商標権者である。 (3)使用役務について 上記(2)のとおり、本件商標権者は、本件飲食店の営業を行うにあたって使用商標が表示された2つの暖簾を用いたことから、ラーメン店である本件飲食店におけるラーメン等の飲食物の提供について使用商標が使用されており、使用役務は、本件商標の指定役務である「飲食物の提供」である。 (4)使用時期と使用行為について 上記(2)の2つの暖簾は、いずれも、デザインが施された「大衆麺食堂きんとら」の文字を表示して本件飲食店の入口に掛けられるものであるから、使用役務である「飲食物の提供」に関する広告であるといえる。そして、上記1(4)(5)のとおり、本件商標権者は、2018年11月26日及び27日に本件飲食店の入口に使用商標を表示した2つの暖簾を掛けたものであるから、要証期間内に、使用役務に関する広告に使用商標を付して展示したものであり、商標法第2条第3項第8号に該当する行為を行ったものである。 3 請求人の主張について (1)請求人は、アリゲーターデザインが作成したデザイン案、提案書(乙4の1〜乙4の4)は、内部資料にすぎず、これらが存在することをもって、直ちに暖簾、店内照明灯、店内看板のデザインが製作され、本件飲食店に設置されたことを推認することはできない旨を主張している。 しかし、上記2(4)に示したとおり、2つの暖簾は、要証期間内に本件商標権者の意思に基づいて製作されて本件飲食店の営業を行うにあたって用いられたことが明らかであるから、この主張を採用することはできない。 (2)請求人は、乙第8号証及び乙第9号証の写真の暖簾の文字を判読できない等とも主張している。 しかし、乙第9号証の写真の拡大写真(乙9の2の1等)、本件デザイン事務所の代表者の陳述書(乙19)等の証拠からみて、上記1(4)のとおり、プレオープンの際に使用商標を表示した折衷デザインによる暖簾を本件飲食店の入口に掛けて営業を行ったものと認められ、さらに、上記1に示した経緯を踏まえれば、修正デザインによる暖簾における使用商標の表示も明らかである。よって、この主張を採用することはできない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者が指定役務について本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標 2 暖簾のデザイン(色彩は原本参照) (1)修正デザイン(乙4の2、乙18の1) (2)折衷デザイン(乙9の2の1) 3 使用商標(乙19) (行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
審理終結日 | 2021-11-24 |
結審通知日 | 2021-11-29 |
審決日 | 2021-12-15 |
出願番号 | 2000064170 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Z42)
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最終処分 | 02 不成立 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 岩崎 安子 |
登録日 | 2001-09-07 |
登録番号 | 4505326 |
商標の称呼 | トラトラ |
代理人 | 特許業務法人 有古特許事務所 |
代理人 | 中村 有佑 |
代理人 | 樋口 頼子 |
代理人 | 辻田 朋子 |
代理人 | 中川 慶太 |
代理人 | 下田 一徳 |