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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない W03
管理番号 1388532 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2022-05-16 
確定日 2022-08-26 
事件の表示 商願2020−158499拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 手続の経緯
本願は、令和2年12月23日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和3年 9月14日付け:拒絶理由通知
令和3年10月12日 :意見書、手続補正書の提出
令和4年 2月16日付け:拒絶査定
令和4年 5月16日 :審判請求書、手続補正書の提出

2 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第3類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正により、最終的に、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,ペット用シャンプー,洗い粉,ガラス用洗浄剤,クレンザー,化粧せっけん,工業用せっけん,シャンプー,石油系合成洗剤,洗濯せっけん,ドライクリーニング剤,ハンドクリーナー,便器洗浄剤,磨き粉,水せっけん,歯磨き,固形歯磨き,粉歯磨き,潤製歯磨き,練り歯磨き,水歯磨き,化粧品,おしろい,紙おしろい,クリームおしろい,固形おしろい,粉おしろい,練りおしろい,水おしろい,化粧水,一般化粧水,オーデコロン,スキンローション,乳液,粘液性化粧水,ハンドローション,ひげそり用化粧水,化粧用クリーム,クレンジングクリーム,コールドクリーム,ハイゼニッククリーム,バニシングクリーム,ハンドクリーム,ひげそり用クリーム,日焼けクリーム,日焼け止めクリーム,漂白クリーム,ファウンデーションクリーム,リップクリーム,紅,口紅,練り紅,ほお紅,頭髪用化粧品,髪油,カラーリンス,コールドパーマ用液,すき油,セッティングローション,染毛剤,チック,パーマネント用液,びん付け油,ヘアークリーム,ヘアースプレー,ヘアートニック,ヘアーフィクサー,ヘアーラッカー,ヘアーリンス,ベーラム,ポマード,香水類,香水,固形香水,練り香,粉末香水,アイシャドウ,あぶらとり紙,脱毛剤,タルカムパウダー,ネイルエナメル,ネイルエナメル除去液,バスオイル,バスソルト,パック用化粧料,ベビーオイル(医療用のものを除く。),ベビーパウダー(医療用のものを除く。),マスカラ,まゆ墨,毛髪脱色剤,香料,植物性天然香料,ジャスミン油,ちょうじ油,はっか油,バニラ,ばら油,ベルガモット油,ラベンダー油,動物性天然香料,じゃ香,りゅうぜん香,合成香料,ゲラニオール,人造じゃ香,バニリン,ヘリオトロピン,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,吸香,薫香,線香,におい袋,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つけづめ,つけまつ毛」に補正されたものである。

3 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の2件であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめていうときは、「引用商標」という。)。
(1)登録第4573603号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 「ANON」の欧文字と「アノン」の片仮名を上下二段に横書きしてなるもの
指定商品 第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」
登録出願日 平成13年7月9日
設定登録日 平成14年5月31日
(2)登録第5554006号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 アノン(標準文字)
指定商品 第3類「化粧品」
登録出願日 平成24年8月30日
設定登録日 平成25年2月1日

