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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z1012
管理番号 1389487 
総通号数 10 
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-08-21 
確定日 2022-03-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4385099号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4385099号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成10年(1998年)9月10日に登録出願、第10類「医療用機械器具」及び第12類「乳母車,車いす」を含む第1類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同12年(2000年)5月19日に設定登録され、その後、同23年(2011年)7月4日に、第10類「耳栓」についての商標登録を取り消す旨の審決が確定し、その登録が、同月28日にされている。
そして、本件審判請求の登録は、令和2年(2020年)9月10日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第10類「医療用機械器具」及び第12類「乳母車,車いす」を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書にて、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第10類「医療用機械器具」及び第12類「乳母車,車いす」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定によって取り消ざれるべきものである、と主張し、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、請求人は、被請求人提出の令和2年(2020年)11月4日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対して、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
1 主張の要旨
本件商標は、日本国内において、要証期間に、本件商標の商標権者である「株式会社パイロットコーポレーション」(以下「商標権者」又は「パイロットコーポレーション社」という。)によって、本件審判請求に係る指定商品について、使用している。
(1)パイロットコーポレーション社のウェブサイトにおける使用
パイロットコーポレーション社は現在、本件審判請求に係る指定商品中、「医療用機械器具」に属する、「歯列矯正用ブラケット」について、厚生労働大臣より製造許可(製造業許可番号:14BZ200115、医療機器認証番号:221AGBZX00252000)を受けた上で製造、販売するとともに、パイロットコーポレーション社のウェブサイトでは、当該「歯列矯正用ブラケット」の製品紹介も行っており、その紹介ページには本件商標と色彩のみを異にし、それ以外の構成態様を同じくする社会通念上同一の商標が表示されている(乙1)。
また、パイロットコーポレーション社が製造・販売する「歯列矯正用ブラケット」を販売する商社である株式会社ミツバオーソサプライ(以下「ミツバオーソサプライ社」という。)のウェブサイトにおいても、本製品の紹介ページ及びカタログが掲載されている(乙2、乙3)。
以上より、パイロットコーポレーション社は、「医療用機械器具」に属する「歯列矯正用ブラケット」についての広告又は取引書類に該当する製品紹介ページに、本件商標と社会通念上同一の商標を付して電磁的方法により提供している。
そのため、同ウェブサイトにおける商標権者の行為は、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品中の「医療用機械器具」について本件商標と色彩のみを異にし、それ以外の構成態様を同じくする社会通念上同一の商標を使用する行為にほかならず、その使用は、商標法第2条第3項第8号に規定する「標章(商標)の使用」に該当することは明らかである。
(2)伝票書類における使用
パイロットコーポレーション社が、本件商標を本件審判請求に係る指定商品について使用していることを証明する書面として、パイロットコーポレーション社の伝票書類を提出する(乙4)。
ここでの伝票書類は、パイロットコーポレーション社あてに顧客から「発注書」が届き、それを受けて、パイロットコーポレーション社から、商品の発送とともに「出庫票」が発行され、その後、商標権者から「納品書」が発送された後に、「請求書」が発送されることとなる。
そして、当該伝票書類を確認すると、パイロットコーポレーション社から発送した「出庫票」及び「納品書」には本件商標と同一の商標が付されている。