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否判断手法について
「商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにしうる限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
また、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合のほか、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合には、その構成部分の一部を抽出し、当該部分だけを他人の商標と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁)。」(知財高裁令和2年(行ケ)第10108号、令和3年2月9日判決言渡)
以下、上記判断手法に沿って、本願商標と引用商標の類否について検討する。
(2)本願商標
ア 本願商標は、別掲のとおり、顕著に表された欧文字「R」の鏡文字(以下「鏡文字」という。)を上段に、これに比して小さく表された「ANON」の文字を下段に、それぞれ配してなる(全ての構成要素は、灰色で表されている。)ところ、鏡文字部分と「ANON」の文字部分とは、二段に配置されていることから、視覚上、分離して観察され得るものである上、大きさの異なる各文字部分が、相互に一定の間隔を空けて、重なり合うこともなく配置されており、それぞれが独立したものであるとの印象を与えるといえる。
イ 本願商標の構成中、上段の鏡文字部分は、その構成態様から特定の意味合いを想起させるとはいい難く、特定の称呼及び観念は生じない。
また、下段の「ANON」の文字は、辞典類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているものともいえないことからすれば、特定の観念を生じない造語として看取、把握されるとみるのが相当であり、その構成文字に相応して「アノン」の称呼を生じる。
そして、上段の鏡文字と下段の「ANON」の文字とを結合して、特定の意味合いを想起させる等、観念上のつながりがあるともいえないから、それぞれが独立して、取引者及び需要者に対し、商品の出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
ウ 以上を踏まえると、本願商標は、鏡文字部分と「ANON」の文字部分とが、視覚上分離して看取され、また、観念上のつながりもなく、これらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいい難いものであるから、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす要部となり得るものである。
そうすると、本願商標から「ANON」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許されるというべきであり、本願商標は、その構成文字に相応して「アノン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)引用商標
ア 引用商標1は、前記3(1)のとおり、「ANON」の欧文字と「アノン」の片仮名を上下二段に横書きしてなるところ、その構成態様によれば、下段に位置する片仮名は、上段に位置する欧文字の読みを特定するために付加表記したものと看取、理解される。
そうすると、引用商標1は、その構成全体に相応して、「アノン」の称呼を生じ、上記(2)イと同様に、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2は、前記3(2)のとおり、「アノン」の文字を標準文字で表してなるところ、当該文字は、辞典類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているものともいえないことからすれば、特定の観念を生じない造語として看取、把握されるとみるのが相当である。
そうすると、引用商標2は、その構成文字に相応して、「アノン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(4)本願商標と引用商標との類否
ア 本願商標と引用商標1とは、それぞれ上記(2)及び(3)アのとおりの構成からなるところ、構成全体の外観においては相違するものの、上記(2)のとおり、本願商標は、その構成中の鏡文字部分と「ANON」の文字部分が、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、「ANON」の文字部分をもって、商標の類否を判断することが許されるものである。そして、引用商標1の片仮名は、欧文字の読みを特定するために付加表記したものと理解されるから、看者に対して強い印象を与えるものではないところ、本願商標の構成中の「ANON」の文字部分と引用商標1の構成中の「ANON」の文字部分とは、つづりを同一とするものであるから、両者は、外観上、近似した印象を与えるものである。
また、両者は称呼において「アノン」の称呼を共通にし、観念においては比較できない。
そうすると、本願商標と引用商標1とは、観念において比較できないものの、外観において近似した印象を与え、称呼を共通にするものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標である。
イ 本願商標と引用商標2とは、それぞれ上記(2)及び(3)イのとおりの構成からなるところ、構成全体の外観において相違し、本願商標の構成中の「ANON」の文字部分と引用商標2とを比較した場合においても、欧文字と片仮名の文字種を異にするものであるが、商標の使用においては、商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変換して表記したり、デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることに鑑みれば、両者における文字種の相違が、看者に対し、出所識別標識としての外観上の顕著な差異として強い印象を与えるとまではいえない。
そして、本願商標の構成中の「ANON」の文字部分と引用商標2は、称呼において「アノン」の称呼を共通にし、観念においては比較できない。
そうすると、本願商標と引用商標2とは、観念において比較できないものの、外観において顕著な差異として強い印象を与えず、称呼を共通にするものであるから、これらを総合勘案すれば、両者は相紛れるおそれのある類似の商標である。
ウ したがって、本願商標と引用商標とは、相紛れるおそれのある類似の商標である。
(5)本願の指定商品と引用商標の指定商品との類否
本願の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
(6)小括
以上より、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標について、特徴的な書体で大きく目立つようにシンボリックにデザイン化された「R」の鏡文字の下に、「ANON」の欧文字を明朝体風に小さめに書しており、上段の鏡文字と下段の欧文字とは略同一幅に収まるように表され、全体として外観上まとまりよく、視覚的に一体性を有する旨、また、本願商標は、図形と文字の結合であり、これらが離間して配されることもなく二段表記で書され、一つの標章として認識できる程度に外観上まとまっており、視覚的にも結び付いているのであるから、一体不可分の結合商標と認識、把握されるべきである旨主張する。
しかしながら、たとえ請求人の上記主張を前提にしたとしても、上記(2)のとおり、本願商標が、大きさの異なる鏡文字部分と「ANON」の文字部分とを、別々に重なることなく上下に配した構成となっていることに変わりはなく、本願商標全体のバランスや配置等を考慮しても、その外観上、鏡文字部分と「ANON」の文字部分とが分離されないような態様で構成されているものとはいえないし、また、両者が不可分のものとして一つの観念を形成しているともいえない。そうすると、本願商標は、上段部分と下段部分が略同一幅で表されていることや離間せずに二段表記で書されていることをもって、分離して観察することが不自然であるとまでいうことはできない。
イ 請求人は、原査定は、本願商標の構成部分の一部である「ANON」のみを抽出し、この部分を引用商標と比較しているが、本願商標は、特徴的な書体でシンボリックにデザイン化された「R」の鏡文字が、需要者等に出所識別標識として強く支配的な印象を与えて認識されることから、この「R」の鏡文字部分を捨象し、「ANON」の欧文字部分のみが着目されて取引に資されるとは考えられない旨主張する。
しかしながら、結合商標における自他商品の識別機能は、全体か、1つの構成要素のみが有する場合か、のいずれか1つではなく、複数の構成要素がそれぞれ独立した自他商品の識別機能を有する場合もある。
本審決においても、本願商標と引用商標との類否を判断するにあたり、本願商標の構成中の鏡文字部分を捨象して、「ANON」の文字部分のみが自他商品の識別標識としての機能を果たすと判断したものではなく、上記(2)のとおり、本願商標の構成中の鏡文字部分と「ANON」の文字部分とが、それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たす要部となり得るものと判断し、その上で、本願商標の構成中の「ANON」の文字部分を要部の一として抽出したものである。
ウ 請求人は、本願商標をハウスマークとして採択しており、外観構成上、一体的に看取されるものであること、また、上段の図形と下段の文字とを分離して観察することは、取引上極めて不自然であり、取引の実情からも図形と文字とを一体のものとして把握、認識するのが通例である旨主張する。
しかしながら、請求人が本願商標をハウスマークとして採択し、一体的に利用しているとしても、商標の要部がその一部又は全体であるかは、当該商標の構成に鑑みて、取引者、需要者が当該商標のどの部分に着目するかによるものであり、本願商標は、その構成自体から、「ANON」の文字部分が鏡文字部分とは分離して認識され、当該部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであること上記(2)のとおりであるから、請求人が鏡文字部分と「ANON」の文字部分を一体的に使用していることが、上記認定を左右するものでない。そして、請求人主張のように認識されているような取引の実情を認めるべき証拠はない。
エ したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(8)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 本願商標




(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、特許庁長官を被告として、提起することができます。 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。
審理終結日 2022-07-01 
結審通知日 2022-07-04 
審決日 2022-07-15 
出願番号 2020158499 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W03)
最終処分 02   不成立
特許庁審判長 佐藤 淳
特許庁審判官 石塚 利恵
小俣 克巳
商標の称呼 アアルアノン、アアル、アノン 
代理人 國弘 安俊 

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