また、各伝票書類中に商品名として「ジィープラケット」といった名称が記載されているが、「ジィーブラケット」は、パイロットコーポレーション社の本件審判請求に係る指定商品中の「医療用機械器具」に属する「歯列矯正用ブラケット」の商品名であり、その事実は、実際の商品の包装(乙5)の販売名や、添付の「歯列矯正用ブラケット」の説明書類(乙6)に「ジィーブラケット」と記載され、かつ、「製造業者」欄にパイロットコーポレーション社の名称が記載されていることからも明確に読み取れるところである。そのため、提出した伝票書類一式は、本件審判請求に係る指定商品中の「医療用機械器具」に属する製品についての伝票書類一式であることは明らかである。
さらに、提出した伝票書類一式中の日付を確認すると、商標権者が発行した書類はいずれも令和2年(2020年)2月7日以降の記載であることから、要証期間における取引書類への使用であることは明らかである。
以上より、パイロットコーポレーション社は、「医療用機械器具」に属する「歯列矯正用ブラケット」について、実際に販売しており、かつ、その取引書類に該当する伝票書類に、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付して頒布している。
このような、伝票書類における商標権者の行為は、日本国内において、本件商標又はそれと社会通念上同一の商標を本件審判請求に係る指定商品である「医療用機械器具」についての使用に該当するものであり、その使用は、商標法第2条第3項第8号の規定に規定する「標章(商標)の使用」に該当することは明らかである。
(3)カタログにおける使用
パイロットコーポレーション社は、自己の製造・販売に係る「歯列矯正用ブラケット」についての製品カタログを作成しており、そのカタログのトップには、本件商標と色彩のみを異にするにすぎず、本件商標と社会通念上同一の商標が付されている(乙7)。
同カタログは、パイロットコーポレーション社が「ジィーブラケット」の商品名の下、「医療用ブラケット」の製造及び販売を行っていることを示すものであり、同カタログ中には、「記載の仕様は、2017年9月現在のものです。」と明記されていることから、当該カタログは平成29年(2017年)9月頃に作成されたものであり、その後の頒布を同年9月以降に開始していることが容易に推認されるため、同カタログの頒布は、要証期間の頒布であると認識することができる。
以上より、パイロットコーポレーション社は、「医療用機械器具」に属する「歯列矯正用ブラケット」についての製品カタログに、本件商標と同一の商標又は社会通念上同一の商標を付して頒布している。
このような、製品カタログにおける商標権者の行為は、日本国内において、本件商標又はそれと社会通念上同一の商標を本件審判請求に係る指定商品である「医療用機械器具」についての使用に該当するものであり、その使用は、商標法第2条第3項第8号の規定に規定する「標章(商標)の使用」に該当することは明らかである。
(4)展示会における展示
パイロットコーポレーション社は、毎年大阪及び幕張で行われている、高機能セラミックス展示会において、セラミックス製品に関するブースを出展している。
乙第8号証は、令和元年(2019年)5月に大阪で行われた展示会の様子を撮影した写真であるが、当該写真の上部や、パネルの右上には、本件商標とは色彩のみを異にし、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されており、その下の製品を説明する「ファインセラミックス」パネルの右側には、「医療機器」の項目があり、さらに、対象製品に、「歯科矯正アタッチメント」といった後が明記されている。
また、このような展示会においては、令和元年(2019年)12月に幕張で行われた展示会の様子を撮影した写真(乙9)にあるとおり、ブース内に商談エリアが設けられていることは一般的であることからも、展示会における本件商標の使用は、広告的な使用に該当する。
加えて、2019年の高機能セラミックス展示会におけるパイロットコーポレーション社の紹介ウェブサイト(乙10) 内のプレスリリース欄を確認すると、上述のカタログ(乙7)の1頁目が表示される(乙11)ことに鑑みると、パイロットコーポレーション社は、ブース内のパネル以外にも、本件指定商品が製造・販売されることを示したカタログについて、本件商標を付して頒布していることも推認することができる。
以上より、パイロットコーポレーション社は、「医療用機械器具」に属する「歯列矯正用ブラケット」について、展示会のブース内での説明パネルや製品カタログに、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を付して展示又は頒布している。
このような商標権者の行為は、日本国内において、本件商標又はそれと社会通念上同一の商標を本件審判請求に係る指定商品である「医療用機械器具」についての使用に該当するものであり、その使用は、商標法第2条第3項第8号の規定に規定する「標章(商標)の使用」に該当することは明らかである。
2 まとめ
以上のとおり、本件審判請求に係る指定商品中の「医療用機械器具」について、日本国内において要証期間に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標が商標権者によって使用されていた。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人の主張及び同人が提出した乙各号証によれば、以下のことが認められる。
(1)株式会社モリムラ(以下「モリムラ社」という。)が、令和元年(2019年)12月24日に、商標権者であるパイロットコーポレーション社あてに作成した発注書(乙4の1葉目)によると、商品コードを「LL501」、商品名を「ジィープラケット上顎切」とする商品を20個、商品コードを「LL502」、商品名を「ジィープラケット犬歯・小臼歯」を8個、商品コードを「LL−502S」、商品名を「ジィープラケット犬歯・小臼歯S」を65個の発注をしたことが確認できる。
また、上記モリムラ社の発注に対して、パイロットコーポレーション社が、令和2年(2020年)2月10日に、モリムラ社あてに作成した出庫票(乙4の2葉目)によると、パイロットコーポレーション社は、モリムラ社に、品名を「LL501 ジィープラケット上顎切」とする商品を20個、品名を「LL502 ジィープラケット犬歯・小臼歯」とする商品を8個、品名を「ジィープラケット犬歯・小臼歯S LL−502S」とする商品を10個出庫したこと、パイロットコーポレーション社が、令和2年(2020年)2月18日に、モリムラ社あてに作成した出庫票(乙4の6葉目)によると、パイロットコーポレーション社は、モリムラ社に、品名を「ジィープラケット犬歯・小臼歯S LL−502S」とする商品を55個出庫したことが確認できる。
そして、パイロットコーポレーション社が作成した出庫票(乙4の4葉目・6葉目)の右下に、別掲2のとおりの商標(以下「使用商標」という。)が付されており、本件商標と使用商標は、いずれも、商標の構成中左側に欧文字「P」をモチーフにしたと思しき図形とその右にゴシック体風の「PILOT」の欧文字を書してなるものであるから、これらは、社会通念上同一の商標であることが認められる。
さらに、パイロットコーポレーション社が、モリムラ社あてに出庫票を作成した令和2年(2020年)2月10日及び同月18日は、いずれも要証期間である。
(2)ミツバオーソサプライ社のウェブサイトにおけるLLブラケットを紹介するページ(乙2)の1葉目には、「メタルのLL−bracket 機能、操作性をそのままに審美性を追求致しました。」の記載、「販売名:ジーブラケット」の記載、「ジルコニアの超微粒子粉を原料とした精密成形したブラケットです。」の記載、「審美性に優れ繊細かつ高品質なジルコニアセラミックスブラケットです。」の記載及び「(特許出願中:出願社製造元(株)パイロットコーポレーション)」の記載がある。
そうすると、パイロットコーポレーション社が製造する「販売名:ジーブラケット」とする商品は、「歯列矯正用ブラケット」であり、歯科用器具に該当する商品と認められ、本件審判請求に係る指定商品中の「医療用機械器具」の範ちゅうに属する商品であることが確認できる。
また、ミツバオーソサプライ社のカタログ(乙3)の1葉目に、「LL(Lock and Loose)−bracket」のタイトルの下、「販売名:ジーブラケット」の記載、「L.L.Zi(ジルコニア)」の項目の表中、「DBS用」の欄に「LL−501」、「LL−502」の記載及び「L.L.Zi(ジルコニア)S」の項目の表中、「DBS用」の欄に「LL−502S」の記載があり、本号証の2葉目の記載によれば、品番「LL−501」の商品、品番「LL−502」の商品及び品番「LL−502S」の商品は、いずれも「販売名:ジーブラケット」とする矯正歯科で使用するブラケットであることが確認できる。
(3)小括
上記(1)及び(2)によると、商標権者であるパイロットコーポレーション社は、要証期間に、日本国内において、本件審判請求に係る指定商品中の「医療用機械器具」の範ちゅうに属する「矯正歯科で使用するブラケット」に関する取引書類に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したことが認められ、この使用行為は、商標法第2条第3項第8号に該当すると認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、その請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(使用商標)



(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 榎本 政実
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2021-10-08 
結審通知日 2021-10-13 
審決日 2021-10-29 
出願番号 1998077729 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z1012)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
小俣 克巳
登録日 2000-05-19 
登録番号 4385099 
商標の称呼 パイロット 
代理人 宮嶋 学 
代理人 猿山 純平 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 朝倉 悟 
代理人 中村 行孝 
代理人 砂山 麗 
代理人 高田 泰彦 
代理人 窪田 英一郎 
代理人 柏 延之 
代理人 本宮 照久 

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